第37話 あからさまに怪しい吟遊詩人
僕がワーウルフに噛まれた跡、気がついたらクレスがいた。
知らない竜もいた。誰だろう?クレスは僕を抱いて泣いた。
どうして泣いたのだろう?僕、、、何かしたのかな?
今、ベットの上にいる、クレスが隣で寝ている、、、、
ワーウルフに噛まれた跡、僕どうなっていたんだろう?
僕が起きたのはみんなより早かった。
隣でまだクレスは寝ている、、、、
僕は安心しながらベットから降りた。ここは、、どこだろう?
僕が気がついたときには違う部屋にいた。
宿屋が燃えた事を教えてくれた、、、
「ふあぁぁ、、、」
俺が目を覚ました。近くにはレンがいた。
俺より早く起きたのがわかった。俺も身を起こしてベットから降りた。
「あ!おはようクレス〜♪」
「ああ、おはよう、、、傷は大丈夫か?」
「大丈夫だよ♪」
レンは笑顔で返事を返した。俺は良かったと思った。レンが着替えているのを見て俺も荷物から自分の着替えを着た。
レンは昨日ワーウルフに噛まれ、、、見たことも無い症状を見た。
噛まれたら普通あんな事にはならない、、、、あの症状は、、、操りの呪法、、、
いつ操りなんてしたのか?でもってあそこにはワーウルフしかいないと思っていた。
でも、ワーウルフが魔法、術などは一切使えない、、、ワーウルフの後ろに誰かいる・・・俺はそう考えた。
着替え終わった俺とレンは家を出て、とりあえず、外に食べに行った。
召使いに伝言を伝えといて、、、、
街は静かだった。早朝だからかもしれない、、、小さな子供が広場で遊んでいる
屋台も準備を進めている、、、店はやっているようだ。
「あそこで飯を食うか?」
「うん♪」
レンが笑顔で頷いた。俺は店へ足を進めた、、、が少し気になる人物がいた。
ローブとフードで身を包み、片手に楽器を持っている、、吟遊詩人、、そんな感じだった。
俺は足をとめた。それに気がつくかのように吟遊詩人が楽器を持って詩を歌った。
「はるかな空、、、白い雲、、、
刻はうごめき、、、白犬族の生き残りの子、魔法都市の子、、、
時を操り、あるままの時間をもどした、、、
今ここに流れる時は、、、その者たちの活躍、、、
その者達は仲間を元にもどそうと、、、それが願いだった、、、」
詩の内容はめちゃくちゃだが、、、何か引っかかった。
白犬族、、、その子供ってレンの子とか?俺はレンのほうに向いたがレンはそこにいなかった。
吟遊詩人に近づいていた。俺も跡を追った。
「その詩、、、、どこで?」
「風のうわさですよ、、、レン君、、、」
「!!!!」
吟遊詩人は顔を見せず笑ったようなふいんきでその場を去った。
誰だったのか?疑問が重なる、、、、あの尻尾は、、、白犬族、、、
そんな疑問を吹き飛ばし俺は食堂に向かった。
「ねぇ〜さっきの人」
「ん〜?」
俺は軽く5人前くらい食べたところでレンが話してきた。
レンに至っては普段とは変らない小食だ。さっきから半人前も食べてない、、、
「白犬族だよね、、、僕の仲間の、、、、」
「たぶんね、、、でもそれで間違いだったらとんだ恥だし、、、今は依頼を成功させる事にしよう」
「うん、、、」
「なに暗くなってんだよ、白犬族なんてこの世界にはいっぱいいるかもしれないだろ?それに、、、レンは昨日の傷、、、もう大丈夫だけど完治はしてないんだ。少しは落ち着いていつもどおりで良いよ♪」
レンは表情は暗くなっていたがやっと普段と同じ明るさを取り戻しそのまま朝食を続けた。
そんな食事をとっていた時、ちょうどエルとリゼルが現れた、、、
「よっ!相変わらず良く食うよな♪太るなよ!」
「太らないよ、、、結構運動もしてるんだから」
エルとリゼルが俺達と同じ席についた。
「それにしてもよく食べますね、、、人の5倍くらい食べてません?」
「おっ!カンが良いな、、、ってちょうど5倍だ」
俺の言葉にリゼルはちょっとびっくりしていた。普通の人から見たらそんな反応する人が多いだろうね、、
「そう言えば、、、ちゃんと自己紹介してなかったな、、、俺は俺はクレス・ファンレッド、、ってエルから聞いてるだろう?それでこっちがレン・フデルだ」
俺は自分の自己紹介を言ってレンの紹介もした。リゼルは頷いて聞いていた。
「俺はリゼル・ガルバイン、、、ちょっとした事から精霊を宿す人を探してたんだ。最初に出会ったのがエルさんです。それでクレスさんとレンさんの中に炎と水の精霊が宿っています」
リゼルは俺とレンを見合わせて言った。そして、5つにまとまった宝石を出した。
「これが炎の精霊石、、、これが水の精霊石、、、これが風の精霊石、、、ほら、こうやって炎はクレスさん、水はレンさん、風はエルさんに向かって光っているでしょう?」
リゼルが出した精霊石のひとつが俺に向かっている、、、赤い光を発しながら精霊石は俺に光を送っているように見える、、、俺は気にせずエビフライをパクリと口に入れた。
「それで土の精霊石、、空の精霊石があります。でもまったく光を放っていないんです、、、これらのほかに光、闇、金、樹、月、氷、、、とあります。でも氷の精霊石だけは絶対見つけてはいけないんです」
「なんでだ?精霊石を見つけることは良い事だろう?」
俺の質問にリゼルは淡々と説明した。
「氷の精霊石、、、反逆者の石なんです。氷の魔狼と言うのを聞いたことあるはずです」
俺は体がビクッと震えた。エルは俺の顔をみた。エルだけ、、、
「氷の魔狼、、、それが氷の精霊です。聖魔戦争、、、あなた方の大陸では呼ばれているそうですね」
俺は眉をひそめた。ここら辺じゃ違った呼び方をしているのか?
「この大陸では神魔戦争なんですよ、、、精霊族と神族、、、魔族が戦った戦争、、、、
あなた方の大陸では精霊に関することが多いことからたぶん精霊が戦った戦争だったんでしょう」
「つまり、精霊が戦っていたわけではなく神と精、、、魔が戦っていたって事か、、、ここに来てから文献やら全然読まなかったから気がつかなかった」
「あ?なんだ〜?」
エルが横から言ってきた。俺はエルのほうに向いたらすでに酒を飲んでいた。
「朝っぱらから酒を飲むか!!!」
俺はスリッパでエルの後頭部を数発叩いた。
「どこからスリッパを!?」
「へ!持ってると便利なんでね!」
「クレス〜(汗)、ちゃんとはなしきこ」
俺はレンに指摘されてしぶしぶスリッパを懐にもどした。それで話は続いた。
「と言うわけで精霊石でも氷の精霊石は見つけてはいけないんです」
『わかった』
「と言うわけで!すいませ〜ん!ランチAセットおかわり!!」
その場でリゼルだけが倒れた、、、、何でだ?
俺は町長の家で借りた部屋に戻っていた。そう言えばこの旅は依頼だったのだ。
そう、外の世界は安全か否か、、、もちろん、俺は安全と言う内容のレポートを書き上げた。
これを郵便鳥(頼んで大丈夫だろうか?)にまかせて聖都市ウィルディに運ばせた。
俺は窓から町をのぞいた。ワーウルフによって被害が出た店、、、岩が残っている広場(これは俺のせい)
そして、、、、まだ、憎悪が残っている、、、レンが襲われた時、、、
「やっぱ、、許せないな、、、、さてどうしてやろうか、、、、」
俺の中でワーウルフを恨むような感情が生まれている、、、遅く生まれた感情、、、
「せめるか・・・・俺1人で・・・・」
ちょうど良い事にレンはいない、、、こんな時にレンがいると厄介だと思う、、、
俺は剣を持って肩当てを着けた。ワーウルフ達に仕返しをする為に、、、、
1人で街を出て山道を登る、、、ルジアたちが通ったのだろう道なきはずのところに道ができている
俺はそこを通り剣を構えた。がさがさと自分が動く音しか聞こえない、、、、
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
がさっ、、、もう1つ聞こえた。俺のすぐ近く、、、それはどんどん音を上げ近づいてくる、、、
俺はそこをなぎった、、、現れたのは目的のワーウルフ、、、だが違う、、、
「邪魔だ!」
恨みがこもった声、、俺は自分でも怖いと思う、、、そんな声を出したらワーウルフは青ざめて引き返した
「弱っちぃ、、、」
山の頂上、、、もしくは頂き、、、そこには大きな洞穴があった。自然に作られて物みたいだ。
俺は中に入った。そこに気配が感じるからだ、、、ざっと50匹、、、自分がやられることは知っていた。
でも、、、レンを傷付けた事が許せなかった。勢い余っての行動だ・・・・だが、、足をとめた。
50匹に紛れ込んでいる強い気配を感じた、、、、
「魔族?」
俺はそう思った。それは人では考えられない、、、ましはや魔物にこんな強い気配は無い、、、
残る答えが魔族、、、それも高位の、、、
俺は壁を背にして進んだ。ここまで来て引き下がれない、、、
1つの部屋らしきところに来た。そこをのぞかなくても弱弱しくなっている気配に気がついた。
見覚えがある気配、、、これは!もしかして!
「レン・・・か・・?」
俺は部屋に入った。そこは結構大きな部屋だった。ワーウルフが集まっている
魔法使いのような魔族がワーウルフたちを見物しているように座っている、、、そして、、、
「レン!!!」
レンはそいつらの真ん中にいた。どうにか生きているようだが、、、
「やれやれ、、、やっと来ましたね、、、」
魔族が笑っているように見えた、、、いや笑っている!!!
「もっと早く来るでしょ?大切にしている者だったら守らなきゃ♪」
いまだ楽しそうに言う魔族、、、一体、、、
「レン君はあなたとはなれた時点で僕が連れてきました。あなたをおびき寄せるためにね♪
でもあなたは来るのが遅すぎた、、、普通、愛する者だったら守らなきゃ、、、」
俺の憎悪が増す、、、それは自分ではっきりと分かる、、、、
「貴様!!!、、、、、、そこをどけ!!」
俺は力任せにワーウルフを薙ぎ払った。レンのところまで、、、
レンはすでに弱っていた。体に無数の傷がついている、、、、
「レン!!!」
ワーウルフが俺に飛びかかって来る、、、次々と、、、俺は埋まった。
力任せでは俺は動けない、、、一匹のワーウルフの爪が食い込む、、、、
「守らなきゃ♪」
魔族は今だに笑っている、、、あざ笑っている、、、
「レン!!!」
俺は叫ぶしかなかった、、、、その時、、、、
「ふぅ、、、レン、、、お前も守らなきゃな、、、」
見知らぬ顔、、、だが、、声は知っている、、、知り合いって訳では無い、、、
「誰だ!?」
「名乗るほどでもないさ、、、魔族、グラシェス、、、」
「!!!!何故僕の名を!お前は!」
極浅い記憶の中にある声、、、その声は朝聞いた、、、、吟遊詩人、、、
「光よ、、、我が手に宿り、、、剣をもたらせたまえ!!」
そいつはひかりだし、、、手に奇怪な形の剣が握られていた。
そして、そいつは地を蹴ったひと薙ぎでワーウルフ達は数匹死体が転がった、、、
俺の上にワーウルフがいなくなり俺は立ちレンの近くへ行った。服が破れ、、、いたるところに噛み付かれた跡があるレンに、、、、
「レン!しっかり!」
「クレス、、、、」
「・・・・・・魔狼・・・様?」
魔族がいきなりそんなことをつぶやいた、、、、俺に向かって、、、、
魔族、、、いやグラシェスは震える、、、、今頃何をと思った、、、命乞いでもするのかと思った。
だが、そんな予想はしっかり外れた。グラシェスは笑った、、、、
「クレス、、、レンをこのままにしておくと大変だよ♪」
楽しそうに、、、、俺だって知っている、、、レンがこのままだと、、、、
ワーウルフに多くかまれた者、、、、理性は当然失う、、、そして精神崩壊、、、死・・・・・
「ふふふふふ、、、ははははははは!!!ぐはぁ!」
白犬族の剣士が光りある剣で魔族を二つに断ち切った。そして、虚空へと消えた、、、
俺はレンに近づいた。目には生気が失せ、、、体温も少し、、、低い、、、
すでに俺の隣には剣士がいる、、、レンを見て、、、俺に言った。
「ヒールを、、、1日中かけないと死んでしまうぞ、、、困ったな、、、、」
「・・・・・・・・・・・・・・」
俺はレンを抱え、、、洞窟の出口に向かった。走りながら呪文を詠唱しながらそして解き放つ
レンは薄く光り輝く、、、ヒールだ。俺は洞窟を出て山を降りる、、、、魔法をかけながら走るのは一苦労だ。
レンは目を閉じて生きている状態なのか、、、死んでいる状況なのか分からない、、、、
俺は死に物狂いに走った。ワーウルフにつけられた傷、、、痛むがレンが痛むこと考えるととことん平気だ。
町の門が見える、、、町に入り町の人たちがレンを抱えた俺を見る
他の人にとってはいきなり狼が傷ついた白い犬を抱えて町に入ってきたじょうたいだ。
「エル!!!」
俺は扉を開けた。そこには酔っているエルがいる、、、リゼルは外出中らしい
「レンが怪我をしている!お願いだ!あの回復魔法を唱えてくれ!!」
俺を見て今の状況を察したかエルはかけより俺はレンを下ろす、、、そして、二人がかりである呪文を唱える
『リザレクション!!』
ヒールだったら1日中、、、、でもリザレクションはそれより高位の魔法、、、
それでもワーウルフによる傷はすぐに治らなかった。
無数にあるワーウルフの牙の跡、、、、だんだん塞がっていくが、、、魔法の消耗が激しくて俺はもう倒れそうだった。
「生きてくれ、、、レン、、、」
「・・・・・・」
俺は自分でもわからなかった、、、、あまり出したほうじゃないから、、、それは出た。
『涙』、、、そんなに出るもんじゃない・・・意識が薄れてきた・・・そんな状態だが俺は持ちこたえた。
「う、、、、」
レンの意識が戻った。俺は一心不乱に魔法をレンに集中させた。
エルもずっと魔法をかけ続けている・・・・俺の意識は薄れていく・・・・・
俺は・・・意識を失ったのは・・・レンが目を開けた時だった・・・・・・
夜の町・・・・町長の館に1人立っていた。白い犬の顔をして・・・小さいシェルター・ガードをつけ・・・
剣を肩に背負って・・・・白い尻尾を風になびかせながら・・・・そいつは屋根の上にいた。
「・・・・・・・良かったな・・・・・・レン・・・・・・・・」
そいつはつぶやいた。何故レンの事を知っているのか?それは知らない・・・・・
「・・・・・魔狼か・・・・・封印がとかれる日ももうわずか・・・・・・」
そいつは悲しくつぶやいた。そして夜の空へと消えていった・・・・・・・・・・・・