夏とはいえ、夜の山頂は、昼間の平地と比べれば随分と涼しい。

風が吹けば少し肌寒く感じるくらいだ。

満点の星空の下、当然ながらひと気もないその場所で、オレと相方は全裸で抱き合っていた。

誰もいない、しかし誰かがいれば即座に見られてしまう場所での行為。

そんな特異な環境での行為は、ことのほかオレ達を興奮させた。

傍らの焚火に照らされ、浮かび上がるのは、硬い岩場に敷いた布の上で四つん這いになった相方の黒と灰色の滑らかな肌と、背後から突き上げるオレの斑点模様の毛皮。

相方を突き上げるたび、風船が爆ぜるような乾いた音と、粘質の液体に空気が混ざる音が鳴る。

「……ぐぅ…!」

呻きをこらえて快楽を感じている相方の、竜人らしい太い尾を片手に抱えて、オレは相方の体内の奥に届くように腰を深く入れる。

相方の体内に入ったモノの先端に熱い肉感を感じながら、オレは一気にスパートをかけた。

「くあ!?」

予想外の勢いの変化に驚いたのか、相方の穴が急激に収縮し、オレのモノを強烈に締め付けた。

こちらにとっても予想外な締め付けは、爆発寸前だったオレのモノに限界以上の刺激を与え、

「あっ! だっ…イクッ!!!」

オレは数秒と持たずに、相方の体内に白濁液を放ってしまった。

しかし、射精の瞬間に膨張したオレのモノが、相方の敏感な部位を刺激したのか、オレの射精とほぼ同時に、相方も声を押し殺し、無言のまま、岩場に敷かれた布の上に白濁液をまき散らしていた。

「……イッたの? お尻だけで?」

四つん這いのまま息を弾ませている相方に、オレは意地悪く尋ねてみる。

それに対し相方は、『聞くな』という顔でこちらを見返す。

オレは萎え始めたモノを相方から引き抜くと、相方にこちらを振り返らせ、その口に軽いキスをした。

短いキスのあと、相方の下に敷かれている布で、オレと相方の粘液でグチャグチャになった自分の下腹部を拭く。

オレが拭き終えると、相方も同様に布で下腹部をきれいに拭き、拭き終えた布を近くに置いてあった荷物の上に放った。

それを見たオレは、とっさに、

「あっ! ダメ!」

と、相方を咎めた。

「!」

相方はオレの咎めを聞くや否や、布が荷物に被さる寸前に、布を手で掴んだ。

「ほっ……」

オレはほっと胸を撫で下ろす。

「ダメだよ、バンネ。

 コレはお客さんから預かった大事な荷物なんだから汚しちゃ」

「ああ、そうだったな。 すまん」

オレの咎め立てる言葉に、相方・バンネは素直に謝った。

そう、バンネが今、布を放った先にあった荷物は、オレ達が仕事で客から預かった大事な荷物だった。

話は今日の午前中までさかのぼる。

 

 

まだ日も昇り切らない午前中、何でも屋を営んでいたオレとバンネに、斡旋所から依頼の知らせが届いた。

なんでも、山2つ先の町まで荷物を運んでほしい、とのことだった。

急な依頼だったが、危険度の割には値段もよかったので、オレとバンネはとりあえず話だけは聞いてみようと思い、依頼人との待ち合わせ場所である喫茶店を訪れていた。

そして待つこと10分少々。

依頼人と思われる少々太り気味の中年の人族男性が店内に入ってきた。

男性はオレ達の姿を見とめると、こちらに向かって足早に歩いてきた。

男性の手には直径50cm程の布包みが抱えられており、オレ達の座っている席の傍らに立つと、

「失礼ですが、フラルスさんとバンネさんでしょうか?」

自分を見つめているオレ達に尋ねてきた。

オレ達はうなずき答えると、男性は向かいの席に腰掛け、布包みを自分の隣の椅子に置いた。

「コレを山2つ先の町まで運んでほしいんですよ」

布包みを置くや否や、布包みを目で指し、いきなり男性が切り出した。

その様子がどうにもおかしい。

男性は布包みを怯えたような目で見ている。

布に包まれているため、中身が何かは分からないが、不審に思ったオレは、隣に座っているバンネにチラリと目をやる。

すると、バンネは無言で小さくあごをしゃくり、布包みを指す。

どうやらバンネも同じことを考えていたようだ。

「失礼ですが、その包みの中身は?」

「いや、それは……」

「中身が何か分からなければ依頼は受けられませんよ?

 何か犯罪にかかわるようなものではこちらが困りますから」

口ごもる男性に、オレは少し高圧的な物言いで言う。

これには訳があった。

金さえもらえばなんでも運ぶという運送屋・何でも屋は数多くいるが、オレ達はそうではない。

もしこれが犯罪にかかわるようなものならば、この依頼人はもちろん、運んだオレ達も罰せられてしまうかもしれない。

極力そういったことは避けたいオレ達は、運送関係の依頼の場合、中身が分からないようなものは運ばないように心掛けている。

今回のものは、どうやらそういったものの可能性が高いようだ。

なので、オレ達にとっては、この依頼を断ってしまっても構わないし、男性にしてみても、オレ達以外にも荷物を運んでくれる連中はいるだろうから、無理にオレ達に依頼する必要はないはずだ。

依頼が物別れに終わる、そう思った矢先、意外なことに、男性は小さな声で布包みの中身の説明を始めた。

「実はコレ、山2つ先の町の領主様から届けるように頼まれている荷物でしてね。

 中身は犯罪にかかわるようなものではないんですが……少々問題がありまして……」

そこまで言って、男性はキョロキョロと辺りを見回し、さらに小声でささやく。

「……植物なんですよ。

 しかもただの植物ではなく、なんと言いますか……『食精植物』、とでも言いますか……

 雄の精液を養分にして育つという、とんでもない植物でして……」

男性は嫌悪と恐怖の入り混じった目で布包みを見つめた。

この様子からすると、どうやらその『食精植物』にひどい目に遭わされてしまったらしい。

「太陽の光に当たると活動を始めて、手近な雄の精液を搾取しようとするので、こうして布で陽光を遮断しているんです。

 依頼主の領主様からできるかぎり早く届けるように言われているのですが、いかんせん信用できる運び手が見つかりませんで……

 斡旋所の方に聞いたところ、今日空いているのはあなた方しかいないと聞いたものですから……」

「なるほど」

一通りの説明を受けて、しばし考える。

中身は犯罪にかかわるものではないし、扱いにさえ気を付ければ問題ない物のようだ。

依頼料も前金で半分、残りは依頼完了後、となっていて、オレ達にリスクは少ない。

再びバンネを見ると、彼は軽くうなずいて答えた。

「……分りました、引き受けましょう。

 ただし、斡旋所の規約にあったとおり、依頼の成否にかかわらず前金は頂くことになっていますので、荷物は前金の支払いを確認後に運ばせていただきます」

型通りの答えを返すと、男性は安堵の表情を浮かべ、何度も頭を下げて礼を言った。

と、ふと思い出しかのように男が表情を変え、言う。

「そうそう、忘れるところでした。

 万一、コレが動き出してしまったら、できるだけコレから離れてください。

 そして太陽の光がなくなって動かなくなるまで近づかないように。

 もし、コレに捕まってしまったら……コレが充分な養分を搾取するまで離れませんので、くれぐれも気を付けてください」

 

 

「しかし、随分と物好きもいたものだな」

「? 何が?」

「アレのことさ」

そう言ってバンネが指したのは、依頼された届け物だった。

「『食精植物』、だったか?

 そんな物を受け取ったら、やることは1つしかないだろう?」

「ああ、そういうことね」

「あの町の領主は好色で有名だが、まさか植物にまで手を出すとはな」

「新境地開拓ってことなんじゃないの?

 それより、早く服着ないと風邪引くよ?」

すでに下着を着終えたオレは、いまだに全裸のままのバンネに言う。

しかしバンネは服を着る様子は見せず、無言でオレのそばまで寄ってきた。

「な、何?」

無言の圧力に圧され、ひるむオレ。

だがバンネは何も答えない。

ふと下を見れば、バンネの股間の割れ目には、再び屹立した赤いモノが。

「……バンネも意外と好色だよね」

 

 

道中は順調だった。

マテリアに遭遇することも、野盗の類に襲われることもなく、依頼された次の日の正午には、オレ達は2つ目の山の麓に広がる森まで到達していた。

このままいけば今日の夕方、遅くとも夜には目的の町に辿り着けるだろう。

「ここで休憩にしようか」

少し開けた場所に出たところで、オレはバンネに言う。

バンネはうなずき、手にしている客からの荷物をその場に下した。

オレも荷物を下ろし、その中から水筒を取り出す。

蓋を開け、口に運ぶが、入っていた水はほんの一口分だけ。

「あ、もう水がないや」

「……オレのも空だな。

 少し離れた所に小川が流れてたろう?

 荷物はオレが見てるから、汲んできたらどうだ?」

「そう? じゃあ、行ってくるから、荷物よろしく」

「ああ」

バンネが投げてよこした空の水筒を受け取り、オレは2本の水筒を持ってその場を離れた。

木々の間を縫って進んでいくと、かすかな水音が聞こえてきた。

小川は、オレ達が休憩場所から100m程離れた場所に流れていた。

オレは水が澄んでいることを確認すると、2本の水筒に満タンに水を汲み入れる。

そして、蓋を閉めようとした時だった。

ぐあっ!

後ろでかすかに苦鳴が聞こえた。

「! バンネ!?」

オレは水筒を投げ捨て、もと来た道を全力で走って戻る。

休憩場所に戻った瞬間、オレの目に信じられない光景が飛び込んできた。

地面の上に転がっているのは直径30cm程の丸い塊。

そこから伸びているのは太さの異なる十数本の触手らしき物。

そのうちの数本の触手らしき物に絡め取られているのは、バンネだった。

「バンネ!?」

「来るな!!!」

バンネが叫び、警告を発する。

「ぐぅ……すまん、フラルス。

 コイツを日光に晒してしまった……」

「なんで!?」

「昼食の準備をしていた時、布包みが剥がれてしまったらしい……

 日光に当たった途端、急にコイツが動き出して……ぐ…く……」

「そんな…………待って、今助ける!」

「ダメだ!! お前まで巻き込まれるぞ!!

 それに、客からの預かり物を傷付けるわけにはいかないだろう…!」

「でも!」

「大丈夫だ……日暮まで待てば、コイツもおとなしくなるだろう……」

「バンネ……」

確かに依頼を受けた身としては、バンネの言うことが正しいのは分かっている。

しかし、日暮まではまだかなりの時間がある。

しかも今は夏。

どう見積もってもあと6時間以上は日は暮れない。

このままバンネを放っておくわけにはいかない。

(どうしたら……!)

こうしている間にも触手は、バンネの精液を搾取しようと、服を剥ぎ取り、破り捨てている。

次第にあらわになっていくバンネの体。

バンネは抵抗するそぶりすら見せず、触手のされるがままになっている。

ものの1分もしないうち、バンネからはすべての衣服が剥ぎ取られ、触手に絡め取られた裸体がオレの目の前に晒されてしまった。

バンネを絡め取っている触手とは別の数本の触手が、探るようにバンネの裸体を撫でる。

頭、首、胸、腹、腕、足、尾、そして下腹部。

しばらくして、雄の匂いを嗅ぎ付けたのか、体表を撫で回していた数本の触手すべてが、下腹部のスリットの周辺に集まりだした。

集まった触手のうち、1本がスリットの入り口をつつく。

「ん…!」

短い呻きを上げるバンネ。

触手は数回スリットの入り口をつつくと、ゆっくりとスリットの中に埋没していった。

そしてスリットの中から赤いバンネのモノを引きずり出した。

同時に、引きずり出されたバンネのモノに、他の触手が群がる。

たちまちのうちに触手に埋め尽くされ、見えなくなるバンネのモノ。

「んくぁ…!!」

たまらずバンネが声を上げる。

触手はバンネのモノを覆い尽くし、その上を妖しく蠢いている。

やがてポタポタと透明な粘液が、地面へと滴り落ちた。

透明な粘液が溢れた途端、周囲に甘い香りがほのかに漂う。

それはバンネが出した先走りではなく、触手の先端から分泌された粘液のようだった。

いかにも潤滑油然としたその粘液の効果によって、バンネのモノはさらに刺激を強められていく。

その証拠に、バンネは声もなく悶えていた。

触手がバンネのモノを覆い隠し、粘液が溢れ出して十数秒後、それは驚くほど早く訪れた。

「あぐあああぁぁぁ!!!」

バンネの叫びと共に、触手に絡め取られ、身動きの取れないバンネの体が大きくわなないた。

それは明らかにバンネが絶頂に達したことを表していた。

目を見開き、何度も体を痙攣させるバンネ。

その間、バンネのモノの上で蠢いていた触手は動きを止めていた。

バンネのモノから放たれたはずの白濁液がわずかも確認できないことから察するに、どうやら触手が白濁液を吸収してしまっているらしい。

だとすれば、まさに依頼人が言ったとおり、『食精植物』と呼んで差支えない植物だ。

「っくぁ!!」

と、バンネが上げた悲鳴に、オレは我に帰った。

見れば、バンネのモノを覆っている触手が、またも蠢き始めていた。

射精直後の敏感なモノを刺激されて、バンネが身悶える。

このままでは、夜までなど、到底バンネの体がもたない。

そう思ったオレは、何か手はないかと必死で考えを巡らせる。

(せめて射精直後の刺激の苦しみから解放させる方法があれば…………! そうだ!)

その考えが頭に浮かんだ瞬間、オレは素早く行動を起こしていた。

すぐそばにあった荷物の中にある鞄をあさり、底の方からピンク色の液体の入った小さなスプレー付きの小瓶を取り出す。

それはオレがバンネとの行為の際にたまに使う催淫剤で、射精直後のモノの敏感さをなくし、連続的に行為を行えるという物だった。

(これをバンネに飲ませれば! ……でも)

催淫剤の効果を発揮させるためには、バンネの鼻先に催淫剤を吹き掛けなければならない。

仮に小瓶をバンネに向かって投げても、身動きが取れないバンネは小瓶を受け取れない。

となると、方法は1つしかないのだが……

(何か方法は………………あっ!)

思索を巡らせるうち、不意に閃くものがあった。

それはオレ自身も危険に晒される閃きではあったが、このままバンネを苦しませるわけにはいかない。

オレは素早く服を脱ぎ、全裸になると、自らの鼻先に催淫剤を吹き掛けた。

そして小瓶を手にしたまま、触手に絡め取られ、愛撫の苦痛を味わわされているバンネに向かって走った。

「バ、バカッ!! 来るな!!!」

オレの行動に気付いたバンネが、悶えながらも叫ぶ。

しかしオレは意に介さず、バンネに飛び付き、鼻先に催淫剤を吹き掛けた。

「!!」

バンネが驚き、目をしばたかせる。

と同時に、バンネに絡み付いていた触手、責め立てていた触手の約半数が、新たな獲物であるオレの体の自由を奪い、モノに絡み付いた。

オレの手から催淫剤がこぼれ、地面の上に落ちる。

「何をやってるんだ!!」

オレが触手に絡め取られたのを見て、バンネが非難の声を上げる。

確かに彼からしてみれば、ミイラ取りがミイラになるように思えたのだろうが、オレのこの行動には、バンネの解放の他に、もう1つ理由があった。

オレは、触手から与えられる刺激に耐えながら、それをバンネに説明する。

「依頼人の言葉を覚えてる?」

「?」

「言ってたろ?

 『絡め取られたら、充分な養分を搾取するまで離れない』って。

 催淫剤を使えば、何度も連続でイける。

 1人より2人なら養分も増えるから、その分、早く解放される。

 日が暮れるよりもずっと早く解放されるはずさ」

「……フラルス……」

「へへへ…………んくっ!」

バンネを安心させるために冷静を装っていたが、思っていたよりも触手からの刺激が強く、オレは説明を終えると、思わず呻き声を漏らしてしまった。

「だ、大丈夫。 取って食われるわけじゃないんだから……」

心配そうな視線を投げ掛けるバンネに、オレは無理に笑みを作って答えた。

この『食精植物』が、どれだけの量の精でオレ達を解放してくれるのかは分からないが、催淫剤の1回の効き目は1時間程度。

それまでにオレ達が解放されなければ、そのあとは地獄のような時間が訪れることになる。

しかしながら、今はそんなことを考えても仕方がない。

ただひたすら触手の愛撫に身を任せ、1時間以内で解放されるのを願うよりほかはなかった。

そうこう考えているうちに、オレに1度目の絶頂が訪れた。

「んはあああぁぁぁ!!!」

身動きが取れないながらも、全身に力を込め、精一杯の射精を果たす。

押し寄せる快感の波の中、触手の本数が少なくなったおかげで、触手の白濁液の吸収の仕組みが分かった。

オレの脈打つモノから放たれる白濁液を受け止めた触手は、まるで真綿が水を吸収するように、触手の表面から白濁液を吸収していた。

貪欲にも飛び散る白濁液を1滴残らず受け止め、地面にこぼれる白濁液はわずかもない。

射精しながらも冷静に観察する自分に、我ながら感心とあきれを覚えた。

「あぐぅ!!!」

今度はバンネの叫びが響く。

目の前では、バンネのモノがビクンビクンと脈打ち、白濁液を吐き出していた。

こちらも同様に、白濁液はすべて触手の表面に吸収されていた。

催淫剤の効果によって、射精直後の敏感さが消えているので、直後の触手の愛撫も苦しみはない。

バンネの脈打つモノを見つめながら、オレは早く解放されるように祈り、触手の愛撫に身を任せた。

 

 

オレ達が解放されたのは、オレが触手に捕まってから約1時間後、催淫剤の効果が切れるかどうかという、きわどいところだった。

触手の持ち主が知能のない植物というせいもあってか、粘液を分泌しながらひたすらモノの上で蠢く、という実に単調な愛撫ではあった。

通常ならば飽きてしまって射精に至りづらかっただろうが、催淫剤の効果、シチュエーションのおかげで、次々と射精をすることができたのは不幸中の幸いだったといえるだろう。

ともあれ、なんとか無事に解放されたオレ達は、充分にオレ達の精を吸い尽くして満足した『食精植物』を何重にも布で包み、休憩もほとんどせずに目的地に急いだ。

 

 

目的の町に着いたのは夜に近い夕方。

『食精植物』を、バンネ曰く、好色と名高い領主に届け、残りの依頼料をもらったあと、オレ達は淫靡な目付きでこちらをねぶるように見つめる領主の元を早々に引きあげ、宿を探した。

遅い時間ながらもなんとか宿を見つけ、まさに精も根も尽き果てていたオレ達は、夕食もそこそこに部屋に切り上げ、ベッドの上に横たわった。

ぐったりとして、ベッドの上で大の字に寝そべっているバンネが呟く。

「なんだか、オレ達まで新境地を開拓してしまったな……」

「確かに。 次からは荷物の扱いに気をつけよう」

「……すまん」

別に嫌味で言ったわけではないのだが、バンネがすまなそうに謝る。

確かに疲れはしたが、オレとしてはある意味貴重ともいえる体験をさせてもらったので、それはそれでよかったと思っているのだが、この際、それは言わないでおこう。

「だが……」

「……?」

横を見れば、バンネがこちらに体を向けていた。

「やはりあんなモノよりも……」

言って、バンネはこちらのベッドに移ってくる。

そしておもむろにオレの股間に手を置く。

「……バンネってさ、好色というより、淫乱だよね。 しかも絶倫」

股間にバンネの手の感触を味わいながら、オレは優しくも妖艶に微笑むバンネに、そっと顔を寄せて口付けた。

 

 

 

 

 

こうしてオレ達の仕事は、若干のアクシデントが起きたながらも、無事完了した。