雨が音を立てて降っている。

吹きつける風が窓を揺らし、雨を窓に打ちつける。

少しうるさく感じるが、窓辺の椅子でまどろんでいたボクには、それもどこか心地いい。

ボクと、シーザー、アーサーの3人は、とある村の宿屋の一室で人を待っていた。

ボク達の世話をしてくれているその人、クーアは、今はどこかに出かけてしまっている。

彼の帰りを待ちながら、ボク達は思い思いの場所でくつろいでいた。

ボクは窓際の椅子でまどろみ、シーザーとアーサーは、部屋に2つあるベッドにそれぞれ寝そべっており、シーザーは天井をボーッと眺め、アーサーは本を読んでいる。

ボクは、窓を流れる雨水を眺めながら、これ以上ないというくらいの心地いい眠気に襲われていた。

時々、雨音と風音が遠くなり、意識が飛ぶが、そのあとの一瞬の覚醒で、意識が引き戻される。

そんなことが何度か続き、いよいよボクが眠りに落ちそうになった時だった。

突然、ベッドの上で横になっていたシーザーが話しかけてきたのは。

「なぁなぁ、オナニーって知ってるか?」

唐突に来たその質問に、ボクの意識は一気に覚醒した。

「は?」

ボクは思わず間の抜けた声を上げる。

シーザーはそれに気を悪くしたようでもなく、また同じ質問をボクにしてきた。

「だから、オナニーだよ、オナニー」

ボクは返答に困った。

オナニーというのがなんなのか、ボクはよく知っていた。

自分を慰める行為。

そんなに頻繁にするわけではないが、ボクは何度もその行為をしている。

シーザーを見ると、真顔でボクを見つめ、ボクの返答を待っている。

ボクは少し考え、短く答えた。

「……知ってるよ」

「……ふーん……」

ボクの答えに、つまらなそうにシーザーが答える。

どうやら、知らない、と答えてもらいたかったらしい。

が、しかし、

「……ソレ、なんですか?」

ベッドの上で寝そべって本を読んでいたアーサーが、上半身を起こして会話に加わってきた。

そのとたん、シーザーは目を輝かせ、待ってましたとばかりに飛び起きて、アーサーの方に向き直った。

そして、一気にまくし立てる。

「お前、オナニー知らねーの!? やべーよ、それ。

 男として最低限、知っておかなきゃならねーことだぞ?

 知らなかったら大人になれねーんだぞ?

 大人になるまでに覚えなきゃ、死んじまうんだぞ? マジで」

「え、ええ!? ほ、本当ですか!?

 どうしよう……僕、そんなの知りません……」

その勢いに押され、たじろぐアーサー。

どうやらシーザーの言葉を真に受け、真剣に悩んでいるらしい。

その様子を面白げに観察するシーザー。

だが、オナニーの意味を知っているボクは、そのあまりな話の内容に思わず反論する。

「おい、シーザー! 嘘ばっかり教えるなよ」

「えっ? 嘘!?」

ボクのその言葉に、オロオロとしていたアーサーがこちらを見る。

同時にシーザーも、バカ、言うなよ、といった感じで睨みつけてくる。

「……嘘、ですか……よかったぁ……」

嘘だと分かり、アーサーは心底、安心したように溜め息をつく。

だが、ふと思いついたように、シーザーに向かって質問した。

「……でも、そのおなにーって、本当はなんなんですか?」

アーサーのその質問に、再びシーザーが顔を輝かせる。

そして、アーサーの方を向き、

「教えてやろうか?」

嬉々とした口調でアーサーに聞いた。

「はい、ぜひ」

アーサーが身を乗り出して言う。

「おい! ちょっと待ぶっ!?」

文句を言おうとしたボクの顔面に向かって、シーザーが枕を投げつけてくる。

ちょうど椅子から立ち上がろうとしていたボクは、その枕の直撃を受けてバランスを崩して床に尻餅をついてしまった。

そのボクの上に、さらに毛布が投げかけられる。

「お前はちょっと黙ってろ!」

毛布を取ろうと悪戦苦闘しているボクに向かって、シーザーが怒鳴る。

「じゃあ、まずそこに立って目を閉じて、両手を上に上げろよ」

アーサーに向かってシーザーが指示を出す。

「こうですか?」

アーサーが答える。

毛布のせいでまったく見えないが、どうやら本当に目を閉じて両手を上げているようだ。

「そうそう。 ちょっとそうしてろよ……」

シーザーの声が聞こえる。

ちょうどその時、ボクが毛布から抜け出した。

だが時すでに遅く、ボクの目に飛び込んできたのは、ベッド脇に立ち、目を閉じて両手を上げているアーサーと、そのアーサーのズボンに手をかけようとしているシーザーの姿だった。

そして、

「待った!」

「そら!」

「わぁ!?」

ボクが止める声と、シーザーがズボンを下ろす掛け声、アーサーの悲鳴が見事に重なった。

「ちょっと待ってください! 何を……うわぁ!?」

抗議の声を上げるアーサーを、シーザーがベッドに押し倒す。

「何って、オナニーを教えて欲しいんだろ?

 だからお前の体で教えてやるんだよ」

そう言って、シーザーがアーサーの前にしゃがみ込む

「体でって、ちょっと……あっ!」

アーサーが再び抗議の声を上げようとした時、突然、アーサーが気の抜けたような声を上げた。

「おとなしくしてろよ。 気持ちよくしてやるからさ」

「きもち……よ…あぅ…ぅぅ……」

アーサーは言葉にならない声を出す。

座り込んでいるボクからは、シーザーの頭が邪魔で見えないが、アーサーが今、何をされているのかは想像がつく。

「ああ…ん……は…ぁぁう…」

アーサーの口から喘ぎ声が漏れだす。

シーザーはひたすら無言でアーサーを責める。

ボクはというと、自分でも分からないが、なぜかシーザーを止めることもできず、ただ天を仰いで喘いでいるアーサーを見つめているだけだった。

そしてボクは、アーサーの喘ぐ姿を見ているうちに、下半身が疼き、その一点に血液が集まり始めるのを感じた。

その間にも、アーサーの喘ぎは激しくなっていく。

「あ!……うぅ…!

 な、何か…出そ…う……ぅぅ……!」

「そろそろか? いいぜ、出しちゃえよ」

切羽詰った様子のアーサーとは対照的に、冷静に囁くシーザー。

それからほんの数秒して、

「んん…! うあぅ……あっ!!」

ひときわ高い声を出して、アーサーが果てた。

シーザーの頭越しに、白く濁った液体が飛び出すのが見える。

かなりの量が出たようで、白い液体は2度、3度と、徐々に勢いを弱めながら噴出していた。

「うおーすっげ! 大量じゃん! ほら、見ろよ!」

シーザーは面白そうにそう言うと、ボクの方を向いて両手を突き出した。

その両手には、アーサーの出した白濁液が大量に付着していた。

シーザーは実に面白そうに両手を眺めている。

アーサーの方は生まれて初めての射精にグッタリとして、ベッドの上に倒れ込んでいた。

シーザーが立ち上がって移動した時、チラリと白濁液にまみれた赤いペニスが、ボクの目に飛び込んできた。

その瞬間、ドクンとボクの下半身が疼いた。

ボクは視線を下に落とすと、膨れ上がったズボンを両手で押さえる。

なんとか昂ぶりを静めようとするが、そんなに簡単に治まるはずもなく、

「何してんだ?」

いつの間にやら目の前に来ていたシーザーに見られてしまった。

「な、何もしてないよ……」

ボクは慌てて否定するが、その言葉にはまるで説得力がなかった。

「ふ〜ん」

シーザーはニンマリとしながらしゃがみ、ボクの顔を覗き込む。

ボクは正視できずに顔を背けてしまった。

その時、

「ほれ!」

掛け声と共に、シーザーがボクの股間を鷲掴みにした。

「あっ!?」

ボクはいきなりのことに声を上げてしまう。

シーザーはそのままボクの股間を揉みしだく。

「やめろよ!」

ボクはシーザーの手をつかみ、なんとか引き離そうとするが、シーザーは手を離そうとはしない。

「なんでだよ。 こんなに勃起してんのによ。

 アーサーがイったの見て、興奮したんだろ?」

「う、うるさいな!」

図星を突かれたボクは顔を赤らめて、怒鳴る。

「へへへ……お前もイかせてやるよ……」

シーザーは舌なめずりをすると、ボクの股間から手を離し、今度はボクの両手をつかんで、無理矢理立ち上がらせた。

「うわっ!?」

驚いて声を上げるボクを無視し、シーザーはボクをベッドの上に仰向けに押し倒した。

ボクの頭が混乱している隙に、シーザーは素早くボクのズボンの紐を外すと、ズボンと下着に手をかける。

「! やめ――」

ボクが事態を把握し、抗議の声を上げるよりも早く、

「そらよ!!」

シーザーはボクの下半身を露出させてしまった。

勢いよく下着を脱がされた反動で、痛いくらいにいきり立ったペニスが、バチンと音を立てて下腹部を打った。

「うわ、すげ! もうビンビンじゃねぇか!」

シーザーは面白がってボクのペニスを突つく。

「あぅっ!」

ボクはその刺激に短く喘いでしまう。

それを聞いたシーザーは調子に乗って、さらにボクのペニスを弄り始めた。

ヌメヌメとした粘液にまみれたペニスを、指で撫で、爪を立てて引っ掻き、掌で包んで擦る。

ボクはそのたびに身悶えし、喘ぎ鳴く。

しばらく弄っていたシーザーは、

「すげぇな、お前。 びしょびしょだぞ。

 おい、アーサー! 見てみろ、すごいぞ」

と言って、自らの出した精液を不思議そうに眺めていたアーサーを呼んだ。

アーサーは、すっかり射精の余韻から覚めたようで、遠慮がちにこちらに近付いてくる。

「ほら見ろ」

そう言うと、シーザーはボクのペニスから手を離し、ペニスがよく見えるようにした。

アーサーはボクのペニスに視線が釘付けになっているようで、口を半開きにして、目を見開いる。

「ほら、突っ立ってないでお前も触ってみろよ!」

シーザーがそう言って招くと、アーサーはボクのペニスを凝視したままベッドに乗り、ボクの横に座り込んだ。

そして、おそるおそるボクのペニスに触れる。

「……わぁ〜、凄く熱い……」

一言感想を述べるとアーサーはボクのペニスを掌で撫でる。

「ぅんっ……!」

ボクが喘ぐと、アーサーはすぐさまペニスから手を離した。

「ビビんなよ、大丈夫だって。

 コイツは気持ちよくて声出してんだから。

 お前だって、触られて気持ちよかっただろ?」

シーザーがそう言うと、アーサーは遠慮がちに、再びボクのペニスを撫で始めた。

先走りでヌルついたペニスを、まるで腫れ物でも触るかのようにやさしく撫でるアーサー。

その様子を見たシーザーが口をはさむ。

「そんなんじゃダメだ。

 もっとこう……」

そう言うと、アーサーの手からボクのペニスを奪い取り、乱暴に扱いた。

「ぅひぃ!!」

ボクは強烈な刺激に甲高い喘ぎ声を発する。

「ほら、お前も一緒にやれよ!」

シーザーがそう声をかけると、アーサーも一緒になってボクのペニスを弄り始めた。

「ぅ…いいぃぃぃ……!!」

2人の手によって揉みくちゃにされるボクのペニス。

逃げ場のないペニスはグチャグチャと音を立てる。

ボクは押し寄せる快感に、上体をベッドの上でのた打ち回らせ、ただただ喘ぐことしかできなかった。

「も…もうダメ…ぇぇええ!!!」

ボクは激しく喘ぎ、叫ぶと、身を仰け反らせて射精の体勢をとった。

そして、2人の手の中でボクのペニスが一回り大きくなった途端、先端から絶頂の証である白濁液を、勢いよく迸らせた。

何度も膨れ、そのたびに白濁液が飛び散る。

『おお〜……』

その様子を見ながら、2人が小さく声を漏らした。

しばらくして白濁液が出尽くすと、2人の手の中でペニスが萎えていった。

「すっげぇ量……」

唖然とした様子で、手に付着した白濁液を見ながらシーザーが言い、そのまま立ち上がって風呂場へと向かった。

「これ、何ですか?」

同じく手に付着した白濁液を見ながら、不思議そうにアーサーが呟くと、風呂場からタオルを持って戻ってきたシーザーが、付着した白濁液を拭き取りながら答える。

「精液っつって、子供の素になるんだってよ」

「子供の……素?」

マジマジと白濁液を見て、アーサーが再び不思議そうに呟いた。

「そう。 え〜と、これと女の…………何だっけ?」

シーザーはさらに説明しようとするが、それ以上のことは知っていなかったらしく、なぜがボクに向かって問い掛けてきた。

ボクは答えを知っていたが、今は射精後の倦怠感と恥ずかしさと、少しの怒りとで答える気にはならず、

「……知らない」

と、素っ気なく答えるだけだった。

シーザーはボクの様子を気に掛ける様子もなく、半ば投げやりなボクの答えを信じたようで、

「まぁ、何かそんな感じだ」

こちらも投げやりな答えをアーサーに返していた。

当然のごとくアーサーは首を傾げたが、それ以上は疑問を口にしなかった。

すると、手を拭き終えたシーザーがタオルをアーサーに渡し、

「それ、ここに入ってるんだぜ」

と、ボクの前にしゃがみ込み、ボクの萎えたペニスの付け根の膨らみ、睾丸を指差した。

そして、無遠慮につつく。

「ちょっ――!」

「ここにですか?」

ボクは抗議の声を上げようとしたが、シーザーの真似をしてアーサーまで遠慮がちに睾丸をつついたのでたまらない。

「そ。 こうやってチンコ弄ってると、気持ちよくなってここから精液が出てくるんだ」

半分正解、半分不正解の説明をしながらシーザーが再びボクのペニスを弄りだした。

「シーザー!」

ボクは声を上げて手で押しとどめようとするが、それより早くシーザーがボクの両腕を抑え付けてしまった。

結果的にペニスへの刺激は止まったが、ボクのペニスは再びムクムクと反応してしまう。

「また大きくなってきましたね」

目の前で大きくなっていくボクのペニスを見ながら、アーサーが興味深げに指摘した。

そしてあろうことか、シーザーのようにボクのペニスを弄り始める。

「アーサー……」

懇願するような声でボクはアーサーに訴えかけるが、好奇心に駆られたアーサーの動きは止まらない。

それを見ながら、シーザーがニヤついた声で言う。

「へへ……もう1発出しとくか?」

「…………もう、好きにしてよ……」

先程の展開と今の2人の様子に抵抗するだけ無駄と判断したボクは、そう言って抵抗を諦め、全身の力を抜いて心身共に2人の前に投げ出した。

(……今日はなんて日だ……)

ボクのペニスを弄る2人を見ながら、ボクは心の中でそう呟かざるを得なかった。