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6月
繊維と蒼場

 梅雨である。
 窓の外を見つめる蒼場が、ふう、と溜息をついた。
 「蒼場?」
「繊維さん。長雨ですね」
 “さん”付けの呼称にもすっかり慣れた繊維が、近くの空席に腰かけながら会話する。
 「この国の雨季は、なんとも過ごしにくいですね」
 湿気が高いため、ほんのり重たい毛皮を疎ましく思いつつ、蒼場が繊維に笑う。
 「蒼場の故郷は、こんなに降らないんだもんな」
 「そうですね。砂嵐や雪のほうが多いです」
 雨音が続く。
 「太陽が拝みたいものです」
 「週末まで止まないらしいぞ。予報だと」
 眉間に皺寄せる蒼狼。
 「それはまた、哀しいことですね」

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