人通りがまったくと言っていいほどない夜道。

道の脇には丈の高い草が生い茂り、それが邪魔をして遠くにある町の灯もよく見えない。

街灯もなく、自分の足元さえよく見えないその道を、仕事を終えたボクは、1人歩いていた。

天にかかる三日月のわずかな光を頼りに、仕事で疲れた体を引きずるようにして歩く。

と、その時。

ガサッ!

突然、すぐ脇の草むらが揺れた。

そして、

バチンッ!!

「!!」

何かが爆ぜるような音と共に、首筋に強烈な衝撃が走った。

ただでさえ暗い夜道が、一瞬にして真っ暗になる。

 

 

「う……ん……」

体全体を揺らす振動で、ボクは目を覚ました。

(誰かがボクの体に触ってる……誰かが……

 ……誰か!?)

ボクは一気に覚醒し、慌てて上体を起こそうとするが、何者かに押さえつけられていて、体が動かせない。

それどころか、両手足が何かで縛られており、まるで動かすことができなかった。

状況を把握しようと目を見開いてみるが、辺りは夜の闇に包まれているため、どこにいるのかさえまったく分からない。

ただ分かるのは、ボクは両手を縛られており、誰かに押さえつけられているということだけだ。

「誰!? 誰なの!?」

ボクはパニックになり大声で叫ぶ。

すると、ボクの足元の方から声が聞こえた。

「なんだ、もう起きたのかよ。

 せっかくもうちょっとのところだったのに……」

それは若い男性の声だった。

ボクは足元に目を向けるが、この暗闇の中ではかろうじてシルエットが分かる程度だった。

困惑するボクに、声は話を続ける。

「ま、いっか。 起きてようが寝てようが関係ねぇしな。

 むしろ起きててくれた方が都合がいいか」

訳の分からないことを言う声に向かって、ボクは声を荒げる。

「何訳分からないことを言ってるんだ!

 ボクをどうするつもりなんだ!?

 こんなことしてただで済むと思ってるのか!?」

矢継ぎ早にまくし立てるボクの声に、声は面倒くさそうに溜め息をつき、

「うるせぇ奴だな」

と、言って、ボクの上から退いた。

ボクは両手足の自由が利かないながらも、なんとか上体を起こす。

パッ!

「!?」

上体を起こした瞬間、急に強烈な光が目を貫いた。

あまりのまぶしさに、ボクは思わず目をつむる。

「とりあえず1枚な」

声がそう言うと、今度は目蓋を通じて柔らかい光が差してきた。

目を開けると、柔らかい光の正体は白い蛍光ランプだった。

地面に置かれたランプは辺りを照らし出し、それが光源となって周囲の状況が明らかになる。

今、ボクがいる場所は、背の高い草の生えている場所のようだ。

おそらく、先程までボクが歩いていた夜道の脇の草むらだろう。

ボクの周囲だけ、草が薙ぎ倒されている。

手足の自由を奪っているのは、太さ1p程もあるロープ。

とてもじゃないが引きちぎれるような代物ではなかった。

そして、肝心のボクに覆い被さっていた声の主は、ランプの横に仁王立ちをして、ボクを見下ろしていた。

ランプに照らされたその声の主は、20代前半の狼獣人の男。

狼の片手にはカメラが握られ、レンズはボクに向けられている。

どうやら先程のまぶしい光は、このカメラのフラッシュだったらしい。

狼はいやらしげな笑みを浮かべると、ボクの足元にしゃがみ込み、口を開いた。

「お前、これから何されるか分かる?」

唐突な質問に困惑するボクを、狼はニヤつきながら見つめる。

ボクが首を横に振ると、狼はカメラを地面に置いて立ち上がり、着ている物を脱ぎ始めた。

最初は上着を、次にズボンを、といった具合に、次々と服を脱いでいく。

ボクは狼のストリップを見ながら、ボクは混乱する頭でこのあと何をされるのかを考えようとした。

しかし、ボクがこのあとに起きることを想像するよりも先に、狼が服を脱ぎ終えてしまった。

ランプの明かりが狼の裸体を照らし出す。

一見、華奢にも見えるその体には、よく見ると無駄なく筋肉がついているのが分かる。

股間には立派な肉棒がそそり立ち、その先端はすでに濡れ、熱く脈打っていた。

「これで何されるか分かったろ?」

狼は自らの肉棒に手を添えると、慣れた手つきでソレを扱き始めた。

狼の手が動くたびに先端から溢れた粘液が地面に滴り落ちる。

その様子を見たボクは思わず後退るが、手足を縛られているためにバランスが保てず、そのまま後ろにひっくり返ってしまった。

狼はそんなボクを見て、ニヤリと笑いながら近寄ってくる。

そして、仰向けに倒れたボクをまたぐようにして立つと、ボクを見下ろしながら、ボクの真上で肉棒を扱き立てた。

滴る先走りの液は、肉棒の真下にあるボクの顔を目掛けて降り注いだ。

「やだ! やめろ!!」

ボクは必死にもがくが、両手足を縛られているために満足に動けず、降り注ぐ先走りから逃れるために首を左右に振るのが精一杯だった。

だが、それでも先走りは容赦なくボクの顔に降り注ぎ、次第にボクの顔は狼の先走りで汚されていった。

やがて、ボクの顔中が先走りにまみれると、狼は肉棒を扱くのをやめ、中腰になってボクの顔を覗き込んできた。

満足そうにボクの顔を見つめる狼。

「いい顔になったじゃねぇか、ええ?

 すっげぇいやらしいぜ、今のお前」

面白そうにそう言うと、狼は数歩下がってしゃがみ込み、ボクのズボンに手をかけた。

「!! や、やめて……」

何をされるかをすぐに察知したボクは、狼に懇願する。

しかし、邪悪な笑みを浮かべた狼に、ボクの懇願など届くはずもなく。

「やめて、なんて言われたら逆に興奮しちまうじゃねぇかよ。

 しっかり楽しませてもらうぜ〜」

舌なめずりをしながら、狼はボクのズボンのベルトを外し、ボクの下半身を持ち上げて、ズボンと下着を引き下げた。

ベチッ!

「へへへ、元気よく飛び出たじゃねぇかよ、お前のスケベなチンポがよ」

狼の言葉通り、引き下げられた反動でボクの肉棒がはね上がり、自分の腹を勢いよく打った。

自分でも認めたくないことだったが、ボクの肉棒は先走りこそ流していないものの、すでにはちきれんばかりに勃起していた。

狼はその場に立ち上がると、おもむろに足を上げ、勃起したボクの肉棒を踏みつける。

「うっ!」

ボクは肉棒に重みを感じ、小さく呻いた。

「足でされるのは初めてか? え? オラ!」

そう言いながら、狼はボクの肉棒を踏みつけた足を小刻みに動かす。

「う、あ、あ、あ、あ!」

ボクはその刺激に呻くが、その声は振動のせいで途切れ途切れになってしまう。

狼が足を震わせるたびに、ボクは身をよじって逃れようとするが、狼の足はそれを許さなかった。

肉棒を上下に、左右に、時に回すようにして動かすその足の動きは、狼が今まで何度もこういった行為を、誰かに対して行ってきたということを如実に物語っていた。

ボクの肉棒の弱い所を知っているかのようなその動きは、的確にボクの快楽のツボを突き、乾いていた亀頭の先端から透明な蜜を溢れさせる。

「あぅん……ふ…ぅぅ…」

「お? 声も汁もいい感じに出てきたじゃねぇか。

 足でヤられて感じてきちまったのか?」

クククッと笑いながら、狼がボクをなじる。

そして、カメラを構えると、再びシャッターを切った。

フラッシュがたかれ、辺りが一瞬まぶしく光る。

ボクの痴態をカメラに収めると、狼は濡れそぼったボクの肉棒から足をどけた。

溢れ出た先走りの蜜は、ボクの肉棒と狼の足の裏に透明な糸を引く。

「さてと……あ、もうこんな時間かよ……仕方ねぇ。

 ホントはもっとじっくり楽しみてぇんだが、あいにくこのあと行く所があるんでね。

 さっさとヤることヤっちまうか」

狼は腕時計を見ながら残念そうに呟くと、ボクの体を両手でつかみ、仰向けの状態のボクをひっくり返し、うつ伏せにした。

そのまま狼はボクの尻の両脇に手を添えると、上に向かって引き上げる。

「うわっ!」

急に腰を引き上げられ、ボクは驚いて声を上げてしまう。

ボクは今、狼に尻を突き出すような体勢で、地面に突っ伏していた。

狼の手が尻から離れたのを感じた時、不意に辺りが2回まぶしく光った。

ボクの位置からは見えないが、おそらく狼がボクのこの姿をカメラに収めたのだろう。

「お〜、いいケツしてんじゃねぇかよ、お前。

 穴も具合がよさそうだ」

狼は心底嬉しそうにそう呟くと、何かをボクの肛門に垂らす。

「ひっ!?」

肛門に感じたひんやりとした感触に、ボクは反射的に身を跳ねさせ、短い悲鳴を上げた。

そして、次の瞬間、

ズプッ

「あう!?」

肛門の中に何かが侵入し、かすかな痛みと不快感がボクを襲った。

侵入してきた何かは、ボクの直腸の中を縦横に動き回る。

何かの先端がボクの腸壁をえぐるたび、ボクは、

「あっ! …ぐぅ……! ぃひっ!」

と、情けない声を上げてしまう。

やがて何かが肛門から抜き取られると、ボクは安堵の溜め息を漏らした。

しかし、安心したのも束の間。

「この程度で安心してんじゃねぇよ。

 本番はこれからだ……ぜ!!」

ズボ!

「うぎゃ!!?」

狼の言葉が終わると共に、肛門に痛みが走った。

「おっと、ちょっと痛かったか?

 まだ先の部分が入っただけなんだけどな。

 まあ、オレのチンポはでけぇからなぁ」

「うぅぅ……」

「じゃあ、時間も押してきてるし、一気に行くぜ。

 ま、ケツが破れることはねぇと思うから安心しな」

痛みに耐えるボクに向かって、狼が言い放つ。

そして、おもむろにボクの尻に手を添え、徐々にボクの中に侵入してきた。

「い…たいぃぃ……!」

ボクは痛みを訴え、なんとか逃げようとする。

だが狼に尻をつかまれ、逃げることなどできなかった。

「思ったとおり、いい締まりしてやがるぜ、お前」

狼が身をかがめ、ボクの耳元で囁き、緩やかに動き始めた。

「ぅぐうぅぅ…!」

狼が動くごとに、腸壁と肛門が痛みと不快感を訴える。

しかし、狼にそんなことが伝わるはずもなく、狼は徐々にスピードを上げていった。

グチュ グチャ ズチュ……

濡れた、いやらしい音がボクの耳に届く。

「っく……ホント、具合いいぜ、お前のケツ……

 こんなにいいのは久しぶりだ……」

狼が呟く。

本当に感じているのか、その声は少し震えている。

だが、快楽を貪っている狼とは反対に、ボクは、

「ぅぅ……や、やめて…ぇ……」

と、痛みに呻き、狼に懇願をしていた。

それが聞こえたのか、狼が再びボクの耳元で囁く。

「泣きたきゃ泣いてもいいぞ……

 その方がオレも興奮するしな……」

「……ぅぎ…ぃ……もう…ダメぇ……ゆ…ゆるして……」

無慈悲なその言葉に、ボクはさらに懇願するが、狼は聞く耳を持たなかった。

それどころか、逆に動きを早め、ボクを激しく責め立て始めた。

ズチュッ! ブチュッ! グチュッ!

「ああぁぁぁ! 痛いぃ! やめてっ! 動かないでぇ!!」

ボクはあまりの激痛に、狼の言葉通りに泣き叫んでしまった。

首をブンブンと振り、涙を流して懇願する。

「やめてぇぇ!! 痛いよぉ!! あああぁぁぁ!!!」

「いいぜ、その悲鳴! 最高だ!!

 もっとだ!! もっと泣け!!!」

狼は待ってましたといわんばかりに喜びの声を上げ、さらに激しく動く。

「うわぁぁぁぁぁ!!!」

ボクは恥も外聞も捨て、狂ったように泣き叫んだ。

 

 

一体、どれだけの時間、そうして責められていたのだろうか。

やがて、

「ぅぅ……! もう…イきそうだ……!」

と、狼が苦しげに喘いだ。

もはや悲鳴を上げることすらできなくなったボクは、グッタリとしながらその言葉を聞いていた。

狼は今まで以上に動きを速めるが、痛みの感覚が麻痺し始めていたボクは呻くこともしなかった。

そんな、ほとんど放心状態のボクを、狼が激しく突く。

そして、

「イ…く…ぜぇ……!! ぅうおぉぉぉぉぉ!!!」

ボクの悲鳴に勝るとも劣らない叫びを上げ、狼がボクの中に精を吐き出した。

大量の温かい精が、ボクの腸内に注がれていく。

狼の肉棒は、最後の一滴までしぼり出そうとしているかのようにボクの中で痙攣を繰り返していた。

「……ふぅ〜……」

大きな溜め息をつき、ボクの中から肉棒を引き抜く狼。

ボクは虚ろな目で暗い夜空を見上げ、肉棒が引き抜かれた肛門から、生暖かい精液がこぼれるのを感じていた。

と、突然、

パッ!

辺りがまぶしく光った。

どうやら狼がカメラのシャッターを切ったようだ。

放心しているボクの姿を、角度を変え、何枚かカメラに収めていく。

「なかなかいい絵が取れたぜ……へへへ」

狼は笑いながら呟く。

そしてボクの脇に座り込むと、カメラを地面に置き、痛みで萎縮してしまったボクの肉棒をつかんだ。

「ご褒美をくれてやるよ」

狼は萎えたボクの肉棒をつかんだ手をゆっくりと上下に動かす。

すでに先走りで濡れているソレは、狼の手の動きによって徐々に大きさを増していく。

その刺激にボクは放心状態から覚め、ボクの頭は、やわらいできた肛門の痛みよりも、肉棒からくる快感に支配されつつあった。

ボクは肉棒全体で狼の掌を感じようと、自ら腰を動かし始める。

「はっ! いやらしい奴だな、お前。

 そんなに腰振ってよ。

 さっきまで泣き喚いてたのが嘘みてぇだぜ」

淫乱に腰を振り、肉棒を掌に押しつけるボクを見て、狼がののしる。

「は…ぁ…ん……ぅぅ…ん」

ボクは恥ずかしさに震えながらも、射精の快感を得ようと、必死で腰を振り続けた。

その間、狼は言葉でボクをなじりながらも、ボクの腰の動きに合わせるようにしてボクの肉棒を刺激してくる。

ボクが腰を引けば、それを追って掌を肉棒に押しつけ、ボクが腰を突き出せば、それに合わせて手を引き、やさしく肉棒を撫でる。

時折、指の腹で鈴口を擦ったり、カリ首をなぞるようにして爪で刺激したりもする。

肉棒に触れていない手は、ボクの双球にあてがわれ、痛みを感じない程度に揉んだり引っ張ったりを繰り返していた。

絶妙ともいえるそのテクニックに、ボクは瞬く間に絶頂に導かれ、

「ぅぅ……イくぅ…イっちゃうぅぅぅ!!」

ビュピュッ ビュク ビュッ

全身を震わせながら、今までに出したこともないような量の精液をぶちまけた。

飛び出した精液は、ボクの頭上を越え、顔を、上着を、そして狼の手を白く染める。

「すげぇ量だな、オイ。

 よっぽど気持ちよかったのか?」

飛び出した精液を見た狼が、驚いたように呟く。

そして、精液で汚れた手をボクの毛皮で拭き取ると、カメラを手に取り、精液にまみれ、胸を上下させているボクを何枚もカメラに収めていった。

やがて写真を取り終えた狼は、腕時計に目をやる。

「……もう時間だな。 なかなか楽しかったぜ。

 また気が向いたらヤってやるからよ。

 その時までに、ちっとはケツの穴を広げときな」

服を身に着けながら狼が言った。

射精の余韻に浸っていたボクは、虚ろな目で狼を見上げる。

すると、服を着終えた狼は自らのポケットをあさっていた。

そこから1枚の紙を取り出し、ボクの脇に置いて言う。

「コレがオレの家の住所だ。 ヤって欲しけりゃここに来な。

 ……あ〜そうそう、それともう1つ。

 今日あったことを警察に知らせやがったら、撮った写真、全部ばら撒くからな」

カメラをボクの目の前で振りながら、狼がニヤリと笑った。

そして、狼はランプを消し、何事もなかったかのように草むらの中に消えていった。

光源を失い、すっかり暗闇に閉ざされてしまった草むらの中には、呆然としているボクだけが取り残された。