アニメ2019年度下半期総括

第3四半期

アニメ「厨病激発ボーイ」(スタジオディーン、2019)

 音楽にTECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDが参加している。

アニメ映画「映画 妖怪ウォッチ FOREVER FRIENDS」(OLM TEAM INOUE、2018)

 ふぉーえばーふれんず、とか言われたので、ああきっとあの広告に出てる黒いジバニャンが主人公の少年と出会って仲良くなって、ささいなことで喧嘩して、少年が心にもないヒドいことを猫に言って、猫がショックで駆けだして、んで悪役が少年を倒そうとするところで助けにきて、諍いの原因となった誤解は解けるんだけど猫は×にかけて、主人公が涙ぶわってなる中で猫が光の粒となって消える演出のなか泣かせにくる台詞吐いて終わるんだろうなぁ、観たくないなぁめちゃくちゃ見たくないなぁソレと思っていたんですが、いざ観たら
まったくもってそんなことはなく、
「フォーエバーフレンズ」なのはW主人公の少年同士だよ、黒ジバニャンは賑やかしだよということがわかったため、とりあえず落ち着いています。ちなみに観ちゃった理由は「黒ジバが出ることを忘れておりうっかり」。

 獣勢からすると黒ジバの進化形が気になる次第で、

「怪猫カマイタチ」といわれたが鎌鼬は猫かにゃん
Wikipediaに「カマイタチが鼬として描かれたのは江戸中期以降」とがっちり記載があるが出典不明
「猫王バステト」といわれたがバステトは雄かにゃん
酒井先生の本にも女神としか記載はないが……

などあるが、ヴィジュアルがエロいので悦いとするにゃん。

アニメ映画「ドラえもん のび太の宝島」(シンエイ動画、2018)

よかったところ
なんやかやで「プログラミングで世界を救う」をやってくれたのは、プログラミング関係者としては素直にうれしかったです。でも父vs息子バトル後の父負け台詞「腕を上げたな……」はベタベタすぎでは。
フロックはイケショタでしたね。顔が良かったのでとくに声は気にしてなかったのですが、スタッフロールで気付くに山下大輝。ナビちゃん、デクくん、とんかつDJアゲ太郎。おおおお。
結婚前夜のアレ(「人の幸せを願い、人の不幸を悲しむ」的な)とか、のび太の恐竜のアレ(「鼻でカルボナーラ」)とか、リスペクトなのか流用なのかわかりませんが、まぁドラ名台詞ぶち込んでおけば古参は感動しちゃうところがあるよね。
究極的なところ、ドラ映画のいちばんの見所はドラえもんがぶっ壊されるところで、枕さんも脚本の狙い通りボロボロに泣いてたんですが(地球の熱エネルギーに対抗するため出した道具は「スーパー手ぶくろ」。そんな超汎用系の道具出さないで属性とか考えてよドラちゃん……)、ドラちゃん壊れる間際に「のび太君ごめんね」って言ったんですよね。子守ロボットたるドラえもんが守るべきは地球というより本質的にのび太なので。過去ドラえもんが壊れるたびにのび太君を案じていたか統計してないので勝手に書きますが、ここを明示してきたのは珍しいケースでは?
ネコ型子守ロボットに対して、トリ型子守ロボットが登場し、ドラえもんと友好を深めていました。お別れのときものび太→フロック、しずか→セーラに対応してドラ→クイズだったのでキュンとしちゃった。
クイズのなぞなぞ出題には、クイズモンスターこと古川洋平先生が監修に付いていらっしゃいます。問題の純度が上がったのでグレイト。
あんまり道具名を声で説明しなかったのは珍しい。痺れた演出としては、のび太がドラえもんを救いに行くところの「複数の道具が散らばっている中から最適解をのび太が探す→重力ペンキ」、説明皆無だったじゃない? 「重力ペンキとか大魔境で見てるから説明省いていいよね」的な視聴者との暗黙の了解でかっこいい。
あまりすきになれないところ
家族ネタは万人に刺さるのですが、ごく一部の「家族愛とかどうでもいい人々」を置いてけぼりにすることはするんですよね。まぁそこは致し方ないし、全人類が全愛情に打ち震えるわけじゃないし、俺はフロックきゅんが浮いてたら下心で助けるだけだし、クイズのなぞなぞの純度に感動してるからいいし。
これに関しては、作中でジャイアンが振りかざす「男らしさ」についても、みんながみんな男らしさをかっこいいと思う時代じゃないので、一枚岩でない表現にしてくれればそれに越したことはなかったが、一本槍(「ここは俺たちに任せて先に行け」)でしたね。まぁジャイアンがスネ夫を信じて巻き込む描写は男ともだちっぽくって(これもジェンダーバイアスか)美しかったんですけども。
最初にのび太の船が海賊に襲われるシーンの悪役の動機が、「上司の指示を待たず、倒すべきだと思ったので飛び出した」ってのは、ちょっと薄いし、それ以上に「しずかちゃんがセーラにそっくりだったので強襲先の船から連れ出してきた」ってのは、理由付けとして少し厳しいのでは……いや居てるわけないでしょ他人の船よ?

アニメ「異種族レビュアーズ」(パッショーネ、2020)

 Amazon.co.jpにて閲覧。

【本作品は地上波TV放送と同じ内容です。】 アニメ「異種族レビュアーズ」(パッショーネ、2020)、Amazon.co.jp内注意書

 タイトル通り、性癖としての人外は超えてきてて、#3にて女体化百合プレイも容認するんだけど、同#3での男性同性愛については否定的な描写をするという、マイノリティオールオッケーではないな……と落胆を覚える作品。
 もっとも、上記の男性同性愛描写はちょっと事情が込み入っていて、両性具有の天使が薬によって女体化し、風俗に行く際に、

お相手として、男を選ぼうとした天使の「その気」に対してのヘイト
お相手として、偽ペニスによる挿入が見込めるハイエナ娘を選び、プレイを満喫した(と思われる)ことに対するヘイト

メインキャラである天使の性癖に対し、メインキャラ3人が嫌悪を示すというかたちです。もっとも、当作品は#1にて、メインキャラ・ゼルのジェロントフィリア(これも事情が込み入っていて、ゼルは長命エルフなので人間80歳くらいは若い範疇に入る、っていう認識なんですよね)をスタンクがディスる描写があり、いろんな性癖があっていろんな見方があるよ、っていう表出のひとつだと思えたのですが、#3の反論を与える隙もなくクリムが卑下される描写には、どうにも同性愛をネタにしようというスタンスが見えて、マジョリティ異性愛者の驕りというか、人外・老人性愛には理解を示すが男性同性愛は不可解だし、不可解なのは当たり前だし、当たり前だからジョークにしていい、という思想が窺えます。

 や、「マジョリティ異性愛者にとって、マイノリティ同性愛の壁がいちばん高くて、いちばん茶化しやすい性文化」なのね、と思い直すいい機会だったんじゃないですかね。

 TOKYO MXにて、東京メトロポリタンテレビジョン株式会社の編成上の都合のため、2/8放映予定#05以降の回が放映中止。

アニメ映画「ドラえもん のび太の人魚大海戦」(シンエイ動画、2010)

 目を細めて観れば、ジェネリック海底鬼岩城っぽく……見え……あ、いや、「テントアパート」とか、テキオー灯切れとか、いいですよね。

ラスボス撃破方法について

 ラスボス撃破方法についてなのですが、説明が足りてない感じがしました。ただ、私の読解能力が落ちているだけなのかもしれません。

序盤で「架空水かくうすい」に関する言及がある。
人間が「架空水体感メガネ」をかけると、架空の水が体感できる。このとき架空水は水として視認可能。
魚類が「架空海水まきぞえガス」を浴びると、架空の水が体感できる。このとき架空水は水として視認可能。←これは言及なしだが自明だから省いたか?
地球にやってきた異星人の「人魚族」と「怪魚族」は敵対関係にあり、終盤で人魚族は怪魚族を撃破する。
人魚族であるソフィアは、「架空水体感メガネ」をかけることで、架空水を水として体感できている描写がある。
怪魚族であるブイキンは、「架空海水まきぞえガス」を浴びたことで、架空水を水と勘違いしてしまう描写がある。

……このロジックで倒したんだよな、と書いていてようやっと気が付いたのですが、この構図は勘違いですね。「いやハリ坊はどうみてもサカナじゃないですかぁ」「ブイキン二足歩行人型じゃないですかぁ、ガス効くんですかねコレ」とか混乱してたんですが、正しくはこうか。

種族にかかわらず、「架空水体感メガネ」をかけたときと「架空海水まきぞえガス」を浴びたときの効果は同じで、架空の水が体感できる
道具としての差違はおそらく、メガネは付け外しにより架空水と本物の水の区別を付けることができるが、ガスの場合は区別が付かないこと。またメガネはかけている限り持続時間が無限だが、ガスには制限時間があること。
(あと、道具名からして、真水と海水の違いはあるかもしれない)

 こうか。あー。対象が人間か魚類かによって使い分けるんじゃなくて、用途によって分けるのか。自覚的に潜るならばメガネで、(他者を)無自覚的に潜らせるのならばガスか。ガスは謀殺系の道具かー、そうかー


 ストーリーはあんまり記憶に残っていない。

深夜の町を海にしてしまうところは、原作てんコミ「深夜の町は海の底」に由来。しかし当時(1990年)にしろ当映画(2010年)にしろ、深夜の町の人々と海のいきものとの邂逅は避けられないので、のび教育のためのドラ施策としては事件性が高すぎる
原作読んでたころは笑い話夢物語だったのだけれど、今となっては「鮫やべぇ」「死人が出るぞ」と危惧が絶えない。
ゲストヒロインとしずかちゃんの取り違え
ドラミ大活躍のわりに貢献していない
たぶん彼女が本気を出して冒険に参加すると敵方秒殺ハッピーエンド直行なので、道具を出し惜しみし戦略をセーブしていることは間違いない。
「ブイキン」はたびたび「ブリキン」に聞こえ、迷宮ラビリンスかと見紛う
スタッフロールの原作コミックリスペクトっぽいイラスト群の意図は、漫画連載開始40周年を祝ってと思われる

 これで自身のドラ映画キャリアからすると全部観たか? と思っていたら、たぶんあと宇宙漂流記」(1999)、「新・宇宙開拓史」(2009)、「STAND BY ME ドラえもん」(2014)が足りてない(2020年時点、「宝島」(2018)までのコンプリ率)。

アニメ映画「ドラえもん のび太の宇宙漂流記」(シンエイ動画、1999)

 物語契機はのび太の母で、「母親が子供の大切なものを壊す、奪う、捨てる」という例の展開による。

 伏線回収は丁寧で、余すところなしと言っていい。宇宙空間再現空間でののび太のオナラはロケット相当の噴射力→実際の宇宙空間でもオナラを駆使する、オーラスの地球帰還は途中での眩惑の星での風景と同コンテ。

 クライマックス相当が複数あるのはいいですよね。終わるのか!?→終わらないの連続。

宇宙漂流→どこでもドアの存在を忘れていたが思い出し、帰還可能→いつでも帰れるのならばもう少し滞在しよう→どこでもドアには範囲制限がある→帰れない
偶然地球に辿り着いて帰還→地球ではなく幻を見せる星だった
リアンが父親と対峙する→父親は洗脳されていて、愛の力で目醒めて真の悪・アンゴルモアに発砲
アンゴルモアの復活→再撃破

 アンゴルモアが洗脳によりリアンの父を操っているという点は、主人公側にとっては未知の情報だったのですが、今回は「リアンたちの神として崇められている樹木から、リアンの母の化身が現れてリアンに告げる」という形で齎されています。うーん……秘密道具で暴いたり、何らかの調査や洞察で辿り着いてもよさそうなものだが、かなりご都合主義的なギミック。もっとも、リアンの家族関係にスポットを当てた本回ですので、父親が敵なら母親は味方だよね(のび太の母とも対比して)、的なキャラ配置だったことが窺えます。

 リアン:白石冬美。アニメ「怪物くん」(東京ムービー、Aプロダクション、スタジオ・ゼロ、1968)の怪物くん。

 ログ:野沢雅子。アニメ「怪物くん」(シンエイ動画 、1980)の怪物くん。ドラえもん(2代目)。

 ED:SPEED『季節がいく時』。あんまり印象はない。スタッフロールの隣で20年分の過去ドラ映画一枚絵が流れる。

アニメ映画「ドラえもん のび太の新・宇宙開拓史」(シンエイ動画、2009)

 重力の弱い星においては、相対的に力が強くなりスーパーマンになる理論で、のび太がコーヤコーヤ星の人たちにとってヒーローになります。んでのび太が「地球ではジャイアンやスネ夫や母親に虐げられているけれど、ここでは誰かに希求されている」ことに涙するシーンがあり、自身のアイデンティティを噛み締めています。現実世界が辛すぎて異世界に自らの居場所を見出すのび太、これは現実社会に期待を抱かせることに成功していない児童教育の敗北であり破綻なんでしょうねぇ。
 相対的に、コーヤコーヤ星の一部の住民にとってはのび太が救世主になり、住民らの生活を脅かすガルタイト鉱業から守ってくれる存在だと刷り込まれていきます。星を脱出せねばならぬ一大事に陥るに至り、なぜのび太が来ないのかと文句を言いだす始末。見てると胃が痛いし、にんげんのよわさがうきぼりになってつらい。

 ロップル:櫻井智。服はエロいが髪型がぱっつんで優等生である(個人の感想です)。

 チャミー:佐久間レイ。原作と似ても似つかないフォルムの“大山ドラのすがた”チャミー(CV:杉山佳寿子)が、すっかり原作準拠になって帰ってきた! 黒目白目反転キャラとして有望株であり、全体的にかわいい。声もマフラーちゃんでありマイメロディであるが魔女宅のジジもそうであり、「メスケモなのに……きゃわいい……」とケモショタ界隈がバタバタやられていく様子が目に見えるようである。

そういえば旧ドラは

 のび太VSギラーミンがクローズアップされがちな本作。調べてたら「旧ドラ映画では映像化されていない」とあり、まじか、と思って観直したらマジだった(ロップル君が額にバキューンで倒した)。原作コミックでのコーヤコーヤ星破壊装置にタイムふろしきが被さった理由は「うっかり」でしたが旧映画は「ロップル君が機転で被せた」になってるし、怒涛のゲストキャラ推しである。


Webアニメ「ニンジャボックス」(シーズン2、タツノコプロ、2019/10/24~)

 シーズン1はこちら

#08:
 馬頭を被ったおにゃのこが、カウボーイキャラに「私に乗って」と告白し、成立する話。マジか。

もうキミはオレのマイホースだ。
ふたりで聖夜を駆け抜けようぜ! スターショット台詞 #08
Webアニメ「ニンジャボックス」(シーズン2、タツノコプロ、2019/10/24~)

 スターショットは、クリスマスに女の子から待ち伏せされる(クリスマスエクスプレスか)レベルのかっこいい系キャラなので、ともすれば氷雨さんやライデンさんと肩を並べるキャラとして立ててもおかしくなかったのだが、最後の最後に「女の子の腰にブーツで乗る」「重言」(スターショットが愛馬に逃げられたエピソード→ベタ重言「馬から落馬」→オレのマイホース……という怒涛)でコミカルキャラに仕立てるの、脚本スゴいと思う。
 どうでもいいがクリスマスネタなので雪が降っている。カウボーイ半袖だな寒くないか。あとクリスマスツリーがドリル皇帝。
 スターショット:木村珠莉。

#09:
 次回予告でトンカチが

それって言ってもいいやつッチか? トンカチ台詞 #09次回予告
Webアニメ「ニンジャボックス」(シーズン2、タツノコプロ、2019/10/24~)

 ……と「チンキ」に対して言及。チンキのチン○とトンカチのトンカチと(略)

#10:
 あれだけチン○チン○言っていたトンカチが、チンキを口説き出したので(編注:ともだちになりたい)、絆された結果チンキ×トンカチでイケるんじゃないかと思っています。まる。
 チンキは服装が古典忍者で、謎の網シャツ着てるのでポイント高い。

150人乗っても大丈夫だし チンキ台詞 #10
Webアニメ「ニンジャボックス」(シーズン2、タツノコプロ、2019/10/24~)

……の元ネタは、「100人乗っても」CMのイナバ物置ですね。

チンキ:杉山里穂。

#14:
 太鼓の達人コラボでどんちゃんを連れてきた。バックにバンナムがついているのでやり放題である。釣りスピリッツ、パックマン筐体も登場。
 どんちゃん、かっちゃん:ならはしみき。山田ふしぎさんだと思っていたが変わったらしいな。

#15:
 トンカチとヒロトがケンカしちゃって、いままで仲良かったのに……と観てるほうが切なくなってしまった。

#16:
 最終回にして和解回。
 「ガチ勝負だと攻撃が効かない強敵だが、ヒロトのツッコミとリアクションを前提としたギャグ攻撃だったら倒せる」理論にて撃破。
 スタッフロールでスターショットの馬車にチンキが載せられているんだが、どこで絡みがあったのだろうか。ガレージというか馬小屋作ってと頼まれたとか(ポニーちゃんの居場所……)。

アニメ映画「SING/シング」(イルミネーション・エンターテインメント、日2017)

 吹替版にて。

 各人エピソードの中ではロジータさん(CV:坂本真綾)がグンバツでした。

主婦であり25人の子持ちという時点ですでにオーバーキャパであり、これだけのお子さん(一度にお生まれになったのではないと思うが……)を抱えている時点で「全部ムリでしょ金銭的にも体力的にもうわあああ」と誰も幸せになれない家族像を思い浮かべて涙してしまうが、おそらく夫の給料と役職がめちゃくちゃ高いので回っている稀有な例であり、それを考えると過労死しそうな働きすぎの結果、毎朝車のキーの場所を妻に訊かなければ忘れてしまうほど追い詰められており、妻や子供のことを振り返れない彼は被害者であっても加害者にはなりえないので、いわゆる家庭を省みらない夫という指摘は誤りだということがわかります。まぁ家族計画は破綻してますけども。
んで、ロジータさんレッスンのため丸1日家を空けなきゃならないどうしよう、という段になって、機械工作により一晩で子供×25の起床・朝食・送り出し・帰宅・就寝までをプロデュースする仕掛けを作っちゃう。むちゃくちゃなオーバースペックで、これだけのことができるなら外に出てもじゅうぶん稼げるし、これくらいのスキルホルダーでなければ25人も子育てできないよな……という納得があり、“すごいきかいをひとばんでつくる”というフィクション的な面白さであるはずの描写が、優秀者のリアルな結実として感じ取れるという未曽有の物語効果を産出しています。
そしてダンスのレッスンにおいては「足の動きを全部床に書けば踊れる」というロジックから紙に書いて敷き詰め実践(AKBのダンスレッスンってこんなんなんでしたっけ)、完全に発想系が脳から出ており、体とフィーリングで踊るグンターとの対比が素晴らしい。
そして「グンターみたいにダンスは踊れない」「歳だからパッションがない」と他者との比較、年齢による衰えを理由に、ダンスを諦めたロジータさん@深夜のスーパー。たぶん明日の子供たちのゴハンとか日用品の買い出しなんだろうな、ああ閉店チャイム鳴ってるな、つらそうだなぁかわいそうだなぁ……からの『バンボレオ』独演。
で、このダンスって、才能に火が付いちゃった、ってタイプでは必ずしもないと思うんですよ。前述の機械工作であるとかフットプリントによるダンス練習とかを踏まえると、おそらく理論と実践の賜物という趣が強くて、要するに努力と反復練習が成果を齎した(ように見える)んですね。この方はたいていのことはやってできてしまい、そうでないことも何度かやればできるんだけど、何%かの例外、ある程度時間をかけて挫折を乗り越えないとできないこと、のひとつがダンスであって、それがうまいこと完成系のひとつとなり、スーパーマーケットでの披露に結びついた。視聴者としてはそのがんばりに称賛を送るしかないし、僕らの代わりに監視カメラの作業員が賛辞を送っています。

 というワケで、ストーリーの中で先読みが効かずにびっくりしたのは2ヶ所。上記ロジーナの子育て機械と、ムーンさんが劇場を失って洗車業に勤しんでたときに全身の毛皮を使って車を洗い出したところ。えーと、え? あ? それはなくない? 友人ヒツジも「俺が乾かすから」と服脱ぎだすとかどうなのそれ? 風俗なの?

 基本的にみんな歌めちゃうまなんですが、オーラス前のマイクは山寺宏一さん、ラストのミーナはMISIAさんですね。

 谷山紀章さんのお名前をスタッフロールで拝見したので、どちらにいらっしゃったのかなと確認したらヤマアラシの彼氏のほうだった。いやまぁあとから消去法で考えたところ「あの浮気野郎なんじゃないかな……」と思い付きはしていた。

 あとまぁ、これは完璧に私の勉強不足なのだが、使用曲のほとんどが有名な既存曲だ(それが映画のウリ)ということに、あとから気が付いた次第。「オーディションの各人の披露曲のジャンルがバラバラで、コンポーザー1人だろうにすごいなぁ」とか思っていた。

アニメ映画「ペット」(イルミネーション・エンターテインメント、2016)

 吹替版にて。作中スノーボールが運転するバスの後部に、「SING」のポスターが貼ってありますね。

 Q.モルはモルいですか。(訳:モルモットキャラはリアルのモルモットを模していますか。)
 A.CVは梶きゅんですね。機械加工されてますが(TSUTAYAサイトでのインタビューによる)。

どんな声で演じようかなと思っていましたが、オリジナルの原音ではこの作品の監督が自ら声を当てられていて、さらにその声を機械で加工しているんですね。なので僕の声も加工されているので、少し寂しい気もしつつなかなかない経験なので、それも含めて嬉しいなと思いました。 https://tsutaya.tsite.jp/news/cinema/i/30187955/index

 モルっぽいかと訊かれると、そんなにモルモット狭いとこ好きじゃないよね暗くて怖いからね危機管理するよね、という感じはします(個体差あるでしょうけど)。ラスト観るに飼い主にはベタ慣れで、仰向け抱っこされるくらいは許している懐き度。

アニメ映画「ドラえもん のび太の海底鬼岩城」(シンエイ動画、1983)

 「ポセイドンの声は初代ドラ」という定番ドラ知識で知られる海底鬼岩城。観たことあるはずだけどもしかして30年も前か?

出だしが完璧なんですよね。
海に行きたいというのび太・しずか、山に行きたいというジャイアン・スネ夫に対し、海底に行って高山に登ればいいじゃないか、と答える。ここのドラえもんは困る様子も悩む素振りもなく、4者の声の大きさに怒りを表出しながら、ノータイムで最適解を出している。藤子先生の引き出しの深さにビビるし、このあとは海底知識のオンパレードである。
鬼岩城への道のりが見つからず途方に暮れる→しずかが囮作戦を言い出し決行→ムードもりあげ楽団
早く敵倒さないと地球滅びるよという追い詰められシチュの中、ヒロインが自ら犠牲になろうとしているシーンで、敵の気を引くために出す道具がこれ。このギャップよ!

アニメ「SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!!」(キネマシトラス、2020/01-03)

とくにバトらない(物語上の明確な悪役が存在しない)
じゃぁ「けいおん!」的な感じになるかというとそうもならなかった女子パート
主人公ズがバンドたのしい! で最後まで駆けきったのだけれど、その途中には「『楽しい』を捨てて商業音楽に打って出たREIJINGSIGNALがましゅまにブチ切れる⇒温かく見守る」という、ライバルキャラの態度の軟化エピがありました。……だけれど、軟化のきっかけがさっぱり伝わってこなかったんだよね。いやいやレイジンはずっと切れてていいでしょう、ましゅまの奴ら快楽主義だけでバンド界の頂点に立とうとしてて、それはレイジンにとって目障りにしか思えないのでは?
いやまぁ男子パートはすき
評価が甘くなりがちな男子パート。ロムたんも出るしクロウさんも元気そうだし(親戚の親族の感覚)。どこゆびだと推しは蜂かなー。ミューモン形態でギター弾くとき、膝折って開脚して床べしゃーと滑ってたトコすき。
嵐きゅんは今作出番なし。次作「SHOW BY ROCK!! STARS!!」にも出なさそう。
と思ったら舞台版「深淵のCrossAmbivalence」に出てる。2.5次元に食指が動かない。
カフカは2017年にKFKへ改名、2019年に解散したのだがガウガはどうするのだろう

 スマホゲーム『SHOW BY ROCK!! Fes A Live』(2020/03/12)はインスコしましたが重いので消しました。判定ラインが5本になったよ。


2019年度アニソンベスト

総合部門:
加藤英美里(トンカチ)、潘めぐみ(ヒロト)、中村悠一(メガホン)、村瀬歩(ポンプ)
『ヒミツキチューバー』
(Switch『ニンジャボックス』(ナムコ、2019/09/26)MT、アニメ「ニンジャボックス」(シーズン1、タツノコプロ、2019/08/08~)ED)

 初出順であればアニソンですが、メディアミックス起点としてはゲーソンである。まぁいいか。

 作詞は只野菜摘さん。「ムダなものはないから」「そうか 君も忍ビかな」あたりの寄り添いテキストで泣かせにかかる。共感力の塊。  
 アニメ「今日の5の2」(2008)OP1/1『ニセモノ』、封神演義キャラソン『キスキッス』『BLACK BIRD』(これは恥ずかしながら知らなかった!)。

 作編曲は田中秀和さん。ニャル子OP『太陽曰く燃えよカオス』作編曲。

作詞/作曲/編曲部門:

(未定)

話題賞:
スタンク(間島淳司)、ゼル(小林裕介)、クリムヴェール(富田美憂)
『ハナビラ音頭』
(アニメ「異種族レビュアーズ」(パッショーネ、2020)ED1/1)

 各局での配信中止。

 地方の祭礼音楽に、性的なニュアンスが含まれることは稀でなくて、なんでかというと、日々をハレとケに分けたとき、ハレに分類される事柄をまとめてしまう傾向があるということと、祭礼の場にて子孫繁栄を執り行うという動きがあり、本来ならば憚られる関係・乱交を認め、それを催させるためだという説があるわけですが、アニソンでコレをやってくれたのは(性的な「音頭」をリリースしたのは)やはり大きな意義があり(数え歌じゃないか、とか、めっちゃディスコチューン、とかは措いといて)、『日本全国酒飲み音頭』に匹敵する文化史上の功績といっても過言ではないです。OPもいいけどこの点でEDかなー。

特別賞(年度とぜんぜん関係ないお気に入り曲を管理者が適当に挙げる賞):
横山智佐『ぼくはもっとパイオニア』
OVA「天地無用!魎皇鬼」(第二期、AIC、1994-1995)OP1/1

ベッドの下アンプのうしろ
どこにでも夢は隠せる
わかってくれないひとには
やさしくウソつこう 横山智佐『ぼくはもっとパイオニア』OVA「天地無用!魎皇鬼」(第二期、AIC、1994-1995)OP1/1

 作詞は枯堂夏子さん。
 ざっくりいうと夢賛歌なんですけど、2番の歌い出しで虚を衝かれるんですね。夢をがんばる過程には、それを取り上げようとする誰かから隠す必要、理解できない誰かに虚偽の説明をする必要、が出てくるんだと。隠す場所が少年期モチーフの寝床から青年期モチーフの楽器に替わっても秘匿は継続するし、偽の理由をでっちあげないと納得しない相手は身近にもSNSにもいる。そうまでして、そこまでして、切り拓いていけた者だけが成功者なのだと。