後編
列車がホームを通り過ぎ、窓にビルやネオンの光が差し込んでいる今も、俺は窓の外をみて立ちつくしていた。
オババの言葉がまだ頭から離れられない。
「不思議に思っていたのよね…。オババさんわたしに優しかったから…。
幾ら金持ちの預かりモノだとしても、入れられたのはホテルみたいに綺麗な部屋だったし、ご飯も美味しいモノご馳走してくれたわ…。」
「うん‥オババはベルのこと親戚‥と言っていたけれど多分孫のように思っていたんだろうな‥。
ずっと心配してくれていたと思うよ‥きっと。そんなオババの頼みだったら断るわけにはいかないよ…。
ってベル…、身体が震えてるぞ?」
デッキの窓からベルに目を移した俺は彼女の異変に気が付いた。
身体が震えベルのフワモコの純白の尻尾も縮こまって身体に密着している。
微妙に身体が火照っている額に手を当ててみると何となく熱があるような気がする。
「大丈夫よ…ちょっと身体…原因は分かってるから。」
ベルはそう言うと笑いかけてきたが、どうみても大丈夫に思えない。
とりあえず、彼女の身体を支えるながら、通路を歩き指定された部屋のカードキーを差し込み中に入った。
すぐ後ろからベルが続いて入る。
一番良いランクの部屋だけあって、中は凄い豪華な部屋だった。
広いダブルベットに、個室のシャワーやトイレまで付いているくらいだ。
リビングの白いテーブルの上には、冷えたラビットフルーツやマンゴーが籠に盛られていた。
けれども今はそんな果物よりも彼女の方から視線を離せなった。
「本当に大丈夫か…何だったら今アテンダントを呼ぶから。」
彼女をベットに横たえると、内線コールに手をかけようとする俺の手彼女は腕を絡めた。
「大丈夫よ…って言ったでしょ、何が原因かも治す方法も解ってるから…。」
「わかったよ…、でも治すってどうやって、出来ることなら手伝うけど?」
「ごめんなさい‥それだけは何も聞かないで…。でももし信じてくれるなら‥ちょっとの間部屋から出て貰える…お願い。」
あえぎ声を出しながら、彼女の赤い目が俺の視線とあわさった。その目を見ると彼女のお願いを不思議と断れなくなる。
「俺には見せられないことか‥?いいよ、時間がそんなに掛からなければ、シャワーにでも入ってるよ。」
不安が心に残りながらも、俺は彼女の言葉を信じ備え付けの手ぬぐいを持ってシャワー室へと向かった。
入り口で服を脱いでシャワー室に入る。列車の中なので、特等クラスの個室といえどもシャワー室の中は狭い。
身体全体の汗を流そうと身体を動かすと、どうしても耳が壁や扉にくっついてしまう。
それは仕方がない‥って今何か甲高い声が聞こえたぞ。
「何だ‥今のは?」
オオカミ族の俺はウサギ程ではないがそれなりに耳には敏感だ。
耳をピンッと上に立て、しっかりと扉に押し当ててみる。
すると列車のガタゴト‥という揺れる音に混ざって、かん高い声が俺の耳に響いてきた。
よくよく聞くと悲鳴とも苦しそうな声にも取れる。声の主はもう言うまでもない。
その声に胸騒ぎを覚えた俺はドアノブに手をかけた。
無論見ないでと言っていたベル言葉がチラッと引っかかったが、彼女の事考えたら何のことはないっ、
そのままノブを回すと扉を開け放った。
「!!」
「あ…!?」
扉を開けて一瞬の後、俺は目が一点に釘付けになった。
そこにはベルがベットの上でヒザ立ちになり、片手でシーツをギュッと握り、もう片手をスカートの中に入れていた。
スカートの中は見えなかったが、スカートの秘部の辺りが湿り、
シーツにポタポタと愛液がこぼれ落ちているのがはっきりと分かった。
彼女も余程驚いたのだろう。耳と尻尾は電気が通ったように逆立ち、目も大きく見開いている。
だがスカートの中に入れた手は止められず、むしろ手の動きが一層激しくなり、更に愛液がシーツへ滴り落ちていた。
「はぁ‥ぁ‥んっ!!やだ…、レイクスにこんなことやってるところ見られたくなかったのに‥。」
一瞬の沈黙の後、身体と声を震わせながらベルが呟いた。両目涙が溢れ、やがてポロポロとこぼれ落ちてきた。
「…ごめんなさい…。」
俺に見られたのが余程ショックだったのだろう、体勢はそのままだったがおびえているように目をギュッとつぶると、首を縮めこんだ。
「もしかして、助けたときから元気のない原因はこれだったのか‥?」
俺の言葉にベルはコクンと一つ頷いた。閉じた目と縮めた首はそのままだ。
「助けられる前に一晩中からだが火照ってしまう媚薬飲まされてた‥。
助けてくれて…わたしをお嬢様やお姫様って見てくれてたレイクスに淫乱なところ見せたくなくて…、
ずっと我慢してたけれど‥そしてこのまま列車に乗ったからもう我慢できなくなっちゃって‥う‥う‥。」
ベルの声はそれ以上言葉にならなかった。赤い目から涙が更に溢れ泣き声と共に次々と流れ落ちているのが見えた。
「クスン‥クスン‥こんな所見られるくらいなら死ん‥ひゃああんっ!!」
最後まで言葉が終わらないうちに、俺は本能的に彼女を抱きしめると涙でくしゃくしゃになった顔を寄せ口と口を合わせた。
舌と舌を絡め合う。
「レイク…んんっ!?」
「淫乱であるものか、ベルは今だって俺のお姫様だよ。」
そう言うが早いかベットに押し倒した。戸惑う彼女が反応するより早く、スカートを捲る。
ドレスの下は何も履いてないので、ベルの秘部が露わになった。
「レイクス…だ、だめ…!」
ベルは恥ずかしそうに足を閉じようとしたが、閉じるよりも早く俺は股の間に顔を押しつけ、そのまま秘部を頬張り始めた。
「あ…だめぇ…!?」
恥ずかしそうな顔で、秘部から顔を引き離すように両手で俺の頭を当てていたが、殆ど力が入っていなかった。
おまけに両手脚を頭と首にギュッと絡めてきて俺の顔は秘部に押しつけてられた。
もう、秘部の柔らかい感触が顔一杯に広がってきて、なんだか…凄い良い匂い…。
「はぁ…ぁぁっ…ごめんなさい‥こんなところ見せちゃって‥幻滅した‥よね…。
せめてわたしを好きなだけ頬張って…お腹一杯になるまで味わって…。」
愛撫に時々目をギュッと閉じながらも、ベルが震える声で呟いた。
時折秘部の割れ目に舌を入れると、更に愛液が溢れ出て、口の中を満たすように流れ込んでくる。
「そんなことないっ、僕だって雄だから‥。この光景を見ると顔は赤くなるけれど凄く幸せ…。
もう君の手を全然使う必要がないくらい…。」
俺の言葉にベルの顔が赤くなっていくのがわかった。
「嬉しい…、レイクス…もうあなたにこうされたかった…。あ…でもだめ…もうわたしっ…、我慢が…。」
ベルの声が徐々に甲高くなってきた。
身体が更に火照り、脈が早く売っていることが太ももと股に挟まれた俺の頬に伝わってきた。
手と足だけでなく、フワフワの尻尾も俺の頭に巻き付けてくる。もう限界が近い。
「いいよベル…うんと可愛い声で…。」
俺はベルを強く抱きしめた、同時に舌を膣の中に膜ギリギリの所まで差し込む。
「れ…レイク…ス…ひゃあああんっ!!」
短い絶叫と同時に、ベルの純白の尻尾がピンッと跳ね上がった。軽くいったのだ…。
ベルはそのまま俺の身体を預けると、ぐったりと動かなくなった。
「少し…落ち着いたかな?」
「うん…、このまま起こして貰える?外の景色が見たくなっちゃった。」
ようやくベルが口がきけるようにまで回復したとき、俺は彼女を抱きしめたまま起こすと、
カーテンの隙間から、窓の外をジッと見つめた。
先ほどまで連なって見えたビルやネオンサインの明かりは消え去り、今は遙か彼方に街の残照が見えるのみで、
あとは辺り一帯に街灯の殆どない田園地帯が黒々と広がっていた。
「また、二人きりになったね…。」
窓の外を見ながら俺は呟くと、ベルがこくりと頷いた。ほぼ真っ黒な外の景色を見ると一層そう思えてくる。
なんとなくこの景色を見ると寂しい気持ちになっちゃうな…。
ベルもそう思ったのだろう。窓の外を覗き込みながら、パフッと俺にもたれかかった。
さりげなくフワフワの腕が自分の腕に触れ、尻尾も俺の腰に回すとそのまま絡めて寄り添っている。
「寂しい…前は一人でも全然寂しくなかったのに今はもう…もう一人になんか戻りたくない…。」
不安そうに俺の胸に顔を埋めるベルを、俺は優しく抱きしめる。
「大丈夫さ…俺がもう絶対寂しい思いさせるモノか。無論あんな金持ちのような連中からだって…。」
「ありがとう…、あら…?」
何かに気が付いたベルが目を下に落とす。慌てて隠そうとしたが無駄だった。
ベルへの愛撫と抱きしめる温もりで、俺のモノは既に猛烈に太くなっていた。
ばつの悪そうな顔をしている俺の顔を見るとクスッと小さく笑った。
「心も体も正直なのね。でもわたしは好きよ…。レイクスもう、口だけじゃ物足りないわよね…?」
そう言うと、ベルは手をのばし、俺の股のモノに軽く掴んだ。ベルの彼処に俺のモノを入れたら…。
そう思うと一層モノは膨らみ、その振動が握りしめる彼女の手に伝わっていった。
「凄く太い…。こんな大きなモノが入れられると思うと…、ちょっと…怖い…かも…。」
「やっぱり…厳しいかな。」
俺は小さくため息を付くと、ベルの両手で握られている俺のモノを見つめた。
実際、同族の普通の身体の女の子だって尻込みしちゃうような大きさだ。
ましてやベルの身体は小柄で片手で俺のモノを握りきれず、雄のモノを入れられたことが全くない。
そんな身体だと彼処が凄くきつくて俺は気持ちいいだろうけれど、その分彼女には…。
「大丈夫よ…わたしは雄を悦ばせるように教育されたんだから…。レイクスとなら…。
例え太すぎて彼処を壊されたって、イケニエにされたっていいっ。
もう、わたしの身体を好きにして良いのはレイ…ううん、あ・な・ただけ…。」
彼女の妖艶な表情とその言葉に、俺の赤くなった顔が更に赤くなった。本当に顔から火が出そうだ。
「それに…わたしももう、我慢が出来ないの…一生あなたの娼婦になって毎晩満足するまで気持ちよくしてあげる。
アナタが満足するくらい…何でもして上げるから…あなたのものを…わたしの…中に。」
顔を真っ赤にして殆ど聞き取れない程の小さな声だったが、もうそれがトドメとなった。
うんと彼女を抱いて抱いて抱きしめたい、…もう…我慢できない…。
「ベルッ!!」
「キャッ…。」
彼女の秘部から口を離すと、俺は彼女に覆い被さった。既に膨らみきったチ○チ○が、
ベルの秘部を覆う毛を押し分け、割れ目の入り口に押し当てられるような格好になった。
秘部は既に愛液が湧き出し、雄のモノを待ち受けていた。
「あ…待って…心の準備出来てるけれど…まだ身体が怖がって震えが止まらないの、だから…んんっ。」
彼女の言葉が終わらないうちに、お互いの口を合わせると、空いている手で優しく頭を撫で始めた。
口を合わせ一瞬耳と尻尾をビクッと立たせたベルだったが、頭を撫でると安心したのだろう…
尻尾も絡めて身体を密着させしがみつかせてきた。
「いよいよ…い…わっ!!」
(ガタタンッ!!)
…俺は軽く舌を絡めると、ゆっくりと口を離したまさにその時、夜行列車が大きな音を縦それと同時に大きく横に揺れた。
その衝撃は俺とベルのいるベットにも伝わり、そして接合部へも…。
(ズニュウウッッ!!!)
「え…あ…!!はぁ…!!…ああああ!!!」
大きな揺れ、その勢いで既に奥にまで入りたがっていた俺のモノは彼女の膣へと猛烈に突っ込まれた。
一気に根元…そして彼女の奥の奥にまで俺のモノがなだれ込んだ。
「い…っ…。!!!!裂け……ちゃ……!!!!!!!」
凄い快楽が膣から全身に描けて流れ込んできたと同時にベルがもの凄い力でしがみついてきた。
あまりの痛みに殆ど声が出ず、必死に口をパクパクしている。
「ごめん…!!ベルに痛い思いさせちゃってるのに自分だけ気持ちいい思いして…。もう…後で齧り付いていい…。」
俺も気持ちよさで呟くような声しか絞り出せなかった。それでも彼女には伝わったのだろう。
俺の言葉に苦痛にゆがめつつも首を大きく横に振ると身体を震わせ、手足と尻尾でギュッと。
「い…今はわたしのこと…気にしないで…。アナタがわたしに無我夢中になれたら…わたし幸せ…なのっ。
レイクスの…アナタのモノなら…どんなに大きくても痛くても…いい。」
「でも、そんなことをしたら君の彼処が裂けて…。」
「いいの…絶対止めちゃやだっ…処女を失ったんだから…。
あの金持ちにまで必死になってまで守ったモノを…貴方にあげたんだから…もう今日を忘れないくらいにエッチしたいの、
お願い…もうわたしの身体をいくらでも好きなだけほおばれるのも…お嫁に行くことが出来るのも貴方だけよ、残さず食べて…。」
ようやく出るようになった彼女の言葉に、俺のモノが更に膨らんでいくのが分かった。
膨らむにつれて、膣の締め付けが一層きつくなってもう…理性が働かなくなる。
「だからお願い、もっと夢中になって…わたしの中で思い切り暴れ………ひゃああんっ!!!」
(ズニュッ…ズンズンズニュッ)
彼女の言葉が終わるより早く、彼女の言葉と膣の締め付けに俺の理性は崩れ落ちた。もう止められなかった。
接合部から血が流れ、ベルの純白な毛皮を鮮やかな赤色に染めているのが目に入ったが、
その意識も快楽によって霞み、猛烈に彼女の名器へと腰を動き始めた。
「!!あ…やぁっ!!ひゃああんんっ!!!」
突き入れられる度に、部屋中に大きな叫び声が響き渡りその言葉に俺の動きはされに早くなった。
着ているドレスは乱れに乱れ、背中に爪を突き立てられているが、痛みなど全く感じなかった。
もう白く輝く彼女にしか俺の目に入らない。ベル…、もう気持ちよくて抑えられない……!!」
「ひゃあっ ああ、ああんっ!!
(ズップグッチュ…グチュグチュ…!!)
もう悲鳴に近い歓喜の声が、エッチな音が部屋中に響き、
騒音と振動を吸収するため防音に作られた個室でなかったら、ここまで大声を出せない。
その声が更に自分の心を刺激し、一層動きと流れ込む快楽が激しくなった。
もう…もう我慢が出来ない…出るっ!
「ベル…も、もう…!!」
言い終わらないうちに、ベルが一瞬口をあわせて俺の口を塞いだ。
苦痛の表情は残っていたが、もうとろんとした幸せに漬けられたような表情をしていた。
「レイクス…レイクスが満足できるなら、わたしの身体も彼処も…何されたっていいっ。
だからお願い…外に出さずに、望むだけ思い切り奥までにわたしの中に」
彼女の言葉に最早返事はいらなかった。もう後戻りせず最後の最後まで君と…一緒に……!
(ビクン……ビクッビクン…!!!)
「!!!ベルっ、で、出るっ!!!」
「ひゃ…あ、あ…わたしも…ひゃああああっ!!!」
(ドクン…ドクンドクンドクンドクドクドクッ…!!!!)
本能的に奥の奥にまで突き入れたその時、とうとう俺のモノが爆発した。
子種が迷うことなくベルの奥の奥へと快楽と共に注ぎ込まれた。
もう快楽や気持ちいいなんてもんじゃなかった。次から次へと口じゃ表せない感情が流れ込んでくる…。
長い長い余韻がようやく終わる頃、俺はばったりと身体を預けベットへ倒れ込んだ。
さきほどの叫び声は消え去り、今は列車の音と、お互いの荒い息づかいしか聞こえなかった。
「ハァ…ハァ…ハァ…やぁ…ん…もう…お腹の中が焼けちゃう…。」
荒い息のままベルが呟いた。彼女の狭くきつい膣は俺のモノを一滴残さず膣内に受け入れたため、
あまりの量にお腹が少し膨らみ、今なお接合部の周りの彼女の毛が赤い血で赤くなっているのが目に見える。
今も大量に注ぎ込まれて溢れ出る子種に混ざって彼処から血が滴り落ちて、シーツや毛皮にまで伝わっていたが、
やがてその光景も、列車の音も息づかいも聞こえなくなり、俺の意識は消え去った。
どのくらい意識を失っていたのだろうか、次に俺が目が覚めたとき、…列車の窓から朝の光が斜めに差し込んでいた。
一瞬これまでの出来事が夢かと思ったが、眠っているベルを胸の中に抱きしめているのを見て直ぐにその考えは消え去った。
未だにベルとは繋がったままだったが、昨夜と異なりベルは何ひとつ身につけず抱きしめていたので、
彼女の白く柔らかい毛の感触が、俺の身体中にまで伝わってきた。いつの間にドレスを脱ぎ捨てたのだろう。
カーテンの隙間から、外を見ると街はおろか田園風景も過ぎ去り、草原が一面と遠くに山と森林が広がっているのが見えた。
「プレーリー高原…。とうとう北部に戻ってきたのね…。」
胸元で囁くような声に、俺は下を見た。ベルが薄目を開けて俺と同じように外の景色を見つめている姿が目に入った。
「おはよう…起きていたのかい…?」
「ええ、誰かさんにずっと起こされていたままだったし…。」
そう言うと、ベルはニコッと女神のように微笑んだ。
「眠っているときも良いユメ見てたでしょ…?眠っているときもレイクス…わたしの中で激しく動いていて大変だったんだから…。
絶対お腹にアナタの子が出来ちゃってるわよ…もう。」
多分本当のコトだろうな…。下を見ると、モノは小さくなっていたけれど、未だに繋がったままで、
接合部から子種の液が大量に溢れだし 小さな水たまりを作っていた。寝ているときもそんなにしちゃってたんだ…俺。
「…ごめんよ…初めてだったのにこんなに…。痛いだけだったはず…。」、
「いいの…。凄い痛かったけれどレイクスにだけこうして欲しかったの…。
アナタにうんと愛されたって証拠だから。あっ‥。そういえば、レイクスに話さないといけないことがあったわね‥。」
そう言うと、ベルはベットの脇の小さな鞄から指輪を大事そうに両手で包むように取り出した。
俺が以前プレゼントしたペルセウス・リングだ。ベルの 指にはめると、キラリとした青い光を放ち、輝いて見える。
「良かった‥その指輪は大事に持っていてくれたんだな。」
「もちろんよ、だってこの指輪の言い伝え、それが私の心の支えになっていたもの。」
「え、言い伝え‥?」
言い伝えという言葉に俺は首をかしげた。購入したときにその話は聞いたことがない。
「ええ、後で知って、それを話す前にあんなことがあったから話せずじまいだったけれど‥
このペルセウスリングを受け取ったとき、送り主は守護神になってくれるって言い伝えがあるのですって。
聞いたときは半信半疑だったけれど、実際にレイクスは私のこと‥守ってくれたわよね。」
言われてみれば確かにそうだ。魔法の効力があると聞いていたけれど、まさかそんな効果があったなんて。
本当に魔法の指輪だったのかな‥これって。
「‥それとね‥もう一つこの指輪には大切な効果があるの。効果というより、役割というのかしら‥この場合は。」
「えっ?」
ベルの言葉に俺は聞き返した。彼処が繋がったまま、絡めている腕と足をギュッと回すと、
少し思い詰めたような表情を浮かべている。
「このペルセウス・リングって‥‥以前は婚約指輪にも使われてたの。
雄の獣が愛する雌に結婚を申し込むときに‥これをプレゼントしたんですって‥だから‥。」
「ベル‥それって!?」
俺は驚きでベルからもう目が離せなくなった。
ベルの言うペルセウス・リングの大切な役割‥それはもう言うまでもない。
「ベル‥、その指輪は君にあげる‥。」
3回大きく吸ったところで、俺はベルの頭にそっと手を乗せ口を開いた、ベルは不思議そうな顔で俺の顔を見上げてくる。
「君にあげるよ‥。お守りとして‥、そして俺からの婚約指輪として‥。受け取ってくれるかい‥?」
俺の言葉にベルは驚いた表情を隠さなかったがそれは一瞬だった。
見る見るうちに目に涙を浮かべると、俺の胸に顔を押しつけ、ギュッと固く抱きしめてきた。
「レイクス‥!?」
「故郷に戻ったら君を最愛の妻にしてずっと一緒にいるんだ。もう…絶対に離さないから、覚悟してね。そ
して‥よろしくね…ベル…。」
ベルは何も言わずコクンと一度だけ頷いた。
涙で俺の胸の毛を濡らしているベルを抱きしめ頭を撫でると、俺は再び窓の外をみた。
列車は相変わらず静かな音を立てながら、朝の日差しをを切り開いて俺の故郷へと向かっていた。
こうして俺はベルと一緒になり、2年程続いた長い放浪の旅は終わった。
俺の故郷の都市に戻ると、これまでの旅の経験を生かし、ベルと一緒に生活するようになった。
そんな俺の家に、時たまオババから手紙がやってくる。
奴隷商一行が一網打尽にされたこと、薬が欲しくなったら相談に乗ること、
追伸には女の子達がみんな待っているから、遊びに来たかったらいつでも来いとまで書いてある。
確かもう会うことはないだろう…って言わなかったか、オババ…。
「でも、今の所行く予定はないだろうな…。」
手紙から目を離すと、俺がいる居間と繋がっている台所の方を見つめた。
そこでは愛する妻のベルが何か料理を作っており、
そして、その隣には俺と彼女との間に生まれた二人の女の子がその作り方を教わっていた。
純白の毛皮とフワフワの尻尾をもった白狐の女の子。どうみても母親をそのまま小さくしたような可愛い子だ。
ベルはベルであの金持ちの家から持ち出したヒラヒラのついたピンクのドレスを身に纏っていた、
結構気に入っているのか家では大抵あの時持ち出した色々な服を着ているので、大抵ベルを見つめると顔が赤くなってくる。
「ままぁ…。」
上の女の子が母親のスカートの裾を掴むと、顔を見上げて母親の顔を見た。
「どうしたの、スノウ?」
「ねぇねぇ、そのままのつけている指輪わたしも欲しい‥ちょっとだけでも‥駄目ぇ?」
「ごめんね‥これはパパからもらった大事な指輪なの。スノウ達は大好きだけれどこれは一生外すことは出来ないわ。」
「ええ‥そんなぁ。」
すまなそうに頭を撫でるベルを見て、娘のスノウはしょんぼりと俯いてしまった。
さっきまでフリフリと背中で揺らめいていた大きな尻尾も今はだらりと垂れ下がっている。
「がっかりしないでスノウ。もっと大きくなったらね、好きになった男の子がきっとプレゼントしてくれる筈よ。」
母親の言葉にスノウの顔がぱあっと明るくなった。娘の笑顔を見ると、こっちまで気持ちが嬉しくなってくる。
「本当に?」
「ええ、多分スノウが‥一番幸せになれるときかもね。ねえっ、そうでしょう、あなた?」
スノウの耳を撫でると女神のような笑顔を俺に向けてきた。俺も笑って頷き返す。
彼女の指には愛の証であるペルセウス・リンクが、今なお青く強い輝きを放っていた。
(おしまい)
後に…すぐさまベルのお腹が3人目の子供で膨れたのは言うまでもない…。
「ママァ…わたしもう一つ欲しいのがあるのぉ。」
「いいわよ、何が欲しいのかしらぁ…?」
「パパと結婚したいのぉ、パパをお婿さんに頂戴♪」
「絶対にダメっ、パパはわたしのものっ!!!!!!!!!」
あとがき
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