気配に眠りを妨げられて目を覚ました。
九喇嘛は目を開くと、意識を『檻』の外へと向ける。
そこには1人の少年がいた。
名はナルト。
彼は今、月明かりが窓から射すだけの薄暗い部屋で、ある行為に興じていた。
下半身を剥き出しにして、その中心部にある一物を握り込んで扱いていたのだ。
その行為を、九喇嘛は幾度も目にしていた。
ナルトが行うその行為は、九喇嘛には実に不可解なものだった。
一物を弄り回して屹立させ、弄る方法は多々あれど、最終的にはそこから白濁とした液体を放つ。
そうしては、ナルトはぐったりと、疲れ切った様子を見せるのだ。
何が彼をそうさせるのか、九喇嘛からしてみれば、まったく理解の及ばないものだった。
またか、と思いつつ、九喇嘛は目を閉じようとする。
いつもならここで意識を閉ざしてしまうのだが、この日は、なんとはなしにナルトの行為が気になった。
一体何の為の行為なのか。
何故息を切らせるほど疲れる行為をするのか。
ナルトに尋ねてみるのが、解を得るのに一番の近道だが、それはできない。
ならば、と、九喇嘛は身を起こした。
そうして、己の下半身の一点、一物のある場所に目を落とす。
幸いと言うべきか、九喇嘛にもナルト同様の一物がある。
それは使う必要のない器官だったが、もしもナルトと同様の器官であるならば、彼が行為にふける理由も分かるかもしれない。
そう思い、九喇嘛は股間に手を伸ばした。
毛皮の上から、指先でくじるように一物を弄っていると、毛皮に隠れていた一物が鎌首をもたげ始めた。
人のそれと変わらない形をしたそれは、赤黒く脈打ち、樹木の如く長大だった。
その下には、これまた人と同じ形をした睾丸が2つ、獣毛に覆われた大風呂敷の如き大きさのふぐりに包まれてぶら下がっていた。
奇妙な感覚だった。
生まれ落ちて初めて覚える、不思議な感覚。
一物の表面はどくどくと脈動し、芯は火が灯ったように熱く滾っていた。
初めての変化に、九喇嘛は若干の戸惑いと強い好奇心に駆られ、ごくりと息を飲む。
そして、聳え立つ一物を、透かし見ているナルトがしているように握り、上下に扱き上げた。
途端、大きく裂けた口から、獣の唸り声が漏れた。
それはこれまでに得たことのない快感が漏れ出させた歓喜の唸りだった。
九喇嘛は、想像だにしていなかった快感に、ナルトに向けていた意識を戻し、自らの一物に視線を落とした。
ナルトの一物とは比べるべくもない程の大きさを誇る九喇嘛の一物は、握り込んだ手の中で妖しく脈動を続けている。
手を離せば、ビクンと大きく跳ね、次なる刺激を今か今かと待ちかねるように跳ね続けた。
自らの一部だというのに、まるで抑制の効かないそれは、別の生物のようにも見えた。
しかし、手を添えて扱けば、そこからは確実に未知の快感が得られる。
その快感は、脳天を突き抜けるかのように強烈で、扱き上げるたびに唸り声が漏れ出してしまうほどだった。
今や、九喇嘛は一物が発する快感の虜となっていた。
見よう見まねで始めた一物を扱き上げる行為は徐々に激しさを増し、快感の蓄積を体の芯に築き上げていく。
体の内奥に奇妙な熱さを覚えながらも、九喇嘛は一心不乱に一物を扱き続けた。
そのうちに、一物の先端に入っている小さな切れ目から、プックリとした半球状の透明な液体が湧き出したことに気付いた。
それが粘性のある液体であると、九喇嘛はこれまでのナルトの行為を透かし見ていたことで理解していた。
爪の先でそれを掬い取り、それを指の腹で押してみる。
途端、半球状の液体がぬるりと潰れ、粘りを持ったそれは一物の先端に広がった。
指の腹が一物の先端に触れると、そこからはまたも未知の快感が放散された。
それは、一物を扱くのとは別種の快感だった。
例えるなら、扱くことが渇いた刺激であるのに対し、こちらは文字通り濡れた刺激だった。
濡れた刺激に反応して一物が震えると、またも粘液が湧き出し、それを見た九喇嘛は、粘液は快感を得ると放出されるのだと気付いた。
得たりとばかりに九喇嘛はそれを一物に塗り広げる。
塗り広げられた粘液は、一物に塗れた快感を与え、それによって粘液がさらに湧き出し、それをさらに塗り広げ。
そうやって快感の連鎖はとどまることを知らずに続いた。
溢れ出た粘液の量は凄まじく、一物全体を濡れそぼらせるだけでなく、その下のふぐりから滴って、足元を満たす液体に落ちるほどだ。
しかし、指の腹で一物の先端を刺激し続けていた九喇嘛は、刺激に物足りなさを覚え始めていた。
指の腹一点のみで一物を刺激する今の状態をじれったく感じ、空いていたもう片方の手で、ぬらぬらと粘液で光る一物を掴んだ。
すると、これまで以上の強烈な快感が九喇嘛を襲った。
粘液が潤滑油となって、一物と掌が絶妙な具合で擦れる。
握り締めれば、そこから逃げるように一物は滑り、握る力を緩めれば再び一物は元の位置に戻る。
九喇嘛は、握り潰さんばかりの力で一物を握り締め、激しく上下に扱いた。
粘液が飛沫となって飛び散り、九喇嘛の橙色の毛皮を濡らしていく。
溢れ出る粘液はとどまるところを知らず、より一層の潤滑油となって、九喇嘛が快感を得る手助けをしていた。
グチャグチャとした粘着質の音が、一物の大きさが大きさである為に、周囲の空間にこだまする。
そのうちに、九喇嘛は体の芯に熱い凝りのような物を感じ始めた。
それは一物のさらに奥にあり、快感とも違和感ともつかぬ奇妙な感覚だった。
早くこの凝りを体外に出してしまいたい。
九喇嘛は自然とそう思い、それにはこのまま一物を扱き続けるのが良いのだと、直感的に理解していた。
ゆえに、九喇嘛は一物を扱き続けた。
今や粘液は、扱く勢いが強すぎて泡立つほどで、一物どころか、握る手の甲までもを濡らしている。
体内の凝りが膨れ上がるのを感じながら、扱き続けることしばらく。
ついにその時が訪れた。
熱い凝りが、強烈な快感を伴って一物の内部を上っていく。
一瞬、意識が遠のくほどの快感を感じたのも刹那のこと、熱い凝りが一物の先端から放出された。
それは白濁した液体で、凄まじい勢いで体外に飛び出した。
白濁液は九喇嘛の頭よりさらに高くまで上昇し、そのまま下に落ちる。
だが、その間にも第二、第三の白濁液が一物の先端から放たれ、そのたびに九喇嘛は意識が薄れるほどの快感の波にもまれていた。
十数度にわたる快感の波が九喇嘛に訪れ、それによって放たれた白濁液の量は、人間が浸る程の液量に達していた。
快感の後に訪れた脱力感に、九喇嘛は肩で息をしながら全身を弛緩させる。
股間に目を向けると、一物は白濁液の放出によってしぼんだかのように、だらりとだらしなく腹の上に横たわっていた。
微量ながら、先端からはまだ白濁とした液体が流れており、時折ビクンと痙攣のように脈動していた。
その様を見ながら、九喇嘛は意識を外のナルトに戻す。
ナルトは九喇嘛が今しがたまでしていたように、己の一物を扱き続けていた。
しばらくそのさまを見続けているうちに、九喇嘛は何とも形容しがたい高揚を覚え、同時に一物が再び熱を帯び始めたことに気付いた。
脈動と共に肥大し、再び屹立し始める一物を眺めながら、九喇嘛はその場に立ち上がり、目の前の格子を両手で握って体を支えて、同時に九本の尾を動かした。
内の一本を体の前に回し、完全に屹立した一物にそっと押し当てる。
触れた瞬間、尾に生えた獣毛がこそばゆく感じるが、すぐに芯のある尾の本体が一物に触れ、そのまま尾を一物に巻き付けた。
手でした時と同じように、尾を上下に動かし、一物に刺激を与える。
手の時と違い、その刺激は弱々しかったが、それはそれで趣の違う、遠回しな快感だった。
始めは一本の尾で扱いていたが、やがて尾の数を二本、三本と増やしていくと、刺激は強くなり、五本を超える頃には手で与える刺激よりも強くなっていた。
九喇嘛は五本の尾で一物の竿の部分を扱き上げ、残り四本の尾で、その下の睾丸を刺激し始めた。
睾丸を尾の上に乗せ、尾を前後に動かして転がすように刺激、あるいは二本の尾でお手玉をするように睾丸を弄んで刺激を加える。
四本の尾によって、睾丸はころころと転がり、そのたびに獣毛で覆われたふぐりの形を変えていった。
その刺激もまた、一物を刺激するのとは異なった快感となって、九喇嘛の体を駆け巡る。
先の透明な粘液も再び溢れ出しており、尾の表面を覆う獣毛はびしょびしょに濡れていた。
それがまた、刺激を強めることに一役買い、九喇嘛の息は徐々に荒くなっていく。
意識が遠のくほどの快感を再び得る為、九喇嘛は尾を動かし続けた。
格子にすがるようにして、頭を下ろして股間を見れば、一物は尾に埋め尽くされて見えず、ふぐりはゆさゆさと上下に前後に弄ばれていた。
興奮と刺激が強まるにつれて、尾の動きも一段と激しさを増していく。
それぞれが別個の生物であるかのよう蠢く尾は、九喇嘛の快感に比例して暴れ回り、容赦のない刺激を一物に、睾丸に加えていた。
五本の尾は一物を扱き上げるだけにとどまらず、その表面を余すところなく這い回り、時に根本を縛り上げ、時に先端の切れ目をくじり開け、時に中央をしたたかに打ち据えた。
ふぐりに包まれた睾丸も同様で、痛みを感じない程度に転がされ、持ち上げられ、引っ張られる。
その様は、もはや弄ぶという表現などでは生易しく、蹂躙という表現がふさわしいだろう光景だった。
九喇嘛はその光景を恍惚の表情で見つめていた。
口は弛緩してだらしなく開き、そこから涎を垂れ流して快感に打ち震える姿は、野生の獣にすら劣る畜生の様だった。
そのような浅ましくも激しい行いは、そう長くは続かなかった。
先程訪れた、快感の絶頂が、再び九喇嘛を襲う。
格子を握る両手に力を込め、全身を強張らせて小刻みに痙攣する九喇嘛。
一物を縛る尾は、折れよとばかりにきつく巻き付いている。
静寂と静止が数秒あった。
その間、九喇嘛は、先の白濁液が、一物の根元に集まってくる熱を感じていた。
一物が尾によって縛られているので、出先を失い、そこに溜まっているのだと、九喇嘛には分かった。
尾の縛りを解けば、溢れ出す白濁液によってもたらされる快楽はどれ程の物かと、九喇嘛は全身を硬直させながら思った。
その数瞬後、九喇嘛は一物を尾の戒めから解き放った。
白濁液が一物の最奥から凄まじい勢いで昇ってくる。
それが一物の内部を刺激し、途方もない、それこそ先程の絶頂以上の刺激となって九喇嘛を襲った。
九喇嘛は意識を失うまいと、さらに全身に力を込める。
両手に握られた格子が軋み、食いしばられた歯がぎしぎしと音を立てた。
一物の先端から放たれた白濁液は白い矢となって、床に突き刺さる。
まるで勢いの良い小便の如き白濁液の噴出は、脈動に合わせて数度行われ、そのたびに九喇嘛は全身を強く硬直させ、快感を受け入れ、そして耐えていた。
すべての白濁液を出し終えると、九喇嘛は力尽きたようにその場に崩れ落ちた。
かろうじてつないだ意識を外に向ければ、いつの間にかナルトも同じように白濁液を放って、肩で息をしているところだった。
心地良い倦怠感が全身を包み、意識が深く沈んでゆくなか、ナルトが連日のように行為にふけるのも無理からぬことと、九喇嘛は彼が行為にふける理由を理解していた。
そして同時に、己もまた、この行為の虜になるだろうということも。