「とりあえず、舐めてもいい?」
「許可を求めるのではなく、所望してほしい」
「悪魔っ仔たんのチンチン舐めたい」
「……んっ」
ぞくぞくっ、と悪魔っ仔たんが身震いした。タブン、いまのセリフでジブンの欲望が悪魔っ仔たんに流れ込んだのだろう。それが悪魔っ仔たんの「餌」であり「得点」なのだそうだ。
抱きしめていた腕を緩め、悪魔っ仔たんを床にそっと座らせる。カーペットの上で足を開き、手を後ろに付いて、屹立した股間の熱を持て余している様子が愛らしくて仕方ない。ジブンも膝立ちになり、悪魔っ仔たんの額に口付けし、耳元でまた所望する。
「悪魔っ仔たんのチンチン舐めたい」
「は、早くっ、もうっ」
またひとつ痙攣して、硬くした芯をぴくりと震わせる悪魔っ仔たん。指を絡ませて焦らしたいという気持ちもあったが、それよりももっと近づきたいという思いが、ジブンを四つん這いにして顔をそこに寄せさせた。
間近で見る悪魔っ仔たんの敏感な器官。昨日までは真っ黒だった体と同じく、その部分も深い黒色に包まれ、先端まで包皮に覆われ先尖りとなっている柔らかそうな竿、きゅっと引き締まった雄の袋が、細い腰と太腿に似合っていたのを記憶している。
しかし今は、中空に向けて背伸びする芯は包皮こそ同じ黒に染まっているが、頭部を覗かせる肉の本体は明るい橙色をしており、先端からは透明な前液がとろりと流れ、甘い匂いを発散させている。分泌液を供給する二つの膨らみを覆う皮袋には橙と黒のマーブルが綺麗に浮き出て、まるでパウンドケーキのような模様を構成している。全体として可愛らしいお菓子みたいに彩られ貌どられた悪魔っ仔たんの性。流れ出たシロップがつやつやと表面を上品に光らせている。
「んっ、どうした……」
屹立した軸、その根元に追従する袋、色と形のコントラストに目を奪われていると、悪魔っ仔たんがか細い声でジブンを呼んだ。見上げればもう耐え切れないといった様子で、瞳の端に涙を浮かべ、はぁはぁと息をしている。
「悪魔っ仔たんのチンチンに見とれてたんだよ」
「そうか」
「……舐めてほしいの?」
「ああ」
「へへ、それじゃジブンにおねだりしてごらん」
「オレのチンチン、舐めてほしい」
「……擬音とかで表現してみて」
「オレのチンチン、ちゅくちゅく、ぺろぺろ、って舌で舐め取って唇で吸い上げてほしい」
うっ。これは効く。「ぺろぺろ」は擬態語かもしれないけど。
「それじゃ、いただきます」
ジブンももう辛抱できない。さっきから唾液が絶え間なく分泌されている。その太腿に両手を添えて、頭を沈め悪魔っ仔たんの性を口に運ぶ。
瞬間、リキュールの強い香りが鼻腔をくすぐる。唇に触れる先端の熱。それから舌の上に滑らせれば、上等のオレンジチョコが口内を転がっていく。
「んっ、ん……」
悪魔っ仔たんはジブンの頭に手を添えて、もっともっとと催促するように軽く押さえてくる。欲しがる仕草がまた可愛くて、たくさん気持ちよくしてあげたくなる。
先端を途中まで包む皮の隙間に舌を入れ、甘い蜜の出口を探すように舐め回す。裏筋に届くまで差し込むと、濃いオレンジ味の液体が溢れてきた。香り高く、甘露のなかにほのかな渋味、苦味が感じられる。本当にジブンの趣味が体現された、素晴らしいカクテルだ。
今度は口を窄め、包皮が先端に来るように引き上げる。ビターチョコの苦さがオレンジリキュールと混じり、深みのある風味を口中にもたらす。包皮ごと先っぽを唇で揉みほぐしてやると、悪魔っ仔たんの太腿がぴくぴくと引き攣りはじめた。口を離して悪魔っ仔たんに問う。
「悪魔っ仔たん、イっちゃいそうなんだね」
「ああ」
指の腹で下の袋を扱いてやる。封じ込まれた双球の手応えをひとつずつ確認していく。触り心地の良い滑らかな皮袋の中に、硬さのある球体がある不思議な触覚を、丹念に存分に堪能する。
「あまり、睾丸を転がされるのは好きじゃない」
「はうん! ごめん!」
「それより、一度出したい」
「へへ、悪魔っ仔たんの甘ーい体液、味わいたいなぁ」
「お前の口の中に、オレの体液を、解き放ちたい……んっ」
ジブンと悪魔っ仔たんの所望が一致すると、流れ込むチカラは余計に強くなるらしい。凛とした悪魔っ仔たんの瞳が、だんだん淫靡な炎に灯されていく。
「早く」
「うん! 飲んでいいよね?」
「……所望してほしい」
「悪魔っ仔たんの特製糖蜜、舌で舐め取って飲み干したいです」
再度唇を付ければ、弾ける果実のフレーバー。口の中で上下に動かされ、どこもかしこも味わい尽くされるチョコレート。咥える口内が、その先端からの放出を待ちわびているのがわかる。ジブンは夢中になってそのデザートを貪った。
「んっ」
すると、舌の上を襲う熱い奔流。チョコレートバーがびくんと爆ぜ、半ゼリー状のオレンジリキュールが口中に流れ出した。奥深い甘味とほんのり酸味、苦味。しばらく味わってから嚥下しようと思ったが、あとからあとから溢れ出す上等の体液は、二、三度喉を通ってもまだ尽きないのか射出され続け、極上の味わいをジブンの舌に刻み付けていった。
飲みやすいようにじょじょに粘度を薄めていくシロップ。芯の中の残滓も余すことなく吸い上げると、口の中でゆっくりと萎えていく悪魔っ仔たんの性。