第四話 耳と尻尾、”アレ”が生えちゃった少女達……
唯の健康状態は少々病弱だが体を鍛えれば大丈夫と言うレベルだった。マウスの実験ではなんと体が破裂した個体もあった………唯はどうして無事だったのかは仮説に過ぎないが状況証拠を並べればこうなる。
まず唯の体内に侵入したウィルスは直ぐに体を作りかえるように指示をだした……脳は余りにも負担が来る事を察知して体温を下げ仮死状態まで落とした訳だ。そして暫らくした後に変化し始めたと言う事である。ウィルスはしっかり唯のDNAと一体化していて子孫にどのような影響が来るのかは生んで見ないと判らないそうだ……。
「小学生には少々難しかったかな………」
スェーデン出身の遺伝子学の世界的権威の博士が流暢な日本語で説明してくれた。
「いえ、大体判りました……元に戻れないですね」
「危険すぎる…抗体が出来てアナフラキシーショックの様な症例に陥る可能性もある…」
唯は数日前に出来た胸を見る………よく巨乳の人って肩こりが多いといっていたが実感できる。
そして目覚めた日から始まった”女の子の日”で判ったがどうやら唯の場合は相当重いらしい。専門家も唯の様なケースの子は始めて診るので色々と調べて慣れて来れば落ち着くと思うと言う診察結果が出た。
「神様も案外いい加減ね」
母親は落ち着いてりんごの皮を剥いていた。唯はリクライニングベットを起こし移動式の机で夏休みの問題をしていた……。
その頃兄は接待ゴルフの真っ最中であってゴルフクラブ一式は父親のお下がりである。
「君の弟の容態どうかね?」
得意先の人が尋ねる。兄が営業に配属され始めての飛び込み営業で契約を勝ち取ったのがこの人だ。
「難病にかかって……詳しくは判らないですよ」
「大変だね……あの辺りでバイオ…なんとか…そう生物災害が起きたところに近かったね」
彼はそう言うとドライバーを引き抜きお世辞にも上手くないスイングしボールを打つが案の定スライスしキャディさんが叫ぶ。
数日後病院から外出許可が出て長崎さんと数人の部下が出迎えてくれた。車はプリウスだがこれでも防弾使用でしかもチューニング済み。その気になれば政情不安定地域にも持っていけるそうだ。
「実は唯ちゃん以外にもウィルスにかかった子がいる……その子らは半獣と言う状態になっているんだ」
私はキャロットスカートに緑のセーラー服に足にはスニーカーを履いていた。あの辺りは唯が住んでいるベットタウンにとっては数少ない自然の場所であり夏休みなので課題で写生を選んだ子は大抵ここからの風景画で済ませる。兄に言わせれば一日で画けるからで唯も今年もそこでするつもりだった。
唯らを乗せたプリウスは地元にある航空/海上自衛隊基地に入る。そして駐車場に進むとそのまま床が下に動く。
「まさか、下にロボットとかありませんよね」
「アニメの用にはいかないが有事の際の備えって言う奴だ…あっここの事は」
「墓までもっていくんでしょ……ギブ&テイクって言う奴ね」
長崎は案外物分りがいい子と思っていた。
「この施設は炭鉱跡を利用して造った物でね………無論自前の工作機械でやっているし兼業自衛隊の中には土建屋もいたからスムーズに出来た訳だ」
施設内を進む唯に長崎は説明する。そしてある部屋に入ると其処には頭に猫耳とお尻に猫の尻尾が生えた少女と犬耳と犬の尻尾が生えた少女がいた。二人とも唯の同年代であり二人はセーラー服を着せられていた。
「猫耳の方が一条 レオナで犬耳の方が陸奥 朱実だ………二人ともあの時は反対側の展望台にいて獣人化ウィルスに感染した…このウィルスは空気に触れると効力が弱くなるが徐々に変化する…まあ博打で君の血液から血清を作って投与してこのレベルで落ち着いた訳だ」
私は唖然とするしかない……。
「初めまして……私が二人の世話役の高倉 鶫です……私はあの時は地下都市にいたけど感染しなかったの…抗体が出来ていてね…あの会社を直ぐに辞めたら長崎さんからヘッドハンティングされたのよ」
「いや〜〜彼女は銃の扱いも護身術レベルですが格闘技もこなすので……それに教員免許取得で助かりますたよ……」
唯は納得した。
「レオナと朱実は貴方がこれから転校する学校の生徒なんです、獣人とはいえ常時獣耳や尻尾が出る事はないので…騒ぎになったらサポートをお願いしたいんです」
「判りました………引き受けましょう」
唯は自分に不利にならないようにしてくれた長崎さんのお願いなら引き受ける事にした。
「唯ちゃん…えっ…橘 唯君!!!」
朱実が飛びついてくる、流石に獣人で慌てて鶫さんが支えてくれた。
「か…可愛いイィいいいいいい!!!」
まるで犬がじゃれあうようにする朱実……。舌で唯の顔を舐めて手は直にCカップの胸を愛撫する……無理も無い彼女とは幼稚園頃から好かれているのだ。まさかこっちもストライクゾーンとは思いもしなかった。
「知り合いなのですか?」
「はい……この通りで……一条さんとは認識が無いですが彼女の姉が兄と知り合いなんです」
彼女の股の辺りに懐かしい感触がする。
「私さ……フタナリになっちゃた………」
朱実はスカートをまくると其処には肉の凶器と言うべきオチンチンが生えていた。下着からはみ出るグロテクスな棒状に危険を感じた。
「待て!お預け!!!」
鶫さんの声に朱実は動けなくなった。間違いなく犬の習性があるのだ………。レオナは背伸びしたり寝転がったりしている、唯はゆっくりと後ずさりした。
「見ての通り彼女なら、この様に制御できるので……バター犬の様にしないでね」
長崎さんは薄ら笑いをした。最近の女性はいろんな意味で本当に恐ろしいと。