TSハザード 第九話 獣耳少女増殖kyouske作

 第九話 獣耳少女増殖

 東京霞ヶ関……日本の中枢であるこの街に長崎の姿がいた。長崎 宗次郎は簡単に言えば裏の仕事と言う事になる……何処にでもいる中堅役人という風貌であるがこう見えても元自衛官で空挺部隊にも在籍した事もある。一度親父狩りにあった時なんて逆に返り討ちし近くにあった公園の木に吊るしたと言うエピソードは有名であり知り合いである警視庁キャリア組を呆れさした。
「一条や陸奥以外に半獣人化現象だと!」
「はい……どうやら家族が隠してまして高倉さんからの報告では月島 瞳で現在十一歳です。やはりあの仮説が」
「確かに事故当時彼女らは何れもあの峠で飼い猫や飼い犬と一緒にいた……ウィルスは動物の遺伝子情報をコピーして人間の遺伝子と結合した……ただし半獣になったのは拡散していたからか……」
  長崎は禁煙パイポを咥える。
「今日は運動会だったな」
「はい……」
「それと……MI6から気になる情報があった。ヒトラーの亡霊様が来ているそうだ」
 女性はため息を出す。
「ネクロパンツァーが出来てしまったからですか」
 ネクロパンツァー……悪名高きナチスドイツのSS(ヒトラー親衛隊)が密かに計画していた獣人化部隊である。無論バイオテクノロジーのバの字も無い時代だし手段は魔力だ。第三帝国は呪術革命を起し戦力増大を図るつもりでこの部隊の計画は重要だった。馬鹿げていると思っているが肉体は変容と起こる理性の獣化が解消できなかった。
 兵器とはコントールできなければ意味が無くドイツのみならずアメリカも動物を利用した兵器を真剣に開発していたが頓挫している。まあ今でも各国の研究機関が研究していたが思わず形で成功した言う事で眼の色変えてきたのだ。
「エイジと梓に増援を送るぞ」
「そうですね……エアウルフも用意させますか?」
「ああ……頼むよ」
 長崎は言うと女性は部屋を出る。

 その頃唯は家族で昼食を食べていた。隣にはレオナや朱実の家族もいて互いに持ち込んだ弁当の味見会になった。
「でも、唯も意外と早いじゃないのか?」
「う〜ん……体力つけないといけないって言われてね……お兄ちゃんもする?」
 将一は考え始めた……。彼女が出る競技で山場になるのが組体操である……一応唯は何とか最後までやれるが練習後にフラっと倒れた事もあり保健室で休んだ事もある。その為唯の弁当にはスタミナをつけるメニューになっている……。
 競技が再開され唯も頑張って出場種目に挑み組体操も何とか最後までやりとおせた。閉会式が終わり児童は疲れた体を引きずって後片付けして着替え、唯も私服に着替え両親と待ち合わせ場所へと向かう。
「お待たせ〜〜〜」
 両親の自動車に乗ると唯はそのまま寝てしまった。
「可愛い寝顔だね」
 ルームミラーから将一は唯の顔を見る。

 その頃F市にある陸上/海上自衛隊基地の近くにある施設に大型トラックと数台の自動車が到着する。
「状況は?」
「現在警備対象にエイジと梓が張り付いてます」
 精悍な顔つきの男に若い男性が言う。何れも背広を着ているが上着を脱げば銃のホルダーがある……精悍な男はリーダー格である事は確実で腰の後ろには二丁の銃がホルダーに納められている。
「高倉さんは例の子を連れてこれそうです」
「しかし、ウサ耳とは……」
「隊長の年代じゃストライクでしょ?」
 先程の男が言うと薄ら笑いする。
「十一歳でこんな目に会うとは……フゥ」
 するとトラックから女性が降りて来た。
「機体は準備OKです」
「そうか、さてと時代は変わった事を教えてやれ」
 男が言うと約10名の隊員は頷く。そして高倉先生と月島 瞳が彼等と合流していた……瞳はベレー帽で飛び出した耳を隠していて怯えていた。
「高倉さん、この子が……」
「はい、帽子取るけどいい?」
 鶫は言うと瞳はベレー帽を取るとピンとした耳が生えていた……。
「夏休みに学校で飼っていたウサギをあの時峠の展望台で散歩させていたんです……あの時煙に巻かれて気が付いたら病院で寝ていて…直ぐに退院できたんですが数日後に…これが…胸が高まると…これとシッポがでるんです、病院に行ってもどうにも出来ないし…」
「……なるほどね、一条さんや陸奥さんも同じ様な姿を見て私に打ち明けたの?」
「はい」
「警備体制を再構成する必要があるな……」
 男はそう呟く。


 TSハザート 第九話 獣耳少女増殖 終 第十話 悪しき亡霊への鎮魂歌へ続く
第十話 悪しき亡霊への鎮魂歌
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