第5章 偉大なる魔道書
月夜に照らされる街道、周りは森、足元は砂利という盗賊が旅人を襲うのには良い所と言ったら良い所だろう
まぁ、俺は襲われる覚悟をしてるから、、っと言うより襲われてほしいもんだ。
「はっはっは、、」
やっと出てきたかという感じで盗賊の笑い声が聞こえてくる
ちなみに今回はレンもいっしょに連れてきてるんだけど……
ま、剣の実践練習と言う事でつれてきた。
別に俺が師匠って訳じゃないけど……
盗賊の笑い声が聞こえたと同時に上から上半身半裸の狼の獣人降りてくる
盗賊って匂いプンプンだ。一応眼帯もしているという、、
ってどっかで見たことある光景だなぁっと俺は内心苦笑した。
「こんな夜中を旅してるとはな、しかも女に子供」
ムカッ……
「えと、、」
「すまん、レン、一気に片付けるから……剣の練習は出来ない」
「一気に倒すだと?はっはっは、俺達を倒せるというのか!」
その声と一緒に森から数十人の獣人と人間が現れる
と言ってもそんな事はすでに気配で知っていたしすでに呪文の詠唱は開始している
「俺は男だ!!落ちろ!ファイヤーボール!」
俺の手に込められた魔法球は消えた……
「へ、、へっ!魔導師とは気がつかなかったよ、それに女みたいに髪を伸ばした男だとね!」
「そんな事言って……後悔しないように!」
俺は人差し指を突き刺してそう言った。
「何を後悔、、って!!」
やっと気がついたか、俺はそう思った。
盗賊が何で声を上げたか、月明かりに照らされる街道に更なる光が降り注いでいた。
紅い紅い光が……
「うぎゃああああぁぁぁっ!!」
情けない悲鳴をあげながら逃げ惑う盗賊達、レンは俺の服を掴んで俺の近くにいる
そして、俺とレンの周りに火球が降り注いだ。
熱くないのか?と思う人もいるだろう、だけど、炎滅封(フレイムシールド)を張っておいたからどうにか熱くない
辺りが煙がだんだん晴れてきて周りが見えてきた。
「さてと、、、」
俺はピクピクと痙攣している盗賊の頬を叩いて起こす。
「んあ、、うわあぁぁっ!命だけは〜〜!」
「うん、なら出すもん出してくれ」
「え、、えっと、、盗賊から盗るのか!?」
「まぁ、このまま役人につきだされたい?」
「嫌です!教えますから!」
「クレスの方が悪人っぽいなぁ……」
それは言うな、っと言葉で言ったら何か言われるだろうから俺は心の中でつぶやいた。
こうして、一つの悪が滅んだ。盗賊のお宝をちょびっと頂いてそのまま役人につきだした。
嘘つきと言うなかれ、俺はお宝を出しても役人につきださないとは言ってないのだ。
それに、悪人に人権がないと昔、ある人から教えてもらったからそれで良いんだ。
そして、懐がだいぶ暖かくなってウキウキ状態で宿に戻った。
「えっとぉ、オリハルコンの像に古い金貨銀貨、後は、、変な魔道書だな、見たことない型だけど……」
俺は魔道書の中身をパラパラめくった。
そこには見たこともない魔法が満載だった。
おぉっ!これが俗に言う幻の魔道書みたいなものか!
俺はそんなことを考えながら著者を見た。
「えっと、ぐ、、ら、、ん、し、、あす?グラン=シアス……なあんだって!!!」
「クレス!今夜中だから大きな声出しちゃ駄目だよ!」
俺が大声を上げると同時にレンが俺の口を塞いでくれた。
「ふぅ、ありがとう、、まさかグラン=シアスの魔道書とは」
「誰なの?そのグラン=シアスって?」
「グラン=シアス、魔導師の中では神とも呼ばれている人物、
なんでもだいぶ昔に今俺達が使ってる魔法の発明者なんだよ」
「そんな凄い人の魔道書なの?」
「うん、著者も書いてあるし、、見たことない魔法だし、でも、こういうのに限って嘘っぱちだったりするんだけど
本の型からだいぶ昔の型なんだろうけど、それに結構昔って言う感じを出してるし、
ページをめくるたびに色素が色あせていく
もしこれが嘘だったらここらに載ってる魔法は使えないはずなんだよ」
「えっと、じゃあ使ってみるから貸して〜」
俺は頷くとレンに魔道書を渡す、レンはパラパラとめくった後剣を抜いて
聞き覚えのない呪文の詠唱を始める
「ゴールドセイバー!」
その言葉と同時にレンの剣が金色に光り、あたりが眩しくなった。
「うわぁ、、眩しい……」
「金の精霊の力を借りて武器の硬度を上げる魔法、まぁ、丈夫になるってことだね♪」
そう言ってレンは術を解除した。
「おはよう・・・」
グロールが上から寝ぼけ眼のまま降りてきた。
「起きにくいんだなぁ、グロールは・・・」
「まぁ、猫科の獣人は朝が弱いらしいですけどね・・・」
そう言う自分はどうなんだろうと俺はグレンを見た。
「まぁ、それは良いとしてじゃあ、賢者の石の説明でもしてくれよ」
「そうですね〜・・・」
グレンが食事している手を止めて口を拭いてから口を開いた
「・・・・・・・つまりですね。この賢者の石は、魔力をとことん高めてくれる代物です。こう言う物が世の中の悪に悪用されれば、たちまち世界は壊滅状態、魔道師でなければ良いんですけどね。たとえば、ファイヤーボールを賢者の石に魔力を高めてみるとスプリットソングなみになります。どこぞの3流魔道師でも町1つは破壊する事はたやすいですし、これでもし武器防具の強化魔法を唱えると武器の属性が強すぎて武器が破壊されて魔力が暴走する可能性だって高い、魔力の暴走を例えるとですね、ファイヤーボールが2・30発ぐらいを軽々超えてしまうほどの魔力が暴走してしまうのです。だからこそ賢者の石は破壊しこの世から消してしまわ無いといけない代物なんです。だけどこの石を使って邪竜討伐って方法もありましたがその時代は邪竜の事は全く知らされてなかったようなんです。ですからこれを使って邪竜を倒すと言う形になるんです。しかし、あなた達が邪竜を倒すと知ったからには、はいそうですかおねがいします、なんて言うのもどうかと思うので一緒について行ってあげたのです。わかりましたか?」
「最後のついて行ったって言う言葉をのぞいては一応・・・」
俺は長いグレンの説明を一回頷いただけで終わらした。
隣に座っているレンはちょっと圧倒されている・・・
グロールは全然気にせず食事をしている、でもたぶん分かってないだろうなぁ・・・
「まぁ、つまりだ、この大陸の巨大な存在である邪竜を倒す為にここに3人そろったわけか・・・」
「3人・・・?」
レンが首をかしげて問う、確かにここにいるのは4人だ。
実質、グロールは俺とレンの保護者みたいな存在で一緒にいる
だから、グロールだけ数えてないのだ。
「俺はクレスの保護者だからな、倒す目的があるのならそれは俺の目的でもあるんだからな?」
「気持ちは嬉しいけど、軽い気持ちでOKすると後悔することになるよ?」
俺は朝の定食にあるエビフライを口に放り込む
「まぁ、なんだ、ここまできたからには俺はパスなんて言えないっての」
グロールが笑いながら言った。
「烈空残月斬!」
俺の剣から放たれる金色の光りが魔物の身体に傷をつける
そして、俺は後ろに大きく飛ぶ
「ファイヤーボール!」
グレンが放った火球は魔物の直撃すると同時に大きな爆発が巻き起こった。
残されたのは焦げた大地だけ・・・
「こう魔物が現れちゃ切りがないな・・・・」
俺は剣を鞘にしまい、つぶやいた。
「普通の魔物にこれだけてこずってたら邪竜なんて倒せるか分からないね・・・」
「賢者の石は一つだけですしね・・・」
グレンはそうつぶやきながら言った。
賢者の石は一つ、魔法が使えるのは3人、誰が使うのかって言ったらやっぱり魔力が一番高い奴
だとしたら、この先にある町、マテリアル・シティに確かある大会が・・・
「じゃあさぁ、マテリアル・シティの魔術大会でもやって誰が一番か決めれば良いんじゃない?」
「まぁ、それでいいならそれでいきますか・・・」
俺の提案にレンとグロールが頷き、グレンも同意した。
「よし!じゃあマテリアル・シティに向かって!レッツGO!」