本を読んだら書く その5 2019秋

矢野目源一『精力絶倫 その七つの鍵』(住吉書店、1955)

この丸の中でつくられた精子(今では精虫とはいいません)がアンテナをつたつて、外へ放出される仕掛です。 矢野目源一『精力絶倫 その七つの鍵』(住吉書店、1955)P.25/Ll.11-12

 1955年、このあたりが「精虫」→「精子」の言い換え時期らしいのだが、80年代くらいまでの一定数の書籍には「精虫」って書いてあった記憶がある。

杉山吉良『裸族ガビオン アマゾン奥地の原始生活』(光文社、1958)

 媚薬が載っている本はだいたい無条件に買う、という心持ちでいます。魔魚ペシボートの局部、鰐のペニス、ガラナ、マラプアマ、カツアバ。

江戸野次馬クラブ『江戸ものしり話 思わず人に話したくなるウラ話・びっくり話』(ごま書房、1982)

 コネタ本だが、コネタ本で情報量を増やそうとか萌えようとかするのはどちらかというと甘えで、やっぱり学術書をしっかり読むか、コネタ本ならば数冊にあたるくらいはしないとダメな気がしている。

酒井傳六『古代エジプト動物記』(文藝春秋、1984)

 先日(2019/11/24 JST)、エジプトでライオンのミイラ初発見というニュースが世間を沸かせていました(「NHK NEWS WEB」と英ガーディアン紙のウェブサイトを斜め読みして確認)。ミイラとして葬られていたかどうかが崇拝対称だったか否かのひとつの指標になるワケですね。上掲本の受け売りですけども。
 古代エジプトに関する日本語書籍というと、吉村作治先生か、酒井傳六先生か、近藤二郎先生かという私見がありますが、さすがの酒井先生、内容充実読み応え十分。本人が序文にて「猫の章が長いけど私ネコチャン好きですし」と語っているのもあり、家畜化の歴史よろしく犬・猫が長い。
 そして我らがアイドルセト様については、「驢馬、駱駝は砂漠の眷属だからセト神と同一視され蔑視されてたのでは」説。ふむ。

美術出版部編集部+木村要一+田村敦子『現代美術入門 国内コレクションで見られるゴヤからシュナーベルまで』(美術出版社、1986)

 現代美術は基礎教養として身に付けておきたい分野なのですが、正直読み通すのがツラかった。数学とか論理学とかの「わかる」手応えってカタルシスあるじゃないですか。その「わかる」に辿り着けなくて。もちょっと続けるけども。

柴山肇『江戸男色考 悪所篇』(批評社、1992)

そんなわけで、十三年前、この隠花植物といわれる世界で有名な伊藤文学氏から「江戸男色考」の連載を引き受けることになったとき、 柴山肇『江戸男色考 悪所篇』(批評社、1992)P.4/Ll.4-5

 「はじめに」に記載のあるように、この書籍は雑誌『薔薇族』の連載記事をまとめたもの。
 「悪所あくしょ」「悪所場あくしょば」というのは江戸時代の遊里と芝居町を指す語。陰間茶屋と若衆歌舞伎。

柴山肇『江戸男色考 若衆篇』(批評社、1993)

 目次の冒頭が稚児信仰・少年神なのは、やはりなーと頷けるところ。
 ショタコンだったらコレ1冊 だけ買えば……とも思うが、江戸時代の男色は基本ショタなので3冊買ったほうがいい。

柴山肇『江戸男色考 色道篇』(批評社、1993)

 陰間街の地図が載っている。現代でいうところのゲイマップか。

武田俊平『超淫獣伝 コバルト・アイズ』(フランス書院、1994)

醜悪な男根と化した20本の指が、美女の雪肌に絡みつき犯しつくす。 武田俊平『超淫獣伝 コバルト・アイズ』(フランス書院、1994)カバー表紙側の袖

 ……って書いてあるから、てっきりなんかこう雁首21コもあるとタイヘンだよねへへへ、竿役が人外ショタだったら萌えられるんじゃないかみたいなこと考えてたんですが、本編読んでみたら何事もなかったかのように指が伸びて触手になったので、「絡みつき」って比喩じゃなかったんだなーと感慨に浸った次第。

所澤秀樹『列車迷走 全国びっくり駅弁!?』(山海堂、1998)

 冒頭に「九尾釜めし」が出ていたので。昔は狐の毛色に合わせてか、黄色いカレー味のご飯だったとの噂が記載されているが、ウェブ検索したところ裏付け資料は出てこない。
 あと、小さい酒瓶の入っている駅弁は、弁当にそぐわないガラス&液体をなんとか折詰に込めようという熱意が感じられてよい。