第45章 闇あれば光あり
きしっ、、
木の床が俺達が進むたびにきしむ音が響く
ずっと海の上をさまよってたか、海のそこにいたか・・・たぶん前者の方だろう
海水のあとみたいな部分は全く見られない、つまり、海にさまよっていると言う事である
って、こんな事偉そうに言っても・・・たいしたことでもないが・・・
「やっぱり、助ける事はなさそうだが?」
しばらく詮索を続けて、ほとんどの部屋を探したが全く助ける部分が見られない
俺はテットとテットが抱えているタコを見ながら言った。
って、やっぱり持ってきたんだ・・・そのタコ・・・
「でもぉ〜、助けてって言ってる気がするもん!」
いや、頬を膨らましてムキにならんでも・・・
俺は苦笑混じりで頷いた。そして、また詮索を続ける
海にずっと浮び続ける、幽霊船・・・か・・・
「けほっけほっ、、てか、ここはホコリばっかだなぁ・・・」
俺は棚にホコリがたまってるので払ってみたら見た目よりもホコリが多かった。
師匠は、相変わらず壺を見ている・・・?
「どうしたんだ師匠?」
「いや、とっても高価な物でね・・・」
・・・壺マニア!?
「いや、そう言う訳じゃないんですけど・・・」
「え?俺何も言ってないけど・・・」
ウォルトは少し溜息を吐きながら壺を片手に言った。
「あなたの事ですから『壺マニア』とか変なこと思ったのではないんですか?」
う、・・・図星だし・・・
「思ってない思ってない」
「本当でしょうか・・・?」
と言いつつも壺にまた目が入ったのか違う壺を見ている・・・
やれやれ・・・
そして、テットのほうは・・・
「あ、タコさ〜ん!」
・・・・・・タコを追いかけてるし、ってそれほどの速度じゃないのにこけながら追いかけてる・・・
やれやれと思いながら俺は目に入った一つの本を手にとった。
トクリエ月、あぁ、これは航海日誌だ。ある意味こう言う本って結構情報が入ってるもんだ。
トクリエ(10)月ウィルド(24)日、船のやつ等がある噂をしていた・・・か、一応、ここで日記が断ち切られている
てか、航海日記なのか・・・?
「う〜ん、」
俺は少し頭を抱えながら考えた。その前日は・・・タコが取れたとか書いてあった・・・
そんなもん航海日誌に載せるなぁ!!って船長にどつきたかったが無理だなぁ・・・
「タコさ〜ん!」
「しぎゃ〜!」
二人がかりでタコ持捕まらないのか!?
俺はタコを見た。そのとき、異変が起こった。
タコから大きな魔力をかんじられたのである、いや、ムカツクけど確かにかんじられた。
師匠はもう気づいているようだが・・・
「テット、そのタコから離れろ!」
「ほえ?」
俺はテットとコウを抱えて師匠と共に部屋から飛び出した。
バキバキグシャ・・・
後ろから木が潰されていく音が聞こえる、魔力による巨大化・・・
俺は後ろを振り向く事無く師匠についていき甲板に出た。
そこにはタコの頭がすでに見えていた。
俺はテットを降ろすとここに来る途中ですでに詠唱を始めていた、そして・・・
「アイシクル・ソード!」
俺の手から放たれた氷の剣はタコに当たり巨大化の途中で凍らせた。が・・・
そんな事は通用しないのはわかっている、魔力で巨大化させるのは相当の魔力の持ち主だ。
俺は甲板を蹴ってタコとの間合いをはかる
「ライトニング・ヴォルト!」
師匠が電撃、いや、雷を敵に放った。敵の頭上に雷が落ちた。
俺の知らない魔法・・・
「タコさんをいじめちゃダメ〜〜!」
「テット!」
何を訳分からんことを!っと思った。
テットは俺とウォルト、タコの間に立ちタコに近づいた。
俺は甲板を蹴りテットに近づこうとしたが間に合わなかった。
テットとコウはタコの足に捕まった。
舌打ちをしながら俺は途中で止まる
「相変わらず、動物には優しいんですねぇ・・・」
師匠がほのぼのとそう言った。今はそう言う状況じゃないんですけど・・・
俺はまたタコに視線を戻した。タコはすでに巨大化が終わったようだ。
だけど、この船は沈む事無く浮いている、まぁあたり前だ。
ここは幽霊船だからな、2度は沈まない
「よし、今日はたこ焼きだ!」
自分でも無茶を言ってることは分かる、だけど、これは合図でもある、
炎系の魔法を放つという。
俺はすぐに詠唱を開始する、しかし、その詠唱を邪魔しようとタコの足が飛びかう
だが、それは俺たちに当たらなかった。
地を蹴ってそのタコの攻撃をかわし、俺は手中に溜まった魔力を解き放つ
「フレア・アロー!」
弓の持つ手にさせると弓が現れ矢も現れた。そして、狙いを定めて解き放つと
炎の矢が数十本の矢にタコに串刺ししていく、うっし、良い匂い!
そして、俺は剣を抜いた。それと同時に師匠が魔法を解き放つ
「フレイム・ランサー」
タコの周りに立たれた魔法陣が現れ、タコを囲んでいく、そして、その魔法陣からランスが次々に現れタコに
串刺ししていく、って、また俺の知らない魔法を・・・俺はそう思いながらもタコに向かい剣を構える
剣に魔法をかけながら俺は剣で攻撃する、
剣から炎が燃え上がり、炎の剣と化した剣を十字に斬り、そして、魔力をそこに集中させながら突き貫く
タコに燃えた空洞が出来上がった。
「タコさ〜ん!!」
ちょっと待てテット、お前の仲間はどっちだよ・・・
すこし、苦笑しながらテットの様子を見ていた。しかし、すぐに異変が起こった。
辺りにドドドドドドっ!という地震が起こっている
「ってここは海の上だろ!?」
俺は訳分からずも浮遊呪文の詠唱をはじめる、そして、術は完成した。
「レグ・ウィング!」
師匠、テット、コウにも浮遊魔法がかかる、そして、俺達は自分達の船に向かって飛んだ。
振り返ってみると、さっきまでそこに立っていた幽霊船が無くなり、それは無い物になっていた。


俺は目を覚ました。少し昨日の事があったから早く寝たのである
あの後、霧が無くなり、いつも通りの航路を進んだ。
俺はもうほとんど目が覚めたから自分の毛皮を撫でながら着替えた。
だが、少し熱いから上は着てない、
そのまま俺は部屋を出て甲板へと向かう・・・
たぶん、エルか誰かいると思うけど・・・俺は船の上をみた。ってここからじゃ全く分からないけど・・・
俺ははしごに手をかけて登っていった。一つ一つ、そして、覗いてみたら
そこには白い毛並みの犬、レンがいた・・・
「レン!?」
「あ、クレス〜」
レンはいつものように笑顔で俺を見た。
俺は少し戸惑いながらもレンの近くに行った。
「もう、身体は大丈夫なのか?」
「うん、だいぶ楽になったから・・・」
「そうか・・・」
そして、沈黙・・・
俺は海の地平線をずっと見ていた。
少しレンの方を見ていると、なぜか赤面していた。
「熱でもあるのか?」
しかし、レンはおもいっきり首を横に振った。
そして俺から視線を外す・・・ん?
「治るよ、絶対・・・」
「・・・」
俺は微笑しながらレンを撫でた。俺は地平線を見ながら撫でたからレンの顔は分からないが
たぶん嬉しそうな顔してると思う。
そして、いきなりレンが俺の腕に抱きついてきた。少し吃驚したがそのままで・・・俺は見張りを続ける
その後、地平線から少し出っ張りを見つけるのはそう長くは無かった・・・