第46章 有名な医師はいったいどこへ?
俺達は町を歩いていた。あの後、町を見つけてどうにか停泊出来て
目的はあるが、別にその目的で歩いているわけじゃない
一軒のレストランに俺達は足を運んだ。後ろで鈍い音が聞こえた。
「・・・テット、」
「うにゅ〜・・・」
痛そうに頭を押さえて何とか立ち上がる
コウも心配そうに近づく・・・って、お前のほうが痛手だったんじゃないか・・・?
そして、適当なテーブルにつくと俺はいつも通りの量のメニューを言った。
店員が吃驚しながら厨房へ向かう・・・まぁどこも同じ反応だなぁ・・・
「さてと・・・」
俺は荷物袋から地図を取り出して、テーブルに広げる
ウィルガナ大陸、この大陸が今俺達がいる大陸である
そして、すぐ近くには封印の大陸が・・・やっぱりそこの大陸は白紙になっている
この地図もこの世界、と言っても同じ世界だが、別の世界と言ってもいいだろう
う〜にゅ、やっぱり、この世界は広いわ・・・
「僕達はどこに行くの?」
隣に座っているレンが地図を覗き込みながら言った。
テットも身を乗り出して興味心身で見ている
「いや、別にいきたいところも無いけどね・・・」
俺は地図をたたんで荷物袋に入れる・・・
「出した意味は?」
エルが少し呆れながら聞いてくる、いや、そんなだけで呆れるなよ・・・
出したら忘れたんだから、最近ボケたかな?
「意味はないよ、だけど、ここから二つ先の町にある遺跡があるらしいんだけど・・・そこへ行ってみようと思う」
「また遺跡荒らしでもするのか」
「いせきあらしだ〜」
「二人で同時に喋るな、つか、遺跡荒らしじゃなくて探索だよ、た・ん・さ・く!」
そう言いながら、料理が来たのでいったん話をやめて、食事することにした。
う〜ん、このしっとりとしてなおかつ後味が残る。
「つまりなんだろ?魔法アイテムを手に入れて金貨銀貨を手に入れたいだけだろ?」
ぎくっ・・・図星だし、だけど俺は動揺を見せずに
「魔法アイテムでも何でもいいけど、レンの治療法を探すのが先決だろ?」
「ごめんね、クレス」
「何故、そこで謝るか分からないけど・・・大丈夫だってレンの所為じゃない」
「でも、僕が変な病気にかかったから・・・」
「それならいい医者がいるよ」
その声が聞こえたのは俺の席の後ろの方だった。
「こんにちわ〜♪」
「しぎゃ〜♪」
テットとコウは挨拶してるし、その声の主は豹のようにも思わせる身軽な格好をした豹獣人の女性だった。
近くに剣が置いてあるから剣士か何かだろう。
「いい医者って?」
「それは簡単に教えられないよ、私もいろいろ旅してやっとその人物を耳に入るまで出世したんだから」
出世したって事は傭兵か・・・
「だから、私のある条件を満たしてくれれば、その医者の名前を教えてあげる」
俺は頭を掻きながら考えた。そして、焼き魚のソテーをパクリ・・・
「そのまえに名前を教えてくれ、俺はクレス=ファンレッド」
「私?私はただの傭兵よ」
こいつは・・・人の話をあんまり聞いてないな・・・
「条件って言うのはその子を貸してもらえないかしら?」
豹獣人が指差したのはテットだった。
「ん、なんでテットを?」
「いいの、今日一日でいいから貸してもらえないかしら?」
「僕借りられるの〜?」
テットはの〜てんきに言った。コウもぼけ〜っとしてる、
数ヶ月前のことからあってこの二人って結構、性格にてねぇか・・・?
「んじゃ、決まりね♪明日のこの時間の広場で返すわ♪」
そう言ってぱぱっと荷物を持ってテットを・・・連れ去っていった。
「って!まだ了解してねーぞ!」
「あらら、テット君連れ去られちゃいましたか」
お茶を飲みながらウォルトがそう言った。
「師匠!のんびりお茶を飲んでないで・・・」
「あの女性なら信用できますよ」
ウォルトがいきなりそういう発言をした。どこをどうしたら信用できるのか分からないが・・・
「目が悪人の目じゃありませんでしたからね、明日まで待って見ましょう」
「いいんだろうか、本当に・・・」
「テット、大丈夫かな・・・・?」

次の日、テットは帰ってこなかった。
何で帰ってこなかったのかは知らないが、あの女が何かしたのかもしれない。
「と言ってもテットを置いてって旅に出るわけにも行かないし・・・」
ぐて〜っとテーブルに引っ付いて食事を続ける。
「たぶんここで待っていれば来ると思います、もう少しだけ待ってみましょうよ」
レンが笑うが、表情を見ればわかる、心配しているのが・・・
エルは探しに出ちゃったし、こうやって食堂で食べている俺ももうそろそろどうかしそうだ。
「・・・・・・・」
師匠、ウォルトは時計を持って表情変えずにじっと見ている。
普通はあきそうだが・・・少し師匠って人と感じ方が違うからなぁ・・・
――ばたんっ!
突然、食堂の扉が開けられる。
「ん?」
扉にいたのはテットにあの女、そしてエルがいた。
「テット!」
「クレス〜♪楽しかったよ♪」
嬉しそうにテットは俺に抱きついて、、ってええぇっ!?
手加減しなかったのか、テットが飛びついてきたとき衝撃で倒れてしまった。
「いってぇ・・・」
「・・・・・・・・・」
豹の女はテットを見て、エルが道を開けるとそのまま町の中へ消えていってしまった。
「・・・?どうしたんだろ?」
「怒られると思ったんじゃねーか?」
頭を押さえながら起き上がる、船の上にいたときも頭をぶつけたような気がする・・・
テットを立たせて、そして、エルが口を開いた。
「あの女性、テット似の弟がいたんだとよ」
「え・・・?」
「その弟が死んじまって、んで傭兵やってるときにてっとを見つけたんだって、さっきテットにそう言ってた。
いきなり押しかけて悪かったとも言ってたぞ」
「そうか・・・」
俺はイスに近づき、座る、レンもテットも少し悲しそうな顔をしていた。
「医者の名前だったな、さっき俺に教えてくれた」
エルがコツコツと近づいて言った。
足音はあたりの人の声でかき消される。
「ハザード=インレイル、20歳にして第SS級の医師を獲得したとんでもない奴だそうだ。」