梅の花の形をした小鉢が、サブレの前にも差し出される。ほかほかご飯とキノコの味噌汁、モモ肉の照り焼きとホウレンソウのお浸し。
「辛いのダイジョブだったら、カラシ入れると匂いがまぎれるよ」
「あ、ありがとうございます」
「みんなで朝ゴハン食べると美味しいねー、ナシゴレン君はお料理上手だねー」
「センパイ、ご飯粒ついてる」
こく。
ちゃぶ台を囲む5匹。昨夜あのまま寝入ってしまった砂堀サブレとシマウマセンパイは、けっきょくお泊まりになった運びだ。
「すみません、お布団どころか朝ゴハンまでいただいてしまって」
「構わない。楽しかった」
アーウィンが微かに笑う。なんというか、その楽しさは乱交とか窃視とかに近いカテゴリなんだろう。壁一枚隔てた向こう側に聞こえないよう交わる行為。さらに2段ベッドの上には同居者もいたワケで。たしかに体は自分としかつなげていないが、複雑な気持ちだ。そんな間柄の一同が、翌朝みんなでゴハンを囲んでいるというのも、なんだか妙だ。
「サブレ君のイくときの顔、かわいかったなぁ」
「きゅう」
「センパイ、はしたない」
「そういうのは、ゴハン時はやめましょうよ」
こく。
「あー、総批判ー」
乱淫になるのはいただけないが、ああいうのにアーウィンが燃えるとなれば、たまにはいいかな、なんて思ってしまう。菱餅は苦笑する。自分の中の許せるラインが下がっているのだろうか。好きな相手の好きなコトは、やっぱり好きになってしまうのだろうか。お椀の中のキノコを箸で摘まんで、口に運ぶ。