『最初はグー! ジャンケン、ポン!

昼の日差しが差し込む広い教室内に、威勢のいい声が響く。

声の発生源は教室の片隅。

そこでは8人の男子学生が円陣を組み、それぞれが片手をその中に差し出していた。

差し出された手の形は2種類。

1人がグー、ほかの7人はパーだった。

「負けた……」

まるで示し合わせたようなその結果に、グーを出して負けた虎獣人の少年が、自らの手を見て呆然と呟く。

勝ったほかの7人は口々に喜んでガッツポーズを取っている。

その中の1人、狐獣人の少年が、負けた虎の少年の肩にポンッと手を置き言った。

「じゃあダヴィ、お前がモデルな」

ダヴィと呼ばれた虎の少年は、観念したかのようにガックリと肩を落としてうなずいた。

「よーし、みんな。 しっかりと細部まで観察して描いてやろうぜ」

狐獣人の少年がそう言うと、ほかの6人の少年が口々にダヴィをはやし立てた。

ここは美術室。

通常の教室よりも広いその室内の中央には、複数のイーゼルと椅子が円形に並べられ、その円の中心には白い台座が1つ据えられていた。

ジャンケンに勝った7人は、それぞれ思い思いの椅子に座り、イーゼルにカルトンを立てかけて鉛筆を取り出し、デッサンの準備を始める。

一方、ジャンケンに負けたダヴィは、中央の台座に上がった。

そして、ダヴィは台座へ上がると、周りの視線を気にしながら服を脱ぎ始めた。

彼等がジャンケンで決めたのはヌードモデルだった。

同級生の視線が集中する中、ダヴィはストリップを続ける。

上着を脱ぎ、上半身をあらわにさせ、ズボンに手をかけ、靴下も脱ぎ捨てる。

いまや下着1枚になったダヴィは、彼のストリップをニヤニヤしながら見ていた同級生達に向かって、

「……やっぱ全部脱がなきゃダメ?」

と聞いたが、それに対し、ダヴィの正面に座っていた狐の少年は、

「当たり前だろバカ! 全部脱がなきゃヌードじゃねぇじゃん!」

と、憤慨したように言い放った。

ほかの同級生もみんな似たような反応だ。

「はぁ……ホントに今日は誰も来ないよね?」

ダヴィは大きく溜め息をつくと、教室の入り口に視線を向ける。

入り口のドアには覗き窓が1つあるのだが、そこには紙が張られ、外からは中の様子が見えないようになっている。

「大丈夫だって、心配性だな。

 鍵もかけたし、それに何より、今日は日曜だぞ?

 誰もこんな所に来やしねぇよ」

狐の少年がそう言うと、ダヴィはもう1つ溜め息をつき、やがて観念したように下着に手をかけた。

そして戸惑うような手付きで、下着を脱ぎ捨てる。

ダヴィの体は、太っているわけでもないが、痩せているわけでもなく、かといって、筋肉質なわけでもなかった。

適度に筋肉のついたその体は、いわゆる中肉中背というのがふさわしい。

そのダヴィの体を見て、正面に位置していた同級生の1人が呟いた。

「お、包茎だ」

その言葉を聞いた、ダヴィの後ろに座っていた同級生が、

「え、マジで?」

「どれどれ……」

などと言いながら、ダヴィの正面に移動してくる。

「わっ! ちょ、ちょっと、なんでみんな正面に来るんだよ!」

ダヴィは恥ずかしそうに両手で股間を隠すが、それに対し同級生達から非難の声が上がる。

「隠すなよ、見えないだろ!」

「男なら堂々としろよ!」

「ちゃんとポーズ取れよ!」

そんな非難の声に、ダヴィは渋々股間から両手を離した。

あらわになるダヴィのペニス。

そのペニスは完全に皮を被っており、ともすれば子供のそれのようにも見えた。

すでに同級生達は全員正面に移動し、しかもイーゼルや椅子まで正面に移動させている。

6人並んで椅子に座り、ダヴィ1人が台座に立ってその視線にさらされている様は、まるで面接会場のようにも見える。

「ホントだ、皮被ってら」

「でも、結構デカくね?」

口々に好き勝手なことを言う同級生の言葉に、ダヴィは恥ずかしそうにうつむいた。

同級生がざわつく中、

「じゃ、そろそろ始めようぜ」

狐の少年がそう言うと、みんなは誰からともなく口を閉じ、沈黙が室内に訪れた。

そして、ダヴィが台座の上でポーズを取ると、紙の上に鉛筆を走らせる音が、静かな室内に響き始めた。

 

 

デッサンが始まってから30分。

最初のうちは『斑模様が書きづらい』だのと野次が飛んだが、その後はみんな黙々と鉛筆を動かし続けている。

ダヴィも見られることに慣れてきたのか、それとも開き直ったのか、微動だにせずに台座の上でポーズを取っていた。

しかし、デッサンが始まって40分が過ぎた頃、ダヴィは自分の体の異変に気付き始めていた。

(……ヤバイ……勃起しそう……!)

体を動かすようなことはなかったが、ダヴィの心は大いに揺れていた。

ダヴィは正面、つまりデッサンを続ける同級生達の方に顔を向けていたのだが、彼の目に同級生の1人が自分の股間を凝視しているのが飛び込んできたのだ。

じっくりとねぶるようなその視線に、ダヴィは軽い興奮を覚えた。

そして、脳がその興奮を下半身に伝えるのに、そう時間はかからなかった。

ダヴィは必死で別のことを考えようとしたが、一度伝わった興奮を鎮めることはできず、興奮を受けたダヴィの股間はゆっくりと脈打つように膨張を始めた。

ダヴィを見続けデッサンを続ける同級生達が、その変化に気付かないはずもなく、

「……おい。 お前、何勃起してんの?」

「お〜い、動かすなよ〜」

体の変化に戸惑うダヴィをからかった。

それを受けて、ダヴィのペニスはグングンと頭を持ち上げ続ける。

脈打つ鼓動に合わせて、律動しながら大きさと角度を増すペニスに、同級生達の視線が集中する。

そして、十数秒後。

完全に勃起したダヴィのペニスが、同級生達の前にさらされることになった。

ビクンビクンと小さく脈打つペニスは、勃起しても亀頭が完全には露出しておらず、包皮が亀頭の半分程まで覆い隠している。

それに反し、大きさはかなりのもので、ペニスの先端はヘソまで届こうかというほどの大きさだった。

「大きさのわりには、立っても剥けないんだな」

狐の少年がダヴィのペニスを見て、せせら笑いながら言う。

それに合わせたように、ほかの同級生達もせせら笑う。

ダヴィは、友人達の嘲笑を受けて、恥ずかしさと悔しさのあまり目を堅く閉じて歯を食いしばっていた。

そんな時、

「けど、これじゃあ描きづらいなぁ。

 なんとかしてしぼませてもらわないと」

同級生の1人が意味深な発言をした。

「?」

その発言に、何かを感じ取ったのか、ダヴィが目を開けて同級生達を見回す。

ダヴィの目に飛び込んできた同級生達の顔は、一様に淫靡な色を浮かべていた。

ダヴィが言い知れぬ身の危険を感じた刹那、

「おい、テアゴ、ちょっとしぼませてきてくれよ」

同級生の1人が狐の少年に向かって言った。

「はいよ」

狐の少年、テアゴは素早く立ち上がると、近くに置いてあった筆を手に取り、台の上で立つダヴィの方に近寄った。

「ちょっ、ちょっと待って!」

身の危険を感じ、慌てて逃げようとするダヴィの腕を、テアゴが逃すまいとガッチリとつかむ。

「なんだよ、おとなしくしろよダヴィ!

 痛いことするわけじゃないからいいだろ!?」

「いやだよ!! 放してよ!!」

つかまれた腕を振り解こうと暴れるダヴィ。

テアゴ1人では抑えきれないと判断したほかの同級生達が2人、テアゴに加勢する。

2人は暴れるダヴィの両腕をつかみ、ガッチリと押さえ込んで暴れられないようにした。

一方、テアゴは2人がダヴィを押さえ込むと手を離し、ダヴィの前に回り込んだ。

「ちょっと待って! ホントにやめてよ!!」

ダヴィの必死の懇願に、テアゴはニヤリと笑ってその場にしゃがみ、手にしていた筆をダヴィの股間に向けた。

そして、

「ちょっ、あっ……!」

ダヴィの口から短い嬌声が漏れた。

ダヴィの股間では、テアゴの手にした筆がサラサラと動いている。

細い毛先が、ダヴィの半分だけ露出した亀頭を優しく撫で上げ、そのたびにダヴィの体がピクンと震え、口から小さな吐息が漏れた。

遠回しな弱い刺激に、ダヴィのペニスは激しく暴れ回る。

テアゴはそんなダヴィのペニスを片手でつかんで押さえると、動きを止められたペニスの先端を優しく筆で撫で続けた。

「あっ……はぁ……」

ダヴィはもう暴れることをやめ、目を閉じてその刺激に身を任せていた。

チロチロと蛇の舌のように細かく動き回る筆は、ダヴィの敏感な亀頭の表面を這い回り、時折、尿道口に毛先が入り込んだり、敏感な裏筋の部分を刺激したりした。

弱いといえど、普段皮を被っていて、外部からの刺激に慣れていないダヴィの亀頭には十分すぎる刺激だったようで、快感を感じていることを意味する先走りの粘液が、尿道口から玉になって溢れてきた。

「汁が出てきたぜ」

テアゴが言うと、ダヴィが目を開けた。

すると、ダヴィの目の前には、同級生達が全員集まっており、ダヴィのペニスを凝視していた。

脇で腕をつかんでいる2人も、肩越しにダヴィのペニスを覗き見ている。

7人の同級生に見つめられている。

その事実に、ダヴィは羞恥心というよりも、いままでに感じたことのない興奮を覚えた。

(みんなが僕のチンチンを見てる……)

そう思うだけで、ダヴィのペニスから先走りが溢れた。

ダヴィのペニスを刺激する筆は、吐き出された大量の先走りですでに湿りきっている。

テアゴはダヴィの先走りを大量に吸った筆を投げ捨てると、

「なぁ、皮全部剥いてもいいか?」

片手でダヴィのペニスを握ったまま、上目遣いに尋ねた。

「……うん」

ダヴィは小さな声で許可し、それを受けたテアゴは、ゆっくりとダヴィの包皮を根元の方に引き下げていった。

「ん……」

ダヴィが小さく呻くが、痛みを感じている様子はない。

程なくして、ダヴィの包皮はテアゴによって完全に剥かれ、きれいなピンク色をした亀頭が、同級生7人の前にあらわになった。

普段からしっかりと洗っているのか、カリの周りや剥けた皮に恥垢は見当たらない。

「毎日剥いて洗ってる?」

テアゴの質問に、ダヴィは小さくうなずく。

「ふ〜ん……普段オナニーする時はどうやってんの?

 皮使ってんの? それとも亀頭を直接触ってんの?」

「……か、皮……」

再び投げかけられたテアゴからの質問に、ダヴィは気恥ずかしそうに答えた。

「そっか……じゃ、こういうのはキツいだろ?」

それを聞いたテアゴは、ダヴィのペニスを、まるで操縦桿でも握るかのようにして親指以外の指で握り、残った親指の腹を露出した亀頭に押し当てた。

そして、その親指を激しく動かし、粘液で濡れた亀頭を徹底的に責め立てた。

「あっ! あああぁぁぁぁ!!!」

敏感な亀頭をこね回される刺激に、ダヴィは全身をくねらせて身悶える。

しかし、2人の同級生に脇を抱えられているので、逃れることができない。

悲鳴を上げ、快楽にのたうつダヴィの姿を、テアゴを含めた同級生達は楽しげに眺めていた。

彼等の股間は一様に膨らんでおり、中にはズボン越しに股間をさすっている者もいる。

広い教室内にダヴィの悲鳴が響くが、それを気にする者は誰もいなかった。

「あ、はぁ…! だ、だめぇ! やめてぇ! で、出ちゃうよぅ!!!」

「出しちまえよ。 オレ達全員が見てる前でさ」

テアゴは一層激しく指を動かし、ダヴィを責め続ける。

「ひあっ! あひぃぃぃぃ!!!」

責められるダヴィは、すでに絶頂を迎えようとしていた。

目は虚ろで、だらしなく開かれた口からは涎が溢れている。

浅ましく快楽の波に流されるダヴィの痴態を、同級生達はしっかりと目に焼きつけようと、目を皿のようにして凝視していた。

そして、その数秒後。

「あっ!ひぃぃあああああ!!!」

一際大きな悲鳴を挙げ、ダヴィの体がビクンと震えた。

ブピッ! ブブッ! ゴプ!

テアゴの指の腹で尿道口を押さえられていたため、まるで粘液の中の気泡が弾けるような音を立て、ダヴィの精液が尿道口から飛び出した。

勢いよく飛び出した精液は、テアゴの指でおかしな風に曲がり、そのほとんどがダヴィ自身の体に降りかかった。

断続的に放たれる精液が、テアゴの指とダヴィの裸体に白い染みを作っていく。

やがて、射精が終わると、テアゴはダヴィのペニスから指を離し、それと同時にダヴィの脇を抱えていた2人の同級生も腕を離した。

すると、ダヴィの体は、まるで糸の切れた操り人形のようにカクンと崩れ、台座の上に倒れこんでしまった。

ダヴィは絶頂を迎えた瞬間、あまりの快感のために気を失っていた。

すでに意識を失い、抵抗することもできないダヴィの体を、同級生達は仰向けに転がす。

同級生達の前に、すでに萎え始め、皮を被り始めたダヴィのペニスが顕わになる。

そして……

 

 

「あっ……れ……?」

ダヴィが意識を取り戻すと、そこにはすでにテアゴ等同級生の姿はなかった。

窓から射す日の光は赤みを帯びており、時間が夕方であることを知らせた。

ひにやりとした床に寝ていたダヴィは、ゆっくりとその場に起き上がる。

徐々に意識がハッキリしてきたダヴィの頭に、意識が消える前に起きた出来事を思い出される。

同級生達の前でヌードモデルになったこと、ペニスが勃起してしまったこと、テアゴにペニスを弄ばれたこと、そして、同級生達が凝視する中、射精してしまったこと。

それらが思い出されるたびに、ダヴィの心臓は高鳴り、羞恥心が沸き起こってくる。

と、ふとダヴィは自分の体を見回した。

脱いだ服が着せられており、飛び散った精液はきれいに拭き取られていた。

おそらくはテアゴ達が着せてくれたのだろう。

ダヴィが今度は教室を見回すと、イーゼルやら台座やらはすでに片付けられていた。

ひとしきり教室を見回し終えると、ダヴィはうつむき、深い溜め息をつく。

その時、うつむいたダヴィの視線に、十数枚の画用紙が飛び込んできた。

その画用紙は、ダヴィが寝ていた床のすぐそばに無造作に重ねて置かれている。

なんとはなしに、ダヴィはその画用紙を手に取った。

そして、その画用紙に描かれていたものを見た瞬間、

「あっ!」

ダヴィは短く声を上げ、目を見開いて驚いた。

画用紙には、ダヴィのあの時の痴態が事細かに書き込まれていた。

だらしなく涎を垂らし、虚ろな瞳で快楽に溺れている様子、テアゴにペニスを弄ばれ、悶えている様子、そして、射精の瞬間、ペニスの先端から精液が飛び出している様子。

さらに、画用紙に描かれていたのはそれだけにとどまらず、勃起したペニスのアップや、射精後の萎えしぼんだ精液塗れのペニスのアップまで緻密に描かれていた。

それらを見たダヴィの体は、途端にカッと熱くなり、心臓が早鐘を打ち始めた。

ダヴィは半ば呆然として、画用紙に描かれた自分の痴態を眺めていた。

しかし、画用紙をめくり、新たな絵を見るたびに、ダヴィは自分がこんな辱めを受けたにもかかわらず、興奮している自分がいるということに気付いた。

すべての絵を見終えたダヴィは、画用紙をすべて丸めると、持ってきた自分のカバンに押し込み、誰もいなくなった教室をあとにした。

教室を去るダヴィの股間は、かすかに膨らんでいるようにも見えた。