戦いは一族総出で三日三晩続き、子供の何れも両性具有化して乱交状態になったが三日目の晩に元に戻った。払う事が出来なかったがお札を貼り付けた和紙で鏡面を多い、しめ縄で固定した大きな戸板で封印する事に成功したのだ。そこで依頼主はこの三枚の姿見を鏡神社がある村へと運ぶ事にした……この鏡を悪用されない為であって、それが彼に残された贖罪だった。そう事の発端となった心中事件の関係者の一人なのだ。
姿見に憑依する二人の霊は子供の守り神として崇められ、この二人は子宝繁盛の神へとなった。そして村人達はこの村で生まれ育った少年少女を例外なく一二歳になると夏祭りに霊を憑依させたのである。これが今に続けられているのは見返りがよかった。なぜかこの村の出身者は夫婦円満で子宝繁盛で、一生を得る事が出来るからだ。
祭りはほぼ夏休みに入ってから始まる。ヨリシロを経験した者は男衆と女衆と呼ばれており既婚と未婚と区別される。そしてヨリシロを経験した未婚女性は例外なくこの時期は両性具有になり、彼女達の一番絞りを鏡神社に収めるのが家長の役目である。家長に関しても息子が満二十才になったら継承させるのが普通だ……この村は極端に男女の比率が悪くはないので子供が偏らないのでこの制度が維持できるのだ。
これが終わると、未婚の男女はあちこちでアオカン(ヤカンというべきか……)、夜這いとなる。既婚者も今時で言うスワッピングをするわけだ、何せこの村で生まれ育ったら複雑な恋愛関係を経験するので分別は出来る。普段は鴛夫婦だがこの時期になると気心知れた友人夫婦と互いのパートナー交換する光景も見受けられる。