「ちょっと旅行でも行こうか?」
一仕事終えて、宿舎で夕食をとりながら、オレは目の前に座る黒い竜人、バンネに向かって提案した。
「旅行、か?」
バンネは食事の手を止め、こちらを見て問い返してくきた。
オレも食事の手を止め、頷く。
「そろそろ懐具合も温まってきたことだし、このところ忙しかったろ?
だから息抜きにさ」
旅行に行く理由を告げると、バンネは少し考える風を見せ、それから再度尋ねてくる。
「行くのは構わないが、どこに行くんだ?」
「バンネはソドムっていう街、知ってる?」
「聞いたことはある。
たしか、背徳の都とか言われている、無法者が集まる場所だろう?」
「そう、そこ。 そこに行きたいな〜って思ってるんだ」
オレが気楽に言うと、バンネは眉根を寄せた。
その様子から、オレは何となくバンネが次に言うことが予想できた。
「危険じゃないのか?」
案の定、予想していた通りの問いが返ってきた。
たしかに、ソドムは危険な街だ。
あらゆる犯罪行為が正当化され、それゆえに多世界から様々な無法者達が集まってくる。
強盗や殺人など日常茶飯事だと聞く。
むしろ、そんなことが起きない方が異常だという。
そんな所に気楽にも行こうと提案しているのだ、バンネの心配も当然のことだろう。
しかし、実はオレは過去に2度程、仕事で訪れたことがあるのだ。
「大丈夫大丈夫、言う程危なくないって」
「……フラルス」
変わらずに気楽に答えると、バンネは少し怒ったような声音でオレの名を呼んだ。
「オレは心配してるんだ。
オレはともかく、お前が危険な目に遭いはしないかと。
お前に万が一のことが起きたら、オレは……」
バンネが言葉を切る。
その顔には苦渋の色が浮かんでいた。
それを見て、少し言い方が悪かったかと反省するオレ。
「ごめん。 でも大丈夫さ。
実はオレ、あの街には2回くらい行ってるんだ。
仕事で、だけどね。
2回とも何も問題は起きなかったよ。
よほどおかしな行動を取ったり、変な場所に行かないかぎりは大丈夫だと思う」
気楽に言った理由を告げると、バンネは小さく唸った。
どうやら、まだ納得できないようだ。
だが、もう少し押せば落とせそうだ。
「大丈夫、危なそうな所はちゃんと調べてあるから。
そこに近付かなきゃいいのさ。
今まででオレの情報が間違ってたことあった?」
「それは……そうだが……」
さらに悩む風を見せるバンネ。
ここでダメ押し。
「それに、何かあってもバンネが守ってくれるだろ?
オレ、バンネのこと信頼してるんだからさ。
バンネもオレのこと、信頼してくれよ」
「…………分かった、行こう」
ついに折れて、バンネが了承した。
仕方がないという風ではあったが、それでも充分だ。
「うん、行こう!」
オレはとびきりの笑顔をバンネに向けた。
「さすがに……少し恥ずかしいな」
自分の体を見下ろし、バンネは呟いた。
バンネは首からカードケースを下げる以外には、身に何も身に付けていなかった。
体の外側を黒、内側を黒っぽい灰色を呈した肌が、日光の元に晒されている。
無駄のないしなやかな筋肉が映える長身の裸体は、いつみても美しいと思う。
「バンネはいいじゃない。
竜人だから体の中だし」
言って、オレも自分の全裸の体を見下ろした。
豹獣人であるオレの体は、いわゆる文字通りの豹柄の毛皮で覆われている為、バンネ程は筋肉の起伏が分かるわけではない。
バンネと出会ってからは、彼に体を鍛える為の手ほどきを受けているので、それなりに筋肉は付いたと思うが、それでもバンネに比べたら、毛皮の有無を差し引いても見劣りはするだろう。
頭1つ分程背が低いのも、見劣りの原因だと思う。
ちょっとした劣等感を感じるが、バンネは逆にそんなオレの毛皮を美しいと評価してくれ、羨ましいとさえ言ってくれる。
もっとも、背が低いことには言及しないが、それはバンネなりの優しさなのだろう。
ともあれ、オレ達2人は全裸で往来の端に立っていた。
ここは背徳の都ソドム。
様々な世界から無法者達が集う、無法の都。
だが、それはこの街の一面を示したものであり、この街は別の面も持ち合わせていた。
それを知る者は、それを差してこの街をこう呼ぶ。
快楽の都ソドム、と。
ここには様々な世界から集まった、様々な性に関する施設が整っている。
実は、ここを訪れる者の半数以上は、それを目的で来ているのだ。
かく言う、オレ達もその半数以上に当てはまる者だった。
といっても、性を施してくれる施設が目的ではなくて、それをする場を提供してくる施設、いわゆるラブホテルが目的なのだが。
バンネにはこのことを告げてあり、了承を得ている。
その為に、ここへ来る計画を立ててから1週間、オレ達は交わってはいない。
もちろん、1人遊びも厳禁。
禁欲すれば、いざ行為に及んだ時により快感が得られるだろうという、安直な考えがあってのことだ。
それも当然、バンネには告げてあり、渋々ながらも了解してもらえた。
それはさておいて、オレは往来を見回す。
往来を行き来する人々は全員、オレ達と同じように全裸。
誰一人として体を隠す者はなく、実に堂々として通りを歩いている。
ここに滞在する間は全裸でなければならない、というのがこの街の第1のルールだ。
街の入り口に衣服を預ける施設があり、そこにすべてを預けなければ、そもそも街に立ち入ることすら許されない。
この場合の全裸というのは、衣服のみならず、手荷物も含まれる。
財布も例外ではない。
では街で使う金はどうするのかといえば、衣服を預ける施設で財布代わりのマネーカードが支給されるので、これを使えばいい。
オレとバンネが首から下げているカードケースに入っているのがマネーカードだ。
後払い式なので、限度額はないが、支払うことができないとペナルティが待っている。
紛失した時や盗まれた時も同様のペナルティを科せられるので、失くさないよう、盗まれないよう、しっかりと管理しなければならない。
「それで、どこに行きたいんだ?」
往来に並ぶ建物を見回しながらバンネが尋ねてくる。
「そうだなぁ……色々と見てみたい所はあるけど、それは明日以降でもいいでしょ。
今日はさっそくホテルに行こうか?
……溜まるモノも溜まってるだろうし、ね?」
バンネを見ながら、悪戯っぽく問い掛けると、彼は気恥ずかしそうに顔を逸らした。
(好きなクセに、結構ウブなんだよなぁ。
そこがまたいいんだけど)
などと思いつつ、目的の場所の方へと歩き出す。
しかし、自分で来たいと言っておいてなんだが、実に目のやり場に困る街だ。
自分を含めて周囲は全裸というのは、普段感じることのない異様な雰囲気と言っていい。
それが種族も様々、男も女も老いも若きもというのだからなおさらだ。
女は特段の変化はないが、男の中にはあからさまに勃起している者もおり、ついついそちらへと目が行ってしまう。
ともすれば、オレ自身が勃起してしまいそうだ。
できるだけ平静を装い、目的のホテルへと歩を進める。
ホテルは大通り沿いにあり、治安は比較的良い。
少し裏路地にでも入れば、あっという間に襲われてしまいかねないが、少なくとも大通り沿いではそういうことはほとんどない。
それでも普通の町よりは物騒ではあるが、まだ日暮れというわけでもないので大丈夫だろう。
道中、あれこれとバンネと会話を交わしつつ、歩き続ける。
途中で何度か勃起しそうになったが、そのたびに気を逸らしてこらえ、進むことしばらく。
ようやく目的のホテルが見えてきた。
「あそこだよ」
オレが指さすと、その先をバンネが見る。
ホテルは白を基調とした外観で、意外にも見た目には普通のホテルと何ら変わりのないものだった。
「思ってたよりも普通だな」
バンネもそう口にし、入口の前でホテルを見上げていた。
「もっとネオンがギラギラした所を想像した?」
バンネが想像していたであろうことを予想して口にし、オレは入口へと進む。
入口の自動ドアをくぐると、正面の受付に人族の男性の姿が見えた。
カウンターのせいで下半身がどうなっているのかは分からないが、やはり全裸なのだろう。
ロビーには他には誰もいなかった。
というより、普通の宿にあるような談話ができるようなスペースはどこにもなく、単に受付があるだけの簡素な造りだ。
場所が場所だけに当然と言うべきか。
オレとバンネはこちらに視線を向ける受付の男性の元に向かい、マネーカードを提示して対応を待つ。
男性は愛想もなくマネーカードを受け取り、無言で部屋のカードキーと共にマネーカードを返してきた。
随分と対応が悪いが、こういった場所に来たのは初めてだったので、こういうものなのだろうと割り切り、男性の無愛想さは気にしないでおくことにした。
2枚のカードを受け取り、オレとバンネはカードキーに書かれている『303』の部屋へと向かった。
エレベーターに乗り、3階へと着くと、廊下の片面に等間隔にドアが並んでいる。
その中から『303』の札が張られているドアを見つけ、ドア横のカードリーダーにカードキーを通した。
プシュッと音を立ててドアが開く。
2人で部屋の中へ入ると、ドアは自動で閉まり、カチッと音がした。
自動でロックが掛かったのだろう。
部屋の内部は薄暗く、いかにもという雰囲気を演出していた。
アロマで焚かれているのか、何やら甘い香りが漂っている。
決して強すぎない甘やかな香りが心地良い。
部屋には大きなベッドが1つと、その脇にサイドテーブル、それからベッドから少し離れた位置にテーブルと2脚の椅子があり、その近くの壁に冷蔵庫があるだけだった。
カーテンは全部閉め切られており、外の様子はまったく見えない。
逆に言えば、外からこの部屋の様子は見えないということでもある。
「こっちは風呂か」
少し離れた所からバンネの声が聞こえたのでそちらを見ると、彼は部屋の隅にあるドアを開けて奥を覗き込んでいるところだった。
そちらに向かい、バンネ越しに奥を見ると、彼の言葉通り、薄暗い奥の部屋はバスルームになっており、随分と大きめのバスタブとトイレがあった。
バスタブにはすでに湯が張られ、バスタブの底に明かりでも仕込まれているのか、湯の揺らめきにかすかに色がついていた。
さらにその奥にはドアが据え付けられており、オレはバンネの脇をくぐってそちらに向かう。
バスルーム奥のドアを開けると、その先は床と壁に柔らかいビニールのような素材の敷き詰められた部屋があった。
部屋の奥には大きな丸い容器が付いており、透明なその容器の中は透明な液体で満たされている。
実はこの部屋こそがオレがこのホテルを選んだ理由だった。
「ここだよ」
オレは振り返り、バスルームの入り口に立っているバンネを手招きする。
応えてバンネがやってくると、オレは部屋の中を見せた。
「何だこれは?」
バンネは柔らかな床を足先でつつき、壁を指先でつつく。
子供のような反応を見せるバンネを微笑ましく見つめながら、オレは説明する。
「マットヘルスって知ってる?」
「いや?」
「風俗の一種なんだけど、マットの上でローション塗れになってプレイするやつ。
ここはその為の部屋。
奥の容器に入ってるのはローションで、アレを使ってヤるんだよ。
このホテルを選んだのは、この部屋があるからなんだ」
「ほう……よく見つけたな、こんな所」
しげしげとマットルームを見回しながら、バンネが感心したように呟いた。
「まぁ、ちょっと調べれば結構出てくるからね」
そう言って、オレはバスルームに引き返す。
「さ、じゃあ、さっそく風呂で体洗って…………しようか?」
「……ああ」
オレの誘いに、バンネは微笑んで答えた。
風呂には別々に入った。
一緒に入っても構わないのだが、そうしてしまうときっとオレもバンネも耐えられなくて、すぐさま行為に移ってしまうだろう。
そう考えての措置だ。
先にオレが、次いでバンネが風呂に入り、互いにさっぱりしたところで、まずは部屋に戻り、このあとに備えて軽く喉を潤すことにした。
冷蔵庫を開けると、事前に調べた通り、中には催淫剤と増精剤が共に入った飲み物が何本も入っていた。
とりあえずそれを2本取り出し、冷蔵庫上に置かれていたグラスを2つ取り、注ぐ。
透明な瓶の中に入った飲み物は薄いピンク色を呈しており、グラスに注ぐとふわりと甘い香りが鼻を撫でた。
グラスの片方をバンネに手渡す。
バンネは、受け取ったグラスをしばし眺め、
「……あとで請求されたりしないだろうな?」
と、一言。
オレは何のことかと一瞬考え、すぐにそれがグラスの中身のことを言っているのだと気付き、小さく吹き出した。
「大丈夫、これもサービスのうちだよ。
ちゃんと調べてあるんだから。
……それにしても、あんまりロマンのないこと言わないでよ」
そう言って、オレはバンネに笑い掛けた。
バンネはバツが悪そうに苦笑いをして応える。
「さ、てと……とりあえず乾杯?」
「そうだな…………で、何に乾杯するんだ?」
言われて、オレは首を傾げ、
「え〜っと…………お疲れ様、的な?」
と、答える。
するとバンネはクックッと笑い、
「お前も大概ロマンがないぞ」
と、指摘した。
たしかにそうかもしれないと思い、オレも釣られて笑う。
「まあ、でも特に思い浮かばないし、いいんじゃないか、それで」
笑いながら言うバンネに、オレはうなずき応え、彼の持つグラスに自分の持つグラスを合わせた。
チンッと高い音が鳴り、グラスの中の液体が揺れる。
オレ達は、同時にグラスの中身を呑み干す。
果物のような甘い液体が口内に満ち、香りが鼻から抜けた。
まろやかな液体が喉を流れ落ち、胃に収まるのが分かる。
液体に溶けた催淫剤と増精剤の効果が出るまでは、まだしばらく掛かるだろう。
空になったグラスをテーブルの上に置き、オレはバンネを見つめた。
バンネもまた、グラスを置き、オレを見つめ返す。
薄暗い部屋の光の加減のせいだろうか、バンネの瞳が妙に妖艶に見える。
オレよりも頭半分程背の高いバンネを見上げていると、バンネが少し頭を下げた。
そして、ゆっくりとオレの顔に寄せてくる。
バンネのしようとしていることを察したオレは、マズルを上に向け、待った。
程なくして、マズルの先端にバンネのマズルが触れた。
どちらからともなく口を開き、舌を伸ばす。
軽く触れ合う舌。
つい今しがた飲んだ飲み物のせいだろう、唾液が甘い。
舌の触れ合う程度の軽いキスを数秒続け、次いで互いの口唇を味わう。
体毛のないバンネの唇を己の唇で感じながら、マズルに沿って唇を動かす。
柔らかい唇の感触が心地良い。
バンネの唇を余すことなく味わうと、続いて深く舌を絡め合うキスに移った。
舌全体でバンネの舌の感触を確かめながら、唾液の交換をする。
滑らかなバンネの舌の感覚は素晴らしく、キスはさらに深くなっていった。
牙と牙がぶつかり合い、もはやキスと呼ぶよりも、互いの口を食らい合うような形になる頃には、すっかり催淫剤の効果が出てきたようで、耳に届く互いの鼻息は相当に荒くなっていた。
それに伴い、下半身も熱を帯び、オレのペニスは硬くいきり立って、先端から透明な雫を溢れさせていた。
バンネのペニスもスリットから飛び出し、先端を湿らせている。
「……ね、そろそろ」
バンネとの深いキスを終わらせ、オレは彼を見上げて誘う。
バンネはうなずき、了承した。
オレはバンネの手を引き、バスルームへ、そしてその奥のマットルームへと向かう。
柔らかな床のマットを踏み締めながら、奥の透明な容器に付けられているコックを捻ると、そこからトロリとしたローションが流れ出し始めた。
ローションは床のマットを濡らし、広がっていく。
「転びそうだな」
バンネの呟きに振り返り、
「転んでもいいように床も壁もマットになってるんだよ」
言いながら、オレは流れるローションを掌で受けて、それをバンネの胸に塗り付けた。
ローションは人肌程に温かく、甘い芳香を放っていた。
オレの行動を受けて、バンネもローションを手に取り、オレの豹柄の毛皮に塗り付けていく。
互いにローションを塗り付け合い、しかし暗黙の了解のように、下半身の一点だけにはどちらも手を触れなかった。
そこを触れる時は、それが開始の合図だと分かっていたから。
その口火を切ったのは、オレだった。
ローションを両手一杯にすくい、バンネの前に跪く。
そして、目の前にある赤く怒張したバンネのペニスにそれを塗り付けた。
「っ……」
頭上から、バンネの吐息が降ってくる。
見上げれば、バンネは恍惚の表情を浮かべてオレを見下ろしていた。
それを見て、頃合いは良しと判断したオレは、ローションの容器のコックを捻って止めると、本格的に行動を開始した。
指に絡み付くローションをすべてバンネの物になすり付け、指先を這わせる。
両の指先でバンネのペニスの形をなぞるように、ソフトタッチで指を動かした。
もっとも刺激の強いであろう先端部分はできるだけ触らないようにしながら、その下で張り詰めている袋を重点的になぞる。
弱い刺激を受けて不満足なのか、バンネが少しだけ、ねだるように腰を突き出した。
しかし、オレは意地悪く指を引き、それを受け付けない。
バンネを見上げると、急かすような表情を浮かべてオレを見ていた。
悪戯心をくすぐられる表情だ。
オレは指一本を竿に添え、袋の付け根から先端に向かって撫で上げていく。
ゆっくりと、やさしく撫で上げ、そしてちょうど裏筋の手前で下へと戻す。
バンネの最大限の性感帯である裏筋に触れないことによって、バンネの焦れは高まっていくだろうと予想しての行動だ。
それを何往復も繰り返し、バンネの心を昂ぶらせていく。
バンネはしきりに腰を突き出し、ペニスをオレの指に押し付けてくるが、オレは取り合わずに同じ刺激を繰り返した。
先端から溢れ出すバンネの先走りが竿を伝ってオレの指に絡み付くが、すぐにローションと混ざり合い、溶けて消える。
やがて、意地悪いオレの刺激に耐えかねたのか、
「フラルス……」
バンネが消え入りそうな声で訴えかけてきた。
オレはニヤリと笑って応えると、指先を裏筋に這わせた。
「はぅ……」
甘い吐息を吐くバンネ。
そのままゆっくりと裏筋をソフトタッチで刺激してやると、バンネは後ろによろめき、壁のマットに体を預けた。
「そんなに気持ちいい?」
返ってくる答えが分かっている質問を投げ掛けると、案の定、バンネはうなずいて意思を示した。
「座って」
囁くようにオレは言い、その場にしゃがむ。
オレの言葉に従い、バンネも壁にもたれながら座り込んだ。
M字に足を広げ、股間をこちらにあらわにする座り方だ。
ペニス全体はもちろん、その下にあるアヌスもよく見える。
オレは床に手を突きながらそこへと近付く。
床のマットはすでにローション塗れで、それこそバンネが言ったようにバランスを崩して転んでしまいそうだ。
しかし、そのまま進んで、オレはバンネのペニスに顔を近付けた。
もう少し進めば口先が触れるというところで、オレは顔の向きを変え、頬をバンネのペニスに擦り付けた。
「うぉ……!」
ローションにまみれたバンネのペニスを、オレの頬の毛皮が刺激する。
当然、オレの頬もローションで濡れるが、そんなことには構わない。
どのみち全身がローション塗れなのだから。
何度もバンネのペニスに頬ずりを繰り返し、バンネの熱を頬で感じる。
「あっ……く、ま、待て……!」
これまでにあまりなかった毛皮による刺激を受け、バンネが懇願するような声を出した。
だが、オレは取り合わず、頬ずりを続ける。
と、
「ダッ……で……る……!!」
息をこらえる声と共に、頬に感じる熱が増したかと思うと、頬と耳、頭に熱い物が降り掛かった。
慌てて顔を離すと、脈動し、しゃくりあげるバンネのペニスがすぐ目の前にあった。
多量の精液が吐き出すバンネのペニスは、次第に動きをゆるめ、最後には先端からドロリとした精液を垂れ流す。
しかし、催淫剤の効果でペニスは萎えることなく、先端は天井を差していた。
「す、すまん……」
射精の余韻から覚め、精液まみれのオレの顔を見て、一言バンネが謝る。
オレが顔に付着した精液を指で拭き取って舐め取りながら、
「ちょっと早すぎない?」
そう意地悪く告げると、バンネは頬を紅潮させ、
「いや……その、しばらくご無沙汰だっただろう?
だから興奮して……その……なんだ…………我慢できなかった、すまん」
と、恥ずかしそうに告げた。
その様子が面白く、愛おしくて、オレは目の前で揺れる、精液の滴るバンネのペニスを一舐めする。
「んっ」
小さく呻いてバンネは腰を引くが、すでに壁を背にしている為に逃げ場はない。
甘いローションと苦みのある精液の混ざった粘液を舐め取りながら、竿を、袋を、腿の内側を綺麗にしてやり、動きを止める。
バンネのペニスは続きを催促するように脈打ち、見上げれば同じように続きを請う視線をこちらに向けるバンネの顔があった。
「もっとして欲しい?」
答えの分かりきった問いを、上目遣いにする。
バンネは息を切りながら頷いて応えた。
オレは床に溜まったローションを手に取り、ローションを舐め取ったバンネのペニス周りに塗り付ける。
掌に昂ぶる熱を感じながら、そのまま背を伸ばし、口付けを交わそうと顔をバンネの顔に近付けると、バンネの方から口を開いて受け入れてきた。
舌を巻き付けながら、むしゃぶるように互いの口内を犯し合う。
吐息が顔に掛かり、耳に相手の昂ぶりを感じながら、しばしの貪り合い。
存分に唾液の交換を終えると、興奮にたまりかねたのか、バンネがオレのペニスに手を伸ばしてきた。
しかし、オレはその手を払いのけ、バンネの目を見て笑む。
「まだダメ。 もっと楽しまなくちゃ」
告げると、バンネはお預けを食った犬のように弱った表情を見せた。
それを見て再び微笑み、オレは体を沈めてバンネのペニスに顔を近付ける。
そして、一舐め二舐めしてから、目の前で滾るペニスを口に含んだ。
「……っあ!」
頭上でバンネの声が漏れる。
オレは構わずに口に含んだペニスを弄んだ。
牙を当てないように細心の注意を払いつつ、舌をペニスに巻き付ける。
舌で形を確かめるようになぞりながら、弱点である裏筋の部分で舌先を震えさせると、いっそうバンネの吐息が荒くなった。
このままではすぐさま射精してしまうと思い、その刺激を打ち切って、亀頭の上部を口蓋にあてがい、頭を前後に降って擦る。
亀頭下部の裏筋と違い、上部は刺激が弱い。
ここだけを刺激してやるならば、そうそう射精することはないだろう。
そうして、裏筋を避けながら、オレはそれ以外の部分を徹底的に刺激してやった。
亀頭上部を口蓋で擦りつつ、舌を丸くして竿の付け根をつつく。
先走りの溢れ出す先端部を舌の裏でなぞり、時折口を離して下の袋にしゃぶり付く。
張り詰めた袋の中の2つの玉を舐め上げ、口に含み、引っ張る。
当然、男の急所なので、加減を間違えないように慎重に。
そうやって結構な時間を掛けてバンネのペニスを口で弄んでいると、突然バンネがオレの頭を両手でつかんだ。
見上げると、苦しそうな表情でバンネがオレを見つめていた。
そろそろ限界だという意志表示だと受け取ったオレは、すぐさまバンネのペニスを咥える。
そして、バンネの両手を払って抑え付け、口をすぼめて頭を前後させた。
「くぅ……!」
前後動のたびにバンネが苦しげに呻く。
散々に弄ばれたバンネのペニスは爆発寸前だ。
オレは頭の動きを速めつつ、舌を裏筋にあてがい、擦り上げた。
「おおぉぉ……!」
バンネの声が大きくなる。
もう限界だろう。
そう思った瞬間、バンネのペニスが膨張した。
刹那、喉の奥に熱い精液が撃ち出された。
喉の奥を叩く精液にえづきそうになりながらも、何とか放たれた精液をこぼさないよう飲み下す。
焦らされた為か、はたまた増精剤の為か、多量の精液が喉の奥に流れ込んできた。
しばらくして精液の発射が止まると、オレは口を離す。
見上げれば、バンネはぐったりとして壁に体を預けていた。
しかし、それに反して、いまだにペニスは萎える様子は微塵もない。
「すっごい出たね……」
呆れ交じりに呟くと、バンネは顔を真っ赤にする。
それを微笑ましく見つめながら、バンネの手を取る。
オレの手よりも一回り大きいバンネの手を握り、そのままオレの股間に導いてやると、何を言ったわけでもないのに、バンネはオレのペニスを弄り始めた。
「そんなに弄りたかったの?」
尋ねると、バンネは頬を染めたまま頷いた。
両手で腫れ物を触るようにオレのペニスを包み、動かす。
バンネを責めている最中にオレの興奮も相当に高まっており、うっかり気を抜けば、すぐにでも射精してしまいそうだ。
そうなれば、バンネに笑われてしまうだろうと思い、オレはできる限り射精しないように努めた。
だが、そうは言っても、こればかりは我慢しようと思っても中々できるものではない。
強気を装って息を殺していたが、バンネはオレのペニスを弄りながらそれを察したのか、チラリとオレを見上げてニヤリと笑った。
今度はオレが頬を紅潮させる番だった。
バンネの指先はいやらしくペニスに絡み付き、滑るように動いた。
先程自分がされたように、刺激の強い先端部分とそれに続く裏筋には触れない。
もっぱら竿の下部と袋に入った玉を弄るだけだ。
遠回しな刺激を受けるたびに、もっと強い刺激がほしいと体が動くが、バンネは中々触れてはくれない。
それどころか、ペニスから完全に手を放し、震えるペニスを観察する始末だ。
「……それ、さっきの仕返し?」
たまりかねて尋ねると、バンネは笑ったままオレを見つめた。
どうやらその通りらしい。
オレは苦笑いしながら、
「ゴメン、謝るよ、
だから……ね?」
そう懇願する。
バンネは笑顔のままため息をつきつつ、再びオレのペニスに手を伸ばした。
今度は積極的に先端部分を刺激してくる。
片方の掌を丸めて先端部分を包み、もう片方で竿を握ると、勢いよく両手を動かした。
「ひゃっ!」
強すぎる刺激に、情けない声を上げながら、オレは体を突っ張らせる。
そして、ものの何秒ともたず、
「イッ……く……!!」
こらえきれずに絶頂に達してしまった。
先端をバンネに握られている為に飛び散りはしなかったが、その掌の中に存分に射精をする。
腰を浮かせながらの壮絶な射精だ、おそらくは握られていなければ天井にまで届き得たかもしれない。
やがて絶頂の波が引くと、先端部を握っているバンネの掌から、尋常でない量の精液が滴っていた。
竿は余すところなく精液にまみれ、下の袋もドロドロの状態だ。
「たくさん出たな」
意趣返しという風に、バンネが言う。
オレはごまかし笑いを浮かべて応えた。
オレのペニスから離したバンネの掌は真っ白だった。
バンネはそのまま口元に手を持っていくと、オレの目の前でそれを舐め取り始めた。
見せ付けるようなその行為を見ながら、
「今日は何だかすごくいやらしいね」
と、告げると、バンネは、
「薬のせいかもな」
冗談めかして答え、床の上に仰向けに転がった。
そうして、両足を両手で持ち上げ、ペニスもアヌスもオレによく見えるように広げてみせた。
アヌスがひくつく様子が分かり、今すぐにでも挿入したい気持ちに駆られるが、それをグッと押さえて、両足の間に覆い被さるようにして体位を整える。
両手をバンネの肩付近の床に付き、バンネを見下ろすと、そのまま体を密着させた。
腹の部分にバンネのペニスが当たり、擦れる。
その瞬間、わずかにバンネの顔がゆがんだが、構わずに体を前後に動かした。
オレの腹の毛がバンネのペニスを緩やかに刺激する。
一方で、オレのペニスはバンネの尻尾の付け根、つまりはアヌス周辺に擦り付けられていた。
さほど快感が得られる刺激ではないが、興奮を高めるには充分な刺激だ。
ふと、尻尾に何やら触れるものがあった。
振り向くと、バンネがオレのそれよりも太い尻尾を、オレの尻尾に器用に絡みつけているところだった。
視線を戻すと、バンネが淫靡な笑みを浮かべ、口を突き出している。
それに応え、オレは口を重ねた。
口中を貪り合いながら、体を動かし、尻尾を絡ませる。
文字通り絡み付くような体位で行為を続けることしばし。
バンネの鼻息が荒くなってきた。
絶頂が近い証だ。
オレはわざと口を離し、次いで体も離す。
そして、尻尾を離したあと、バンネの両足を持って持ち上げた。
バンネは尻を天井に向ける形で、股の間からオレを見上げ、オレは彼の股の間から彼を見下ろす。
バンネのペニス越しに彼を見下ろしていると、ことさらひくつくアヌスが嫌でも視界に飛び込んできた。
誘うように蠢くアヌスに、オレは指を押し当てる。
「っ!」
ピクリとバンネの体が反応した。
待ちかねた刺激に対する反応だ。
オレはアヌスの周りをゆっくりと人差し指の腹で撫でた。
アヌスに付着したローションを塗り広げ、アヌスのしわを広げるように、ひいてはアヌスそのものを拡張するように。
パクパクと動くアヌスは、さらに先の行為を催促するようで、ペニス越しに見えるバンネの表情もそれを望んだものに変わっていた。
望みに応え、オレは人差し指を優しくアヌスの中心にあてがうと、ゆっくりとその奥深くへと沈めていった。
「ああ……」
漏れるような歓喜の声をバンネが発する
ローションと前戯の効果が合わさり、バンネのアヌスは抵抗も薄くオレの人差し指を受け入れた。
埋没した人差し指を、バンネのアヌス内部の腸壁が締め付ける。
その圧力と体内の体温を感じながら、オレは人差し指を上下させた。
指が出し入れされるたび、バンネの口から甘い吐息が漏れる。
バンネのペニスからローションの混じった先走りが滴り、真下に置かれたバンネの顔に糸を引きながら降り注いでいた。
ここでペニスを扱いてやれば、十数秒ともたずにバンネは射精するだろう。
しかし、オレはあえてペニスには触れず、代わりにアヌスに入れる指の本数を増やした。
人差し指を一旦引き抜くと、今度は中指も添えて挿入する。
バンネのアヌスは、揃えた2本の指も、苦も無く呑み込んだ。
見下ろした先のバンネの顔は、泣きそうにも見えるほど切なげで、それがオレの興奮をさらに高めていった。
差し込んだ2本の指で持って、アヌス内部をくじってやると、バンネの体がビクンと大きく震えた。
呼吸が深く大きくなっていることから、これがバンネの望んだ刺激だということが分かる。
さらにその望みを叶えようと、オレは荒々しくバンネの腸壁を2本の指で蹂躙してやった。
「あくっ! うぉ! ふっ! ぐくっ……!」
指が動きまわるごとに、バンネが苦鳴にも似た嬌声を上げる。
仕上げとばかりに2本の指を奥深くまで埋没させ、最奥部を勢いよくくじってやると。
「うおっ!? おおおおぉぉぉぉ!!」
絶叫を伴って、バンネが激しく射精した。
といっても、バンネのペニスの先端は彼の顔の方を向いているので、自身による激しい顔射だ。
ビチャビチャと、叩き付けられる水音を立てながら、バンネの黒い顔が白く斑に染まっていく。
久しぶりに見る凄絶な射精に、オレは半ば呆気にとられ、次いで吹き出してしまった。
バンネの方はというと、さすがに虚脱感に襲われているらしく、肩で激しい息をしながら、トロンとした目でオレを見上げていた。
精液の最後の一滴が滴ったのを確認して、オレは身を乗り出してバンネに顔を近付ける。
そして、舌を出し、自身の精液まみれになったバンネの顔を綺麗に舐め取ってやった。
オレの、猫がするような顔舐めに、バンネはされるがままになっていた。
少しして、あらかたバンネの精液を舐め取ると、バンネが耳元でささやいた。
「そろそろ……入れてくれないか」
「……何を?」
分かっている答えを、あえて聞く。
「……分かってるだろう?」
「口で言ってくれないとヤダ」
「…………」
再度懇願するバンネの目を見て言ってやると、バンネは困ったような、恥ずかしそうな表情をして目を逸らした。
その様を見て、オレは笑った。
ここまでこれだけの行為をしてきたのだから、今更恥ずかしがることもないと思うのだが、バンネは妙なところで恥ずかしがる。
今回に限らず、どうもバンネは下ネタに関することを口にするのが苦手なようだ。
普段も、そして行為の最中も、各部位の名称や行為の名称を口に出すのを極端に避ける。
行動は率先して行うくせに、口にするのは苦手というのは、実にちぐはぐだ。
もっとも、それが微笑ましくもあるのだが。
「で、ナニを入れてほしいの?」
「…………」
意地悪く、重ねて尋ねるオレに、オレの方をチラチラと身ながら口をモゴモゴさせるバンネ。
普段の精悍な彼からは想像できないほど、ウブで可愛らしい。
「ナニを?」
「…………ペ、ペニス……を」
ついに観念したのか、それとも刺激欲しさにたまりかねたのか、バンネが部位の名称を口にした。
してやったり、というところだが、オレはさらに弄る。
「もっと違う言い方があるでしょ?
普通、ペニスなんて言い方、しないよ?」
「…………べ、別に何と言ったって同じだろう!?」
やや語気を強めてバンネが反論するが、オレは首を横に振る。
「ダメ。 別の言い方して」
「なっ……っ……!」
声に詰まるバンネ。
彼もオレが意地悪で言っていることを重々理解しているが、怒ることはしない。
その優しさに甘え、オレはそこをつつく。
バンネは少しの間、逡巡し、
「………………チ」
「チ?」
「……チン……コ」
と、小さな声で呟いた。
「もう一回、ちゃんと言って」
とどめとばかりに、言い放つと、バンネは大きく息を吸い、
「お前のチンコをオレのケツの穴に入れてくれ!!」
と、半ばやけくそ気味に叫んだ。
オレはそれを聞いて大笑いし、恥ずかしさのあまりに紅潮したバンネの顔を大きく一舐めしてやり、答えた。
「合格。 じゃあ、オレのチンコをバンネのケツの穴に入れるね」
おうむ返しのように告げ、なおも紅潮したままのバンネから顔を離し、体勢を整える。
一旦、バンネの体を引き起こしてやり、仰向けに寝かせると、彼の両足の間に膝立ちになり、屈んでペニスの先端をアヌスにあてがった。
「じゃあ、入れるよ?」
「……ああ」
それを合図に、オレは腰をゆっくりと突き出した。
みるみるうちに、バンネのアヌスに埋まっていくオレのペニス。
指2本より明らかに太いオレのペニスは、ゆっくりと確実にバンネの体内に収まっていく。
数秒後、オレのペニスは完全にバンネの体内に入り込んだ。
「大丈夫?」
「ああ、大丈夫」
そう返ってくることは分かっていたが、一応尋ねる。
オレは身を乗り出し、一度バンネに軽い口付けをすると、体を前後に揺さぶった。
下腹部で、ペニスがバンネの中を出入りしているのを熱く感じる。
ローションでぬめっているおかげで、ペニスの出し入れはもとより、それ以外の動きもスムーズになる。
それもあって、普段は体幹を離して行うこの行為も、密着して行うことができた。
ほとんどバンネの上にうつぶせにのしかかる形で、オレは体を動かす。
「おぉ……ぉぉぉぉ……!」
バンネの口から、快感の声が、抑えきれないと言った様子で漏れ出した。
それはそうだろう。
普段ならアヌスだけ、もしくはペニスを扱かれる刺激しかないはずなのに、今回は体幹全体を刺激されているのだから。
胸の両突起も、ペニスの先端も、竿も、袋も玉も、体幹に付随するあらゆる部位を責められては、声も出ようというものだ。
オレは両手をバンネの両脇の下に回し、抱え込むような体勢で前後のストロークを続ける。
ローションが潤滑剤となっているので、その動きは極めて滑らかだ。
バンネ程ではないが、オレの口からも快楽の吐息が知らず知らずのうちに漏れ出してしまう。
ストロークを始めてからものの十数秒後、腹に当たる塊が熱を発した。
「ぐあぁぁぁ!」
口を大きく開け、バンネが叫んだ。
同時に、腹に熱い塊が弾けるのを感じた。
だが、オレの動きは止まらない。
オレ自身のペニスに掛かる圧力も高く、止まることなどできはしないのだ。
もっとこの刺激を味わいたい、もっと快感を得たいと、気持ちが急いて、本能のまま、動きが止まらない。
バンネが射精していることなど構いなく、オレはさらに力強くストロークを続ける。
頭の中が真っ白になるほど、一心不乱に動き、さらに十数秒後。
オレにも絶頂の時が訪れた。
「出る……! 出すよっ……!!」
宣言し、一際大きく体を揺する。
直後、ペニスの中心を、快楽の波が駆け抜けた。
脈動に合せ、バンネの腸内に熱い精液が放たれる。
しかし、それでもオレは動きを止めなかった。
最高潮の快感が襲ってくる最中も、オレはストロークを続ける。
多量の精液が放出されたのだろう、オレとバンネの結合部からは納まりきらなかった精液が溢れ出し、ジュプジュプと淫らな音を立てていた。
射精が終わったのを感じると、オレは体を起こし、つながったままの状態でバンネの両足を掴み、持ち上げた。
バンネの尻を天井に向けさせ、両手を彼の肩付近の床に着き、尻尾を絡ませる。
先程、バンネに自身に顔射させた時とまったく同じ体勢だ。
違うのは結合していることだけ。
「い、くよ、もっと、はげ、しく……!」
「ああ、ああ、もっと、きて、くれ!」
告げ、答え、オレ達は激しく体をぶつけ合った。
飛び散る飛沫はローションか、先走りか、精液か。
そんなことは構いなしに動き続ける。
ふと見れば、目の前にはバンネの顔。
バンネと目が合う。
その瞬間、オレ達はどちらからともなく口付けを交わした。
それはすぐさま口内を犯し合う動きに変わり、精神的な興奮を押し上げていく。
傍から見れば食らい合っていると思われるだろう程の激しい口付けを交わしながら、行為を止めることなく続ける。
まるで全身が性感帯になったように、快感がペニスと、口とを中心に全身を駆け巡った。
脳は前後不覚になりかねない程の快感に襲われ、思考能力はほとんどない。
ただただ、快楽を得るだけの獣に成り下がり、オレ達は動き続ける。
そして、
「んぐぉおおおああああ!!!」
これまでにない絶叫と共に、バンネが果てた。
腹に、胸に、顎に、バンネの精液が降り掛かる。
それをスイッチにしたように、オレの下腹部で快感が弾けた。
「ああぁぁぁっあああ!!!」
体を仰け反らせ、オレはバンネの中に自分のすべてを解き放った。
途端、意識が遠のきかける。
だが、すんでのところでこらえた。
ほんの少しでも気を抜けば、おそらく気を失ってしまっただろう。
オレは大きく息を切らせながら、バンネから体を離し、ペニスをアヌスから引き抜いた。
これだけの射精を迎えても、ペニスは硬いままだった。
催淫剤の効果はさすがと言うべきか。
バンネを仰向けに寝かせてやると、そのアヌスからドロリと精液が流れ出した。
小さな精液溜まりを作るほどの精液が流れ出し、その多さに驚く。
増精剤も効果は抜群だったようだ。
見れば、バンネは大きく肩で息を切らせ、起き上がる気力もないようだ。
しかし、ペニスは勃起状態を維持していた。
しばらく放心状態のまま、息を整える。
ややあって、
「……疲れた」
と、小さくバンネが呟いた。
「うん」
オレが答えると、バンネが上体を起こし、こちらを見る。
「少し、激し過ぎたな」
「うん、やり過ぎたかも。
最後、意識飛び掛けた」
そう告白すると、バンネは笑いながら、
「オレもだ」
と、答えた。
そして、同時にお互いの勃起したままのペニスを見る。
「……まだまだ元気だね」
言うと、バンネは困ったように苦笑し、頷いた。
「次は、もう少しソフトにいかないか?」
「賛成」
バンネの提案に、オレはうなずいて答え、身を乗り出してバンネの顔に自分の顔を寄せた。
それを見たバンネは、スッと目を閉じる。
オレがしたいことが分かったのだろう。
オレはゆったりとした動作でさらに近付くと、バンネに優しく口付けした。
飽くことのない快楽の宴は続く。