TSハザートkyouske作

 第七話 変わる環境

 高倉 鶫も唯が通う学校の臨時教員として赴任していた……教員免許は無論日本の教育大学で取っており実習もしたが、彼女は日本の教育現場に身を投じる程情熱は無かったし同時期に従兄が教員をしていたがトラブルで辞めてしまった事で彼女は外資系の会社に就職した。
 後は上を目指すかそれとも適当な所で結婚するかと言うところだったが、あの事件でやけくそ気味に退職し今は教員として働いている……いや、むしろチャーリエンジェルスか工作員に近いだろう。表向きは数学系教師であり、唯のクラスの副担任である……上手い具合に副担任の教師が辞職している、理由は実家の都合らしい……。
「頑張ってくださいね……」
 教頭先生はにこやかに言うと鶫は営業スマイルをした…前の職場の癖が残っている……。
「(さてと、給料の分だけ働かないと)」
 自分にはOL時代の蓄えに株もしている……ローリスクでローリターンでするから損失は想定内である……今度からインサイダー取引にならない様に気をつけよう…彼女は児童の顔写真が入った名簿を見て思った。

 始業式から数日後……学校は通常授業に入っていた……運動会が近いので組体操にフォークダンスと忙しい……まあ騎馬戦は出れないので幾分気が楽だ……。今日はその練習であり唯も着替える……彼女が通う学校はこの前まではブルマー、スク水を採用していたが一年前に廃止し、女子児童の体操服は専用シャツにスパッツ若しくはハーフパンツになり、スク水も競泳用になりここら辺一帯の好き者にとっては衝撃が走った。
 しかし全滅した訳でもなくハーフパンツとの重ね着で履いたりする子もいるのだ。唯はハーフパンツを選んだ……スパッツだとどうも水着かレオタードを履いている感じだった。
「ヤッパリ大きい〜〜〜」
 唯の後ろから抱きつくようにして胸を揉むツインテールの子は朝倉 雅美……元気一杯の娘であるが悩みは小さい胸で所謂”貧乳娘”である。
「きゃぁ!」
 唯はフリーズする…少年の時は彼女とはよく話している…まさかこんな趣味があるとは……。
「もう…唯ちゃん固まっているでしょ……」
 朱実が言うと周囲は笑う。唯は真っ赤になりながら教室を出た……体操服だとよく分るのが小学生場慣れしたダイマナイトボディ(死語)だ……窓ガラスにうっすら写る姿に唯は何と無く周囲の視線のすごさに納得した。
「高倉先生!」
 後ろから来る鶫を見つけた唯は話しかける。手には競技のマニュアルや名簿を抱えていた。
「慣れましたか?」
「う〜〜ん、前の仕事と変わらないけど対象が子供になっただけよ」
 薄ら笑いをする鶫……。唯は朱実に呼ばれて会釈しその方向へと早歩きになり、体育館へ……今回は組体操の練習であり唯は基礎的な体力を見るために隅っこの方で体育担当の女性教師が見ることになった。
「一応泳げる訳ね……」
「ええ、向こうでウォーキングで始まって……」
 そう言うと唯は両手を床に付き腰を幾分か縮め足を蹴り上げると見事に倒立をした。
「思ったより丈夫ね……」
 安達先生の設定に少々無理があったんじゃないのかと思う唯である。唯を見て彼女はニコっとする。そして次の時間からはパート事の練習に組み込まれた。終わった途端に少しよろけた……思ったよりも体力が落ちている……唯はそう感じた。

 長崎さんの職場は永田町にある首相官邸である………最近新築された建物の主である日本国首相は部下である長崎から報告を受けていた。
「はい、ご苦労さん……それにしても、あの事故で物騒な施設が引き上げてくれたし……後は沖縄のほうだな?」
「努力はしてますがガス田や北の事もありますから………」
「君には本当に感謝しているよ……どうかね?次の選挙で?」
「いえいえいえ、私はこの仕事で満足してるんです……父親が政治家でしたがあんまり尊敬してないんです」
 首相はクスっと笑う……この男はキレすぎているから政治家になれば歴史に残る政変を残す事も考えられる……何よりも敵に回せば怖いのだ。

 気まぐれ変人(首相)に報告を終えた長崎は肩を叩く……本当に相手にするのは疲れる相手だ……もうそろそろ”換えて”欲しいものだ。
「長崎さん〜〜〜」
 トテトテと歩いてくる女性が声をかける。
「おう、瑞樹か?どうだ?例の企業は?」
「株価大暴落で不渡り二回目出しました」
 小切手の不渡り二回目……すなわちこれは企業の倒産を意味する。
「やれやれ……地下都市の商工エリアのテナント来るかね?」
「かなり苦戦しそうですね」
 女性はボソッと言う。


 TSハザート 第七話 変わる環境 終
第八話 親馬鹿度臨界点到達
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