「いい天気だね〜」

「……そうだな」

後ろにいる相方が呟き、それにつられてオレは空を仰ぐ。

空は青く澄んでいて、遠くの方に入道雲が高くそびえているのが見える。

太陽は中天にさしかかり、照りつける日差しがジリジリと暑い。

「でも暑いよね〜」

「……そうだな」

相方の呟きに、オレは少し苛立ちを込めて答え返す。

「…………」

「…………」

「……ねぇ」

「…………」

「……何怒ってるの?」

あっけらかんとした口調で尋ねてくる相方に、オレはたっぷりと皮肉を込めて言う。

「……今、オレ達はどこにいる?」

「ボートの上」

「周りには何が見える?」

「どこまでも続く青い空と海」

オレの皮肉がまったく通じていないかのように相方が答える。

その答え方にオレは自分のこめかみに血管が浮かんだような気がした。

「……こういう状況を、世間一般ではなんて言うんだ?」

「漂流」

さも当然のことを言うようなその答えに、オレはついに我慢の限界に達し、吠えた。

「そうだ! 漂流だ!! 漂流してんだよ、オレ達は!!」

オレが勢いよく立ち上がったせいで、木造のボートが大きくかしぐ。

「わわわ! そんなに動かないでよ! 沈没しちゃうだろ!?」

「ふざけんな、バカ! そもそも誰のせいでこんなボートに乗って漂流しなきゃいけなくなったと思ってんだ!!」

「う……」

そこまで言われて、相方は口ごもる。

そもそもオレ達がこんな状況になったのは今日の朝方のこと。

簡潔に説明すると、オレ達が隣の大陸に渡ろうと乗った船が海賊が偽装した船で、今朝その海賊に襲われたのだ。

そしてその時、寝込みを突然に襲われたことで錯乱した相方が、あろうことか魔法を使って海賊を船ごと海に沈めてしまったのだ。

さいわい、船に乗っていたのはオレ達と海賊達だけだったのでよかったのだが。

「大体、昨日あの船に乗る時オレが言わなかったか?

 絶対にこの船は怪しいって」

「……言われたような、言われなかったような」

「言ったんだ!!」

「まぁまぁ、落ち着いて。

 あんまり怒ると血圧上がるよ?」

「!!……はぁ……もういい」

怒りを通り越して呆れたオレは、大きく溜め息をつくとその場に座り込んだ。

そしてそのまま仰向けに寝転がると、青々とした空を眺め、これからどうするべきかを考え始めた。

(食糧も水もあと3日ぐらいはもつな。

 いや、節約しながら使えば6日くらいはなんとかなるか。

 その間に陸地に着けるかどうか……

 せめて鳥でも飛んでてくれれば、陸地の方角が分かるのに……

 とりあえず何日漂流することになるか分からないから、食糧と水の確保が先決だな。

 まずは……ん?)

膝に重みを感じてオレは考えるのをやめる。

見ると相方がオレを覗き込むようにして身を乗り出していた。

妙に色っぽい目でオレを見つめている。

「ねぇ……しよ?」

「は?」

何を言っているのか分からず、オレは間の抜けた返事を返す。

相方はさらに身を乗り出し、妖しく微笑む。

「だから……」

そう言った次の瞬間、相方は手を伸ばし、オレの股間を撫でてきた。

「! オイ、何考えてんだ!!」

「いいじゃない、どうせすることもないんだし。

 1週間ぐらいヤッてなかったしさ」

そう言いながら、相方はほとんどオレに覆い被さるようにして迫ってくる。

その間もずっとオレの股間を撫でている。

「いや、することならあるぞ!

 食糧確保のために魚釣ったり……」

「魚釣りの道具は?」

焦るオレの言葉に間髪入れず切り返す相方。

オレは慌てて思索を巡らし、別の、なんとかこの状況を打破するための口実を考える。

「じゃ、じゃあ、水の確保を……」

「蒸留の道具は?」

「う……それは……」

完全にオレに覆い被さった相方は、焦るオレの目を見つめて的確な突っ込みを入れる。

イタズラっぽいその表情からは、オレが焦るのを楽しんでいるのが読み取れる。

「けど、だからってこの状況でそんなことするわけには……」

「でも下の方は臨戦態勢になってるじゃない」

そう言って相方がオレの股間を鷲づかみにする。

「あうっ!」

いつの間にやら、相方の愛撫にオレのモノは反応してしまっていた。

ズボンの上からでも硬くなったことが分かるほどになったソレは、つかんだ相方の手の中で逃げ場を失う。

「ね? だから、しよ?」

口調は子供っぽいが、妙に脅迫じみた響きが混じる声で相方が迫る。

それに気圧され、しぶしぶオレは首を縦に振ってしまった。

 

 

「ほら、早く脱いでよ」

相方が命令するような調子で言う。

オレはそれに従い、ゆっくりと着ている物を脱ぎ始める。

行為を行う時は、いつも相方が主導権をもっている。

それ以外のことは大体オレに主導権があるのだが、オレがそのテのことが苦手ということもあって、いつの頃からかそうなっていた。

「いつみてもいいよね、キミのストリップは」

そう言って、相方はオレが服を脱ぐのを楽しげに見つめている。

オレが行為の前に相方の前でストリップするのはほとんどお決まりことになっている。

徐々に減っていくオレの服。

そして最後の1枚、下着にオレの手が伸びた時、相方が待ったをかけた。

「ソレはいいよ、そのままで。

 あとでボクが脱がしてあげるから。

 それよりもほら、こっち」

相方が立ち上がり、両手を肩の高さに左右に伸ばす。

オレが脱ぎ終わると、オレが相方の服を脱がす。

これもいつものことだ。

オレは馴れた手つきで、相方の着ている物を脱がしていく。

そして最後の1枚に手をかけると、それをゆっくりと下へ下ろした。

あらわになる相方のペニス。

それは体の小さい相方に似合わず大きなモノで、半立ちになったソレの先端がオレの鼻先に触れた。

「はい、どうぞ」

相方はからかうようにそう言うと、腰を突き出して、ペニスをオレの口に擦りつけてきた。

オレは文句も言わずに口を開け、舌を出してペニスを舐め上げる。

まるでアイスを舐めるようにしてペニスに舌を這わせていると、徐々に相方のペニスが硬さと大きさを増してきた。

やがてソレは真上に向かって怒張し、その大きさは先端がヘソに達するほどだった。

オレは舐めるのをやめ、口を大きく開けてペニスを頬張る。

そして口の中で舌をペニスに絡めながら、頭を前後に動かして相方を刺激する。

何度もそうして頭を動かし、口の中がペニスからの潤滑油でいっぱいになった時、相方がオレの頭の毛をつかんだ。

オレは一瞬痛みで顔をゆがめ、そのあと口の中から相方のペニスを開放した。

オレが咥えている最中、相方がオレの頭の毛を掴むのは、咥えるのをやめろ、という相方の無言の意思表示だ。

オレの口から抜け出た相方のペニスは、先走りとオレの唾液とでヌメり、太陽に照らされていやらしく光っていた。

「はい、ごくろうさま。 じゃあ、次は君の番。

 今日はあんまりハードなことはできないからね。

 やさしくヤってあげるよ」

相方は笑みを浮かべてそう言うと、跪いていたオレを立たせる。

オレが立つと、今度は相方がその場に跪き、オレの下着に手をかけた。

上目づかいにオレを見つめ、相方はじらすように下着を下ろしていく。

下着はすでに硬くいきり立ったオレのペニスに引っ掛かり、スムーズに下りていかない。

相方はオレのペニスを片手でつかむと、ソレを強引に引っ張り出した。

その反動で、オレのペニスの先端からは先走りの粘液が飛び散る。

相方は硬く勃起して脈打つオレのペニスを、指先で弄る。

滴る粘液を塗り広げるようにして、楽しそうに指の腹でペニスを撫でる相方。

指が這うたびにオレは、

「うぅ……あぅっ……ぐっ……!」

などと言葉にならない喘ぎ声を上げてしまう。

相方はそれが楽しくてたまらないといった様子で、ニヤニヤしながらオレを見上げていた。

「やっぱり、結構たまってるんだね。

 たったこれだけの刺激で、こんなに声出しちゃうんだから。

 そうだなぁ……咥えちゃうと多分イっちゃうだろうから、今日は直接ココをいじるのはおしまい」

そう言うと相方はオレのペニスをいじるのをやめ、立ち上がった。

そして、

「ほら、あっち向いて。

 いつもみたいに両手を床に着いて、お尻をこっちに突き出すんだよ」

と言って、オレの体を反転させた。

オレは言われるがままに床に手を着き、尻を相方に向かって突き出す。

相方は両手をオレの尻にそえると、それを左右に押し広げる。

そしてその中心に自信のペニスを当て、先走りと唾液の混ざった粘液を、オレの肛門に塗りつけた。

「じゃあ、いくよ?」

相方はいつもとなんら変わらない声でそう告げると、一気にオレの中にペニスを突き刺した。

「グアッ!!」

何度も挿入されたことがあるとはいえ、ほぐされもせずにいきなり突き立てられては悲鳴の1つも上がろうというもの。

だが、そんなことはお構いなしに、相方は前後に動き始める。

「ウッ! アッ! グゥッ!」

そのたびにオレは悲鳴をあげ、ボートに爪を食い込ませてしまう。

オレを責め立てる相方も息が荒くなっている。

段々と動きが早くなり、それにつれてオレの中の痛みが快感に変わってくる。

「段々気持ちよくなってきたみたいだね」

相方が耳元で囁く。

「う……ん……!」

「それじゃ、そろそろフィニッシュだよ!」

そう言って、相方は動きをさらに早めた。

その勢いでボートが大きく揺れ動く。

「あぐああぁぁぁ!!」

「ほらほらほら! 気持ちいいんだろ?

 早くイっちゃいなよ!!」

オレの喘ぎ声と相方の叫び声が、何もない海と空に響く。

そして、

「ぐあああぁぁぁぁ!!!」

一際大きな叫びを上げ、オレが先に果てた。

「っく……!」

それから数秒して、相方も声を押し殺して、オレの中に精を放出する。

相方はそのままオレに覆い被さり、肩で息をしていた。

しばらくオレ達は行為の余韻に浸っていたが、オレが相方より先に余韻から覚めると、覆い被さっている相方を押しのけ、無言で処理を始める。

といっても拭く物もないので、仕方なく海水で粘液を洗い流すしかないのだが。

オレが海水をすくって粘液を落としていると、相方が体を起こし、いつものような笑顔で語りかけてきた。

「気持ちよかったでしょ?

 たまにはこういうシンプルなのもいいよねぇ」

「……あのなぁ。

 ……まぁ、いいや」

オレは文句の1つもつけようとしたが、オレも気持ちよかった手前もあり、何も言わないことにした。

「へへへ、自分も気持ちよかったからなんにも言えないんでしょ?」

「!! うるさい!」

完璧に図星を突かれ、オレは赤面して大声を出してしまった。

そんなオレを相方が笑う。

「……でもさ、たりなくない?」

「は?」

相方の問いかけに、オレは気の抜けた声で返答し、相方の方を見る。

そしてオレは思わず息を飲む。

「!! ちょっと待て、まさかまた……!」

「そう、また。 ね? しよ?」

粘液にまみれたペニスを再び勃起させ、相方が子供のような笑顔で迫ってくる。

「ちょっと、やめ……勘弁してくれぇぇぇ!!!」

青々とした空と海に、この日1番のオレの悲鳴が響いた。

 

 

この2日後、オレ達はたまたま近くを通った船によって助けられ、陸地に辿り着くことができたのだが、それまでの間の2日間、オレは相方に十数回にわたって犯されたことをつけ加えておく。