変身・第1話 二次元世界の調教師作
 ある朝目覚めると、俺は触手になっていた。
 高校時代学校に行くのが嫌になって、以来21歳になる今まで自分の部屋で引きこもり生活を送っている俺を起こしてくれたのは、いつものようにばあちゃんだった。ばあちゃんは、布団にもぐり込んで出て来ない俺を起こそうとして、触手に変身した俺を見てしまったのだ。だが、まだまだ元気なばあちゃんは、変わり果てた姿の俺を見ても腰を抜かしたりせず、至って冷静だった。
「あんれま、しんいちがイソギンチャクになっとる」
 イソギンチャク??そうか。
 俺は、ばあちゃんの目にはイソギンチャクに見えるのかと知って、自分が触手に変身してしまったことを確信した。
「わしゃ、とうとうボケて来たんかいのう。マチコさーん! マーチコさんや〜」
 ばあちゃんがボケているとは思えない大声で母さんを呼ぶ。
「はーい、お母さん何ですか〜」
「ちょっと来ておくれ〜。シンイチが変なんじゃ〜」
「今行きま〜す」
 こうしてやって来た母さんも、なぜかイソギンチャクみたいな触手に変身した息子を見ても、そんなにビックリしないので、俺は拍子抜けした気分だった。
 もしかすると俺が知らないだけで、この頃では人間が触手に変身することもよくあることなのかも知れない。何しろ俺の引きこもり生活も、もう5年になろうとしている。最近のニュースにうとい俺だから、そんな重要なことすら知らなかったのかも知れない。
 さて何を隠そう、この俺マナベシンイチは触手命、と言うくらい熱狂的な触手ファンだ。いや、この言い方には語弊がある。誰があんな気色悪い化け物を好むと言うのだ。正確に言えば触手が好きなのではなく、かわいい女の子が見るもおぞましい触手になぶられて、心ならずもアヘアヘよがりまくってしまうような、アニメだのゲームだの小説だのが大好物の、オタクなのである。
 そう、引きこもり歴約5年になる俺の生活の中心はデスクトップのPCだ。1日中ネットサーフィンで触手に陵辱されてイカされるヒロイン達を鑑賞しながら、俺もシコシコとせんずりに精を出す。そんな人間のクズみたいな俺だから、本物の触手に変身することが出来るなんて夢みたいだった。
 さて、母さんとばあちゃんは布団の上でうねうねと蠢いている俺を見ながらやはりちっとも驚いたりせず、淡々と会話を交わしていた。まあ俺自身がさほど驚いてないのだから、意外とそんなものなのかも知れない。
「いつわかったんですか?」
「さっき起こしちゃろうと思うて、布団をはがしたらこうなっとったんじゃ。わしゃこがいな気色悪いもんが孫だとは思いとうもないが、見ての通りこのイソギンチャクはシンイチじゃ」
「どうして、こんな気持ち悪いものになったの、シンイチ?」
 どうやら同居家族だけあって、この2人には触手になっても俺だと言うことがわかるらしい。
「わしゃ気分が悪うなった。後はまかせたよ、マチコさん」
「あ、お母さん! 私だってイヤですよ、こんなシンイチ……」
 ばあちゃんがさっさと出て行くと、俺は触手の本能で強い衝動に突き上げられるのを感じていた。

――母さんをめちゃくちゃに犯りたい……

 そうだ。ヒトだった頃はまだ童貞だった俺は、毎日5回はせんずって出してしまいながら、触手となって嫌がる女性を陵辱したいという歪んだ欲情を実現するため、こうして夢を実現したのだ、たぶん。
 すでに干上がっていると思われるばあちゃんには何も感じなかったが、40代後半で女盛りの母さんは俺の格好の餌食だった。
 俺はテレパシーで腹が減ったという意志を母さんに送った。極めてご都合主義だが、口は利けなくても家族にコミュニケーションすることは可能なようだった。そして母さんの方はおぞましい化け物に変身し、高度の知性があるとは思えない外見の俺に向かって普通に語り掛ける。
「おなかが空いたの、シンイチ。アンタ、一体何を食べるの?」
 へへへ、それはね……
 俺はあり得ないような敏捷さで瞬時に母さんの体に襲い掛かっていった。
「ぎゃあ〜っ!」
 豚が絞め殺されるみたいな色気もくそもない悲鳴を上げようとする母さんの口を、俺の本体からいくらでも自由自在に伸びる触手の群れが塞ぎ、母さんは目を白黒させて苦しそうに呻く。
 よし、いいぞ、この感触だ!俺は夢にまで見た女性を陵辱する歓びに突き動かされ、パンツルックだった母さんの着衣の下に侵入を開始した。それにしても触手と言うのは何と素晴らしいのだろう。相手の女性が服を着ていてもまるでお構いなしに、ちょっとした隙間からどんどん入り込むことが出来るのだ。
――やめなさい、シンイチ! アンタ、母さんに何しようって言うの?
 その上テレパシーだか何だか知らないが、母さんと言葉を交わすことも出来るのだ。いくら何でも都合が良過ぎる気がしないでもないが、全ては俺が勝手な妄想によって変身したものだから仕方ない。
 母さんは俺に食い殺されるとでも思ったか、恐怖で全身をガタガタと慄わせ必死で俺の触手の侵入を防ごうと苦闘しているが、まるで無駄だ。ヌラヌラした触手はツルツル滑って、いくら手で防ごうとしてもすり抜けてしまう上に、ゴムチューブのようにしなやかだが強靱で、口を一杯に塞ぐ気色悪いミミズの大群みたいな触手を噛み切ろうとしたって大変だ。
 万一切られても単細胞生物みたいに後から後から新たな触手が生えて来るのだから、俺はもう無敵状態だった。
――さっき言っただろ、おなかがすいたって
――やめてえっっ!!
――ははは、母さんを食べたりはしないよ。俺は女性の快楽エネルギーを食べて生きるんだ
――何ですって!
 俺が女性の快楽などと息子にあるまじき言葉を掛けたものだから、母さんは気持ち悪い触手にはいずり回られている熟れた体をゾクゾクとおののかせ始めたようだ。
 何しろ体中に俺の分身のような触手を密着させているのだから、母さんが心ならずも興奮して心臓をドキドキさせたり、体をワナワナと慄わせたりする反応が全てお見通しなのである。
――ここが母さんのアソコだね。入らせてもらうよ
――シンイチ、いけません! アンタ、何てことを……ああ……
 いけません、何て言われてもやめるわけはない。俺は触手達のコントロールタワーみたいになっている本体を、母さんのはいてた妙にえっちなスケスケパンツの中に入れると、ヒトだった頃は経験したことのない女性器の中に侵入を開始した。
 自由に変形出来る本体はもちろんチンポの形にさせている。ヒト時代の俺の祖チンより二回りくらい大きめの上、刺激的にしてやろうと思ってイボイボを浮き出させてみたら、出産を経験して緩くなっていると思われる母さんのアソコにはちょうど良かったようで、ギュウッと濡れた粘膜が嬉しそうに絡み付いて来た。
――母さん、どうしてこんなイヤラシイパンツをはいてるの?
――ア、アンタには、関係ないでしょ……あ、イヤ、ダメっ!
――えへへへ〜。正直に言わないと、中でクネクネしてブルブル慄えちゃうぞ〜
 もう大人のおもちゃも顔負けだ。
――し、刺激が欲しかったから……これはホントよ……も、もうそんなに動かないで、シンイチ
――父さんのためじゃないのかい?
――父さんは……関係ありません
 さすがに少し驚いた俺は、浮気か?と思ったけど、それ以上せんさくはやめた。父さんは毎晩のように帰りが遅く、休日もめったに家にいない。仕事が忙しいらしいけど、ホントかどうかわかったもんじゃないと思っている。


 続
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