戻る

しめぶりまほうつかいちらりん#05

▽#05「たっぷりととろみをつけてかきまぜる」

▼Aパート

 挑戦状を叩きつけられて、われらがちらりんは息巻いています。
「よおし、はやくんをやっつけてこの街を救うんだ!」

 指定の場所は工事現場という名の空き地。カンバンには作業が2年後に再開する旨記されている。
「なんでこんなところで?」
「定番だと思ってさ、工事現場。あと幼少年用送迎バスに、体育倉庫」

 すぽゆにまほうつかいはやくんは青系統のユニフォーム。短パンから覗く筋肉質で健康的な太腿、さらに奥には精液にとっぷりと浸されたアンダーサポーター。マスコットのリスカルが紅白の旗を振る。審判のつもりだろうか。
 かたや、しめぶりまほうつかいちらりんは、丈が長めの黒ウエストエプロンを赤銅色の腰に巻き、曲がったシッポは外に出している。その中には名前通りに湿らせた赤線入り白ブリーフ。マスコットは黒一色のセンちゃんだ。
 「それじゃさっそく、新必殺技見せてよ」
「う、うん」
 くい、とはやくんが首で催促するので、ちらりんは身構えた。まほうのフライ返しをつきつけて、呪文を唱える。
「ホットケーキ!」
 ほかほかのホットケーキが宙を舞い、さらにバターとメープルシロップが追いかける。
「わお。3つも出せるようになったのか。成長したね、ちらりん」
「えいっ」
 お皿に載せずに饗するブランチは、はやくんの股間めがけて飛んでいく。ホットケーキが短パンに貼りつけば、熱で精液を変質させてしまうし、熱さに耐え切れず脱いでしまえば、アンダーサポーターに直接シロップとバターをぶちまけて、純度を下げる作戦だ。
「いただきます……と、言いたいけどね」
 くるりバトンを振り回し、風向きを変える。飛んできたホットケーキは減速、へなへなと中空をよろけ、すかさずリスカルが取り出したランチプレートに着地した。小容器に入った調味料も追いついて、脇を固める。
「そんなぁ」
 がっくりするちらりん。
「おいしいー」
 かぶりつくリスカルからは高評価が返ってきたが、味を褒められても敵は弱まらない。
「もうないの?」
 俊足、ちらりの顔近く。バトンの風で高速移動、ぺろり、とツノを舐め上げる。
「それじゃ、メインをいただこうかな。ツノはあんまり感じない?」
 逃げ出そうとするちらりんを抱きとめて、今度はタテガミに添って舌を走らせた。
「ひゃあうんっ!」
「かわいー声。おいしそうだよ、ちらりん」
 後ろから体を抱え込まれて、エプロンの隙間から手の平を差し入れられた。太腿を這い、その弱点に指が伸びる。
「だ、だめっ」
「ダメって言われても、そういうバトルだし」
 ずるり、下着を太腿までずりさげられた。
「やっ」
 羞恥に先立って、頭を掠めるまほうつかいのルール。まほうのブリーフが足から抜けてしまえば、変身が解けてしまう。わたわたと抵抗するも、はやくんの腕はがっちりとちらりんを押さえつけて離してくれない。かといって、こんな至近距離で使えそうなまほうは覚えてない。一歩間違えば自分に振りかかってしまう。
「変身してないちらりんも、見てみたいけど」
 ブリーフを脱がしきることはせず、エプロンの紐を中途半端に緩めて、はやくんは赤銅色のシッポを上に引っ張った。
「んっ」
「ごめんごめん、痛くしちゃったかな」
 そういって根元をちろちろ舐める。
「ちょ、はやくんっ、ダメっ」
「こういうの初めて?」
 舌先を下方に移動して、臀部の上をなぞり、隙間に潜り込む。辿りついた後孔。
「なっ、なにしてるのっ」
「教えてあげるよ、まほうつかいのこと」
 ちゅるり、唾液を余計に絡ませたチーターの舌が、水音を立てて西洋竜の孔を割り開いていく。
「んくっ、やぁっ」
「ここ、知ってる? どういうふうになると、負けなのか」
「なっ」
 負け、という言葉に反応して振り向くも、窄まりに与えられる刺激がもどかしくて、また体をこわばらせてしまう。
「力抜いて……まほうつかいの精液はまほうの源、乾いてしまえばもう使えない」
 入口のあたりを往復していた柔らかな肉が、今度はさらに奥を目指す。
「ひゃんっ」
「まほうのブリーフ、俺の場合はサポーター。コレが脱げれば変身が解ける」
 にゅるにゅると動くはやくんの舌に、くすぐったいところが押されて、こすられて。感じたことのない違和感が、なんだか甘ったるくて、ヘンな声が挙がる。
「んんっ、やめてよぉ、はやくんっ」
 涙目で懇願するちらりん。
「で、別のまほうつかいのまほうの源を、その中に注ぎこまれてしまうと、そのまほうつかいはもう、まほうつかいじゃなくなる」
「あふっ」
 言葉がよく理解できない。体中に伝染した下腹部の震えに、どんどん意識を浮かされてしまう。
「どう? 気持ちいい?」
 その感覚は、言われたとおりの物なのか。わからないけど、涙が止まらない。
「くぅっ」
 くちゅり、と引き抜かれると、ひくひくと刺激に慣れた後孔が、濡れて光を帯びる。もっと欲しがっているかのように。前では半立ちになった竜根が、エプロンの中で透明な糸を垂らしていた。
「ほら、ちらりん? オチンチン、悦んでるよ」
 頬を舐めて涙を拭ってやりながら、勃ちあがった先端に指を絡める。つっ、と纏わりついたちらりんの粘液を、だらしなく空いたマズルの隙間から差し入れ、舌に乗せた。
「んくっ」
 慌てた拍子に噛みついてしまい、はやくんが鈍く鳴く。
「いたっ」
「ご、ごめんなさい」
「いいよ、それより、どんな味?」
 舌の上には、自らの先走り。
「しょっぱい」
 素直に答えてしまう。
「そっか、それじゃ甘いほうがいいよね」
 チーターが笑い、エプロンをまくりあげる。さっきプレートに載せられたメープルシロップを、そっと手に取ると。
「ひやぁぁっ」
 冷たい、粘っこい感触。ちらりんの臍に、とろり、と零された琥珀色の粘液。悲鳴に構わず、チーターの手は腹に、竿に、袋にそれを絡め、すりこみ、染み込ませた。
「やぁっ、ああんっ、んぅっ」
「気持ちいい? いっぱい気持ちよくなっててよ、そのほうが楽しい」
 シロップの薄色に体が染まる。はやくんの指でしごかれた竿はぴんと天を衝き、先端から零れる液と混ざり卑猥に光る。くちゅくちゅと揉まれる袋は、中に溜めた別の色の液体を放出したげにふるふる震える。それから、お尻に細くて固い感触。気がつけば、メープルシロップでごまかした指が、ちらりんの後孔に潜り込んでいた。関節を曲げ動かされ、竜が啼く。
「ひやぁっ、んんっ」
「痛い?」
「いたくない、けど、ヘンんんんっ」
 舌で解されたそこは、それほど強情ではないようだ。もう1本増やすと、入口はまだ締めつけてくるものの、中はすんなりと許容してくれた。
「ヘン? ヘンじゃないよ、こういうのもアリ。オチンチンも、ひくひくしてるよ?」
 内奥で動かすのに合わせ、前で痙攣するちらりんの肉棒。さらに増やす。
「ひっ、んっ、ダメえっ」
 タイミングを見計らったはやくんが、指を抜く。3本分の体積を咥えこんでいた後孔はまた窄まってしまったけれど、いろんな液で濡れて淫靡だ。項垂れたまま、四つん這いの姿勢を促される。ちらりんの股のあいだでそそりたつペニスは絶え間なく液を垂らし、琥珀色を薄め続けていた。
「も、もう終わり?」
「これからこれから」
 かすかな期待に縋ってみるも、返事は始まりの合図。もう体に力が入らなくて、なされるままのちらりん。
 プレートのもう一方の容器をまさぐっているかと思えば、取り出した半欠けのバターをちゅるりと後孔に押し込まれた。
「やんっ」
「すぐにあったかくなるよ、ちらりの中、あっついからね」
 指を少し差し込んで温度を確認してから、前でふるふると揺れているちらりの棒状の熱にも手を伸ばす。薄い褐色の粘液に包まれて、太腿までつやつやと光を帯び、ブリーフにも染み込んで色を変えていた。
「溶けるまで、弄っててあげるね」
 くちゅ、と粘液質の音を立てて、ちらりの肉棒がほぐされる。軸に指を絡めて、包みあげて上下にこすられる。淫液の出口に指の腹を押し当ててぐりぐり。止まらない刺激に下半身が掻き立てられて、いつしかちらりは素直な部分を硬く硬くそそり立たせ、自然と腰を振っていた。
「あっ、ぁあっ」
「もっともっとしてほしいんだね。やっぱり後ろより前のほうが感じる?」
 欲情したちらりの耳元でそっと囁くと、それさえも性感に直結しているかのようにびくり、と震える体。ハヤクは満足げに相手のほっぺたを舐めると、体勢を滑らせ、今度は足のあいだでひくひくと痙攣しているそれをおもむろに口に含む。
「ひゃんっ」
 啜り、舐め、味わい、嚥下する。もうすっかりちらりん自前のシロップと混じったメープルの風味が、はやくんの鼻に抜け舌を踊らせ、喉を喜ばせる。
「ちらりんの肉の味と、しょっぱい先走りに、メープルシロップの甘さが溶け合って。メープルソーセージだね」
「ぅぅ」
 喜々として語るはやくんの言葉に、恥ずかしさでいっぱいになるちらり。
「これで出しちゃったらもったいないね、まほうつかいなのに。……ああ、もうすぐそうじゃなくなるけど」
 へなったちらりんのシッポを持ち上げて、また曝け出された後孔。内部の熱に蕩かされたバターが、入口から零れる。
「それでね、バトルの続き。これからちらりんの中に、俺の精液を直接出すよ。それでちらりんはまほうつかい失格。もうまほうも使えない、変身もできない」
「ええっ」
 唾液とメープルシロップに、バターを加えて練り上げた極上の穴。短パンを脱ぎ、サポーターをずり下げたはやくんの、熱棒の先端が押しあてられたかと思えば、そのまま難なく飲みこんでいく。
「んっ、いやぁっ、やめてよぉっ」
「ちらりんの負け。でもほら、これで普通の生活に戻れるよ」
 ずぷずぷと出入りするはやくん。腰と腰が触れ合い、ぱちゅぱちゅと粘液質な音を上げる。悔しくて悲しくて、萎えてしまった竜根だけど、はやくんはシゴいてくれない。ちらりんの腰に両手を当てて、あとはもう、中出しするだけだ。
「それじゃ……そろそろ。お別れだね」
 絶頂近く、ぶるん、と身震いして、仕上げとばかりに打ち付ける。そのとき。

 ばしゃっ。粘液質じゃない濡れた感触。密着した2匹に背中からぶちまけられたのは、冷水だった。
「つめたっ」
「つめたいよぉ」
 はやくんが窄まりに収めていた屹立はあっという間に萎えてしまい、仕方なく引き抜けば、ちゅぽん、と悲しげな音をして外に出る。水浸しの上半身と、粘液にまみれた下半身で、振り返れば。
「すくみずまほうつかいちみたん!」
「と、キネドー」
 キリン(ジラフのほう)獣人なまほうつかいと、鰻魚人なマスコット。

▼Bパート

 紺色のボックス型スクール水着を纏い、ビート板を抱えたキリン柄のまほうつかい。肩のあたりをふよふよ漂う、白い競パンを穿いた灰鰻色のマスコット。
 「新キャラ?」
「書いてない」
「聞いてないー」
 立ち上がり、びちゃびちゃの頭に手をやって呆けるチーター獣人と、物陰から飛んできたマスコットたち。
「……資料」
 と呟いたもう1匹のマスコットが、競パンから目薬ケースを取り出した。キャラクター物らしい。
「載ってる、ね」
 赤黒い西洋龍、青いスポユニ、黄色いキリン。
「3色揃えようと思ったんだろうけど、俺とちみたんの配色カブってるし」

「チーターのお兄さんっ、ドラゴンさんをイジめちゃいけませんっ」
 ビート板を突きつけて、オドオドしてるまほうつかい。突きつけられたまほうつかいは、露出したまま、さらりと応える。
「イジめてないよ、愛のまぐわい。交尾、知ってるでしょ?」
「んっ、なっ」
「すぽゆにまほうつかいはやくん。お、お手柔らかに」
「あらら」
 真っ赤になったちみたん。キネドーが慌てて言葉を挟む。苦笑したまま着衣を整えるはやくん。
「まだ途中、なんだけどな」
 そう云って、くたくたなしめぶりまほうつかいのマズルの端に、口付けを降らせた。
「ひゃうんっ」
 まだ体中ビンカンなちらりんは、とどめとばかりに刺激され、地面に崩れ落ちてしまう。
「続きは、また今度ね。……それじゃ、バトルしようか!」
 ひゅいぃんっ、バトンを回せば唸る風。対峙する相手もビート板を構える。ちみたん対はやくんのBパートが、幕開けた。

 「だいじょうぶか」
 センちゃんが声をかける。やっと現れたパートナーに、ちらりんは涙目で泣きついた。
「センちゃあんっ、どこにいたの……僕、あんなふうにされて、まほうつかい、失格って」
「見せて」
 尻穴を確認する、と云われ、恥ずかしさに耐えて、自分の意思でシッポをよけさせた。じっくりと見つめられた挙句、ふんふん、と匂いを嗅がれる。
「セっ、センちゃん、恥ずかしい、恥ずかしいよぉっ」
「ん。中出しは免れているようだし、ちらりんの魔力も拡散していない。まだ、まほうつかい」
「ホント? よかったぁ」
 ほっとひといき。ブリーフを腰までずり上げて、エプロンを巻き直す。ちょこん、と体育座りで、ひとまずバトルを観戦。
「センちゃん、はやくんが言ってたコト、ホントなの? あの、お尻の中で射精されちゃ、ダメっていうの」
「本当だ。だからちらりんも、はやくんをやっつけようと思ったら、倒してひん剥いて、後ろから突っ込んで、出せばいい」
「うー」
 膝を抱え込む。
「そ、そんなの、恥ずかしいよ」
「まほうつかい相手はノーカンだから」
「そういうんじゃ、なくて」
 敏感な部分で結合して、あまつさえ絶頂に達せよ、と言われても。ノーカンとかそういうのじゃなくて、ヒドくヒワイなコトを要求されている気がして、ちらりんは俯いた。
「……あのちみたん、ってコ、味方なのかな」
「そう思いたい」
 視線の先には、あいかわらず颯爽と風攻撃を繰り出すはやくんと、ばしゃばしゃと水を撒き散らすちみたん。水属性らしい。
「あ」
 押し倒されて、スクール水着をひっぺがされた。その下にはスイムサポーター。遠目でよくわからないが、おそらくアレに、魔力の源である精液が染み込んでいるのだろう。
「だめー!」
 助けてくれたまほうつかいが、下腹部を露わにされそうになってて、思わずちらりんが声を挙げた。
「ほーら、ちみたんピンチだよ。どうするちらりーん」
 はやくんが囃したてる。体力も少し回復したので、フライ返しを再度振り上げ、なんとか援護しようとする。
「とろとろオムライス!」
 宙を舞うゴハンにケチャップが絡まり、チキンライスに焼成。もう一方で溶きタマゴがオムレツになり、チキンライスの上で切り込みを入れられて、はらり、と広がった。半熟の中身が染み込んたライスに、さらにクリームソースをかける。
「わお。火を使って2品、さらにソースまで。成長したね、ちらりん」
「えいっ」
 そして放たれたメインディッシュは、バトンの風に煽られてやっぱり失速。リスカルが取り出した2枚目のランチプレートに、居を定めた。
「おいしいー」
「うまい」  
 スプーンでつつくリスカルとキネドーに、味を褒められても。
「俺は昔っぽいのが好きなの。薄焼き玉子で包んで、ケチャップのね。次はよろしく。ところで、料理の腕を修行したのかい」
「うぐ」
 皮肉っぽく訊かれて、言葉に詰まる。 
「技の選び方もダイジだよ、適材適所に繰り出さなきゃ。交尾中に水ぶっかけたり、ね」
 そしてはやくんはちみたんのほっぺたを、ぺろり、と舐めた。
「ひゃんっ」
「2匹ともおいしそうだね。もう少し熟してからおいで。じっくり味わってあげる」
 バトンをくるりと回すと、お別れの突風。びゅるりと渦巻いて視界を奪う。次に目を見開いたときには、すぽゆにまほうつかいはあとかたもなく。
「ごちそうさまー」
 食べ終わってから後を追うリスカル。

「助けてくれてありがとう」
「ううん、僕も。ありがとう」
 お互いの助けで窮地を脱し、お礼を伝えあう。
「あなたも、まほうつかい?」
「うん。しめぶりまほうつかいちらりん、と、相方のセンちゃん」
「よろしく」
「よしなに」
 センちゃんとキネドーも、ふわふわと会話。
「それじゃいっしょにはやくんをやっつけて、街の平和を守ろうね」
 にっこりと笑いかけるちらりん。仲間ができて嬉しそうだ。
「街の平和?」
 かたや、不思議げに首をかしげるキリン獣人。
「プールをたくさん作るんじゃなくて?」
「え?」
「ちらりん。あれ」
 センちゃんに促され、視線を投げた先には、キネドーが指で示した看板の一節。
「超大型アミューズメントプール 建設予定地」

▼次回予告

 競パン、というのは、その……特別な呼び方、らしい。
 次回「いせいよくなのりをあげる」お楽しみに。

▼Cパート

 「工事現場で暴れているワルモノがいる。このままでは建設予定地がダイナシになってしまうかもしれない」
「ええっ!?」
 突如現れた、浮揚するちいさな鰻魚人は、スイムサポーターを手に、キリン獣人、七味箪笥に迫っていた。
「だから、すくみずまほうつかいに変身して、止めてほしい」
「う、うん。……ヘンシン!?」
「そう。このスイムサポーターに、その……」
「?」
 頬を赤らめ、もごもごするキネドー。
「なんというか、その……き、屹立から迸りを」
「きつり、とばしり?」
 もごもごな上に小声で遠回しな言い回しをされても、七味には伝わらない。羞恥心を振り切って、キネドーはキリン獣人の耳元に近づいてゆく。
「チンチンから、精液を出してほしい」
「……」
 固まる七味。キネドーも、口にした自分が恥ずかしすぎて動けない。

戻る