その晩の夕食は殊の外濃い、と長くその味に慣れていたさやかは感じた。そして一口食べるごとに体が上気して堪らなかった。だがそれを博に彼女は決して言いはしなかった、何故なら博はまだこの食事を食べる様になってから、数日しか経っておらず言った所で分かる訳が無かったからだ。
"まぁ、調理法でも変えたんだろうけど・・・何か妙ねぇ・・・。"
どこか腑に落ちない物を抱えて、結局全てを平らげてしまったのだった。
異変が起きたのはそれから少し経った深夜の事である。何時しか、2人して横並びに寝ていると不意にさやかは目を覚ました。
"熱いわね・・・本当に・・・。"
軽くシャツの第二ボタンを外した彼女は端を持って団扇代わりにして、寝ている博の姿を見た。何とも気持ち良さそうなその姿を見て彼女は軽くため息を吐くと、再び寝入ろうとしたがどうにも上手く行かなかった。
"駄目だわ・・・どうにも・・・。"
としたその瞬間、何かが彼女の全身を縦に貫いたのは。さやかはしばらくそのままの姿勢で固まってしまい、呼吸以外は何も出来なかった。思考すらも固まって白くなり、呆然とした表情でその場に固まる以外は無かったのだ。そしてそれがゼンマイの切れた人形が倒れる様に、解けたのはすぐの事だった。
「何・・・今のは・・・うん?これは・・・!?」
体が再び動かせる様になったさやかが異常を調べていると、ふと股間に違和感を感じた。恐る恐るスカートを捲ると真っ平らなパンティは奇妙な盛り上がりを見せ、何か棒の様な物がその下で蠢いていた。そして、そっとパンティをずらすとその盛り上がりは、そのわずかに空いた隙間から先端を外へと突き出し外気に触れる。すっかりまるで全身の先程までの異様な興奮と熱を吸ってしまったかのように熱持つそれはどこか見覚えのあるものだった。
「これって・・・ペニス・・・。」
そうそれは立派に成熟したペニスであった。ただし、どこか見覚えのある人のそれとは形が異なり、雁や亀頭の無く一本の太い棒の様な物であった事が彼女を困惑させた。さやかはその形に見覚えが全く無く、言ってしまえば蓮根とも言えなくは無い形状のそれにそっと手を触れた。
ビクッ!
「はぁっ・・・。きもちいいかも・・・なにこれ・・・。」
触れた途端、何とも言い表せない感覚が広がり行く。それはワギナで自慰をした時の感覚に近い物であったが、その威力は比べ物にならず深みを伴っているように感じられた。思わずそのまま、一度は離した手を再び触れさせる。すると矢張りあの感覚が全身を満たし、彼女は勢いの余り非常に大きな快感の溜息を吐いた。
何時しか、当初は触れるだけであったものはむんずとペニスの竿自体をつかんでは扱く様になっていた。そうする事によって、触れるだけの数倍以上の快感が手に入る事を知ったさやかは、ひたすら息を吐いては目を閉じ、一心不乱に静かに漏れ入る月明かりを浴びながらペニスを扱き続けていき、それに比例してペニスも次第にその長さと太さを伸ばしていった。
「ふぅはぁああぁっ!?ああっ・・・。」
そして、臨界点を超えた彼女の快感は射精と言う形を取って放たれた。すっかり血管が浮き上がるほどまでに膨張し長さを得た彼女のペニスは、その先端から濃い黄色かかった精液を勢い良く放出したのである。
ブシュッ!ベチャッ、バシャッ、ブジュッ、グシュッ、べチャッ・・・
その空間の中には精液が壁や湧き水の流れの中に叩き付けられ、または落ちる音や放たれる音、そして盛大な彼女の吐く息の音が響き合い濃厚な匂いが立ち込める。その様な中でそれまで寝ていた博も異様な雰囲気を嗅ぎ取って、目を覚ますのももう間も無くの事であった。だが、博が目を覚ますまでの間にさやかは再び、あの途轍もない射精による快感をもう一度とペニスを扱き始め、再び登りつめあの感覚が再び走った・・・筈であった。
しかし、彼女のペニスからは一滴として先走りですら精液が放出されなかったが、精液が放たれた際のあの感覚は、先程と変わりは無く竿全体に走っている。ただしその醍醐味とも言える精液だけが、一向に放たれないと言う妙な事態に陥り、奇妙な膨らみを骨盤の辺りに感じた。そして、その内にその感覚も逆流し始めて、強い圧迫感がさやかの下腹部と腰を襲い、途端にまるで腰から下が我が身であるのに我が身から引き離されようとするかのような、奇妙に緩い感覚がその強い我が身としての繋がりを緩ませて、形としては保ちながら二方向へと分化して行く・・・その途端彼女は思わずその場に横へと倒れこんだ、さやかはわずかに残っていた理性でその異常さを思う反面、半ば酔った様なその感覚に飲まれていた。
彼女の理性の指摘は当たっていたと言えよう、その時さやか自身はすっかり酔っていたので感覚としてしか捉えてはいなかったが、実際にその体はその感覚通りに変化しつつあったのである。腰から下の全てが緩やかに後方へと伸びる。ペニスもワギナも両足もその全てが後方へ、まるで飴が伸びる様に、身に纏われていた精液塗れのスカートとパンティを襤褸にしつつ、緩慢にさやかの体を人外へと変えていく。
そして、それがすっかり伸びきって本来の腰から、直線で表すと脳天からの線と丁度90度横へ約150センチ程伸びた頃、今度は本来ならば脳天からの延長線上にあるべき足が移動して、何もなくなっていた所へと胴体から肉の棒が2本伸び始めた。それはある一定の長さまで伸びると後方へ移動した本来の足と共に姿を変えて整え始め、先端は黒光りのする蹄が形成されると、頑強な骨格となりその表面は黒鹿毛の黒光りする毛、馬の獣毛に覆われ、やがてそれは腰から下の全域へと広がり、気が付いた時にはさやかの体は腰から下が黒鹿毛の見事な牡馬と化した。
但し、完全な牡馬とはならなかった。その馬となった部位にはペニスと共にワギナ、そして子宮が存在していたからである。これはその部位が元はと言えばさやかの腰であった為で、体が変形した際にそのままそれに合わせて移動してしまったからであった。所謂名残と言うものであろう。
すっかり変わったさやかの容姿は、半人半馬、ギリシア神話にて語られるケンタウルスそのままであった。唯一違うのは伝説上のケンタウルスの人の上半身が裸であるのに、彼女の場合はお気に入りのノースリーブの薄いオレンジの服を身に纏っている事だった。だがその様な差異はあってもケンタウルスと化した事は目を覚ましたさやかが立ち上がった事で、完全に示される事となる。
一端のケンタウルスとなったさやかは意識を取り戻したとは言え、まだまだ酔っている事に変わりは無かった。馬の下半身に付くペニスはすっかりいきり立っており、尻尾が激しく揺すられてその狭い空間を蹄の音高らかに幾度と無く徘徊する。やがて彼女はまだ眠っていた博を完全に跨いだ格好となってそのまま静止して、軽くその体を後ろ足の蹄で蹴った。