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しめぶりまほうつかいちらりん#04

▽#04「ごはんのじかんにへんなきょくがかかる」

▼Aパート
「るるるーるるー」
「今日の庵内放送はー、ときめき八獣禅繊。パーソナリティーは『ゼン』のほう、あなたの高峰禅裸と」
「『セン』のほう、纏綿繊維でお送りします」
「1曲目は夏期から新展開に釘付けのアニメ「甘露忍者組粋逸」ED、『甘党かんにんじゃ!?』をお送りするぜ」
「新たな敵が登場。3匹で悪に立ち向かう忍者っ仔たちの活躍に期待」
「跳ねるー、跳ぶー、発条仕掛けー♪」

 前回の悔しさをバネにして、しめぶりまほうつかいとお供のセンちゃんは忍者の里にやってきました。
「あれに見えるは陰干流忍術修行場」
「わー、あんなに高いトコにあるんだ」
 中空をふわふわ漂って見上げる丘陵。
「んと、高度上げないとだね」
 魔法の力で飛べるようになってからも、危険だからとセンちゃんに釘を打たれていたため、今日も2階建てくらいの高さを飛んで、家からここまで来たのだが。
「しなくていい」
「え」

 下り立ったのは山の入口、険しい石段を一歩一歩登っていく。足腰を鍛えるのもまほうつかいの修行、とのこと。ふぅふぅと息を切らすちらりんと、リュックに乗っかって錘と化すセンちゃん。2匹分の尻尾が上下に揺れる。
「うー、まだー?」
「そろそろ」
 門が見えた。
 山腹に建っている木造の建物群が、目指す修行の場。ふらふらと門近くまで歩いていくと、しゅぱぱぱっ、と足元に何かが投げ付けられた。
「?」
 しゅた。黒尽くめの姿をした鳥人がちらりんの背後に着地した。どうやら門の上から飛び降りたらしい。
「曲者っ」
「ええっ」
 くせもの、と言われてたじろぐちらりんの首元に、平たい感触が当たる。
「何奴っ」
「んうううぅ」
 何かが喉に押しつけられているせいでうまく喋れない。代わりにセンちゃんが説明する。
「しめぶりまほうつかいちらりん。と、お供のセンちゃん」
「証拠はっ」
「ひとまずちらりんを離してくれないか」
 しゅぱっ、黒尽くめが間合いを取り、後方に飛び下がる。ちらりんとセンちゃんを警戒しながら、名にふさわしいふるまいをするよう求める。
「はぅ。どうしよう、センちゃん」
 どうにか解放されたちらりんは涙目だ。少し息が苦しかったらしい。
「証拠、と言われても。精液の浸みこんだブリーフを脱いで見せる、くらいしか」
「やだよぉ、恥ずかしいよぉ」
 ふよふよと惜しげもなく言い放つセンちゃんに、ちらりんが紅潮して抵抗する。まほうつかいだから魔法を使うよ、ということで、気を取り直しフライ返しで弧を描く。
「こんぺいとう!」
 色とりどりの金平糖が一袋、黒尽くめの目の前に現れた。

 案内され通された部屋は、畳張襖障子の和室。
「先ほどの無礼をお許し願いたい。昨今は悪いまほうつかいも増えたので、難儀している」
「は、はぁ」
 軽く頭を下げると、忍者が頭巾を取って、口元の布を外した。
「あ」
「拙者は八卦苦無。陰干流忍者、おまもり山の者である」
 見覚えのある嘴と、頭部を覆う赤毛。クラスメイトのアカゲラ鳥人、通称けっくんだった。
「ちらりんとやら、なかなかのてだれ、感服したぞ。甘露甘露」
「あ、ありがと」
 さっきの金平糖を嘴に放りこみながら、嬉しそうに語る八卦。淹れてくれた濃い煎茶の香りが鼻を擽る。傍らに胡麻煎餅。
「しめぶりまほうつかいちらりん殿とそのお目付け役、セン殿。たしかに師匠から承っている。夕刻から明日の昼まで修行とのこと」
「よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
 2匹いっしょに頭を下げる。
「うむ。食事と風呂と閨に褥はこちらで準備する。あまり固くならずに寛いでほしい、というのもおかしいか。物見遊山ではないのだしな」
「ねやにしとね?」
 首を傾げるちらりんに、センちゃんが説明する。
「寝室と寝具のことだ」
「へー」
「的当て小屋や罠屋敷なども好きに使ってくれていい。外には滝口や洞窟もある。心身ともに磨きあげ、明日胸を張ってここを出てくれることを祈る」
「はい」
「では、夕食は8時、就寝は10時だ。9時半には正門を閉じてしまうので、それまでに戻ること」
 一通りの説明を終えて、八卦は席を立つ。障子の閉まる音がしてから、ちらりんは足をぐぐっと伸ばそうとして、
「痺れてるぅぅぅぅぅぅ」
 正座に耐えきれなかった下半身が悲鳴を上げていた。
「いつものけっくんとぜんぜん違うよ。かっこよく、なってる」
 見慣れたクラスメイトとの違和感に、驚きを隠せないちらりん。
「忍者も正体がバレるとマズいんじゃないだろうか」
「そうかも。……どうしよう、僕」
「気付かない振りをしていればいい、と書いてある」
 
 文机に半紙を広げて、2匹で小筆を持ちながら計画を立てる。慣れない墨の扱いに、指先が黒く染まりつつ。
「小技と大技、両方とも練習しておきたい。滝に打たれたいか」
「ううん、あんまり。冷たいのヤダよ」
「そうか。それじゃ今回は屋内に限ろう。罠屋敷というのも興味があるが」
「恐いかなぁ」
「ちらりんは罠にひっかかりやすいからな、耐性をつけておくべき」
「うー」
「それから夜、寝付いた八卦さんの寝床に忍び込む」
 夜伽みたいに要求されて、ちらりんびっくり。
「なんで寝床に忍び込むのっ」
「戦いの途中で精液が出なくなったら、誰かに補給してもらわなければならない」
「それって、つまり」
「魔法のブリーフに向けて射精してもらう」
「うー」
 羞恥に頬を染めるちらりん。
「ここの道場主に許可は取ってある。忍びたるもの油断は禁物、寝取られるのは未熟な証」
「ねと?」
「それに、まほうつかい相手はノーカンだから」

▼Bパート
 まほうつかい相手はノーカウント。とりあえず最後の説明に安堵して、ちらりんは覚えたての抜き足差し足で、八卦の部屋に忍び寄る。
「でも、けっくんはすごく素早いし力もあるから、僕じゃ適わないよ」
「自身を持つんだ、ちらりん。最後の一滴まで絞り取れ、と書いてある」
「うん」
 ふすまをしゅぱん、と開けると、からっぽの布団の傍らに、小刀を携えた苦無が片膝立てて待っていた。警戒態勢は万全。
「曲者めっ」
「ほら、ちらりん」
 こくん、と頷くとちらりんは苦無に抱きついて押し倒した。
「はうっ」
「あの、ごめんなさい、けっく……八卦さん」
 それから忍者服のズボンをずり下げると、赤い褌がお目見えする。布地の面積が狭く、赤毛の下腹部に溶けこんでいる。
「あ、もっこ褌」
 種類がわかるあたりは褌屋の役得だ。何の役で得かは不明だが。
「んくっ、急所狙いかっ」
 慌てる八卦の首筋をぺろり、と舐めて、同時に片手で腰紐をとく。
「ふわぁぁっ」
「くすぐったがりなんだな」
 あらわになる秘所。いくぶんか小さめの幼茎に、それに相応しい小振りの双球が、引き締まった袋に収まっている。クラスメイトに手を下す背徳感に苛まれつつ、指を伸ばした。
「んくっ」
 濡れてくる前の、まだ芯の弱い陰茎を摘まむ独特の感触。指の腹から伝わってくる熱が強くなり、あっという間にかちこちになった苦無のクナイ。
「もうこんなになってる」
「まほうつかい向けの体だな、変身のための時間が短くて済む」
 言葉攻め。先端から溢れる新鮮な体液をすりつけて、手の平全体で作った筒を上下に動かす。
「嘴、開かないな」
 センちゃんの言う通り、頑なに嬌声を上げまいと閉じたままの嘴。瞳もぎゅっと閉じて、ひたすら与えられる感触に耐えているようだ。
「声を出したほうが楽だぞ」
「忍びたるものっ、弱みは見せぬっ……!」
 かろうじて気勢を吐いて、まただんまり。
 ぱくっ、とちらりはそのマズルに雄色の軸を咥えこんだ。
「……くぅっ、はぁっ、んっ、んんっ」
 粘膜に包まれる感触に根負けし、喘ぎ始めた苦無。
「もっと快楽を受け入れるといい、そのほうがたっぷり出る、と書いてある。ちらりん、そろそろ」
「ん……うん」
 体勢を入れ替えて、仰向けの苦無の体に跨るちらりん。天を衝く限界間際の器官を、自身のブリーフの前開きに押しつけると、睾丸と尻穴のあいだの毛皮に指を差し入れて、ぐっ、と押し上げた。
「ひうっ、くうっ」
 ぴゅくぴゅくと薄い精液が軸を抜け、ちらりの前開きに降りかかる。ゆっくりと湿り、湿っぽい匂いを周りに発散していく。
「もう少し、量があるとありがたいのだが。早撃ちだけではまほうつかいとして弱い」
 容赦なく、残念そうにセンちゃんが評価する。ちらりはお勤めを果たして安心顔。圧しかかられたままの苦無は、
「無念」
 と言い残して気を失った。 

 「参りましたね、これでは修行にならなかったのではないですか」
「いや、十分だ。ありがとう欄干」
「ええ」
 知らぬ声がセンちゃんと行き交うのを聞いて、驚くちらりん。見れば枕元、忍装束のアンテロープ獣人が、息を潜めていた。
「しめぶりまほうつかいちらりん殿。初めまして。道場主の陰干欄干です」
「こんばんは」
「不肖の弟子があなたの修行の役に立つかどうか不安だったのですが、セン殿にお墨付きをいただけたようですね、感度だけは。ほら、起きなさい苦無」
 胸から竹筒を取り出すと、横たわる愛弟子の顔に気付けの露をぶちまけた。
「ひああっ」
「情けない声を挙げて、まったく」
「師匠!」
 慌てて居住まいを正す苦無だったが、腰が浮ついて転倒。
「修行が足りません。敵に秘所を暴かれて、あまつさえ射精するなんて。尻穴を締めていない証拠です」
 欄干は手厳しく、というか下品に言い放つ。あわあわする苦無。
「ご、ご用があって、今夜は道場にはいないんじゃ」
「屋根裏にずっと潜んでいました。気配も嗅ぎ取れないとは、まだまだ陰干を名乗らせるわけにはいきません」
 委縮した弟子に、さらに追い打ち。
「まったく、淫乱ですね、前立腺で達するなんて。少し馴らさないといけません」
 ぺたぺたの体を横抱きの姿勢で持ち上げると、包皮の隙間から白濁が零れる。
「お説教の続きはお風呂場でしましょう。明日から修業をさらに増やします」
「えーん」
 師匠と弟子が姿を消して、残されたちらりんとセンちゃん。

 「ふわあ」
 あくびが出る。欄干と苦無のあとに湯浴みをするまでのあいだ、自身の寝所に戻ってきたちらりんは、誰も寝ていないはずの掛け布団が妙に膨らんでいるのに気がついた。
「や」
 すぽゆにまほうつかいはやくんだった。
「な、なんでいるの」
「修行、してたんだろ? 手伝ってあげようと思ってさ、なんてね」
 身構えるちらりんにすかさず腕を伸ばすと、マズルに口付けを降らせた。
「なっ」
 口先割り入って潜り込んでくる舌。抵抗して胸を押せば、口惜しそうにはやくんが離れ、ぺろり、と舐めずる。
「ペニスの味には慣れたかい」
「そっ、そんなのっ、わかんないっ」
 嬉しそうに尋ねてくるチーターに、頬を赤らめる西洋竜。
「それにしてもワンパターンだよな、修行場に一泊、ここの弟子で精液補充」
 どうして特訓の仔細を知っているのだろう。疑問を見透かされたのか、はやくんがウインクを投げる。
「だって俺も第4話くらいでココ来たもん」
「ええっ」
 驚くちらりん。
「それでまぁ、修行の成果を見せてもらおうかな。といっても」
「はいー」
 リスカルが巻物をちらりんに渡す。
「今は眠たいだろうから」
「挑戦状?」
 紐解いてみると、ところどころ尖った筆跡で前口上が、丸っこい文字で日時と場所が書いてある。どうやら2匹で半分ずつ書いたらしい。見ればバトンを持つ指に、斑点じゃない墨の跡。
「それじゃ、おやすみ、ちらりん。また今度」
「またー」
 しゅばっ、と闇夜に消えていくユニフォーム。寝床にははやくんの温もりが残っている。 

▼次回予告
 修行を積んでパワーアップしたしめぶりまほうつかいちらりん。すぽゆにまほうつかいに立ち向かう。
 次回「たっぷりととろみをつけてかきまぜる」お楽しみにー

▼Cパート
 師匠と弟子の去ったお風呂場で、脱衣しつつ。
「せっかくうまく出せたのに」
 精液で濡れたブリーフを、目の前に掲げる。
「今夜はもう眠るだけなんだよね」
 一日の終わりに湯浴みして、あとは布団に潜り込むだけ。魔法の素をもったいなげに見つめていると、センちゃんが助言した。
「ムリにとは言わないが」
「なあに?」
「少し、吸ってみるといい」
「……ええええ」
 まだ温かい下着の染みに、口元を寄せるよう促された。
「舐めて味わって、匂いを嗅いでぬめりを知る。精液を知ることがしめぶりまほうつかいにとって強くなる正道だ、と書いてある」
「そ、そんなぁ」
 躊躇するも、はやくんにはもう負けたくない。覚悟を決めた。
「せっかくけっくんが出してくれたんだもん……んっ」
 噛みつけば、匂いが鼻をくすぐって、舌の上に零れる苦みとほのかな甘み。べたついた感触に違和感を覚えるも、ガマンして舐め取る。
「ふわあ」
「そしたら、飲みこんで」
「んっ」
 唾液混じりに嚥下する。

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