TSハザードkyouske作

第一話 弟から妹へ……

「……やばいな……こりゃあ感染したな」
 私は会社のノートPCを見ていう。感染とはコンピューターウィルスの事だ……悪質なハッカーが自己を見せるために作り出している……そんな方向しか才能が見出せないとは情けないと思っている。
「将一〜〜〜どうする?」
「家からノートPCを持ってこさせる………唯に……」
 同僚のアツシに言うと俺はケータイを操作した。
「復旧できると思う?」
「無理だね、CE(システムエンジニア)の古河さん呼ぼう……」
 同僚のアツシは会社の電話機を取る。
「会議は明日になるのだが……二人とも大丈夫かね?」
 課長が後ろから覗き込む。パソコン歴は然程無く二年前までは必死の形相でモニターに向かっていた。最新機器に弱い哀れな人だ。
「はい、自宅にバックアップがありますから……ノートパソコンを弟に持ってこさせます」
 すると自宅にいる弟が出た。
「なに?残業?」
 弟は尋ねると俺はノートPCを持ってくるように頼んだ。
「判った……緑の鞄に入れて持ってくるから…」
 現在十二歳……中性的な顔つきに近いが割と大人ぽい所もある小学生。俺が中学に上がった時に母親が顔を赤らめて”出来ちゃった”と言った。どうやら両親水入らずの温泉旅行で燃え上がり上手く受胎したらしい………俺を生んだのが母親が十八歳の時でショットガンウェンデイング(出来ちゃった結婚)をしている。
 妹が欲しかったと言っていたが男の子だったので残念がっていたがそれでも両親は唯に愛情を注いだ。俺の名前は橘 将一……大学を出て会社勤めしているサラリーマンである。

 自宅から珍しくなったロードタイプの自転車を出しまたがる唯。ノートPCを入れた緑の鞄を背負ってこれから兄が勤める会社へと急ぐ……バスもあるのだが金に細かい性格なので自転車で行く……。会社がある中心街へは峠道を通った方が近道だ……旧道で道幅が狭く最近じゃ峠族の車も見られるが彼らは夜間に出るので気をつければ自転車でも通れる。何よりも可変ギア装備のこの自転車は兄が大切していた物なのだ。ペダルをこぎ続ける唯……確かにここを自転車で超えるとなると子供の体力では少しキツイが彼は普段からここを通って街に出ている……。
 丁度山頂部分にある展望台付くとハンドル前に供えている鞄から水筒を取り出しがぶ飲みする。
「さぁ、急がないと」
 唯は再び自転車に跨り展望台を後にした……その途端轟音と共に地面がゆれ煙が立ち込める……展望台の奥にある建物からだ。山火事なら逃げないといけない唯は自転車に跨ろうとしたがその場で倒れてしまった。

 唯の到着が遅い事に不審した将一は苛立っていた。
「あの峠って実験用地下都市がある所だろ……自転車なら其処を通る筈だし……」
 彼も地元でこの道の事は知っていた。
「橘さん電話です…二番」
 据え置きの受話器を取り二番を押す。
「はい…橘 唯は自分の弟ですが…はい!直ぐに行きます!」
 将一は席を立つ。
「病院から唯が担ぎ込まれたって……課長…すみませんが…」
 課長は頷いた。
「直ぐに行って上げなさい……」
「はい!失礼します!」
 背広を着て駆け出していく将一……アツシは心配そうな顔になる…。唯が担ぎ込まれた市民病院へと自動車で急ぐ将一……だが、何時もとは違う光景に目を疑った……自衛隊のトラックにテントが複数ありホースが幾重にも地を這っている。そして消防車も特殊災害対策車と呼ばれる車輌が止まっていた、この車輌は全国的にも配備数が少ない車輌である。こうなると彼の脳裏にはある映画のワンシーンが浮んだ。

 車を止めると病院に駆け込み受付まで走った。
「橘 唯の兄です!弟は!!」
 すると看護婦が声を掛けてきた。
「ご家族の方ですね…こちらです……」
 負傷者が大勢病院の廊下まで溢れる中通されたのがある会議室だった。
「医師の中谷といいます……弟さんでまちがいないですよね」
「そうです!唯は!!」
 医師が戸惑っている理由が城一にはわからなかった。
「実は……彼の体が性転換してしまったんですよ……処置の最中に…無論そんな事はありえないんです…人間の生態に置いては」
 一瞬にして将一の頭が真っ白になった。
「性転換して医学的にも女性の体になった以外は異常が見受けられません……一体何がどうなっているのか…」
「会えますか?」
「はい………案内します」
 中谷は将一を連れて病室へと向かった。

 数時間前…唯は展望台の近くでそのまま倒れた後に駆けつけたレスキューの隊員に救助され救急車で運ばれた。病院に着くとタンカごと汚染除去シャワーが設置された場所へと運ばれ医師がずぶ濡れになりながらも診察して処置室に運ばれた。心拍も安定していたが突如急変し看護婦も医師も彼を救命しようと処置を開始しようとした、その途端に胸が膨らみ始め裸だったので可愛らしいオチンチンもまるで御玉杓子がかえるになる様にシッポが消えるように消滅しスリットが形成されていた。
「な!なんだ!」
 医師の声に手が開いていた同僚が駆けつけた時には看護婦が気を失っていた……そしてベットの上には少女が眠っていた。持っていた財布から小学校でつける名札が見つかりスケジュール張に自宅や兄の 勤め先がわかり電話をしたわけだ。
 両親が駆けつけて俺はこれまでの事を説明する。
「えっ…アレが唯なのか?」
「そうだよ、DNA検査でも九割の確立で”兄妹”だって………色々と面倒くさい事がおきそうだし」
 呆然としている父におろおろする母親………。事態は大事になっているらしく、俺はノートPCで情報を収集し始めた。唯は先程から特別室のベットで寝ていてそこにはインターネット用の回線が備えてあった。鞄にはそれ様の回線もある。
”F市地下実験都市にて爆発事故!生物研究所か?”
 ニュースサイドに書かれているこの記事を読んで確信した。バイオハザートが発生したと………そしてそれはある人と出会うことで全てがわかった。


 第一話 弟から妹へ……終 第2話 戸惑う弟へ続く
第2話 戸惑う弟
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