第41章 フェンリルと白犬族
どおおおぉぉぉぉん!!
雪が降り積もった町に爆発音が聞こえる・・・・
戦いが始まってしまったのだ。レンと・・・ガルムの・・・
レンはガルムに向かって光の剣を振るう・・・・
ガルムは自分の身長ぐらいはある大剣を振るう、なぜか光の剣はガルムの剣を斬る事が出来ない
レンは苦戦をしていた。当たり前だ。レンは魔法経験の方が多い、剣を交えて戦う事をあまり無かったのだ。
それにレンは俺を倒す事が出来るのか・・・・
レンが光の剣をガルムに向けて振るった。ガルムがそれを左に避けレンに向かって剣を横に薙ぎった。
レンはどうにか寸前でかわす・・・どう見てもレンの方が不利だ。
「はぁ・・・・はぁ・・・」
「どうした?息が切れてるじゃねぇか♪」
フェンリルがレンの方を見て言う、レンは剣を構えて次の攻撃に備える・・・
小さく、呪文を詠唱する・・・・、それに気づいてかガルムがレンに向かって走り出す。
レンはガルムの攻撃を寸前で避けつつも詠唱を続ける・・・・そして・・・・
「合魔!ファイヤーストーム!!」
炎と風を合わせ持つ魔法、『ファイヤーストーム』、数日前、俺がレンに教えた俺が考えた魔法だ。
ガルムが炎の嵐に包まれる・・・・周りの雪は完全に溶け土は焦げかかっている・・・・
フェンリルとレインはその様子を変らない表情で見物をしている・・・・
炎の嵐が消える時、ガルムは無傷で立っていた。
「そんな・・・・・」
レンが絶句した。その瞬間、ガルムが一気にレンとの間合いを詰め、レンに向かって大剣を振る。
一瞬の出来事でレンは状況を確認する事が遅かった。避けようとした時にはレンの肩に大剣が薙ぎった。
「うわあああぁぁぁぁぁ!!!」
レンが自分の方をおさえて回復魔法を唱える、、、が、全然効果が現さなかった。
「なんで、、、」
レンの肩から血が止めどなく流れる・・・、レンは必死に回復魔法を唱える・・・
「無駄だ・・・・お前は死ぬ・・・あと数秒でな・・・」
「何故だ!」
レンが自分の方を押さえて言う、血は全く止まらずにレンの着ている服や獣毛が白から赤へと変っていく
「この剣で斬られたんだ・・・・この剣は死を与える剣・・・どんなに小さな傷でも斬られたものは死ぬ・・・」
レンの目から生気が消えかかる・・・だが、必死に自分の意識を保とうとしている・・・・
「そんな・・・、くっ・・・・」
レンが倒れる・・・・ガルムが剣を納め、フェンリルとレインのところへ帰っていく・・・・
「つまらない奴だな・・・暇つぶしにもならなかった。」
フェンリルが文句を言いながらつぶやく・・・・
「よ〜し、ここを氷の町にしてやる・・・・」
そう言うとフェンリルは今降っている雪を吹雪に変えた。
「氷の町のほうがよく似合うじゃねぇか♪」
フェンリルがレンに近づく・・・・そして、レンの頭を掴み、持ち上げる・・・・
「弱っちぃ・・・・・」
そして、レンを放り投げた瞬間、、レンが消えた・・・
フェンリルは笑みを浮かべて・・・言った・・・
「遅い到着だな・・・・神兵さんよ・・・」
フェンリルが誰かに向かって言う・・・・、レインが面白そうにそれを見てガルムは今にも剣を抜きそうだ。
フェンリルが振り返る・・・そこにはレンと同じ白犬族の獣人・・・・見たことも無い服を着ていた
そいつは俺とレンを助けてくれたあの時の獣人だ・・・・
「遅かったか・・・まだ間に合う・・・か・・・」
獣人は空中に手を掲げると光がその手に集まる・・・そして、剣の形になり獣人の手におさまった。
「我、ここにいる、生きとし生きる者を救わん・・・・」
そう言うと獣人は剣を当て、集中させる・・・・・ガルムが動こうとしたが、レインによって止められた。
レンが光出す・・・眩しいっていう光ではない・・・神々しい・・・・
そして、光が消えた時にレンの傷は完全に塞がっていた・・・・
「う、、、あ、、、、」
レンがうめき声をあげながら起きる、、、そして、目に入った人物・・・獣人を見た。
「あなた・・・・誰・・・?」
「やっぱり覚えてないか・・・仕方ない・・・、、、しかし、今こうしている時間は無い・・・」
レンが無事だってことを確認すると・・・獣人はフェンリルの方へ向く・・・・
「ほぉ〜?言わなくて良いのか?」
フェンリルが邪悪な笑みを浮かべて言った。レンは何が何だかわからないでいる・・・
獣人はさっきの剣を構えながら言った。
「今言う必要は無い・・・」
「なら俺が言ってやる♪」
「黙れ・・・・」
獣人は一瞬でフェンリルと間合いを詰めた。そして、剣をフェンリルに向かって振る
フェンリルはそれを爪で受け止めた・・・・
「そうかっかするなよ♪シオンさんよ〜♪いや、、、こう言った方がいいかな♪」
「黙れと言っている!」
「なら止めてみろよ!自分の手でな!」
シオンと呼ばれる獣人は、その場で跳んだ。そして、消えて、フェンリルの後ろに現れる・・・
「後ろからとは・・・神兵のくせにせこい手を使うもんだな♪」
フェンリルがいたと思われるとこにフェンリルはいなく・・・移動したシオンの後ろに現れた・・・
「な、、、!!」
「へへ、、弱いぜ!」
フェンリルが爪を振り落とす。寸前のところでシオンは消えてレンの近くに現れる・・・・
「・・・・・・・・・・・ち、・・・」
「さてと・・・?どうやって俺を倒すつもりだ?」
フェンリルがシオンに向かって言う・・・・シオンはなおフェンリルに向けて構えているが・・・
「シオンさん!倒さないで!!」
レンの声が聞こえる・・・シオンは振り返らずに・・・吃驚する・・・・
「何故だ!?あいつを倒さないと世界が死んでしまう!!」
「クレスが・・・、、フェンリルを倒すと・・・クレス助からないでしょ・・・?」
レンが悲しい声をしながら・・・シオンに向かって言う・・・・
シオンは構えながら聞いている・・・今フェンリルが襲ってくれば少し隙ができる・・・
「だから・・・・・!!!」
突然、レンの声が聞こえなくなる・・・シオンが後ろを振り向くとレンはレインに捕まった。
「それで?どうするおつもりです?」
ついでに口も塞がれていて声も出ない・・・ガルムが今だに剣をいつでも抜ける状態でいる・・・
「レン!!」
「他人を気にしてて良いのか?」
シオンが振り返る、フェンリルが真近まで来て、シオンに向かって爪を振り下ろす・・・
「うぐ・・・・・!!」
シオンは背中に大きな爪跡を残して一旦、フェンリルとの間合を広げる
フェンリルはそれを気にせずずっと見ている・・・
「レンさん、教えてさし上げましょう♪シオンさんは・・・・」
「やめろ・・・!!」
シオンがレインのところまで走るが、、、ガルムによって止められる・・・
そして、レインは安心したかのように喋る・・・
「あなたのお兄さんですよ♪」
「む・・・!!!」
レインに口を塞がれているレンが吃驚する・・・・
シオンは諦めたかのようにガルムとフェンリルの間合を広げる・・・
「ふぅ、、、やはり倒すしかないか・・・・」
シオンは剣の力で自分の傷を癒した・・・
レンはレインの所為でずっと手に出せないでいる・・・
フェンリルはそれを余裕で見ている・・・・・・・そして、一瞬間を置いて・・・
「とぉ〜〜!!」
フェンリルの後ろから気が抜けそうな声が聞こえる、フェンリルはそれを軽々かわす・・・
「わったった!!」
テットだった。フェンリルに向かって拳を突いていた。
それが勢い余って地面を突いた・・・
どごん!!
物凄い鈍い音をしながら地面に大きなクレーターが出来た・・・
「・・・ガキにしてはたいした奴だ・・・」
フェンリルは空中で浮遊しながらテットを見た。レンもレインも・・・ガルムもシオンもみんなテットを見ている・・
「あう〜、、失敗しちゃった・・・」
「しぎゃ!しぎゃーーーー!!!」
テットはクレーターの一番奥で立ち上がって自分で作ったクレーターから這い出て来た。
そして、テットはコウと一緒にフェンリルを睨みつけた。
フェンリルはそれをあざ笑うかのようにゆうゆうと空に浮んでテット達を見ている
すこしながらシオンを警戒しながら・・・
シオンはフェンリルを見てどうにか自分の傷を治す、そして、また剣を構える
「それで、どうするんだ?『伝説の虎人』だろ?唯一、魔法が使えない伝説の獣人だってな!」
フェンリルはテットに向かって言う、テットとコウはまだ静かにフェンリルを睨みつけている
「攻撃してこないのか?」
フェンリルはまた笑った。それを見計らったのかテットは地面を蹴って、コウは自分の翼でフェンリルのところまで飛んだ。
フェンリルは余裕でその様子を見ていた。テットが目の前に来たら消えてテットの後ろに回りこんだ。
そして、伸ばした爪を振り落とすが、テットの手につけていたルベルトナックルでそれを受け止めようとする
だが、、、フェンリルの爪にそこらで打ってるナックルでは勝てなかった。
フェンリルの爪はテットの手ごとルベルトナックルを破壊した。
「うわああぁぁぁぁ!!」
テットの叫び声が聞こえる、テットはそのまま地面に落ちていきどうにか受身をして立ち上がる
手に大きな傷をつけながら・・・・
「は、、、やっぱり弱っちぃ・・・」
「しぎゃーーーー!!!」
コウがフェンリルを後ろから炎の息を吐いた。フェンリルは炎に巻き込まれて燃え尽きたかと思われた。
だが・・・・
「それだけか?」
「しぎゃっ!?」
フェンリルはさっきと同じ方法で後ろにまわってコウに向かって爪を振り下ろす。
コウはそれを尻尾でどうにか受け止めた。
「ほう、、自分の尻尾で助かったか・・・」
フェンリルの爪はコウの尻尾を振り下ろす事は出来ないらしくそのまま止まった。
「だが、尻尾は二つも無いだろ!」
そう言ってこうに向かってもう一つの腕の爪を振り下ろした。
コウはその場で吃驚して一瞬、遅れてしまった。それが命取りだった。
コウの身体にフェンリルの爪跡が大きく残しながらコウは地面に向かって落ちていく
「コウ〜〜!!!」
テットがシオンに傷を治してもらったらしく傷が塞がっていた。
コウに近づくとシオンにコウの傷を治すのを頼んだ。
フェンリルはその様子を笑いながら見ていた。人の不幸をあざ笑う・・・
テットはレインとガルムに近づく・・・・
「おや?」
「レンさんを離せ・・・・」
テットは静かにそう言った。レインは変らずガルムは警戒しながらテットを見た。
「しかしですね、僕だってこれは主の命令でやってるんですよ?」
「離せ!離せ!!離せーーー!!!」
いつもの温厚なテットの姿はどこにもあらず、レインはそんなテットを見ながら苦笑した。
そして、レンを離した。レンは吃驚しながらレインから離れる、、そして、テットに抱きつく
「テット、落ち着いて・・・・」
「でも、、、コウが・・・・」
「助かるよ・・・、絶対助かるから・・・・」
レンはテットを離して、フェンリルに向けて睨みつけた。だが、フェンリルはレインを見て
「こら!レイン!何故離した!!」
「いやいや、フェンリル様、たしかにレンさんが捕まっていたら楽でしょうけど・・・それでは面白くないでしょ?だから僕はフェンリル様を面白くなってくれると思ったのでレンさんを離したんです♪」
フェンリルは、その言葉に納得してレン達を見ながら空から降りてくる・・・
「かかって来い!俺様を楽しませてくれ!」
フェンリルは邪悪な笑いをしながら爪を構えた。