御狐様の山笠 並行世界 異聞録 kyouske作
 さて皆さんは並行世界って聞いたことありませんか?同じ世界なのに自分が住む世界とは歴史が違う世界のこといいます……僕の村を守護する御狐様が住む世界とその並行世界とはある地点で交わっているので御狐様の里を介せばその世界に行くことが出来るんです。僕の名は一条 亮でこの春御狐様の依り代を勤めましたから並行世界にある僕の村の依り代をした高倉 涼君とは知り合いです。

 涼君の世界、並行世界の日本は第二次世界大戦の前に組織硬直した日本政界を取っ払う為に海軍、陸軍、空軍の首脳陣が第二次二.二十六事件を起こし無血クーデターとなり政権を奪取し組織改革を敢行しファシムズ政策の撤回にその思想を持つ活動家の取締りが置き、大和級戦艦二隻を戦艦空母にし海軍陸戦隊の増強に戦車の近代化、そして技術工の一般兵役免除としアジア全域に復興政策を展開し独立を援助しました。更にイギリスがファシムズ政策が無くなった日本に対独ファシムズ政権妥当を呼びかけ第二次日英同盟を樹立し置き去りされた戦車開発にも弾みがつきました。
 米との開戦も真珠湾攻撃を回避し一ヵ月後……ちゃんと宣戦布告し増強された八.八計画により生まれ変わった機動艦隊は米軍の太平洋艦隊を壊滅に近い状況に追い込み太平洋にある諸島の米の統治から引き上げる事を条件にして停戦しました。これには米軍が開発していた原子爆弾の開発していた研究所を日本軍と亡命英軍の総力を持って空爆した事で白旗を揚げざる得なかったというのとその研究所に大統領がいて即死したと言う事です。伊と独との戦争がメインとなり1950年にようやく独と伊で民主化を求めるクーデターによりこの世界の第二次世界大戦は終わりました。

 御狐様はこの並行世界では6月になると福岡の街にある楠田神社へと止まります。こっちの世界の博多祇園山笠は僕が住む世界とは少々異なり精通や初潮が来る子供の参加が多く10の流れに住む子は全員参加して元々は狐憑を避ける目的だったけど今では健やかに育つ為にしている様な物で有り参加する児童は御子狐とも呼ばれ褌にサラシに半被を着て顔には白粉に眼には紅い隈取に女の子は紅を唇に塗ります。褌のタレを後ろにする事でシッポに見立てます……無論学校もありますが神事はほぼ放課後や早朝が多いので学校も配慮しているそうです。
 放課後には必ず化粧し寄り合いに指定されている商店の軒先に集まります。御輿を担ぐのは無論屈強な男達で大抵は中学二年生の男性で初めて山を担ぐって多いですが御子狐は先頭をまるで踊る様にして走るのが役目であり沿道にいる女性や老人達は水飴や蜂蜜等栄養が付きやすい物を与え御子狐達は飲み干すのが流儀とされてます。そして担ぎ手になる男性には水を掻け楠田神社境内にある神棒を回り本殿前に御輿をおきます。
 昔は飾り山ぐらいの大きな御輿を担ぎましたが戦後電線が増え飾り山は置き背が低い御輿を動かすようになりましたが 近年になり電線の地中埋没工事が進み博多区周辺では飾り山を動かしてもいいのですが倒壊事故も恐れがあるので飾り山を動かせるのは前回の一番をとった流れのみとなってます。
 福岡は渇水になりやすく家庭では雨水を貯める樽があり子魚を入れたり水草を入れ山笠の時にはその水をかけたと聞いてます。今でも節水意識が高く海水濾過浄水場も世界に先駆けて稼働してます。追い山本番になると沿道には民族楽器を持った老人や女性たちが見られ御子狐が通る最中に演奏し御輿が来ると水をかけます。
 各流れの御子狐達は踊りながら楠田神社へと本殿へと入ると御狐様の神力により出来た空間で踊り既にトランス状態になった少年や少女は半被が取れようが、サラシや褌が緩み裸体になっても踊ることをやめません。そのうちに頭から狐の耳、お尻にはシッポが生え獣毛が全身に出現し人狐になリ終えると皆倒れて寝るのです。
 その後は御狐様の里から仕え狐らが料理を振る舞い御子狐達は初めてお酒を呑みそして身体を合わせる事を 許され一日中宴が続きます。因みに空間とその並列世界の時間の流れは異なり御狐様が形成した空間の一日は並列世界の半日になる訳です。この神事に参加できる子供は十三歳まであり十四歳からは男性は担ぎ手として女性は世話役として楽器演奏を習い参加する事になります。因みに赤子を抱えて参加する担ぎ手もいて赤子には狐のお面を被せて参加させるとご加護があるそうです。
 またどう言う事かこの祭に参加している地域では早婚や子沢山が多く尚且つ酒飲みが多いそうです……。


 終

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