TSハザードkyouske作

 第八話 親馬鹿度臨界点到達

 唯は運動会に向けて体力作りを始めていた……今の体力では不安だったので以前からしていたジョキングを再び始めた。長崎さんは警備も手を回してくれた……外国で傭兵していた青年と諜報機関に属している父親から仕込まれた少女が担当する事になった。
「楠 エイジ………一応大学生になっているが傭兵もしている」
 硝煙の匂いが漂う青年であるが何処か憎めない感じがした……隣にいる女性は榊 梓(さかき あずさ)で何でも父親が大使館の警備員として派遣されている自衛官の父を持っているが実際は邦人の財産と生命を護る”特命コマンド”と言う部隊に属しておりそのレベルはアメリカのデルタフォース以上なのだ。
 しかし彼が表に出ること無いが一部情報が漏洩して今まで潰してきた組織の残党が”お礼まわり”と言う報復行為にでたのだがこの二人は周囲に損害を最小限にしつつも立ち向かっていて最近になってようやく落ち着いたので今回長崎さんの要請に答えた訳だ。
「私が榊 梓です……宜しくね」
 既に二人は近所に住んでおり警備をしていた。無論二人は唯の事もレオナや朱実の事も知っている……。
「長崎さんには散々世話になっているし……いいわね」
「肯定した」
 口少ないエイジだが梓には分っている。もう四年も戦友なのだ。

 ジョキングもランダムにコースを変え唯が走る時には梓とエイジが走る事になった。体力維持はこの手の業種に就く者にとっては必用である……つまり双方にとっては一石二鳥になった。
「あれ?パンチコですか?」
 ある日、唯はエイジが持つ武器を見た。ウェストポーチからパチンコらしきものを見つけた……。
「非常に原始的だが殺害能力は銃にも劣らない」
 確かに銃の場合は有効だが日本だと銃声だけで大騒ぎになる……そこでエイジはスプリングショットを多用している。武器よりは玩具と言うイメージが高いがゴムや弾の材質や当たり所が良けれは人も殺せるのだ。ジョキング中に狙ってくる事はなかったが唯の体はそれほど価値があるのだ。

 運動会が迫ってくると両親はビデオカメラとカメラを用意する……最近はデジカメ機能を持つハンディカムもあり唯の両親は父はプロも愛用するモータードライブのカメラセットを持ち出し母親はDVDハンディカムを用意していた……兄は呆れていたがデジカメを用意していた。
「あんまり出さない方がいいよ。変態に思われるから」
 梓から指摘を受けた兄は薄ら笑いした……そういえば最近の祭では子供の褌姿の目当てに撮る不埒な奴も多いそうで見張りの人がいるとか……寒い時代になったものである。
 運動会当日………兄は場所取りに行かされていた……兄もこの学校にお世話になっていてボランティアで何度か訪れているから先生も顔見知りである。
「はあ……何やっているんだろ」
 彼は休日にする事は愛車でドライブする………恋人はいない事は確かだ…。恋愛ベタと言うものである……高校の時もあっさりと別れた。
「あら…将一?」
 そこにはレオナの姉がいた……二人は別に恋人関係になった事は無かったし友達感覚なのだ。
「君もかい?」
「そうね……私が高校時にトラブル起きたの覚えている?」
「ああ、覚えているよ」
 彼女が言うトラブルとは二人が高校の体育祭の時の事で彼女の父親が我が娘の思い出を撮影していたが警戒していた教師にエロオヤジ呼ばわりされ言い争いになり数分後教師が勢い余ってカメラを壊された瞬間には彼女の父親はその教師に顔面に右ストレードとお腹に左リバーブローをぶち込んだ……その時将一と友人数人で彼女の父親を抑えた。以来その高校では撮影者には事前に申し込みするようになり許可書が着いた名札が配布されるようなりこの小学校もそのシステムを導入した。お陰で不埒な撮影者は撃退できたのだ。
「そう言えばかわいくなったわね…………唯ちゃん」
「ああ………」
「でも、それで女装させる楽しみが無くなったって妹が膨れていたわ」
 眠気覚ましのコーヒーを噴出す将一……多分中学になったらさせるつもりだったんだろう。

 やがて朱実の両親と共に見えた両親と合流した。レオナの両親も見え何時の間にか世間話に花が咲く両親'S……二人は久しぶり来る母校で色々と思い出した……。
「ねえ……今の忘れられないの?初美の事?」
「…そうかもな……アイツが別れたいって言われた時は引きとめようと思ったけど……丈介と二股状態だったから……俺が引けばいいと思ってね」
 レオナの姉はバツが悪い顔になる……共通の友人だったから将一の行動は分っていた。
「さてと始まるぞ」
 ブラスバウンド部によって入場行進曲が演奏される……そして整列した所で開会式が始まる……まあお偉いさんの話を真剣に聞く子はいないと思う……今時の子供はドライなのだ。母親も父親も保護者と書かれたプレードを首から下げていざ撮影開始……一応将一も登録している……多分ビールを呑んで潰れる事も想定しているからだ。
 唯は落ち着かない感じだった。髪は一応朱実に纏めてもらい解決したが体操着を着ると良く分る……小学生離れした体は中学生でも通じる……しっかりと適応している証拠と言うカウンセラーが言うが何処か男性の感じが残っていた。
「徒競走〜〜〜」
 運動会の場合は次出る競技はスタンバイしないといけない……唯はハチマキを締めなおす…エイジや梓のためにも頑張らないといけない……運動靴の靴紐を締め直し入場口へと向かった。
「唯は何番目?」
「5番目だとさ……」
 将一は言うと母親はズイっと顔を向けた。
「アンタも撮るのよ!」
 将一は母親がこんなに代わるとは思ってもいなかった。唯の出番が来る……200mの徒競走である唯は第5レーン……そしてクランチスタートに構える生徒を見てスターターが構えるとパンと言う電子音が響き唯達が走り出す。走り込みが効いたのか唯は徐々に追い上げ鼻差で一位になった。両親の喜び様は案外静かだった……だが朱実とレオナの速さはすごかった。やはりここでも半獣化の影響だろう……鶫は不安になった。


 TSハザート 第八話 親馬鹿度臨界点到達 終 第九話 獣耳少女増殖へ続く
第九話 獣耳少女増殖
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