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帰り途中に紅竜から、
「今日、これからどうします?」
「どうって・・・特に忙しいわけでもないし、何かするってわけでもないな。」
紅竜は、何か考えている様子で答えた。
「あの・・・先輩の部屋に行ってもいいですか?」
「なに?今から・・・?」
正直戸惑った。
「ダメですか・・・?」
「え?ああ。いいよ。・・・散らかっているけど・・・」
別に入られて困るわけでもないから、俺は紅竜を部屋に招く事にした。
・・・しかし、一緒に居るところは、なるべく見られたくないものである。
紅竜はうれしいのか、俺にべったり身を寄せている・・・
「ちょっと離れてくれないか?ここじゃ恥ずかしい・・・」
寮では、一年が数人で一部屋となっているが、
二年・三年は少なくなり、一部個室となっている。
四年になると、大半は外から通う事になっているので、寮にはほとんどいない。
「さあ、着いたよ。」
俺の部屋は二階の角部屋で、
向かいとその隣、この部屋が個室だ。
「個室だから、狭いのは勘弁してくれ。」
「十分整理されてますよ。先輩、僕は気にしませんから。」
「そ、そうか?ならいいけど・・・」
俺が床に座ると、向かいに紅竜が座りる。
紅竜がいるせいか、自分の部屋なのに何か落ち着かない・・・
紅竜も、何か恥ずかしそうにうつむいている。
何か言いたそうだ。
なにか異様な感じで、暑苦しいのか喉が渇いてしまった。
「何か飲むかい?持ってくるけど・・・?」
しばらくの沈黙をやぶって、俺がそう言って腰を上げると・・・
「先輩。僕も・・・、一緒に行きます。」
結局二人して、給湯室に行く事にした。
「コーヒーで、いいかな・・・?」
「ええ。コーヒーでいいです・・・先輩僕もやりますよ。」
紅竜はコーヒーを手に取り、沸かしたお湯を注ぎ、かき混ぜる・・・
「あ、先輩。出来上がったら、僕が持っていきますよ。」
「そ、そうか、なんか悪いね・・・」
俺は先に部屋に戻り、少しドアを開けておいた。
しばらくして、紅竜が部屋に入り、
「お待たせしました・・・」
そう言って、コップをテーブルにおいて向かいに座った。
熱いコーヒーを一口飲む・・・
その後、会話が進んだ。
学校生活がどうとか、今のメンバーについてとか、そんなような話がしばらく続いた。
話が終わり、コーヒーも丁度飲み終わった。
紅竜もすでに飲み終わっていた。
「ふぅ〜・・・それじゃあ、片付けてくるよ。」
「あ・・・僕が・・・」
紅竜は、息が荒くふらついていた・・・
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