高層マンションの一室。

ポケットに入れた携帯電話が鳴ったのは、仕事を終え、自宅に着いてすぐのことだった。

「はい。 ……今自宅に戻りました。

 …………え? …………はい、分かりました。

 では、しばらくしてからうかがいます。

 それでは失礼します」

電話向こうの相手に断りを入れ、電話を切る。

「ふぅ……」

私はため息をつくと、ネクタイを緩めながらリビングへと向かい、スーツの上着を脱いだ。

しわにならないようにハンガーに掛けようと思ったが、どうせすぐ出ていくのだからと、上着をソファの背もたれに投げ掛け、ほどいたネクタイをその上に放る。

そして、デスクワークで凝り固まった筋肉をほぐすように運動させながら、風呂場へと向かった。

 

 

とある高級料亭。

「こちらでございます」

中年の仲居に案内されて辿り着いたのは、料亭の中庭を渡った離れの一室。

私が仲居にうなずいてみせると、仲居は心得た風に来た道を引き返していった。

私はそれを見送ると、スーツの襟を正し、ネクタイを改めて締め、部屋の入り口である襖の前に正座をした。

そして、スッと襖を開け、床に手を付いて頭を垂れる。

「失礼いたします」

「おお、来たか!」

私が告げると、中にいた人物から歓迎の声が掛かった。

頭を上げると、室内では数人の男達が机を囲んで料理に舌鼓を打っているところだった。

私に声を掛けたのはそのうちの1人である狸獣人、私の上司に当たる、私の所属する会社の社長だった。

見た目にも中身にも狸なその社長は、脂肪の塊のように太った体を難儀そうに動かして立ち上がり、こちらに向かって歩いてくる。

そうして私の脇に立つと、身を屈めて私の腕を掴んで立たせ、中にいる数人の男達に向かって、上機嫌そうに口を開いた。

「コレが私の秘書です。

 名前は――」

社長が私の紹介をしているのを横に、私は頭を下げつつ、卓を囲んでいる男達を見る。

いずれも中年の男の獣人であり、知っている顔は誰もいない。

(新しい取引先か……)

心の中で思い、横で社長が私の紹介を終えたのを見て、頭を上げて重ねて自己紹介をする。

自己紹介を終えると、男達の1人、小太りな豚獣人の男が声を上げた。

「これは良い狐だ。

 仕事もさぞかしできるのでしょうな」

「はい、それはもうよくやってくれます」

私の代わりに、社長が上機嫌に答えた。

「まあ、そんな所に突っ立ってないで、こちらに来なさい」

と、これは別の1人、猪獣人の男。

「おお、そうですな。

 さ、入りなさい」

また私の代わりに社長が答え、私の腕を引いて室内に招き入れた。

「では、失礼いたします」

社長に引きずられながらも、私は男達に挨拶をし、食事の席に加わった。

 

 

宴もたけなわ。

男達はほろ酔い気分で笑い声を上げていた。

横に座る社長も同様、すこぶる上機嫌にでっぷりと油の乗った体を揺らしながら笑っている。

私はというと、男達――新たな取引先のお偉方――に酌をすることに終始していたので、ほとんど酔いはなかった。

社長と男達の目を盗んで腕時計を見れば、時間は夜の9時。

(そろそろか……)

私は思い、誰にも気付かれないように小さく鼻息を吐く。

卓を見回すと、どの男も酒が少なくなってきているようだった。

私は酒の入った徳利を持って立ち上がり、男達の猪口に注いで回る。

そして、自分の席に戻り、徳利を置くと、それを合図にしたかのように男達の1人、私と同じ狐獣人――ただし、社長に負けないほどの肥満――が、グイッと私の注いだ酒をあおってから話し掛けてきた。

「そういえば、社長から聞いたよ」

少し声を大きくして言った狐獣人の言葉に、それまで歓談していた男達が一斉に私の方を見た。

「何を、でしょうか?」

私は小さく首を傾げて聞き返す。

しかし、私は次に狐獣人から発せられる言葉が何なのかを聞かずとも分かっていた。

「君は大層立派なイチモツを持っているそうじゃないか」

狐獣人の私を見る目に影が差す。

(やはり、か)

内心であきらめの調子で呟く私。

「おお、そういえばそんなことを言ってましたな」

と、演技掛かった口調で言ったのは、狐獣人の隣にいた馬獣人。

「私もイチモツの大きさには少々自信がありましてな」

馬獣人が言うと、周りから囃し立てる声が上がった。

ひとしきりそれが終わると、狐獣人が再び口を開いた。

「もし君さえよければ……余興代わりに披露してもらえんかな?」

その一言で、室内の雰囲気が変わった。

それはまるで、ストリップショーの開幕の合図を待つような、そんな暗く淫らな雰囲気だった。

と、卓の下、男達からは見えない位置で、隣に座っている社長が私の足をつついた。

その所作がどういう意味なのか、私はこれまでの経験から分かっていた。

「私の粗末なモノでよろしければ」

私がそう告げると、男達から声を殺したような歓声が上がる。

私はその場に立ち上がり、スーツの上着を脱ぐと、ズボンのベルトを外した。

男達は酒を呑むのも忘れ、食い入るように私のストリップを眺めている。

唯一、社長だけは変わらぬ態度で酒を呑んでいた。

男達の環視の中、私はスーツのズボンを下ろし、下着をあらわにした。

すると、男達がにわかに活気づく。

「ほう! 六尺褌とは!」

一番遠い席にいた、筋肉質の牛獣人から感嘆の声が上がった。

牛獣人の言葉通り、ワイシャツの裾から覗く私の下着は六尺褌だった。

といっても、普段から褌を締めているわけではない。

普段はトランクス等を履いているが、社長に呼び出された接待の席では褌を締めるように社長から命じられている。

「これはまた、お若いのに随分な下着ですなぁ」

「いや本当に。

 我々も昔はよく締めたものですが、いやはや珍しい」

と、牛獣人と豚獣人。

「竿がここぞとばかりに強調されていますな」

馬獣人がそう言うと、横の社長は得たりとばかりに私を見上げて笑う。

社長は元々そのつもりで私に六尺褌を履かせたのだから、心中得意気だろう。

男達の歓声がひとしきり収まると、私は褌を解くべく後ろに手をやる。

が、

「ああ、少し待ちなさい」

狐獣人が手を上げ、待ったを掛けた。

「その見事な膨らみ、もう少し堪能したい。

 こっちへ来てくれないか?」

言って、狐獣人は手招きをする。

私は解き掛けていた褌の横回しを元に戻し、狐獣人の方へと歩み寄っていった。

「おお、これはたしかに立派だ」

私が狐獣人の横に立つと、狐獣人は私のイチモツをほとんど目の前にして顔を綻ばせた。

「同じ狐獣人としては羨ましい限りだ」

狐獣人はそう言うと、私の褌の前袋を小さく指で弾き、自ら空になった猪口に酒を注ぐ。

「会長、お触りは禁止ですよ」

隣の馬獣人は軽口を叩くと、私に手招きをする。

それに従い、今度は馬獣人の前に立った。

「う〜ん、これはひょっとして私のよりも大きいかもしれませんなぁ。

 どれ、ひとつ……」

言いながら、馬獣人は私のワイシャツをたくし上げ、手にしていた箸で私の前袋をつまんだ。

「おっと、随分とつまみ応えのあるお稲荷さんだ」

馬獣人の言葉に、男達が笑い声を上げた。

「狐だけに、かい?」

「これは! 会長に一本取られましたな!」

狐獣人が言った言葉に、馬獣人は大笑い。

しばらくして笑いが収まると、馬獣人が私の前袋から箸を放した。

「どれ、次はこっちに来てくれんか?」

声を掛けてきたのは猪獣人。

言われるままにそちらに向かい、猪獣人に、豚獣人、そして牛獣人へと、順に褌を晒した。

そのたびに彼等は私のイチモツを、あるいは褌を弄び満足げな笑いを上げた。

男達全員の間を回って自分の席に戻るころには、私のイチモツには彼等に弄ばれた影響が表れ始めていた。

「おう、若いと元気がいいなぁ」

猪獣人が私の変化を見て囃す。

それを聞き付け、社長を含む全員の視線が私の褌の前袋に集中した。

全員の環視の中、私のイチモツは褌の前袋をグイグイと膨らませていった。

「きついだろう? 外したらどうだね?」

言ったのは隣に座っていた社長。

「はい」

私は素直に指示に従い、褌の後ろに手を回し、横回しに指を引っ掛けた。

するすると褌を緩め、外すと、褌がはらりと畳の上に落ちる。

「おお〜、これはこれは……」

「何ともまぁ……」

「たしかに大きさは社長の言う通りですなぁ……」

ワイシャツの裾から見える私のイチモツを見て、男達が口々に感想を述べる。

だが、その声音の中には、若干の嘲笑の色が混じっていた。

「いやはや、たしかに大きさは誇るべきものがありますが、皮被りとは……」

酒をあおりながら、牛獣人がせせら笑う。

「大きさは私よりもあるようですが、これではまるでお子様のようだ」

声を上げて笑いながら言ったのは馬獣人。

他の男達も鼻で笑い、私のイツモツを評価する。

男達の言う通り、私のイチモツは皮を被っていた。

手で引っ張れば剥けはするが、ただ勃起させただけでは亀頭の先端がやや覗くだけだ。

現に、完全に勃起した今も、わずかに亀頭の鈴口が覗くにとどまっている。

私は視線を男達の蔑んだ自らのイチモツに落とし、唾を飲み込む。

こうして社長が催す接待の席でイチモツを晒すことは何度もあったが、イチモツを晒すことそれ自体への羞恥は慣れたものの、この手の蔑みだけは慣れない。

恥ずかしさが全身を駆け回り、期せずしてイチモツがピクリと反応してしまう。

「まぁまぁ、皆さん。

 彼も好きで皮を被っているわけではないのですから、どうかそこまでに」

ざわつく席に向かって言ったのは社長。

フォローにもなっていないその言葉に、私のイチモツがさらに反応する。

「ですが、大きさは私が申した通りでしょう?」

うかがうように尋ねる社長に、男達はうなずき声を上げた。

たしかに、私のイチモツは常人よりも大きいが、それも先の嘲りを受けてしまっては誇るべきステータスにはなりえなかった。

「まぁ、社長の言う通り、大きさは自慢するほどはある。

 それに何より元気だ」

狐獣人が私と社長を交互に見て言った。

「竿の角度が違いますね。

 私など、もう水平くらいにしか勃ちませんよ」

そう言って1人笑ったのは馬獣人。

狐獣人は馬獣人の言葉には反応せず、続ける。

「しかし、硬さはどうかな?」

「確かめられてはどうでしょう?」

答えたのは社長。

すると狐獣人は自らの顔の高さまで片手を持ち上げた。

それを見て、社長は無言で顔を私に向ける。

暗黙の言葉を受け取って、私は勃起させたイチモツを揺らしながら狐獣人の元へと向かった。

ほんの数歩の道中、

「皮被りのチンポが揺れとるわ」

「ああ、ブルンブルンしとりますな」

猪獣人と豚獣人が交互に囃し立てた。

羞恥心に体を熱くしながらも狐獣人の元に辿り着くと、狐獣人は私を見上げ、

「ワイシャツに隠れてよく見えないな」

と、暗にワイシャツを脱ぐように指示をしてきた。

言われるまま、ネクタイを解き、ワイシャツを脱ぐ。

「全裸に靴下だけとは、これまた卑猥!」

馬獣人の言葉に、全員がニヤニヤと笑う。

馬獣人の言うような姿になった私は、直立不動の姿勢で狐獣人の次の動向を待つ。

「ふむ、それでは遠慮なく」

言うと、狐獣人は片手を伸ばし、私のイチモツを掴んだ。

「おお〜、これは硬い!

 まるで石のようだ!」

触れるや否や、狐獣人は嬉々とした様子で私のイチモツの硬さを評価した。

「ほう、それはそれは。

 私も触ってみたいですな、会長」

牛獣人が言うと、それを皮切りに、

「私もだ」

「私も」

と、そこかしこで声が上がる。

その声を聞き、社長が口を開く。

「それでは皆さん、どうでしょうか。

 彼を卓の上に寝かせてみては?」

社長の提案に、男達が色めき立つ。

「いつぞや流行った、女体盛りならぬ男体盛りですか、社長!」

興奮した様子で馬獣人が言うと、社長はうなずき、料理の乗った卓を片付け始めた。

「これはいい!」

「おもしろそうだ!」

男達は口々に言って、社長に続いて卓の上を片付け始める。

しばらくして卓の上の料理はすべて卓の下に置かれ、かくして私は男達の箸を待つ料理のように、きれいになった卓の上に仰向けに寝かされることになった。

「女体盛りは見たことがあるが、男体盛りを見るのは初めてだな」

「私も初体験ですよ、会長」

体の前面をさらけ出した私を見下ろしながら、狐獣人と猪獣人が言う。

「では皆さん、お好きなように盛り付けてください」

社長の一声に、男達は卓の下におろされた料理を、思い思いに私の体の上に盛り付けていった。

刺身や寿司等が男達の相談の下に並べられ、私の体を飾り付けていく。

私の体に群がりながら、あれこれ相談して料理を盛り付ける男達の姿は、はたから見れば滑稽に見えただろうが、当事者の私は乗せられていく料理の冷たさと感触に、図らずも肉体が反応してしまっている状態だった。

「仕上げに……」

馬獣人が私のイチモツのそばに稲荷寿司を2つ置き、私を皿にした男体盛りは完成した。

「これは見事だ!」

猪獣人が手を叩いて声を上げる。

「うむ、食べるのが惜しいくらいですな」

と、牛獣人。

彼はさりげなくポケットから携帯電話を取り出すと、盛り付けられた私の体を撮影し始めた。

シャッター音が鳴り、それを見たほかの男達も、各々携帯電話を取り出し、私の体を撮り収めていく。

「いいものが撮れた」

豚獣人が言うと、男達は笑い、携帯電話をしまう。

そして、

「撮影もお済になったようですし、そろそろお料理の方もお召し上がりください」

社長の言葉を受けて男達は箸を取り、私の体の上に伸ばした。

しばしの歓談。

しかし、その間も男達は私を責め苛むことを忘れはしなかった。

ある者は料理を取るついでに私の毛皮に隠れた胸の突起をつついたし、またある者はイチモツ付近に盛られた料理を取る時に、わざとらしく箸でイチモツをかすめていった。

そういった刺激を受けるたび、料理を乗せられた私の体はピクリと微動し、その様を見ては男達は子供のように喜んだ。

やがて私の体の上の料理がほとんどすべて片付くと、馬獣人が最後に残された品に手を伸ばした。

最後に残された品は、彼自身が最後に盛り付けた、イチモツの横の稲荷寿司だった。

「名残惜しいですが、これが最後の一品になりますね。

 2つありますし、会長、お1つどうぞ」

そう言って、馬獣人は狐獣人に最後の品の片一方を勧めた。

「なら、遠慮なく」

狐獣人がスッと箸を伸ばす。

しかし、その先はイチモツの横の稲荷寿司ではなく、私の陰嚢だった。

「おっと、これは違う稲荷寿司を摘まんでしまった、失敬」

使い古されたような呆けに、それでも場は大爆笑。

「いけませんな会長。

 お料理はこっち……おっと!」

馬獣人は馬獣人で、稲荷寿司どころか、私のイチモツそのものを箸で摘まみ、

「こりゃあ、稲荷寿司じゃなくてウィンナーだったか。

 それも皮付き極太の!」

と言って、私のイチモツを左右に振って見せた。

男達は腹を抱えて大笑い。

ところが、次の狐獣人の一言で、場の雰囲気が変わった。

「だが、これまた随分立派な稲荷寿司だ。

 思わずむしゃぶり付きたくなる」

色を含んだ狐獣人の言葉に、場は静まり返った。

言葉を発した狐獣人本人は、私の陰嚢から箸を放し、本物の稲荷寿司を摘まんで口に運ぶ。

それに遅れて、馬獣人も無言で私のイチモツから箸を放し、稲荷寿司を取って食した。

そうしてしばらくの沈黙があり、各々酒をあおる。

どれくらいしてか、沈黙を破ったのは社長だった。

社長は立ち上がると、ぐるりと男達を見回し、

「お料理もなくなったことですので、皆さん、最後の仕上げをなさってはいかがですか?」

そう言って、ニタリと笑った。

「仕上げ?」

牛獣人が尋ねると、社長は淫猥な笑みを張り付けたままうなずき、そっと私の傍らにかがみ、顔を私の体に近付けた。

そして、

「こうして――」

ペロリと、私の体の料理が乗っていた部分に舌を這わせる。

わざとらしく音を鳴らして舐め上げ、再び男達を見回して言う。

「こう汚れてしまっていては、彼は服も着られません。

 どうか皆さん、そのお舌で彼をきれいにしてやってくださいまし」

仰々しく頭を下げる社長。

それを見た男達は、お互いに顔を見合わせる。

そして、わずかな間を置き、男達に顔に劣情の色が浮かんだ。

「それもそうだ」

と、まず私の体に近付いたのは狐獣人。

「大切なワイシャツを汚すわけにはいかんでしょうからな」

猪獣人がそれに続く。

2人が動くと、あとはなし崩しだった。

男達は好き好きに私の体に群がり、舌を這わせる。

社長を除く全員の舌が私の体の上を這い回り、私はくすぐったいような心地よいような感覚を覚えていた。

1人が腹の上を舐め上げたかと思えば、1人が胸の突起を吸い上げる。

また、別の1人が脇近くに鼻をうずめたかと思えば、ほかの1人が足の付け根付近を舌でなぞった。

刺激は舌だけでは終わらず、男達は手を使って私の体をさらにいやらしく苛んだ。

顎の下をくすぐられ、手指の先を艶めかしく弄られ、尾を力強く扱きあげる。

否が応でも私の性的感覚は快感を覚え、イチモツはこれ以上ないほどに硬く、またさらに先端からは粘液を滴らせてしまう。

糸を引きながら腹の上に垂れた粘液を見て、豚獣人が顔を上げ、ニヤ付きながら傍観していた社長に向かって言う。

「社長、これはいけませんよ。

 せっかく我々がきれいにしてあげているというのに、彼はこんなに粗相してしまっている」

豚獣人の声に、ほかの男達も私の痴態に気付き、鼻で笑う。

社長は豚獣人の苦情にも笑みを崩すことなく、

「申し訳ありません。

 なにぶん、彼は若いものですから、どうかご容赦を」

と切り返した。

その言葉に食い付いたのは牛獣人。

「社長のおっしゃる通り、たしかに若い。

 何せ、皮被りですからな」

牛獣人は言葉と共に、私のイチモツを指で弾いた。

ユラユラと揺れる私のイチモツを見て、男達は笑い声を上げる。

その嘲笑に、私の体は不覚にも反応し、鈴口から透明な粘液をさらに溢れさせてしまった。

「おうおう、本当に若い。

 我慢汁が止まらんわ」

猪獣人は小馬鹿にするように言い、腹の上に滴って溜まりを作った粘液を舐め上げた。

「うむ、若い雄の味がする」

ペロリと舌なめずりをし、猪獣人が言う。

「そろそろ、会長、一番口を付けられては?」

馬獣人が狐獣人に向かって言うと、狐獣人はじっと私のイチモツを眺め、

「滓付きのウィンナーなどはいらんよ?」

と言って、私のイチモツを掴み、被った皮を引き下ろした。

「ほう、きれいなものじゃないか」

滓1つ付いていない私の亀頭を見て、狐獣人が称賛する。

その言葉通り、私の亀頭は粘液でテラテラと輝いてこそいたものの、滓はまったく付着していなかった。

この料亭に来る前、社長からの呼び出しが掛かったあとにシャワーを浴びているのだから当然だ。

「これならば……」

狐獣人が、剥き出しになった私の亀頭に口を近付ける。

ほかの男達は、固唾を飲んでその動向を見守っている。

環視の中、狐獣人はペロッと、私の粘液まみれの亀頭を一舐めした。

その瞬間。

「んっっく……!」

押し殺した声と共に、私は体を硬直させた。

『おおっ!?』

男達の声が重なる。

その目が見つめる中、私のイチモツは激しく振れ、白濁した精液を撒き散らしていた。

一拍おいて、部屋内に爆笑が起きる。

「こりゃいい!

 皮被りのうえに早漏とは!」

「何とも情けないチンポだ!」

「こんな情けないチンポは見たことがない!」

「男として恥ですな!」

口々に男達が侮蔑の声を上げる。

私は羞恥と屈辱のあまり、消え入ってしまいそうだった。

しかし、そんな私の心理とは裏腹に、私のイチモツは溜まった精液を撒き散らし続ける。

「だが見ろ、すごい量だぞ。

 それにまだ勃っている」

狐獣人が飛び散った私の精液と、それを放ってなお萎えない私のイチモツを見て言う。

「ああ、我々ではこうはいきませんな」

「その点は評価してあげましょう」

「若さの賜物というわけですか」

狐獣人の評価につられて、今度は男達は称賛の声を上げた。

そこに一歩引いて傍観していた社長が口を挟む。

「粗相のほどをお許しください。

 先程も申しましたように、彼はまだ若いものですから。

 しかし、皆さんがよろしければ、心行くまで彼をお召し上がりになってはいかがでしょう?

 彼も、ほら、まだ供じ足りないようですので」

精液を放ち終え、ヒクつき続けている私のイチモツを指さして社長が言う。

男達は相談するように顔を見合わせて、ニタリと笑い合った。

「社長がそう言うなら、そうさせてもらおうかな」

狐獣人が放ったその言葉を皮切りに、男達は私の体を先程以上に弄び始めた。

狐獣人は精液を放ち終えたばかりの私のイチモツをねぶり上げ、溢れた精液と粘液とを堪能する。

馬獣人は私の陰嚢を手で弄び、また口に含んでコロコロと転がした。

牛獣人と豚獣人は、それぞれに私の胸の突起を摘まみ、甘噛みし、しゃぶり尽くす。

猪獣人は飛び散った私の精液を指で掬い取ると、私の閉じられた菊門に塗り付け、指をあてがった。

「締りの良さそうなケツだ」

言いながら、猪獣人は精液の付着した指で私の菊門をこじ開けるように動かす。

ほかの男達は、それぞれに私を責めながらも、猪獣人の動向をうかがっているようだった。

程なくして、私は菊門内部に異物感を感じた。

「おお、指が入ったぞ。

 いい締め付けだ」

猪獣人の歓声に男達は淫猥な笑みを浮かべた。

「どれくらいまで入るかな?」

言いながら、猪獣人が指を押し込んでくる。

私は猪獣人の指が押し込まれるごとに、異物感と共にほのかな快感を得ていた。

狐獣人が執拗にねぶる私のイチモツが、意思とは関係なく動いてしまう。

目ざとくそれに気付いたのは、イチモツを目の前にしている狐獣人ではなく、胸の突起を咥えていた牛獣人。

「ケツを弄られて感じているのか?

 何とも淫乱な男だな」

「我慢汁まで溢れ始めて、こりゃ、またイってしまうんではないかな?」

牛獣人の向かいにいる豚獣人が、私の胸の突起を指で弄りながら同調した。

男達は一様に含み笑いをし、私への責めを続ける。

牛獣人と豚獣人は相変わらず私の胸の突起を弄り、しかし視線は私のイチモツに向けていた。

馬獣人は猪獣人が責める私の菊門に興味を示したようで、私の陰嚢を弄ぶことをやめ、猪獣人の手技を眺めている。

狐獣人は私のイチモツをねぶることをやめ、代わりに手でもってゆるゆると粘液まみれのイチモツを扱き始めた。

それもただ扱くだけではなく、私のコンプレックスの1つでもある、皮を被っていることを強調するように、根元に向かって扱く時は弱く小さく、先端に向かって扱く時は強く大きく扱いた。

そうされることで、私の亀頭は完全に皮に包まれ、余った皮の口から粘液が玉となって溢れた。

「皮被りもここまでいくと見事ですな」

「まったく、大きさを除けば子供のチンポと変わらん」

嘲るのは牛獣人と豚獣人。

2人は狐獣人の弄ぶ私のイチモツに興味が移ったのか、胸の突起への刺激をやめて、イチモツの周りに近寄ってきた。

「こっちは指が1本、完全に入ったぞ」

猪獣人が告げると、男達は嬉しそうに笑った。

「指を入れられても萎えないとは、これは本当の淫乱男というわけですか」

馬獣人は囃し立てると、ちびりちびりと酒を呑んでいた社長に向かって言った。

「社長もいい秘書をお持ちだ」

「いえいえ、それほどでも」

社長は謙遜して返し、酒をあおる。

「どれ、少し動かしてみるか」

猪獣人はそう言うと、私の菊門に差し込んだ指を前後に動かし始めた。

「中もきれいなようだ。

 ここに来る前に洗ったのかな?

 指導がよく行き届いている秘書だ。

 なぁ、社長?」

抜き差しする指に付着物がないことに気を良くしたらしい猪獣人が、社長に向かって言う。

社長はこれには答えず、無言でニタリと口角をゆがめるだけだった。

「そっちは指が入ったが、こっちはどうかな?」

笑い交じりに言ったのは狐獣人。

彼は一旦私のイチモツの皮を剥くと、現れた亀頭の先端部に指先を押し当て、次いで剥いた皮を元に戻した。

すると、戻された私の皮は、亀頭にあてがわれ狐獣人の指を飲み込んだ。

「おお〜、見事に入りましたな」

「まるで一輪挿しのようだ」

私のイチモツの皮が狐獣人の指を受け入れたことを、男達は嘲りつつも喜んだ。

そこへ、それまで傍観者に徹していた社長が、徳利を片手に近寄ってきた。

「会長、こんな芸はいかがでしょう?」

社長は、そっと狐獣人に耳打ちをする。

狐獣人は黙って社長の言葉を聞き、やがてその顔に淫靡な笑みを浮かべた。

ほかの男達は、きょとんとして2人のやり取りを見守っている。

社長が耳打ちを終えると、狐獣人は男達に向かって、

「君達、ちょっと彼の皮を広げてくれないか」

そう指示し、私のイチモツから指を抜き去った。

『?』

男達は狐獣人の指示の意味がよく理解できていない様子だったが、馬獣人、豚獣人、牛獣人は、指示された通りに私のイチモツの皮を摘まんだ。

「私も参加させてもらおうか」

それまで私の菊門で指を抜き差ししていた猪獣人もその輪に加わる。

4人の男の手で、私のイチモツの皮が痛みを覚えるくらいにまで広げられた。

そこへ社長の声が掛かる。

「それでは皆さん、淫乱秘書の皮杯でございます」

告げると、社長は広げられた私のイチモツの皮に、手にしていた徳利の酒を注ぎ始めた。

冷たい感覚がイチモツを襲う。

周囲の男達は、物珍しいその光景に、

『おお〜!』

と、声を上げていた。

社長は私の皮杯から溢れる程に酒を注ぐと、

「ささ、会長。 どうぞ一献」

ニタニタと笑っていた狐獣人を促した。

「では、遠慮なく」

狐獣人は淫らな笑みを張り付けたまま、私の皮杯に口を寄せ、ズッと音を立てて酒を呑み干した。

狐獣人が私の皮杯から口を離すと、男達から拍手が上がる。

「これは社長に一本取られた!」

「皮被りならではの芸というわけですか」

「さすが社長、目の付け所が違う」

「これはいい。 今度、うちの若い者にもやらせましょうか」

男達は口々に社長を褒め、社長もまんざらではないようすで会釈で返した。

「次は私が呑ませてもらおうかな?」

ざわつく男達の中から、猪獣人が声を上げる。

その言葉からして、私の皮杯の催促のようだった。

「では私も」

「私も」

猪獣人に続き、ほかの男達も声を上げた。

それに応え、手すきの男達は私のイチモツの皮を広げ、社長は酒を注ぎ、1人が皮杯から酒を呑むということを続けた。

全員が呑み終える頃には、私のイチモツとその周囲の毛皮は、溢れた酒でびしょびしょに濡れてしまっていた。

「びしょ濡れだな。

 これでは彼が風邪を引いてしまう」

言葉に含みを持たせて言ったのは狐獣人。

続いて猪獣人が、

「きちんとふき取ってやらねばなりませんな」

さらに続いて馬獣人が、

「酒で冷えてしまっているようだから、温めることも必要ですな」

「しかしただふき取るだけでは、せっかくの酒がもったいない」

「ここは、我々の舌できれいにしてあげることにしましょうか」

牛獣人と豚獣人もそれに続き、かくして男達は私のイチモツに群がることになった。

散々に弄ばれた私のイチモツは、その責め苦に耐えられるはずもなく、

「……ふぅっ! うぅぐぅぅ!!」

私の忍耐空しく、群がった男達の舌にほんの数回舐められただけで、2度目の射精を果たしてしまった。

男達はその様を淫猥な目で見守りながら、しかしそれでも責めをやめはしなかった。

私のイチモツも、まるで彼等の欲求に応えるかのようにそそり立ち、萎えることがなかった。

それどころか、2度も射精をしたというのに、くすぐったさや倦怠感を覚えるどころか、逆に興奮を高め、より大きく、より硬くなってしまう始末だった。

そんな私の不沈のイチモツに、男達は口々に感想を述べる。

「こんなに耐久力のあるモノは初めてだ」

「まったく、大きさも硬さも申し分ない」

「しかし皮被りというのはもったいないですな」

「いやいや、先程の皮杯の件もありますから、一概にそうとも言えませんよ」

「本当に。 私は皮被りの男を少し見直しましたよ」

感想を述べながらも、男達は私のイチモツを弄んでいた。

1人はイチモツの根本の毛皮に舌を這わせ、1人は濡れた陰嚢を音を立てて吸い、1人はイチモツを横から咥え、1人は硬さを確かめるようにイチモツを握り、1人は余った皮に指を差し入れた。

私のイチモツは揉みしだかれ、弾かれ、擦られ、そうして最後には、男達全員が私のイチモツに舌を這わせることになった。

まるで童心に返ったように無邪気に、しかし同時に大人の淫猥さを伴った悦楽の表情で、男達は私のイチモツを一心不乱に舐め続ける。

男達の舌は、陰嚢を持ち上げるように舐め上げ、擦るようにイチモツを横から舐め下ろし、割り裂くように皮の中に侵入し、つつくように鈴口を責め立てた。

その例えようもない刺激の中、私は男達の恍惚とした瞳に見守られて、3度目の射精へと達した。

 

 

射精を終え、萎え始めた私のイチモツにまだ男達が群がる中、1人、輪から外れて傍観していた社長が、私の耳元に近寄って囁く。

「君のおかげで、また仕事が増えそうだ……君には本当に感謝している……今後もよろしくお願いするよ……」

男達に気付かれないような社長の所作と小さな囁きに、私は同じく男達に気付かれないよう、薄っすらと微笑んで囁き答えた。

「はい、今後もよろしくお願いいたします……」