第40章 氷の町の戦い
「フェンリル!」
レンはそう言った。そう、俺の中に封印されていたのは、白犬族の村を滅ぼした張本人。
『氷の魔狼フェンリル』だ。
フェンリルは、邪悪っぽい笑みを浮かべてレンを見る
「白犬族か、、、まだ生き残ってたとはな」
「レン!」
エルがレンを捕まえた。レンは暴れてエルに掴まれている手を振り解こうとしている
その間、リゼルが精霊石を腕につけて呪文を唱える
それと同時にテットも呪文の詠唱を開始する、そして、放つ
「ふぁいや〜ぼ〜る!!」
ふよふよとホタルの光ぐらいの大きさの火球がフェンリルの方へ飛んでいく・・・
ふよふよふよ、、、、
「なんだこれは・・・?」
フェンリルはでこぴんを一発・・・消滅、、、
「テット、、、お前下がってろ・・・」
「え!?なんで〜?」
エルが気が抜けたような声を出しながらテットとコウをを下げさした。
フェンリルは今も腕を組んで邪悪な笑みを浮かべている・・・・
「サラマンダー!!」
その力ある言葉と共にリゼルの前に赤い星の形が作られその中から精霊サラマンダーが姿をあらわす
サラマンダーはフェンリルを見つけると人にとっては一言のように聞こえる掛け声だけで
あらゆる炎の魔法攻撃を仕掛ける・・・あたり一面、爆発が巻き起こる・・・
「よし!」
リゼルが歓喜の声をあげた・・・が・・・
「効かねぇな、、、」
爆発が終わって煙が去った後、フェンリルは何も変らず、邪悪な笑みを浮かべながら立っている
エル達が吃驚した表情を浮かべている間にフェンリルはある名を呼んだ。
「レイン!ガルム!」
「はいはい♪フェンリル様♪」
「・・・・・・・お呼びでしょうか?」
レイン、魔導師風の犬獣人だって事はもう俺達は知っている、
しかし、ガルムと呼ばれた紫色の毛色をした。俺と同じ真紅の瞳と髪・・・・
そして、背中には自分の身の丈サイズの巨大な大剣、、、どう見ても普通じゃない・・・
「よくやってくれたな、レイン、ガルム・・・」
「いやいや、フェンリル様の為であれば♪」
レインは明るい口調のまま話をすすめている・・・ガルムの方は全く無言という訳ではないが喋らない・・・
フェンリルが喋っている間にエルは、ある呪文を唱えていた。

〜世界の自然、原理
  世界の理、力

「ん・・・・?」
その詠唱がガルムの耳に届いたんだろう、ガルムは剣を抜きエルに向かって走り出した。
「ダメ!エル!!・・・!」
エルの隣にいたレンが魔法を唱えないよう説得していたが、ガルムの動きに気づいて刀身の無い光の剣を取り出す、そして、レンが持った瞬間光の刀身が生まれた。
ガルムはその剣にひるむ事無く突き進む、、、

 世界の魔物、人
  我が内に眠りし魂
  自然、原理、理、力、魔物、人、魂を!!

がききぃぃん!
レンが持つ光の剣とガルムが持つ巨大な大剣は、お互い刃をまじわせた・・・
「な、、、」
レンが吃驚する、この世で何でも斬れると思われた光の剣が一本の大剣によって受け止められたからだろう・・・
「どけ、、、死にたくなければ・・・・」
「嫌だ!エル!魔法唱えないで!!」

 我等が前に立ちふさがりし者を
  滅びと再生を与えよ〜

詠唱が終わってしまった。エルは目を開きフェンリルに向かって手を突き出した。
エルに溜まっていた魔力が一気に手のほうに移動する・・・
「滅びよ!フェンリル!!ギガルディーア!!!」
エルの手にあった魔力が一気にフェンリルに向かって放出される
7色に光る閃光はフェンリルに直撃した。

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「はははははは!!痛かったぜ!」
フェンリルは何も変らない笑みを浮かべながらレインと立っていた。
フェンリルの身体にはいたるところに傷が見られたがかすり傷程度だった・・・
エルは、生気を失った目を浮かべながら倒れた。
「エル!!テイサー!エルを遠くに運んでリザレクションを!!」
「わかりました!!」
レンが叫ぶ、だが動けない状態だった。今だにガルムとはをまじわらせていた・・・・
テイサーがレンの言うとおりリゼルとテットと一緒にエルを連れていった。
だが、ガルムはエルが倒れたのを確認するとレンの目の前から消えてフェンリルのところへ現れた。
「ふ、、どうする?白犬族の死にぞこない!俺様と戦うか?」
俺がフェンリルに身体を乗っ取られ、テイサー、テット、リゼルがエルを運んでいく
レン一人だけがフェンリルに向かっている・・・・
「戦う!敵を打たせてもらう!!」
「おやおや?あなた一人で勝てるおつもりですか?」
レインが言った。何も変らないにこにこ顔で・・・・
レンは憎悪の目をフェンリルにむきながら剣を構え地を蹴った・・・が・・・
「あ・・・が・・・・・・・」
レンは途中で倒れた。そして苦しみだした・・・・
「おや?そう言えばまだワーウルフの病気治していなかったんですか?」
レインが面白そうに言う、レンはワーウルフに噛まれて以来、時々発作を起こす・・・
ワーウルフの病気の発作、今タイミング悪くその発作がきてしまった。
何故、ワーウルフの病気が治さなかったか・・・いや、治せなかった。
ワーウルフの病気を治せる魔法医がすでにこの世にはいなかったのだ・・・
そして、発作が起こるときに毎回俺達にリカバーをかければ発作はおさまったのだが・・・
今はレンとフェンリルとレインとガルム・・・・誰も治すことは出来ない・・・
「あ・・がぁぁ!!あああ!!」
発作がどんどん酷くなる・・・フェンリル、レイン、ガルムはその様子をただ面白そうに見ているだけだ。
フェンリルがレンに歩み寄る・・・・
「どうしたんだ?白犬族の死にぞこないがよ!何も出来ない奴が!」
フェンリルはレンの髪を掴み持ち上げた。
「があぁ!ああ!!」
「ふん・・・」
フェンリルはレンに向かって手をあてた・・・
そして、ある呪文をつぶやく・・・・
「リカバー・・・・」
それを言い終わるとフェンリルはレンを放り投げて元の位置まで歩いた。
「フェンリル様、一体どうしたんですか?」
ガルムが言う、フェンリルは、、、と言うか俺の顔だから俺なんだけど・・・・
フェンリルは面白くなさそうに言った・・・
「知らん、、、勝手に動いた・・・」
「ま・・・・待て!!」
レンが立ち上がった。さっきの発作が治ってフェンリルに向かう・・・フェンリルはレンのほうに振り向く
「何故!何故助けた!!」
「ふ、へ!俺様に立ち向かう奴がいれば面白くなりそうだからな!死んでもらっちゃあ困る!!」
邪悪な笑みを浮かべながらフェンリルは言った。
レンはもう一度、剣を構えフェンリルに向かって走った。だが、またガルムが剣を抜きレンと刃をまじわせた。
「どいてください!!斬りますよ!!」
「・・・・・・斬れるものならな・・・」