例大祭〜中篇その2〜冬風 狐作
「イテテテ・・・何だよ、今の・・・?何だこれ・・・。」
 蹴られた事で俺は目を覚ました。辺りはすっかり暗くて何が何だかは分からないが、何だか自分の周りを一種異様な熱気と気配が取り囲んでいる事には程無くして気づく事が出来た。そして、ふと体を後へ後退りさせると何かが頭へ、感触は柔らかくも芯の硬い何かへ触れた。その一種気味悪いとも言える感覚に興味を持った俺は、そのまま首と共に上半身をずらしてそれが何であるのかを確かめてみた。
 首を回した背後には赤ん坊の腕ほどはあろうかと言う太さの棒の様な物が斜めに、自分の方を底辺として垂れ下がっていた。そのこちら側の底面は丸くやや斜め、中心には1つの穴の様な物があり全体としては色は血色漂う紅色で、底面からはやや括れて続いていた。
"こいつか・・・この妙な気配を漂わせているのは・・・。"
 先程から感じていた異様な気配と熱気が、この謎の棒から発せられている事はすぐに理解出来た。だかそれが一体何なのかしばらく睨み合っていると、ふと頭の片隅にある言葉が浮んだ。それは馬のペニス、半年程前に高校の実習で・・・彼が通っていた高校は農業高校である。目にした物よりもやや太めである以外は瓜二つの物が自分の顔の前に突き出されているのだ。
"と言う事は・・・さっきのあの痛みは馬の蹄で蹴られたからか・・・つまり俺は、馬の体の下にいるって訳なのか!?マジかよ・・・。"
 と動転しつつも目は一時、良く見れば見える蹄に行った以外はずっとそのペニスに釘付けになっていた。見詰める内に自然と唾が喉を流れ鳴らす、中学時代始めて18禁雑誌をコンビニで立読みした時の様な、初々しい罪悪感と好奇心が首をもたげて心中を席巻する。とうしてその様な感情となるのか、その場で説明を求められたとしても、最早彼には合理的な説明は出来なかった事だろう。それ程までにそのペニスは彼を魅了してすっかりその心を奪い取っていたのだ。

 長きの沈黙の末、ケンタウルスは蹄で床を一蹴りした。
カーン・・・
 音がさざなみの様に空間に満ちて引き潮となる。それが彼の脳裏へと響いた途端、どこか彼自身存ぜぬスイッチが静かに入れられた。操り人形みたく反応した体は、まず手が両手でその竿を掴み口が続いて先端を一舐めし含み、そして初めてだというのに絶妙な舌捌きをそのペニスへと与えた・・・軽くケンタウルスの巨体が動揺する。
「はっあっ・・・ん・・・。」
 思わず吐息を漏らすさやかは、両手で服の上から胸を軽く押さえた。ようやく正気が戻ってきた矢先の事であり、落ち着きを取り戻しかけたその精神はまたも乱される。
"あぁ・・・いい・・・きもちいいわ・・・何、これ・・・もう、もっともっと欲しい・・・アフゥ・・・ン。"
 思わず胸に手を当てたままさやかは無意識に、いや奇妙に融合した本能なのかもしれないが手ではなく腰を前後した。すると博の口内にあるペニスは咥えられたまま、その力の通りにスライドしのどちんこを超えた粘膜ギリギリまでずれ動き、そして戻ってまた進む。最初は息苦しさに参っていた博も、その動きに合わせて頭を前後させ、何時しか自然と馴染んだ格好で口への出入りを受け入れていた。
バシュッ、ジョバッ、ジョボッ、ブシャッ、バシャッ・・・
「がはっ・・・ゲフッゲフッ・・・こっこれは・・・何と・・・げほっげほっ・・・。」
 射精は先程の変化前のさやかだけでの自慰の時の量とは比較にならなかった。軽く睾丸諸共後足の辺り全体を震わせるとケンタウロスは、その竿をも震わせてその細い口を目一杯に広げて濃いケンタウルスとしては初の射精を放った。放たれた先に構えるのは博の口と食道、かなりの熱を持った精液は匂いと共に粘膜を焦がし染み付かせて胃へと流れる。
 意思を失った瞳で一心不乱に力を強めて、出来る限り飲み干そうと努めた博であったか矢張り耐えられず、口と食道、そして腸を限界まで精液漬けにして口を剥がし、手を外して後へと倒れこむ。支えを失ったペニスはその頂点から満遍なく全身に、まだまだ勢い保つ精液を徹底的にぶちまけて精液の水溜りの中へと浮ばせた。口や鼻から精液が溢れ、一瞬意識が遠のき激しく咳き込んだ事で意識を回復したのだった。

「何だよ・・・これ・・・どうなってんだよ・・・。」
 俺は自分の体が生臭く、重くなるまでの経緯がさっぱり分からず混乱していた。そして、その白い液体が次第に粘液化して体に纏わり付く事に・・・やがてそれは粗い繭の様に体の各所を包み込んだが、その場でのある動きだけは封じ込めはしなかった。そこから逃げ様としても動けない変わりに、目の前にあるペニス・・・それを見て全てを思い出したが・・・を掴み含もうとする行動だけはどの様な体勢であっても阻害しなかったのである。そして、鬱積の余り再びそのペニスを掴んだ事が次なる段階への扉を開いたのであった。
シュルルルル・・・
 途端に妙な音が響き、視界が全てが白に閉ざされた。体の一部を覆っていたに過ぎない繭、馬の精液転じた繭がとうとう全身を覆ったのである。何を行動に移す間も、何を考え終える間も無く・・・。
 一方、さやかはと言えばしばらく絶えていた快感とは別の新たなる刺激に心躍らせていた。ペニスの先端が何かに包まれ、微細な振動を伝えてきた事に。自然と伝えられた振動はさやかを楽しませると共に、その中枢へと働きかけて性的な、射精をするに見合う刺激を受けていないにも関わらず、無尽蔵の精液を睾丸から排出させ先程とは打って変わって静かな持続した射精を行わせたのだ。そしてそれら放たれた精液は繭の中を静かな満たして行く。
"おい・・・何なんだよ本当に・・・どうなっているんだ・・・精液が、繭の中に満ちていくなんて・・・それに、良く見ると服が溶けて裸になっているし・・・まさか、この精液で俺は死ぬのか?それにさやかさんは・・・さやかさんは一体無事なのか・・・頼む、誰か助けてくれ・・・。"
 繭の中に封じ込められた博は、身動きの一切が取れない中で懸命に現状を把握する事に努めていた。だが、身動きが取れない事による壁は大きく、ただ何時しか服の全てを溶かされてしまった自分の体が、爪先から徐々に精液に浸っていく気持ちの悪い感覚に耐えるほか無かった。そして、10分ほどで博の体は完全に精液の中へと没し、繭全体が精液で満たされるとその表面は硬化し、その場には、ケンタウルスの腹の下には真珠の様な輝きを放つ巨大な正円の卵が転がっていた。

 翌朝、村人の1人が見たのも正にその光景だった。立ちながらに眠るケンタウルスとその下に、ケンタウルスの腹の下にそのペニスの先端をわずかに含んだ正円の卵、それを見た村人は喜びの声を上げて村中に触れ回った。
「お目覚めだー、神が降臨なされたぞ!」
 この言葉に村の誰もが目を覚まし、その場へと集まってその光景にすっかり見惚れていた。その内に長い髭を生やした長老と思しき老人が現れ、持っていた杖を以って繋ぎ目を、卵とペニスの繋ぎ目を叩いて外す。すると卵はころころとわずかに横に転がり、割れる事無くその場に留まった。すると丁度さやかが目を覚ました、長老は恭しげにその前に進み出て一礼をして声を掛ける。
「お久し振りです、ウマメ様・・・この度も遠路遥々御到来頂き真にありがとうございます。」
"え・・・ウマメ様って、私はさやかよ・・・ウマメ様じゃ!?"
「ふぅ・・・久し振りですね、長老殿・・・10年振りですか・・・。」
「そうですな・・・本当、お久し振りです。」
「さて、ウシメの方はもう目覚めましたか?」
「いえ、まだでこざいます・・・御覧下さい、見事なものです。」
 と長老はウマメの問いに対して、先程の白い卵を目の前に出させて見せた。するとウマメはこの上なく喜ばしい顔をしてそれを見る。
「まぁ・・・これは素晴らしい事、この様な美しさは久し振りですね・・・。長老殿、良くぞしてくれました。感謝致します。」
「ははは、その様に言われますと真に光栄な事です・・・さて、ではこちらへ・・・。」
「わかりました。」
カッカッカッ・・・
 ウマメと呼ばれそう名乗るさやかであった筈のケンタウルスは階段を登り、蹄の音を高らかに村人達の中に出来た一筋の道を長老の先導によって静かに歩いていく。そして、村の広場を横切り、真南にある村の建物の中でも一際立派な、それでいて使われている形跡の無い石段の上に立てられた建物の中へと姿を消した。続いて、あの卵も村の若い衆たちに輿に載せられて入って行き、しばらく経つと長老共々外へ姿を現し、扉を閉めてその建物・・・神殿を後にした。外へと出た長老は、広場に集まっている村人達に向ってこう告げた。
「祭りは今日より7日後だ、皆の者、今回はわしの知る限りではこれまでにない良い祭りとなるだろうから、しっかりと準備するように。わかったかな?」
 その言葉に対して村人達は歓声で答えた。その光景に長老は豊かな笑みを漏らした。


 例大祭〜中編その2〜 例大祭〜後編〜へ続く
例大祭〜後編〜
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