その先にあるもの。

Story10 一緒に
この話の中には成人向け表現が含まれています。


夏休み真っ最中の7月も、数日経つと8月に入ってしまう。
そんな今日この頃だけど、僕は今学校にいる。
文化祭が9月の中旬に一週間あるんだけど…。
そのための練習で学校にいるというワケだ。
僕のクラスの出し物はダンス。
その中でさらに分類されていて、僕はタップダンスをすることになった。
その他にも昔から伝わっている盆踊りって言うものや、ヒップホップダンスってのもある。
で、僕はタップダンスの練習で学校にいるんだ。
でも…今はその練習をやってるわけじゃないけどね。


「これをここに繋げばいいんかな?」

「え〜!それは違うと思うよ?
 こっちとこっちだよ〜。」

「そうかぁ?
 でもこんなとこに繋いだらうまく作動しないんじゃないのか?」

「そんなことないって!
 ほら、物は試しってよく言うじゃん!
 まずは繋いでみようよ。」

「そこまで言うなら………。
 爆発しても知らないからな!」

「爆発なんかしないってば。」


今何をやってるのかって言うと……。
ダンスの練習は午後3時からだから、夏休みの課題を手伝っているんだ。
今は午後1時。
あ、ボルトの実験を手伝ってるわけなんだよ。
魔導回路がうまく作れないって言うから教えてあげてるんだけど…。
何かあるごとに「本当に大丈夫なのか?」って聞いてくる。
大丈夫じゃなきゃ教えないよ…。
何か実験に使うらしいんだけど、学校にはその機材がないから自分で作らなきゃいけないらしく、
それがうまく組み立てられないから僕に聞いてるんだってさ。
こんなの説明書通りに作ればいいとおもうんだけどなぁ…。


「………よっと。
 あ、本当だ
 爆発しねぇじゃん!!!
 何言ってたんだよ、ミック。」

「何か言ってたのはボルトじゃん…。
 あとはこのスイッチを取り付けて………。
 これで完成だね。」

「おし、できた!
 いや〜苦労したなぁ…。」

「ボルトは何にも苦労してないじゃんか〜。
 組み立てたの、殆ど僕だし。」

「まぁ言うなって!
 これでやっと実験できるぞ〜!」

「そう言えばさ、ボルトってどんな実験するの?」

「あれ?言ってなかったか?」

「全然聞いてもないのに手伝わされてたんだけど…。」

「これを使って、魔力ホルモン分泌量の測定をやるつもりなんだ。」

「へぇ〜、こんなので調べられるの?」

「まぁな。
 あとはこれを接続して、このリストバンドをつければ……。」

「ふんふん。」

「あれ?
 おっかしいなぁ〜。
 これで動くはずなんだけど……。」

「これ、魔粒子の結晶入れてないじゃん。
 動くわけないよ〜。」

「あぁ、そうか。
 それはうっかりだったなぁ…。
 じゃあ持ってきて」

「持ってきてって……持ってないってば。
 購買でも売ってるから買ってくればいいじゃん。」

「オレさぁ……。
 実は今月ピンチで……。」

「でもボルトって家がすっごく近いんでしょ?
 ならお金貰いに行けばいいんじゃないの?」

「いや実はさ〜。
 ちょっと今親とケンカしてて………。
 小遣い貰ってないんさ。」

「………しょうがないなぁ…。
 ちょっと貸してあげるけど………絶対返してね。」

「お♪
 さすがミック!
 魔導省官僚のご子息は違うね〜!!!」

「僕だってそんなにお金持ってないよぉ〜…。
 今月なんかギャラクシーアイランド行って殆ど残ってないもん。」

 

その言葉を聞いた瞬間に、ボルトはものすごく驚いたような顔をした。
本当にマンガみたいな驚き顔で、逆にビックリしちゃう。

 

「えぇっ?!
 国内最大級ってことでかなり有名な最近できたあの遊園地に?!
 どうして誘ってくれなかったんだよ!」

「それはジョアンたちとの約束だったんだもん…。
 ボルトとも遊びに行くからそれでいいじゃん♪
 …ギャラクシーアイランドには行けないけどね。」

「ズルイよな〜。
 オレも行きたかったなぁ…。
 そういやさ、オレたちはどこ行く?
 いつ行くかも決まってないよな。

「そうだね〜。
 あっ!
 でも僕は8月10日から2週間くらい出かけるから、その辺はパスね。」

「え?
 2週間もどこ行くつもりなんだよ。」

「えっと……んっと……。」

 

僕はその先を言うのをためらった。
だって……。
恥ずかしいじゃない?
レナのとこに泊まりに行くって言うの。

 

「…………。」

「何赤くなって黙りこくってんの。
 ………何か隠してないか?」

「えっ?!
 えっと……ちょっと……。」

「ちょっとって何だよ。
 そんなに恥ずかしいこと隠してんの?
 なら無理に聞かないけどさぁ。」

「あ、あぁっ!
 ちょっと待って!
 …やっぱりボルトにも話しておかなきゃいけないと思うし…。
 あ、あのね…。」

 

やっぱりボルトにも分かってもらいたい…。
そう思い、僕はレナとの関係について粗方説明することにした。
何て言っていいか分からなかったけれど、僕はでき得る限りに一生懸命説明した。
そんな僕の話を、ボルトは茶化すことなく真剣に聞いてくれた。

 

「へぇ〜。
 で、ミックはレナと付き合うことになったってワケか。
 でもさぁ……その……。
 キスしたことまで教えてくれなくてもいいと思うぜ?」

「あ、そうだったね……。
 でもジョアンも知ってるし。
 ボルトも色々知っていて欲しいんだ。」

「でもその色々にキスを含まなくてもいいと思うぞ?
 じゃあ彼女の家に泊まりに行くワケになるのか〜…。
 何か危ないな、お前。」

「危ないって何が?」

「夜中にレナを襲わないって保証ないだろ。」

「そ、そんなことしないよ!!!」

「どうかなぁ?
 ミックってさ、なんかムッツリスケベって感じじゃん?
 そういうことに対してオープンじゃない辺りからそういう匂いがする。」

「匂いって……。
 別にオープンになる必要ないじゃん!
 そういうことって…普通は隠すべきじゃないかなぁ…。」

「お前何歳だよ。
 今は青春時代真っ只中なんだぞ?
 みんなそういう話だってしてるし……。
 何か変にプライド持ってるんじゃないか?」

「う……。
 確かにそうかも……。」

「だろ〜?
 …………!
 そうだ!
 やっぱり遊びに行くのやめようぜ?」

「???
 何で?」

「別に良いじゃん!
 どうせジョアンもエマさんと色々忙しいんだろ?」

「う〜ん……そうかも。」

「で、その代わりと言っちゃなんだけどさぁ…。
 オレんとこ来いよ。」

「ボルトの部屋…?
 何で?」

「う〜ん……部屋でもいっか。
 んじゃ今日は一旦家帰らなきゃな…。」

「???
 何で帰るの?」

「ちょっとこっちに持ってきてねぇからな…。」

「何を?」

「それはオレの部屋に来てからのお楽しみだ♪
 一種の特訓だと思って来いよ。」

「特訓って…いったい何する気なの?」

「だからお楽しみって言ってるだろ?
 別に怖いものじゃないから大丈夫だって!
 あと、悪いけど来るときはティッシュ箱、それも中身入りを持って来いよ。
 今オレの部屋、ストックねぇんだわ。」

「???
 分かった。
 それでいつ行けばいいの?」

「明日でいいだろ。
 明日なら大丈夫だよな?
 学校での練習の後にオレんとこまで来い。
 はい、決まり。」

 

一体何だろう…。
お楽しみって言ってたけど。
まず、部屋で楽しいことって…?
僕にはまったく見当もつかない。
それは本当にボルトの部屋に行ってからのお楽しみってことなんだろうか。
僕は明日を待つことしかできなかった。
その日は練習もそこそこに、ボルトは足早に戻っていった。
ボルトもそんなようなこと言ってたけど、前準備がいるってことだよね…?
準備のいる遊びって何だろう。
ここには無くて、家にはあるもの…。
まるでナゾナゾでも解かされているような気分だ。 結局学校にいる間、ずっと僕はそのことを考えていた。

次の日。
僕が教室でぎこちなくタップダンスの練習をしていると、僕の横にいたノエルがふとステップを止めた。

 

「???
 ノエル、何してんの?
 練習してないとミラルダさんが帰ってきた時に怒られるよ?」

「ミックさ、あんな不審人物見てもまだ言える?」

「不審人物?」

 

ノエルが指差す方向を見てみる。
すると、そこにはものすごい勢いでキョロキョロしているボルトが居た。
ボルトって盆踊りグループだし、ここに居ること事態間違っている。
しかも何で挙動不審に周りを見回してるんだろう…。
確かに気にしなくても目に付いちゃう。
そんなボルトを見ていると、こっちに気がついたのか手招きをしてきた。

 

「ん?
 アイツ、君を呼んでるみたいだね……。
 気になって練習できないから、さっさと用件済ませてね。」

「…。
 もうちょっと違う言い方できないの?」

「できてたら今頃先生たちに目付けられてないよ。」

「ははっ、そうだね。
 すぐ話し終わらせてくるから。」

 

「…で、どうしたの?」

「あぁ、あのな。
 準備はちゃんとできてるから、夕御飯が食べ終わったら来てくれ。
 こっちのダンスが忙しくて、練習後は言えそうに無かったから…。」

「だからってそんなにキョロキョロして僕を探さなくてもさぁ…。」

「そっか、それは気が付かなかった。
 ってことで、ちゃんとティッシュ持って来いよ?
 選んでいいの持ってきといたから。」

「?
 分かった、分かったから…。
 話はこれで終わりだよね?
 ノエルが君の行動が気になって練習できないって言ってるし。」

「あ、あいつ、そんなことを?
 まったく、細かいこと気にすんなよな〜。」

「不審者みたいな行動してたボルトが悪いよ…。」

「とにかく、用件はそれだけだからさ。
 んじゃ、また後でな。」

「うん、またね。」

 

わざわざそれだけを言いに来るボルトって…。
やっぱりイマイチ分からない。
一体、何考えてるんだろうね〜。
きっと僕とは違う何かを考えてるんだよね。
それに、いいのって…何だろう?
おもちゃ?
何か面白いものでも持ってきたのかなぁ…。

 

 

「ごちそうさまでしたっと。」

「お、今日は早いんだな。」

「うん、昨日言ったよね?
 ボルトが待ってるし…。」

「しっかし…。
 何考えてんのかサッパリ分かんねぇなぁ…。
 テレビゲームでもするつもりか?
 それだとテレビを家から持ってきたってことになるけど……。」

「それ以前に電気はどうするのさ。
 コンセントなんか寮には付いてないよ?」

「そうだよな〜。
 まぁ行って確かめて来いよ。
 オレも行けなくてゴメンな。」

「良いよ別に。
 毎晩エマのとこに話に行くなんてすごいね〜。
 ………。」

「ん?
 どうした?」

 

僕は、昨日ボルトに言われたことでちょっと悩んでいた。
ほら、ムッツリって言われたやつ。
だから自然にそういうの言えば、そうやって言われずに済むかなって…。
僕がボルトに言いたかったのは、
「エマを襲わないようにね〜」
ってこと。
ただの皮肉でも、そういった意味が込められてる言葉はなかなか口から出ない。

 

「あ、いや、何でもないよ。
 じゃあ行ってくるね。」

「あぁ…。」

 

夕飯を食べ終えた僕は、自分の部屋に戻ってティッシュ箱をつかむと、鍵をかけて外に出た。
ちょっと残り少なくなってるけど……。
流石に毎日やってると減りが早いなぁ。
あれ以来、実は毎日やってるんだ。
やった後っていつも罪悪感があるから、やらなきゃ良かったとは思うんだけど…。
時間が経つとまたやりたいって思う。
本当に不思議。
やめよう…とは思ったよ?
3日持たなかったけど。
そろそろ水に溶けるティッシュを買ってこなきゃ…。
その前に、ゴミ箱にある使用済みティッシュを何とかしなきゃ…。
あんなのレナに見られたら………。
きっと嫌われちゃうもん。

 

ピンポ〜ン♪

 

「ん?
 あぁ、ミック。
 もう来ちゃったのか……。」

「もうって…。
 御飯食べたら来てって言ってたじゃん。」

「あぁ、そうだったな。
 んじゃちょっと上がってくれよ。」

 

ボルトの部屋に上がると、あまりにも意外でビックリした。
ボルトってちょっと荒い部分もあるから、部屋って汚いんだろうなぁ〜とか思ってたんだけど…。
それがものの見事に大外れ。
整頓された綺麗な部屋は、とてもボルトの部屋だとは思えなかった。

 

「へぇ〜…。
 ボルトって意外に綺麗好きなんだね〜。」

「意外にって何だよ。
 オレだってさぁ、これでも家事は一通りできるんだぞ?
 料理・掃除・洗濯・買い物…任せとけってな。」

「そうなんだぁ〜。
 全然知らなかったよ。」

「オレってそんなキャラしてたか?
 繊細なキャラ作りしてるつもりだったんだけどなぁ〜…。」

「多分そのことはみんなに理解されてないから安心してよ。」

「安心できるかよ。」

「ところでさぁ、楽しみって何?
 ここ来たんだからそろそろ教えてくれてもいいでしょ?」

「………そうだな。  じゃ、そこの布を剥いでみてくれ。」

「これ?」

 

僕の目の前には、あまり大きいものではない布に覆いかぶさったものがあった。
何だろう、コレ。
僕は言われるがままにその布を取ってみた。
中から出てきたのは………。

 

「これって……テレビ?
 こんな薄いテレビ初めて見た……。」

「そうか?
 自分の部屋にあるのを持ってきたんだ。
 小さいし、持ち運びも楽だったよ。」

「へぇ〜。
 こんなのあるんだね〜。
 …で、何するの?
 やっぱりテレビゲームするの?
 僕、そういうのやったこと無いから分かんないけど…。
 大体、ここにはコンセントなんて……。」

「心配すんなって!
 それに、コンセントなんか無くても電池で動くんだ。
 ゲームなんかやらねぇよ!
 下の機器を使うんだ。」

「下のって……ビデオデッキ?」

 

そう、僕の目の前にあるテレビの下には、ビデオデッキがあった。
しかも、もうビデオデッキはテレビに接続済み。

 

「ビデオ…?
 映画のでも見るつもりだったの?
 僕を呼んでわざわざ?」

「言ったろ?
 これは特訓だって。
 この………ビデオでな。
 ただ、これは普通の映画じゃない。」

「普通の映画じゃない?
 どんな映画なのさ?」

「お前が好きなビデオだよ。
 見たことあるんだろ?」

「見たことがある映画なの?
 なら見る必要ないよ〜。」

「違うって!
 こういう種類の映画を見たことがあるんだろってこと。
 もしかしたら映画館まで見に行ってたりな。
 見てれば分かるよ。」

 

ボルトは手に持っていたビデオをデッキに入れた。
ウィーンという機械音が静かに鳴り響く。
何のビデオなんだろう?
ボルトって……映画見たかったのかな。
それに、僕の好きなビデオって………。
テレビの画面が突然明るくなる。
それと同時に題名のようなものが出てきた。
その題名には僕は唖然とした。

 

「ボ、ボルト……。
 これって……。」

「ご名答♪
 これはAVで〜す。
 所謂アダルトビデオだな♪」

 

そりゃここまでくれば気が付くよ…。
だって題名に”淫乱”なんて出てくるんだもん…。

 

「ちょ、僕、こんなの見たこと無いって!」

「そうなのか…。
 これはまだお前が見たこと無いやつか…。
 なかなかイケるぜ、これ?」

「そういうことじゃなくって!
 僕、……その………。
 アダルトビデオなんて……見たこと無いもん。」

「え?!
 そうなのか?!
 でも……これ、してるんだろ?」

 

ボルトは、手を軽く握って上下に動かして見せた。
やっぱりオナニーのことだろう。
僕は無言で首を縦に振った。

 

「ちょっとビデオストップ!
 詳しい話を聞かせてもらおうか。」

「え?」

「ほら、暴露大会だよ!
 男二人だけなんだ。
 腹割って自らの性事情の話をしようぜ♪
 その後、お前初のAV見せてやるからよ。」

「………うん。」

 

僕は、そのボルトの申し出を断ることができなかった。
理由はよく分からない。
ただ直感的に思ったのは、そのアダルトビデオを見たいということだった。
その行為に至るまでのことを、僕は全てボルトに打ち明けた。

 

「ふむふむ。
 なるほどな〜。
 珍しいヤツもいたんだな。
 夢精だけで過ごしてるヤツなんて。
 あ、今は違うんだったな。」

「う、うん。」

「ならまだ覚えたばっかじゃん。
 今思うと、最初の方が気持ち良かったんだよな〜。」

「そうなの?」

「あぁ、長い経歴重ねる間にマンネリ化してきてな。
 それで手を出したのがAVってワケ。
 んじゃお前も話してくれたし、オレもちょっと話すか。
 オレがオナニーするようになったのが小等学校5年生のとき。
 何でだろうな〜。
 今日みたいな、夏にしては涼しい方の夜にさ、いきなり勃起して……。」

「そうなんだ〜。
 やっぱりさ、勃起って勝手にしちゃうの?」

「そういう時が多いよな〜。
 机とかで軽く擦るだけでも勃っちゃうしな。
 今はそんなことないけど。」

「僕は今そんな感じ。
 この前ダンスの最中になって大変だった…。」

「いや〜、初々しいなぁ…。
 それを抜け出すにはもうちょっとかかるかな。
 マンネリ化してくるのと同じ頃に治るから。
 んじゃ話は戻すよ?
 いきなり大きくなってビックリしたんだよ〜。
 ちょっと調べようと思って部屋の扉の鍵をしめて…全裸になったんだ。」

「なんか僕と同じことしてるんだね…。」

「みんな同じことするんだろうな。
 で、自分のを見てみたら、そこには見たことも無いようなものになってて…。
 ちょっといじってみたんだ。
 つまんだり、揉んだり、余ってる皮を引っ張ってみたり。」

「皮?
 ボルトって……被ってるの?」

「今は大人のものになってるからそんなことねぇけど。
 ミックはどうなんだ?
 まぁ顔見た瞬間に包茎ってことは分かるがな。
 どうせ勃ってる時も被ってるんだろ?」

「そんなこと……!
 ……そうだよ。
 だって剥けないもん。」

「そういうのは剥き癖つけとくと治るぞ♪
 ただ何年もかかるって言うけど。」

「そうなんだ…。」

「んで、揉んだりしてたら何となくじ〜んとしてきてな。
 例えるなら……痺れるって感じ。」

「そうそう!
 僕もそんな感じだった!」

「だろ?
 で、夢中で勃起してるものを揉み続けたんだよ。
 そしたら何かこみ上げてくるような気がしたと思ったら、ピクピクってして…。
 その時はまだ汁なんて出なかったからなぁ。
 先走りだけ。」

「へぇ〜。
 僕はつい最近だったから、すっごくたくさん出たよ。
 寝てたのに顔までかかってきて、落とすのが大変だったもん。」

「ミック…お前、可愛いな。」

「な、何を突然!」

「初々しくて可愛いぞ。
 オレ、こんな弟がいたら絶対オナニー教えてた。
 まぁ兄弟なんていないから……。
 よし、お互い教えあったし、そろそろ見るか。」

「う、うん!」

「随分嬉しそうだな♪
 そりゃ初めて見るもんな〜。
 オレも最初の頃はオドオドしながら見たっけ。」

 

ボルトはそう言いながら、ビデオのスイッチを入れ直した。 再び機械音が静かに鳴り始めた。

 

「このビデオは本当に良いぞ♪
 オレのお墨付き。
 ティッシュは持ってきたよな?」

「うん、ほら。」

「したくなったらして良いぞ。
 オレがちゃんと見ててやるから。」

「そんな…見なくて良いよ…。
 それにそんなことしないよ〜。」

「そうかな?
 ほら、始まるからじっくり見ようぜ。」

 

僕は、その時初めてアダルトビデオというものを見た。
出てくる言葉は「すごい」しか無かった。
マンガを脳内で動画にするってことしか無かったけれど、本物の動画は僕の予想を遥かに超えていた。
始まって10分、僕のチンチンは既にはちきれそうなほどパンパンに勃起していた。
でも恥ずかしかったので、なるべくボルトには見えないようにビデオを見続けた。
ちゃんと服装を考えてくれば良かった…。
僕は部屋に戻ってすぐに寝られるよう、薄手の半そでTシャツとハーフパンツしか着ていなかった。
つまり、勃起してしまうと一目瞭然ということになってしまうのだ。
がしかし、自分のチンチンの小ささのおかげで見えないみたい。
勃起時でも8センチしかない僕のチンチンは、手で隠すようにすれば見えないらしい。
自分で小さいって言うのも悲しいけど。
そんなことを考えていると、ボルトが僕の方を見てきた。
何だろう…?
そう思った瞬間に、あろうことか彼は僕のチンチンを鷲掴みにするかのように触ってきた。

 

「ひゃうっ!」

「お、小さいけど勃ってるじゃん♪
 ほらほら…。」

 

ボルトの手は、確実に僕のモノの亀頭に刺激を与えてきた。

 

「あぅ……。
 小さいって……言わない……で……。」

「でもこれは小さいだろ。
 ほら、オレの触ってみろよ。」

 

ボルトは僕の右手を掴むと、その手を自分の股間へと持っていった。
恐る恐る、そこにあるものを掴んでみる。
触るだけで分かった。
確実に…いや、それだけの言葉では片付かない。
遥かに僕のより大きくて硬いものがそこにはあった。

 

「うわぁ…でっかい…。」

「別にでかいわけじゃないって。
 犬族と似たようなもんだって、狼族も。
 まぁ多少は犬族より大きくなるっては聞いたことあるけど。」

「だって……僕のより……大きいんだもん。」

「そっか。
 流石にここまで小さいやつもいなよな〜、ほれほれ。」

「あぅん…。」

 

意地悪く、僕のチンチンをコリコリとするボルト。
それが何故か気持ちよくて、少し喘いでしまう。

 

「お前、色っぽいな〜。
 服、脱いでみないか?」

「うん…。」

 

恥ずかしいという気持ちは勿論あった。
でも、僕の性欲がそれを上回っていた。
気持ちよくなりたい、その一心で僕は服を全て脱いだ。
それを見て、ボルトも服を脱いだ。
男同士がこんなことしてるなんておかしいけど……。
でも別に好きとかそういうのじゃないから。

 

「やっぱりミックの、小っちゃいな!
 勃っててもこんなんだ。
 皮も殆ど剥けてないし……。
 でも硬さと先走りの量だけは一人前♪」

 

僕のチンチンを触りながら、じっくりと観察していくボルト。
恥ずかしい……。
その気持ちとは反して、チンチンはさらに反り返った。

 

「うわぁ〜、元気一杯だな♪
 んじゃちょっと、AVで鍛えた技でも使ってみようかな。」

「え?
 何するつもり…?」

「本当はお前はレナにしてもらいたいよな〜。
 オレも女の子にしてもらいたいけど……。
 まさか男とは……。
 いくぞ。」

 

そう言い終わらないうちに、ボルトは僕のチンチンをパクっと咥えた。

 

「あ、あぁ!
 ちょ、ちょっと!
 汚いよ!」

「大丈夫だって!
 こんなに先走りで濡れてんだから…。
 消毒くらい終わってるだろ。」

 

ボルトは、ゆっくりと僕のチンチンをなめ始めた。
皮が被っているせいか、あまり良くは無い。
なめている舌がゆっくりと、僕の皮を剥きにかかった。
すごくくすぐったくて、ちょっと悶えてしまう。

 

「あぁ…ダメだってばぁ…。」

「剥かないと気持ちよくなれないだろ!
 我慢してオレに任せろよ。」

「あぅぅん…。」

「むふ……。
 よし、剥き終わった♪
 どうだ、自分のをよく見てみろ!」

 

自分の剥かれたチンチンを、僕は初めて見た。
プクプクと膨れたものが先端についている。
これが亀頭……。
それを見て、僕は何故だかすごく嬉しくなった。

 

「流石に69体勢になってフェラし合うってのは行き過ぎだからな。
 剥いてやったのは、オレからのご褒美ってことで。
 そうやって剥き癖つけとけよ。
 最初の方は敏感になるって言うけど、順番になれてくからさ。」

「あ、ありがとう…。
 あのさ、ボルト……。」

「ん?」

「僕……もう我慢できないよ……。
 そろそろしていいかなぁ…?」

「そうだよな。
 ずっとこれ見てるんだから…。
 だから我慢せずにしていいって。」

「うん、ありがとう。
 んぁ……。」

 

僕はボルトにしていいって言われた瞬間に、自分の手をチンチンに持っていった。
そしてそれを上下にしごき始めた。
別に皮を剥いたからどうとかそういうことはない。
ただ、そのビデオを見ながらしていること。
他人に見られてしていることが何より僕を興奮させた。

 

「ふぁ…ん…。」

「いい声で喘ぐんだな〜。
 いつも喘いでんの?」

「んぅ…うん…。
 そうだよぉ…んん。」

「へぇ〜…、そうなんだ〜♪
 レナを喘がせるんじゃなくて、お前が喘がされるんだな♪」

「そんなこと……ぁ……ないもん。」

「そうかなぁ…。
 じゃ、お前の見てるばっかじゃいかないし…。
 オレもやるか!」

 

喘いでいる僕の隣に腰掛けると、ボルトも自分のチンチンをしごき始めた。
その手つきを見ていると、本当に何て言うか……上手そうだ。
なれてるって感じがする。

 

「ボルトってさ……なれてるんだね。」

「ふぅ…あぁ、もうずっとしてるからなぁ…。
 ……!
 良いこと思いついた♪」

 

ボルトはそう言うと、いきなり僕のチンチンを再び掴んできた。

 

「えっ?!」

「一回してみたいと思ってたんだ。
 オレのも……やってくんないか?」

 

僕は無言でボルトのチンチンを掴んだ。
そして、いつも自分がやるようにしごき始めた。

 

「おぉ……。
 ミックもなかなかいい手つきしてるじゃんか。
 すっげぇ気持ち良いよ…。」

「僕も………あぅん!」

「ミックのすげぇなぁ!
 さっきから先走りが絶えないよ。
 オレの手、ベッタベタ。
 こんなにヌルヌルしてるならさ、直に亀頭に刺激与えたほうが……。」

 

ボルトは僕の剥けて初めて露わにされた亀頭をくちゅくちゅと刺激し始めた。
皮の上からしていた僕にはとてつもないほどの快感だった。

 

「あぁぁん!
 うぁん。」

「喘ぎがすごいなぁ…。
 やっぱり気持ち良いのか…。
 セックスもこれ以上に気持ち良いけどさ。」

「んぁん!
 えぇ…?
 ボルトって…んぅ……したことあるの?」

「うん、中等学校の2年生の時に。
 当時付き合ってた彼女と勢いでやっちゃった。
 一応避妊はしたぞ?
 ちゃんとコンドームつけたし。
 あれは本当に良かった…。
 でも人によって感じ方は様々だって。
 良くなかったって人もいる。
 まぁそれっきりの1回だけだけどな。」

「そっかぁ…ぁん!
 はぁ…ん…。」

「うわぁ…先走りすぎだって……。
 トロトロ出てくる…。」

「だって…気持ち良いんだもん……。
 ボルトのは……あんまり出ないんだね……。」

「オレはあんまり出ないもん。
 でも…実は早漏。
 もうイク寸前だけど必死でこうやって平然装って我慢してんのさ。
 ミックって、こんなに出てるのに意外に持久力あるんだな…。」

「あぁ……。
 僕だって……もうそろそろダメだよぉ……。
 ボルト…ぉん!
 イキたいなら……イッて良いよ…。
 はい、ティッシュ…。」

「そ、そうか…?
 んじゃぁ…悪いけど…もうイッちまう……。
 思いっきりこすってくれっ!」

「うん…。」

 

そう頼まれて、自分が気持ち良くてあまり力が出ない中、必死でしごいた。
確かにもうボルトのものはすっごく膨らんでいて、ビクッビクッと動いていた。
僕がしごくスピードを上げると、そのビクビクはより激しくなった。

 

「ああぁ……もう…ダメ…だぁ!」

 

その次の瞬間、ボルトのチンチンの先端からものすごい勢いで精液が噴き出した。
慌ててティッシュで覆ったため、ボルトの体にちょっとついてしまった。
ビクッとするたびに、僕はチンチンを強くしごいてあげた。
それに答えるように、さらに精液を噴き出す。
長い射精の後、その先端から精液が出てくることはなくなった。
しかし、依然として痙攣を続けたままだった。

 

「ハァ…ハァ…。」

「どうだった…?」

「ミック…、そのテクニック最高。
 ほら、見てみろよ
 まだビクビクしてるぜ……。」

「そうだね……。
 ははは、元気だ。」

「んじゃ、次はミックの番だな。
 お前は焦らしていこうかな。
 ほら……ほら……。」

「あ、あぁ……ん。
 ちょ、ちょっとぉ……。
 僕も……イキたいよぉ……。」

「焦らされてイクのもまた格別だって!
 うわぁ、まだ先走りが出てくる…。」

 

僕のチンチンは、ボルトにしごかれる度に卑猥な音が大きくなっていった。
最初はクチュクチュだったのに、今ではボルトの手に合わせてグチュ、グチュと言っている。
その音でますます僕は興奮した。

 

「ああぁ……。
 もう……出させてぇ……。」

「ダメだって言ってるだろ?
 腰を浮かせても良いけど、浮かせるとその分遅くするからな♪」

「そ、そんなぁ…あん!
 ボルト…出した…ばっか…なのに…なんで……んぅ!
 なんで…そんな…風に…うご…けるの…ぉぉおん!」

「なれてるって言ったろ?
 時には2回ぶっ続けでやるオレは、1回だけでバテないの。
 見たところ、ミックは1回で限度っぽいな。」

「だって…出すと…すっごく…疲れる…もんぅ!」

「そっかそっか。
 じゃあよりゆっくりやって疲れさせてやるもんね♪」

「ふぁぁぁん!
 もう強くやってよぉぉん!」

「ダメダメ!
 そんなことしたらイっちゃうじゃん。」

「お願いぃぃ!
 もうイカせてよぉ……。」

「仕方ないなぁ……。」

 

グチュ、グチュ…。
その音がよりリズミカルに聞こえてきた。
僕も本当に限界が近かった。

 

「ハァハァハァハァ…あぁぁぁん!」

「喘ぎ方がすっごいなぁ…。
 女の子みたいだぞ〜♪
 ま、こんな硬くて淫乱なチンコ持ってるから男だけどな。」

「そんなこと…言わないでよぉん!
 あぁ…ハァハァ…んぁ…。
 もう…ダメだよぉ……。」

「よぉし、イっちまえ!」

 

ボルトはしごくスピードをさらに早く、さらに強くした。
その刺激は、僕のチンチンを介して脳にまで響いた。
もう絶頂はそこまで来ていた。

 

「ティッシュ、ティッシュ!」

「顔にかけてやるって♪」

「そんなぁ…ふぁぁぁああぁぁん!」

 

耐え切れず、ついに僕は絶頂を迎えた。
チンチンからは激しく精液が出てきた。
しごきながらも、ボルトはその矛先を僕の顔に向けていたらしく、勢いよく顔にかかってきた。
僕の顔は精液だらけになってしまった。
僕が射精するたびに、ボルトも強くしごいてくれたので、何度も何度も精液を出した。
射精が大分落ち着いてきてもしごくもんだから、量は少なくても確実に射精を繰り返していた。

 

「もぉ出ないよぉぉん!」

「まだ出る!
 頑張れ、頑張れ!」

「ああぁぁぁぁ!」

 

出したばかりでまだ数十秒も経たないまま2回目の絶頂を迎えた。
流石に殆ど出なかったけど。
その後、僕はぐったりとしていた。

 

「うわぁ〜、派手に飛ばしたなぁ…。
 フローリングで良かったよ。
 ほら、ティッシュ。」

「うん……ハァ…ハァ…。」

「連続でイっちゃったこととかないだろ?」

「う…うん……。
 初めて……。」

「1回目よりもっとすごいだろ?」

「うん……すごかった……。」

「自分じゃできないのが難点だけどな。
 …大丈夫か?
 ぐったりしてるけど。」

「うん…、大丈夫。
 ちょっと疲れただけ…。
 ありがとね、ボルト…。」

「どういたしまして。
 これでオレたちの内緒のお遊びはこれまでだ。
 時々新しいビデオ仕入れるから、また一緒にオナニーしようぜ。
 この学校入ったら、そういう友達いなくなっちゃってさ…。」

「まぁ……時々なら……。
 でも、僕は彼女持ちだから、変なこと考えないでね?」

「オレはそういうホモとかじゃないから!
 一応…彼女ならいるしな。」

「え?!
 ボルトもいるの?!」

「う、うん……。
 ほら、前言ってただろ?
 好きな子いるって。」

「じゃあその子と付き合ってるんだ?」

「そう。
 違うクラスだからミックが知らない子だけどな。」

「おめでとう、ボルト!
 じゃ、一緒に頑張ってこうね!」

「あぁ、お互い頑張ろうぜ!
 ……そろそろ服着ようか。」

「そ、そうだった……。」

 

服を着終えて、僕は部屋に戻ることにした。
何だかすっごく気分が良かった。
初めてのときでもあんな快感はなかったから。
セックスしたら……どうなるんだろう…。
僕の頭の中では、レナの家に行くときにそれをしようという考えが浮かび始めた。
でも……。
そんなのダメだ!
レナに嫌われちゃう……。
僕は一生懸命その考えを押し殺した。
この時、僕は自分の初めての発情期に入っていることを知る由もなかった。

 

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