「う〜〜〜寒ぃ〜〜〜」
クォント上層部、クーアの部屋へと続く坂道を下った突き当りにある、クーアの部屋と同じ外観をしたケルカの部屋のドアの前で、オレは身震いしながら呟いた。
クォント内部は風こそ吹かないものの、気温そのものは地上と同じに設定されている。
その為、12月も半ば、しかも夜ともなれば、いくら毛皮を自前で纏っているオレでも寒い。
クーアの部屋とはさほど離れていない為、すっかり油断して何も羽織らずに来てしまったから尚更だ。
(そういや、ニュースで、今夜は12月入ってから一番寒いって言ってたっけ)
夕飯時に見ていたニュースの言っていたことを思い出し、また体を震わせる。
この寒さから逃れようと、オレはズボンのポケットに手を突っ込み、1枚のカードを取り出した。
カードは、以前ケルカからもらった、ケルカの部屋のドアを開けるスペアカードだ。
震える手で、玄関外のわずかな照明に照らされた、ドア横の読み取り機にカードを通す。
読み取り機が発する小さな読み取り音の後、石造りの重そうなドアが音もなく左右に開いた。
飛び込むように明るい室内に入ると、室内の暖気が優しく体を包み込んでくれた。
同時に、後ろで勝手にドアが閉まる。
「はぁ〜……」
暖かさに安堵のため息をつき、さっそく玄関を上がろうと、オレは靴を脱ごうとした。
と、その時、
「ん?」
玄関にケルカのいつも履いている靴とは別の、見たことのない靴が1対、綺麗に揃えられて置かれていることに気付いた。
(誰か来てるのか?)
少し人見知りの気があると自覚のあるオレは、見覚えのない靴が知らない人物の靴だと勝手に判断し、少しひるんだ。
しかし、このままずっと玄関にいるわけにもいかない。
俺は靴を脱ぐと、恐る恐る玄関を上がった。
廊下の向こうのリビングには明かりが点いていない。
というより、廊下にも明かりが点いておらず、点いているのは玄関内外だけのようだ。
(2階かな?)
思い、廊下を辿って階段の上を見るも、やはり明かりが点いている様子はない。
だが、2階からはかすかに気配と声らしきものが聞こえてくる。
オレは、暗い階段を手さぐりに上り始めた。
2階に近付くにいたがって、徐々にではあるが声が大きくなり、気配も鮮明になってきた。
程なく2階に着き、廊下を見回すと、聞こえる声を頼りに、人がいる部屋を探す。
と、ここまで来て、声の奇妙さに気付いた。
それは声というよりも、呻きのように聞こえた。
その呻きを目指し、暗い廊下を進むと、呻きが一際大きく聞こえるドアの前に辿り着いた。
恐る恐る、ゆっくりと慎重に、ドアを少しだけ開いてみる。
わずかに開いたドアの向こうは、薄暗くはあったが明かりが点いているらしく、闇に慣れたオレの目には、部屋の様子が手に取るように確認できた。
同時に、ドアに遮られていた呻きも、より鮮明に聞こえるようになった。
そして、そこでオレは目を見開かんばかりの光景を目にした。
「んっ! あっ! ひぐっ!」
ベッドに全裸で横たわるケルカ。
その上に跨り、上下動を繰り返しながら呻く、同じく全裸の黒い毛皮の狼獣人。
狼獣人が跨っているのはケルカの股間の真上。
目を凝らしてみれば、狼獣人が体を浮かせるたび、ケルカの肉棒が狼獣人の尻穴を貫いているのが見える。
と共に、狼獣人の激しく屹立した肉棒が、股間で揺れている様も。
(なっ……!!!)
声を出してしまいそうになるのを押さえ、心の中で驚くオレ。
男と女の行為というのは実際に見たことがあったが、男と男の行為を目にしたのはこれが初めてのことだ。
あまりの出来事を突然見せられて、オレは我知らずの内に、食い入るようにその行為を見張ってしまった。
ケルカは狼獣人の腰に手を添えて上下動のたびに左右に体がずれないようにし、ニヤニヤと笑いながら見上げ、狼獣人は天井に顔を向け、恍惚の表情で一心不乱に体を上下させていた。
尾は高々と巻き上げられ、耳は伏し、半開きの口からは絶えず呻きが漏れている。
屹立した肉棒は、先端から我慢汁を撒き散らし、天井の調光された薄暗い明かりを受けて、艶やかな光を放っていた。
(うっわ……すげぇ……)
始めて見る男同士の行為に、オレは異様に動悸が激しくなるのを感じた。
心臓の音が耳につき、全身を、寒さの震えとは別の震えが覆う。
気分を落ち着かせる為に生唾を飲み込もうとするも、すでに口の中はカラカラで、飲み込むことすら困難だ。
そんな調子でケルカと狼獣人の行為を見つめていると、次第に狼獣人の呻きが激しくなってきた。
「そろそろイクか?」
ケルカが嘲笑うように言い放つ。
しかし狼獣人は聞こえてもいない様子で、
「ひっぐ! ぅん! ぐぅ! あっ!」
と、声にならない呻きを発するので精一杯のようだった。
その様から、ケルカの言っているような状態であると予測できる。
そして、事実その通りに、
「うあ! ああ! イッ! イグッゥゥゥウウ!!!」
狼獣人は一際大きく叫ぶと、股間で揺れる肉棒から、多量の白濁液を迸らせた。
白濁液を撒きながらも止まらない上下動に、肉棒は激しく揺れ、狼獣人の前方は見るも無残な状態になってしまった。
飛び散った白濁液はベッドといわずケルカの体といわず、飛んだものは壁にまで付着している有様だった。
「お〜、すっげぇ飛んだな」
頭を上に向け、壁にまで飛んだ白濁液を見てケルカが言う。
その口元には白濁液が若干付着しており、それをペロリと舐め取ると、再び狼獣人に目をやり、
「満足したか?」
問い掛け、ニヤリと笑った。
狼獣人は、ようやく上下動をやめ、肩で息をしながらグッタリとしてケルカに跨ったまま答えなかった。
それを見て、一瞬の間のあと、ケルカが突然腰を勢いよく突き上げた。
「ひっぎ!?」
衝撃に目を見開き、奇妙な声を上げる狼獣人。
と同時に、すでに白濁液を放出し終えていたと思われていた肉棒からは、新たに白濁液が、少量ではあるが飛び散った。
「〜〜〜〜! ひ、ひどいッスよ、ケルカさん……」
狼獣人がガックリとうなだれて文句を言った。
対してケルカは底意地の悪そうな笑みを浮かべ、
「うっせー。 てめぇ、1人で気分出してイっちまいやがってよー」
言いながら、さらに一突きを加える。
「んひっ!」
狼獣人は奇声こそ発したものの、さすがにもう白濁液を撒き散らすことはなかった。
「ったくよー。 オレはまだイってねぇっつーのに」
「そ、そんなこと言ったって〜……」
バツの悪そうな顔をする狼獣人に、しかし言葉とは裏腹にニヤッと笑うケルカ。
そして、次の言葉に、オレはビクリと体を震わせた。
「まぁいいや。 今日はもう終いにしようや。
お客さんも来たみてぇだしな」
「!?」
ドン!
驚いて、ついドアにぶつかってしまったオレ。
その音に気付いた狼獣人がこちらを見る。
同様に、ケルカもこちらに目を向けた。
「よぉ」
手を挙げて挨拶をするケルカに、固まるオレと狼獣人。
「……ひょっとして……見てた……?」
固まったまま、狼獣人が訪ねてくる。
「…………」
オレは無言でうなずく。
しばらくの沈黙。
そして、
「うわあああああああ!!!」
突然、叫び声を上げ、狼獣人がベッドから飛び降りた。
「うおっ!?」
それまで繋がりっぱなしだったケルカは、急に解放されたいきり立った肉棒に衝撃を感じたのか、驚きの声を上げる。
ケルカの肉棒を抜き放った狼獣人はというと、ベッド横の床に散乱していた衣服をひったくるように掴むと、オレを突き飛ばすようにして部屋から出ていってしまった。
「おい! ブラック!!」
すでに階段を降りつつある狼獣人に向かって、ケルカが呼び掛ける。
しかし、狼獣人ブラックは、叫び声を上げたまま、階下へと向かい、やがて叫び声は聞こえなくなってしまった。
「ったく、あの野郎、中途半端で行っちまいやがって……」
呆れた口調でケルカが呟く。
ケルカは枕元に置かれていたリモコンを手に取ると、天井に向かってかざし、操作した。
途端に明るくなる室内。
当然の如くはっきりと目に入るケルカの裸体。
しかも、平常な裸体ではなく、肉棒のいきり立った特異な裸体。
その姿に、オレは再び動悸が激しくなるのを感じた。
「いや〜、悪ぃな。
あいつ、結構恥ずかしがり屋でよ。
逃げるこたぁねぇと思うんだけどな〜」
ケルカが言う。
(恥ずかしがり屋だからとかそういうレベルの問題じゃねぇと思うんだけど)
不思議と冷静に心の中でツッコミを入れるオレ。
誰でもあんなことを人に見られていたら嫌だろう。
言葉から察するに、ケルカにとってはあまり気にならないことなのかもしれないが。
「しっかし、どうすっかな〜、コレ」
言って、ケルカは自身の下半身に目を落とした。
つられてオレもケルカの下半身に目を向ける。
そこでは、見事なまでに剥け切り、形の整った肉棒が、天を向いて脈動していた。
「どうしたらいいと思う?」
「知らねぇよ……」
悪戯っぽい笑みを浮かべて聞いてくるケルカに、目をそらして答えるオレ。
しかし、つれないふりをしつつも、オレの股間はしっかりと反応してしまっていた。
おそらく、ズボン越しにも反応した様子が分かるだろう。
「ノリが悪ぃな〜。 ま、いいや。
とりあえず下に行っててくれ。
オレ、ちょっとシャワー浴びるわ」
全裸のまま、肉棒をブラつかせてこちらに向かってくるケルカ。
オレはケルカに背を向けると、足早に階下に降りた。
間取りはクーアの部屋と同じなうえ、ここに来たのは初めてではないので、勝手が分かる。
オレは明かりと点けながらケルカから逃げるようにリビングに向かうと、ソファに体を沈めて大きく息をついた。
まだ心臓は早鐘を打っている。
そして、膨らんだ股間はズボンに圧迫され、痛みさえ覚え始めてきた。
無意識のうちに、オレはズボン越しに股間をさする。
「――ッ!」
ほんのわずかなはずのその刺激に、股間は過敏に反応し、背筋にゾクリとしたものが走った。
(……ヤっちまおうかな)
頭をよぎる邪な考え。
今、ケルカは2階でシャワーを浴びているし、そうすぐにはここへは来ないだろう。
時間は充分にある。
サッとリビングを見回せば、ご丁寧にテーブルの上にはティッシュもある。
(大丈夫……だよな)
誰もいるはずはないのだが、背徳感と警戒感から反射的に周囲を見回す。
リビング内にはもちろん、窓の外にも人影はないし、廊下にも気配はない。
(……よし)
ひとしきり確認を終えたオレは、上着を全て脱ぎ捨て、窮屈なズボン内から圧迫されている肉棒を解放しようと、ズボンのベルトを外し始めた。
ベルトが緩み、ズボンのボタンを外すと、途端に股間の圧迫感が消える。
そして、ズボンとトランクスに手を掛け、同時にくるぶしの辺りまで下ろすと、圧倒的な解放感が下半身を満たした。
視線を落とせば、ケルカに負けないくらいにいきり立った肉棒が。
亀頭の先をわずかに覗かせた先端部は、我慢汁に潤い、光っていた。
早鐘を打つ心臓に煩わしさを感じながらも、オレは肉棒に手を伸ばす。
右手で竿をしっかりと握ると、得も言われぬ充足感が全身を駆け巡った。
次いで、その手をゆっくりと上下に動かす。
クチャッと粘着質な音が耳に入るが、それがさらに興奮を高めた。
上下動のたび、亀頭の上を、我慢汁を潤滑剤にした包皮が滑り、心地良い刺激を与えていく。
カリの部分に引っ掛かる包皮を限界まで剥くと、刺激は最大限となり、荒い息が漏れた。
「んっ…はっ……!」
目を瞑り、股間に神経を集中する。
と、暗闇の中に、先程のケルカとブラックの交わりが映し出された。
つい先程のことなので、その様子をありありと思い出すことができる。
ブラックの喘ぎ、恍惚の表情、揺れながら我慢汁を撒き散らす屹立した肉棒、ブラックの尻穴を貫くケルカの肉棒、そして大量に飛び散る白濁液。
頭の中で何度もそれらのシーンを繰り返し、オレは自分を高めていった。
そして、自分でも驚くほどの短い時間で、
「あっ! イッ…クッ……!!!」
体を律動させ、白濁液を飛び散らせてしまった。
先程のブラックの時と同じように、飛び散った白濁液は、辺りに惨状を形成する。
しかし、非常な興奮のうえでの射精によって放心状態に近いオレには、その惨状を気に留めるだけの余裕はなかった。
しばらくして、射精の余韻もさめた頃、辺りの惨状を目にしたオレは、自身の肉棒に付着した白濁液と共に惨状の掃除を始めた。
その最中、オレは胸の奥に罪悪感が生まれるのを感じていた。
(何やってんだ……オレ……)
わずかな罪悪感を感じるのは射精の常だが、今日この時に至っては、いつもの罪悪感よりもさらに重いものを感じていた。
知り合いをエサにしたことからか、それとも同性の交わりをエサにしたことからか、それは分からない。
おそらくは、どちらも、というのが答えなのだろう。
そんなことを考えながら、オレは掃除を終える。
白濁液の付着したティッシュを何重にもくるみ、上着とトランクス、ズボンを履き直すと、それをゴミ箱の奥へと突っ込んだ。
その後は呆けたようにソファに体を持たれ掛けさせ、天井を仰ぐ。
ほとんど無心に空を見つめること数分。
リビングのドアが音を立てて開いた。
そちらを見れば、ケルカが全裸で、タオルだけを首から掛けた状態で入ってくるところだった。
「……何か着ろよ」
目のやり場に困り、極力ケルカの下半身を見ないようにしながら言う。
言われたケルカはというと、
「いいだろ別に。 オレの部屋だぜ、ココ」
と、まるで気にした様子もなく、そのままこちらへ歩いてきた。
股間の肉棒をブラつかせながら迫り来るケルカ。
オレはとっさに身を引き、ソファの端の方に移る。
しかし、ケルカはオレに体を密着させるように、間近に座り込んだ。
そして、オレの顔に、吐息が掛かるほどに顔を近付けると、クンクンと鼻を鳴らした。
「な、なんだよ……」
ケルカの思いもよらぬ行動に思わず身を引くオレ。
するとケルカは、ニヤリと淫靡な笑みを浮かべ、オレの頭の上を指差し、一言。
「ソレ」
「?」
言われたオレは、頭に疑問符を浮かべて、ケルカの指差す部分に手をやる。
ヌルリとした感触。
「!!!」
驚いて手を下ろし、見ればそこには白濁した粘液が。
オレは急いでティッシュを手に取り、指先の白濁液を拭き取った。
まさか死角に拭き残しがあったとは思わなかった。
しかし、ケルカに知られてしまった以上、後の祭り。
言い逃れのしようがない。
「シーザーちゃん、ひょっとしてヤっちまった?」
からかうように尋ねてくるケルカに、オレは毛皮の下を赤くしながら沈黙した。
図星とはまさにこのことだ。
なおもケルカは意地悪く聞いてくる。
「オレ達がヤってるの見て興奮しちまったのか? え?」
「…………」
沈黙を続けるオレ。
チラリと横目で見れば、ケルカはニヤニヤ笑いながらオレの反応をうかがっていた。
そして、不意にケルカの手がオレの股間に伸びた。
「!?」
股間をまさぐるその動きに、オレの体は硬直する。
「オレがシャワー浴びてる間に、ココ、弄っちまったんだ?」
肉棒は萎えしぼんだままだが、ケルカの手が触れたことによって、微妙に血流が集まっていくのが分かる。
以前とは違い、オレは一切抵抗することもなく、されるがままになっていた。
ケルカもそれを指摘する。
「今日はおとなしいじゃねぇか」
それについては、どういう心境の変化か、自分でも驚きだ。
ケルカをエサに使った罪悪感か、それとも別の何かか。
ともかく、オレは抵抗を示すことなく、ケルカのしたいように自分の体を預けていた。
そうこうしているうちに、肉棒の怒張は極限にまで達し、またもズボンの前が窮屈になり、痛む。
それを見抜いたのか、ケルカが言う。
「そろそろ外に出してぇんじゃねぇのか?」
ズボンを押しだす肉棒の輪郭を指でなぞるケルカ。
そして、オレの答えを待たず、ケルカはオレのズボンを脱がし始めた。
「あっ……」
声を漏らしながら、ケルカの手の動きに合わせて従順に動くオレ。
ケルカがズボンを脱がしやすいよう、腰を浮かせ、足を動かす。
ケルカの前に露わになったトランクスは、その前面部に染みを作り、いびつにせり上がっていた。
「上も脱いじまえよ」
トランクス越しにオレの肉棒をなぞりながら、ケルカは囁くように命じる。
それを受け、オレは命じられるまま、素直に上着を脱ぎ捨てた。
「じゃ、コイツもだ」
言いながら、ケルカはオレのトランクスを脱がし始める。
ズボンの時と同じようにして、ケルカの動きをサポートすると、オレはあっという間に生まれたままの姿をケルカの前に晒すことになった。
そうして、今、2人共全裸だということに気付いた。
以前の風呂場ではそれが当たり前のことだったので気にもしなかったが、こうしてリビングという場所で互いに全裸でいることに、オレは非日常的な感覚を覚え、それが興奮だということに気付くまで、そう時間は掛からなかった。
その気付きは、オレの体に動悸を、喉の渇きを、震えを思い出させた。
生唾を飲み込もうとするオレを見て、ケルカはそれまでとは打って変わった様子で言う。
「緊張してんのか?」
その声は、野性味を帯びたケルカの声そのものではあったが、日常で感じるような野卑な印象はなく、どちらかといえば紳士然とした声のように感じられた。
顔に浮かぶ笑みからも、それまでの淫靡な感じはなく、どちらかといえば気遣うような優しさを感じる。
その印象は、どことなくクーアを連想させるものがあった。
「……大丈夫」
オレは何とか口内を湿らせて答える。
実際には動悸やら震えやらで大丈夫ではないのだが、オレはなぜかそう答えた。
ケルカはしばらく黙ってオレを見ていたが、しばらくしてオレの震えが少し治まってくると、手をオレの肉棒へと伸ばした。
「っ……!」
触れられた瞬間、声もなくオレの体が少しだけ跳ねる。
しかし、それも一瞬のことで、ケルカが肉棒を掴み、軽く愛撫をしているうちに、オレの息遣いは深くなっていった。
愛撫されている肉棒の先端を覆っていた皮が絶え間なく剥かれ、戻され、その摩擦が亀頭を刺激するごとに、股間を中心に快感が広がる。
何度もそうされているうちに我慢汁は乾き、より強い抵抗のある刺激が亀頭を奔った。
強い刺激は瞬く間に快楽の指数を高め、次の我慢汁が溢れるよりも早く絶頂の波が訪れた。
が、不意にケルカが手の動きを止めてしまう。
「……?」
あと少しで達せると思ったオレは、不満を顔に浮かべてケルカを見る。
ケルカはまじまじとオレの肉棒を眺め、しばらくしてから口を開いた。
「お前、コレ使ったことねぇだろ?」
「使……え?」
言われたことの意味が分からずに問い返すオレ。
「入れたことねぇだろってことだ」
「入れ……!!!」
ケルカの説明に、先程のケルカとブラックの交わりが瞬時に頭に浮かんだ。
「ねぇだろ?」
「…………」
重ねて問うケルカに、オレは反射的にうなずいて応えた。
「じゃ、入れてみるか」
「!?」
ケルカの言い放った言葉に、オレは目を見開いた。
(入れるって……まさか、ケルカのケツに!?)
思い、驚きに戸惑っていると、ケルカがオレの股間に顔をうずめた。
「まずは下準備だ」
言って、口を大きく開け、いきり立ったオレの肉棒を口に含んだ。
「んあっ!?」
今までに味わったことのない、強烈な刺激が肉棒を包んだ。
ぬるりとした唾液にまみれた肉棒が、粘液で覆われた柔らかく熱い頬に擦り付けられ、得も言われぬ快感を生み出す。
それは包皮が亀頭を摩擦する何倍もの快楽を与え、ほんのわずか、こそばゆいような感覚も伴う。
ケルカの頭の前後動によって、快楽は何度も何度も波のようにおとずれ、頭の芯に響くような快感は、オレの思考能力を一瞬にして麻痺させた。
しかし、続いてケルカが行った、肉棒を吸い込むという動作は、さらに強烈な刺激だった。
ケルカの口内が真空のようになり、すぼめられた頬が肉棒を圧迫すると、尿道の中まで吸い取られるのではないかと錯覚するような吸引力で、肉棒全体がケルカの喉の奥に引き込まれる。
その快感は、ただでさえ唾液と粘膜による刺激で痺れていたオレの脳に、大きく打撃を与えた。
「……い……あ……」
声にならない嬌声を上げ、オレは無意識に腰を浮かせる。
だが。
「……ん」
小さく呻き、ケルカがオレの肉棒から口を離してしまった。
絶頂に近い快感を唐突に失ったオレの脳は、一気に平静を取り戻す。
「……なんで……」
オレは思わずそう呟いていた。
ケルカは口周りをペロリと舐めると、悪戯っぽい笑みを浮かべて答える。
「下準備っつったろ?
本番はこっからだぜ」
言うが早いか、ケルカはオレをソファの上に優しく押し倒し、ちょうど自分の肛門がオレの肉棒の真上にくるようにまたがった。
「いいか?」
「……う、うん」
尋ねるケルカに、答えるオレ。
ケルカはオレの肉棒に手を添えると、自らの肛門に先端を導き、あてがった。
そして、
「んじゃ、入れるぜ」
言うと、ゆっくりと腰を沈め始めた。
視線を落とせば、口内と同じくらいの熱を持ったケルカの肛門に、徐々に飲み込まれていく肉棒。
「う…わ……」
初めて間近で見るその異様な光景もさることながら、肉棒から伝わる熱と圧迫感に、オレは自然と声を漏らしていた。
口内で感じた快感とは似て非なる感覚に、またもオレの脳は麻痺し始めた。
ケルカが上下するごとに、オレの肉棒は手で扱かれる感覚と、口内の粘液に擦り付けられる感覚、双方を同時に味わい、意識が軽く遠のく。
「気持ちいいか?」
「…あ……?」
ケルカの問い掛けに、オレは目も虚ろに答えた。
焦点の合わない視界に、ケルカの苦笑する顔がぼんやりと映る。
「おいおい、大丈夫かよ?
そろそろイっちまいそうか?」
「う……ぁ……」
再度の問い掛けにも、オレは虚ろに答える。
肉棒から全身に伝わる極上の快楽は、まともな思考力を奪い、オレは、ただただ快感の波に心身共に委ねることしかできずにいた。
慣れたケルカにしてみれば、確かに苦笑いを浮かべても仕方のない滑稽な様子だったかもしれないが、今のオレにはそんなことはどうでもよかった。
ひたすらにこの快楽を味わい尽くしたい。
オレの意識は、ただそれのみに機能していた。
そのうち、オレの腰は、まるで本能がそうさせるように、上下に大きく動き始めた。
「お?」
その行動に驚いたのか、ケルカが短く声を発した。
オレは構うことなく上下動を続ける。
上下動は、次第に力強く、素早くなっていき、しばらくして、その動きは獣の交尾のごとく荒々しいものになっていった。
「おぉ……激しいねぇ……」
嬉しそうに言うケルカ。
その声に、ほんの少しだが、快楽の色を聞き取る。
なんとか焦点を合わせてケルカの下半身を見れば、先程まで垂れ下がっていた肉棒は、充分な血液を含んで肥大し、見るからに硬そうな様相を呈して揺れていた。
オレの視線に気付いたのか、ケルカは自らの肉棒に手を添え、
「なかなかいいぜ……オレもノってきた……」
と、満足気に呟き、肉棒を握り込んで扱き始めた。
すると、まるでケルカの手の動きに連動するように、ケルカの肛門の筋肉が収縮と弛緩を繰り返し始める。
その動きが、オレの上下動と見事に合わさった為、ケルカの中のオレの肉棒には、さらなる圧迫感が加わり、また、それまでの絶頂寸前で止められたという、肉体的もどかしさと相まって、オレは耐える間もなく絶頂を迎えてしまった。
「はっ……!!! …ぁ……っ!!!」
声を殺し、腰を突き上げてケルカの腸内の奥まで肉棒を突き立て、それまでに溜まっていた肉体的不満足から解放されるかのように、オレはケルカの腸内に、思う存分に射精を果たした。
目の前が霞んで見えるほどの快感と解放感は、筆舌に尽くしがたいものだった。
オレの射精を感じ取ったらしいケルカは、自らの肉棒を扱く手を止めて言う。
「もうイっちまったのか。
まぁ、初めてじゃ無理ねぇか」
「はぁ…はぁ…はぁ……」
射精を終え、疲れ切っているオレは何も答えられない。
「よっと……」
掛け声と共に、ケルカはその場に立ち上がる。
ケルカの肛門から解放されたオレの肉棒は、ケルカの粘液と自分の粘液で濡れそぼり、下腹部の上にくたりと伸びていた。
一方、立ち上がったケルカの肛門からは、オレの放った白濁液がドロリと滴り、直下のオレの肉棒の上に降り掛かった。
「結構出たな〜」
垂れた白濁液を眺めながらケルカが言った。
オレはようやく落ち着きを取り戻し、同じく下腹部に目を向けて、その様子を確認する。
と、状態を見たオレは、とたんに恥ずかしさを感じて、何とも気まずい気分になった。
しかし、そう感じているのはオレだけのようで、ケルカは鼻歌交じりにテーブル上のティッシュを取ると、白濁液を押し出し尽くしたらしい肛門を拭いていた。
拭き取り終えると、白濁液の付いたティッシュを丸めてゴミ箱に放り込み、ケルカがぼやく。
「ま〜たイきそびれちまったぜ」
ドサリとソファに座り込み、残念そうに息を吐くケルカ。
言われてみれば、ブラックの時もオレの時も、射精したのはオレ達だけで、ケルカは射精を果たしていない。
ケルカからしてみれば、欲求不満もいいところだろう。
「…………」
何となく申し訳なくなったオレは、微妙にくたびれてきたケルカの肉棒に、そっと手を伸ばした。
それに気付いたケルカは、
「お?」
意外そうな声を上げ、オレを見る。
そしてニッと笑うと、
「ひょっとして出してくれんのか?」
と、期待を持った眼差しで尋ねてきた。
「だって、ケルカ、さっきも出してねぇじゃん」
言って、オレはケルカの肉棒に手を添える。
芯を失いつつあったケルカの肉棒は、柔らかさと硬さを併せ持っていて、とても熱く感じた。
オレは自分の肉棒にそうするように、ケルカの肉棒を手いっぱいに握ると、上下に擦り始める。
すると、ケルカの肉棒は次第に硬さを増してきて、みるみるうちに限界まで硬くなった。
その様と感触に、オレは奇妙な興奮を覚えていた。
他人の肉棒に触れるのは初めてのことではない。
以前、ジークとアーサーの肉棒、それも勃起させた肉棒に触れており、しかも射精までさせている。
しかし、こうして成熟した大人の肉棒に触れるのは初めてのことだ。
ケルカよりも付き合いの長いクーアの肉棒にさえ触れたことはない。
初めて触れた大人の肉棒は、オレ達子供のそれとは異なって、毒々しさにも似た威容を見せつけていた。
使い慣らされたと思われるケルカの肉棒は、竿の根部に程近い毛皮と皮膚の境目から、太さも長さも異なる血管が見て取れるほどに浮き出、皮膚は微妙に赤黒く、どこかゴツゴツとした感じの硬さを持っている。
カリ首は綺麗にくびれ、膨れた亀頭部は、まさに亀の頭を思わせた。
毛皮に包まれた下部の袋は、中に収まった玉に押されるようにパンパンに膨れており、ずっしりと重そうに、その存在感を主張していた。
そして、亀頭と肉棒、玉と袋の大きさ、それぞれが均整の取れているケルカのモノは、全体としてオレのモノよりもずっと大きかった。
以前、ケルカがオレのモノが大きいを評したが、ケルカのモノはそれ以上だ。
同じ大人のモノでも、大きい部類に入るのではないだろうか。
実際、子供のオレの手では、ケルカの肉棒を扱くのには、少々物足りない。
だが、それでもケルカには快感を与えることができているようで、扱く肉棒の先端には、プックリと我慢汁の玉ができていた。
ふと、何とはなしに、肉棒に顔を近付けてみる。
鼻先を肉棒に当たりそうなほどに近付けると、シャンプーの柑橘系の香りに混じって、ほんのわずかにオスの匂いが。
上目遣いにケルカを見れば、ケルカは艶を帯びた瞳で、じっとオレを見つめていた。
また、表情は、再びクーアを連想させる穏やかな笑みをたたえており、それはオレの行動を見守っているかのように見えた。
何とも不思議な気分になり、オレはほとんど無意識に口を開け、舌を伸ばす。
舌の先端が、肉棒にぶつかり、舌先がそれを感じ取る。
そのまま舌の表全体を肉棒に押し当てると、顎をしゃくって舐め上げた。
熱く、硬い肉棒の味は、無味。
しかし、無味だからこその、形容しがたい不思議な味を感じる。
再び舌を肉棒に押し当て、今度は舐め上げると同時に、亀頭の先端まで舌を伸ばしてみる。
舌先が我慢汁の玉を舐め取ると、刺激的な塩味が広がった。
同時に、ピクリとケルカの肉棒が小さく跳ねた。
見上げた先のケルカの表情は先程と同じ。
だが、かすかに恍惚としたものを帯びているようにも感じる。
それから二度三度、同じように舐め上げた後、思い切って肉棒を口に含んでみる。
大振りの肉棒は、途端にオレの口内を埋め尽くし、息苦しさを感じると同時に、不思議な無味が口内に広がった。
オレは、先程オレがケルカにされたのと同じような刺激をケルカに施す。
頬の内側に亀頭を擦り当て、頭を前後に動かして粘液で刺激。
尿道の奥まで吸い尽くすように、目一杯に肉棒を吸い込み、口をすぼめて肉棒を圧迫する。
見よう見真似のつたない口技だが、目線を上げれば、ケルカは深く息を吐き、オレの口が与える刺激に酔っているようだった。
それを見たオレは、さらに快感を与えてあげたくて、口をすぼめたまま、素早く、勢いよく頭を前後させた。
だが、しばらくして、ケルカが手でオレの動きを押しとどめた。
「気持ちはありがたいけどよ、歯が当たっていてぇや」
苦笑いを浮かべてそう言うと、ケルカはオレの口から肉棒を抜き去った。
オレの唾液とケルカの我慢汁の混合液が糸を引く。
口内に溜まった粘液を飲み下し、シュンと耳を垂らすオレ。
そんなオレを見て、ケルカはポンとオレの頭に手を置くと、
「初めてだったんだろ、咥えたの?
結構よかったぜ」
と、オレを励ました。
「……気持ちよかった?」
「ああ」
尋ねるオレに、ケルカは笑みを浮かべて答えた。
そして、オレの手を取ると、自らの肉棒に導き、
「あとは手で頼むわ」
と、オレに肉棒を握らせた。
粘液にまみれた肉棒はヌルヌルとよく滑り、このうえなく扱きやすくなっていた。
今度こそオレは勢いよく、力強くケルカの肉棒を、両手で扱いた。
グチャグチャと粘着質の音を響かせ、ケルカの肉棒はオレの両手に蹂躙されていく。
時間が経つにつれ、ケルカの息遣いは荒く、表情は恍惚感を増していった。
この様子では、ケルカが射精に達するのも、そう遠くはない。
そう思った矢先だった。
「待った……」
ケルカが小さな声で、オレを止めた。
ケルカの肉棒を握ったまま、オレは動きを止める。
オレが不思議そうにケルカを見ていると、ケルカはオレの体の下に手を伸ばし、下腹部を探り始めた。
その手は、すぐにオレの肉棒に当たる。
「やっぱ、また勃ってたな」
そう言って、ニッと笑うケルカ。
言われた通り、オレの肉棒は、いつの間にか充血し、硬さを取り戻していた。
ケルカは、勃起したオレの肉棒を何度か揉むと、手を離し、オレを見つめて言う。
「また、入れてみるか?」
「え……」
声を漏らして考えるオレ。
脳裏には、得も言われぬケルカの体内の快楽が思い出される。
「今度は入れながら扱いてくれよ……」
オレの答えを待たず、ケルカはオレの手を振りほどくと、ソファの上に横になって、尻を天井に向けた。
オレの目の前に、ケルカの肛門があらわになる。
「今度は自分で入れてみな……」
囁くように言うケルカの言葉に、オレは誘われるように動いた。
尻を上げたケルカに覆い被さり、突き上げられた足の一方に手を回してバランスを取ると、空いたもう片方の手を自分の肉棒に添え、ケルカの肛門にあてがう。
「い、入れるぜ……?」
「ああ……」
尋ねるオレに、ケルカは静かに答えた。
オレは腰を沈め、徐々にケルカの肛門を肉棒で押し開いていく。
埋没していくにつれ、あの極上の快楽が肉棒から広がる。
押し寄せてくる快楽の波に、オレの意識がまたも遠のく。
しかし、
「扱くのも忘れずにな……」
というケルカの言葉に、オレはかろうじて意識を元に戻した。
肉棒を根元までケルカの肛門に突き刺すと、オレは目の前のケルカの肉棒に目を向ける。
重力に引かれて頭の方に垂れさがる肉棒と袋は、普段目にすることのない不自然な光景である為か、とても卑猥なものに見えた。
オレはその卑猥なモノを手に取り、扱く。
それと同時に腰も振り始めた。
扱きながら腰を振るというのは、なかなかに難しいものではあったが、繰り返すうちに慣れを感じ、ほどなくして、振る扱くのタイミングも合い始めた。
そこからは早かった。
「う…おっ……!」
扱かれている肉棒から伝わる刺激は当然のこととして、先程以上に乱暴に腰を振るオレの動きに感じてか、それとも体勢の違いによって刺激されている箇所がちょうどいい具合だったのか、はたまたその両方か。
ケルカが驚きの声にもにた喘ぎを発し始めた。
そんなケルカを見下ろしながら、オレは一心不乱に腰を振り、手で扱く。
「ぐ……いい……じゃねぇか……」
言って歯を食い縛るケルカは、快楽に耐えているように見え、それがたまらなくオレの興奮を高めた。
高まった興奮をぶつけるように、オレはさらに加速する。
そして、そのわずかあとにそれは訪れた。
「うぐおぅ……!!!」
獣のような呻きを聞いたかと思うと、瞬間、ケルカの肉棒が一層膨れ、大きく脈動を始めた。
先端から白濁液を水鉄砲のように飛ばし、真下の自分の腹、胸、そして顔を白く染め上げていく。
袋は若干収縮し、その様は肉棒内部の尿道に、白濁液を送り込むポンプのようにも見えた。
二桁に渡るケルカの脈動と放出の動きは、肛門にまで伝わった。
ケルカが白濁液を放つたびに、肛門は限界まで収縮し、オレの肉棒はきつく締め上げられた。
それは激烈な刺激となってオレの絶頂感を誘発し、その誘発に逆らうことができず、オレは、
「で、出ちまっ……あああぁああぁぁぁ!!!」
叫びと共に、ケルカの腸内に射精を果たした。
2人同時に射精をしている様は、さぞかし異様で卑猥で興奮を誘う光景だっただろう。
射精の絶頂感は十数秒に達し、意識を失いかけるほどのその絶頂のあとは、2人の荒い息遣いだけが残った。
全身の力を使い果たしたような脱力感に襲われたオレは、そのままケルカに覆い被さるように突っ伏した。
射精を終えて硬さを失いつつあったオレの肉棒は、ケルカの肛門からズルリと抜け、突っ伏した先のケルカの腹や胸は、ケルカ自身の放った熱い白濁液でまみれており、それはオレの胸や腹に付着し、その熱さを伝える。
ちょうど腹の真下では、脈動を終え、白濁液を放ち終えたケルカの肉棒が、硬さを失って縮み始めているのが分かった。
「ふ〜〜〜……」
頭上で大きな吐息が放たれた。
見れば、ケルカが満足気な表情でオレを見つめていた。
「よかったぜ。
お前は満足したか?」
「う、うん……」
快楽に溺れたあととは思えないほどの、なんともあっさりとしたケルカの言葉に、オレはキョトンとしてケルカを見つめ返し、間の抜けた肯定の返事しかできなかった。
「そっか」
返事も短く、ケルカは笑みを浮かべてオレの頭をクシャクシャと撫でた。
「それにしても……」
言って、ケルカはオレの体を持ち上げる。
と、ニチャッという音と共に、オレとケルカの間に、ネトネトとした白い糸が引いた。
「あ〜あ〜、ま〜た汚れちまったよ」
ケルカは面倒くさそうに言って起き上がり、自分の胸と腹、そして顔に付いた白濁液を指ですくった。
その惨状を見て、
「……また風呂入らねぇとダメだな」
と、オレ。
ケルカはため息交じりに、
「仕方ねぇな……」
そう呟くと、ニヤリと笑ってオレを見た。
そして、オレの体を抱き抱えると、その場に立ち上がった。
「うわっ!?」
急に抱えあげられてバランスを崩しそうになったオレは、とっさにケルカの首に手を回す。
「お姫様だっこの完成〜」
言って、ケルカがニヤニヤと笑う。
「ちょっ……降ろせよ!」
オレはケルカの首から手を外し、抗議の声をあげるが、ケルカはまったく取り合わず、オレを抱き上げたまま、歩き始めてしまった。
「すぐそこなんだから、いいだろ別に。
減るもんじゃねぇんだしよ」
言って、ニヤニヤ笑いを浮かべ続けるケルカに、オレは大きくため息をつくと、
「……勝手にしろよ」
そう答え、ケルカの首に、再び手を回した。
ほんの少しだけ、顔をほころばせながら。