バタンと玄関のドアが勢いよく閉まる音が聞こえた。

そしてドタドタと騒がしく廊下を歩いてくる音も。

「ねぇ!」

「おい、プライロ。 もう少し静かにできないのか?」

オレがそう叱ったのは熊獣人のプライロ。

プライロはオレの注意をまったく気にも留めていない様子で、手に持っていた紙袋の中をあさっている。

「別にいいだろ? あの程度で崩れる家なんかないよ」

「そういう問題じゃないんだよ。

 オレは今仕事中なの」

オレは溜め息まじりに、紙袋をあさるプライロに向かって言った。

プライロは鼻息まじりに紙袋の底の方をあさっている。

「あ、これこれ」

紙袋の中の探し物を見つけることができたのか、プライロが嬉しそうに言う。

そして紙袋からソレを取り出して、オレに見せつけた。

「? なんだ、ソレ?」

ビニールでパッケージされたソレは、赤い布。

一見しただけでは何かは分からなかった。

「へへへ……」

プライロは薄笑いを浮かべながら、ビニールから中身を取り出す。

「じゃーん!」

掛け声をかけて中身を広げるプライロ。

ソレは2m程の長さの赤い布だった。

「? 何?」

まったく正体の分からないオレは、得意げにその赤い布を持っているプライロに尋ねた。

それを聞いたプライロは顔をしかめて言う。

「カーンス、知らないの?

 ふんどしだよ、ふ・ん・ど・し!」

「ふんどし? ふんどしって確か下着だろ?

 なんでそんなの買ってきたんだよ。

 下着ならほかにいくらでもあるだろ」

オレがそう言うと、プライロはチッチッチッと指を振った。

「分かってないなぁ、カーンス君。

 ふんどしは一部のマニアに大受けの下着なんだよ?

 締めた時の締まり具合が絶妙なんだって。

 通気性もいいらしいよ

 その上、精力減退も防ぐ効果があるって話だよ」

プライロはふんどしを弄びながら説明する。

「へぇ〜……」

妙に詳しいその説明に、思わず感嘆の声を漏らすオレ。

「でさぁ、ものは相談なんだけど……

 締めてみない?」

「は?」

モジモジとした様子で聞いてくるプライロに、オレは間の抜けた返事をする。

プライロの様子を見るかぎり、どうやら本気でオレにふんどしを締めさせようとしているらしい。

「ちょっと待て、自分で締めるために買ってきたんじゃないのか?」

聞き返すオレに、プライロはそれでもしつこく迫る。

「コレはキミのために買ってきたんだよ。

 似合うと思うよ? きっと。

 それにキミ、狼のくせにアッチは大きいから、くっきりラインが出ると思うんだよね」

「なんだそれ?

 ……ま、いいか。 締めるだけ締めてやるよ」

オレがそう言うと、プライロは目を輝かせ、いきなりオレの下半身にしがみついた。

そして、オレが抗議の声を上げるよりも早く、ズボンとトランクスを一気に引き下げてしまう。

「おわっ!?」

椅子に座っていたオレは、その勢いで椅子から滑り落ちそうになる。

「おい!!」

慌てて椅子にしがみつくと、オレは声を荒げて怒る。

プライロはイタズラっぽく笑うと、

「ほら、立って。

 じゃないとふんどしが締められないよ」

と言って、無理矢理オレを椅子から立たせた。

立たされた反動で、彼が大きいと評したオレの男根が揺れる。

プライロはオレの足元にしゃがむと、早速ふんどしを締めにかかった。

ふんどしを両手で広げると、中心付近をオレの股間にあてがい、中心から下の部分を股から尻の方に回す。

そして股から抜いた布を腰の所で1周させると、尻に縦に通した布に引っ掛け、余った布を尻と腰の部分に挟み込んでいく。

中心から上の部分は前に垂らし、垂れた部分を中心から下の部分と同じようにして、股から尻に向かって通す。

通した布をしっかり引き締めながら、また同じように尻と腰の部分に挟み込んでいく。

「よし、できた!」

プライロが嬉しそうに言った。

「なんだか、尻尾の下がきついな……

 締め方、間違ってない?」

オレは締められたふんどしを見ながら聞く。

「失敬だな! これでちゃんとあってるよ!

 尻尾の所は我慢してよ。

 ふんどしってやつは元々人族用の下着なんだから」

プライロは不満そうにそう言うと、改めてオレのふんどし姿を見つめる。

「う〜ん……あんまりラインがくっきり出てないね。 なんでかな?」

そう言いながらプライロはオレの周りを回り始めた。

じっくり観察されていることに、オレはなんとなく気恥ずかしさを覚える。

しばらくそうしてオレを観察したあと、プライロはポンと手を打った。

「そうだ、勃起してないからだよ。

 勃起すれば絶対ラインがくっきり出るはずだよ」

言うが早いか、早速プライロが行動に出る。

オレの目の前にひざまずくと、ふんどし越しにオレの男根を愛撫し始める。

「ちょっと待て! こんな昼間から……!」

オレは腰を引いてかわそうとするが、プライロは素早くオレの腰に手を回し、それを許さなかった。

徐々に激しくなる愛撫。

そのふんどし越しの刺激に、オレの男根は次第に大きさを増していく。

そして完全に勃起しきったのを確認すると、プライロは手を離した。

「やっぱり、くっきりラインが出たね」

嬉しそうに呟くプライロ。

その言葉どおり、きっちり締められたふんどしの中で、オレの男根は窮屈そうにその姿を浮かび上がらせていた。

その様子は、直接見るよりもある意味いやらしく見える。

ふんどしの中で上を向いている男根。

亀頭と竿の境目がくっきりと浮かび、その下の双球もはっきりと形が分かる。

「うわ〜、これは思ってたよりも強力だな。

 バッチリ形まで分かっちゃうよ」

プライロは興奮した様子でオレの股間に手を添え、優しく股間を撫でると、今度は指先で輪郭をなぞっていく。

「うっ!」

思わず声を出してしまうオレ。

亀頭の先端から徐々に竿に下り、双球をぐるりと回って再び亀頭の先端に指先が移動する。

亀頭の先端まで戻った指は、集中的に亀頭の付近をなぞり始める。

「う……ぁ……」

ふんどし越しとはいえ、直接的なその刺激に、オレの息は段々と荒くなっていった。

オレは天井を仰ぎ、目を閉じてその刺激を貪る。

しつように繰り返される亀頭への愛撫に膝が震えた頃、

ピチャッ

「いっ!?」

突然の濡れた感触に、オレは驚いて声を上げた。

下を見ると、プライロがふんどし越しにオレの男根を咥えている。

竿を口で挟み、上下に動かす。

そのたびに、プライロの唾液で濡れたふんどしの布が、なんともいえない刺激をオレにもたらした。

オレはほとんど反射的に腰を振り始める。

プライロの頭の動きに合わせて、ゆっくりと、時に素早く。

「あぁ…いい……すごく…気持ちいいよ……プライロ……」

腰を振りながらオレは今の気分をプライロに伝える。

プライロはそれを聞いて、さらにオレを責め立て始めた。

片手を尻に回し、尻を通っているふんどしの間に指を潜り込ませる。

その指先を動かしてオレの肛門を探り当てると、その中に指を入れてかき混ぜだした。

「あああぁぁ!!」

的確なその刺激に、オレは体を仰け反らせて叫ぶ。

前も後ろも激しく責め立てられ、オレの膝はガクガクと震えだす。

「あぅぅぅ……プライ…ロォ……もうオレ…オレ!!」

叫びと共に体の内側から何かが込み上げてくる感覚がオレの下腹部を襲った。

そして、オレはふんどしの中に大量の精液を吐き出してしまった。

きつく締められたふんどしの中で、オレの男根は窮屈ながらも脈動を続け、精液を吐き出し続ける。

吐き出された精液は、プライロの唾液とは違うシミをふんどしに作り、やがてじんわりと外に漏れ出していった。

と、その時、

「うっ……!!」

プライロの口から呻き声が漏れた。

何事かと思って見ると、プライロは自分の男根を握り、そこから床に大量の精液を吐き出しているところだった。

どうやらオレを責めている間、いつの間にやら自分にも刺激を与えていたようだ。

男根を何度も脈打たせ、肩で息をしている。

ひとしきり射精を終えると、プライロはオレの肛門から指を引き抜き、その場にへたり込んだ。

オレもそのまま椅子に座り込む。

お互いしばらく射精後の余韻に浸っていると、プライロが口を開いた。

「……ふんどし、汚れちゃったね」

「……ああ」

「どうだった? ふんどしプレイ」

「……なんだか、いつもと違う感じがした……ような気がする」

オレは率直な感想を口にする。

「そっか」

プライロは少し満足そうな表情を浮かべ、近くに置いてあったティッシュで、自ら汚した床を拭き始めた。

「……ねぇ、仕事、もう終わった?」

床を拭きながらプライロが聞いてくる。

「まだ残ってるよ」

「どのくらい?」

「あとちょっと」

「じゃあ、一緒にお風呂入ろっか?

 そのままじゃ仕事できないでしょ?」

含みのある笑みを浮かべながらプライロが尋ねてくる。

オレはその意図を察知すると、

「お前、風呂場でもう1回ヤるつもりだろ?」

と言ってニヤリと笑った。

プライロは、バレたか、というようなイタズラっぽい笑みを浮かべる。

その様子を見たオレは、溜め息をついて肩をすくめた。

「しょうがないな、まったく」。

オレはそう言うと、椅子から立ち上がり、床掃除を終えたプライロに背中を押されて、本日2回目のプレイをするために風呂場へと向かった。