第11章 恐怖!兄の登場!
それはある数日前に起こったことだ。
そう、数日前に邪竜の攻撃だと思い(俺は思ってないが)岩で攻撃したこと
あれは、ある恐怖の大王が近づいていたのだ。
すかさず岩を投げて撃沈させたのだが、まさかすぐに追いかけてくるとは・・・

「クレス?」
「んぁ?どうした、レン?」
レンが俺のマントを引っ張って言う。
「ううん、ぼーっとしてたからどうしたんだろうって」
「あ、あぁ、なんでもないよ」
「本当になんでもないんでしょうかね」
グレンがクスクス笑いながらそう言ってきた。
何がおかしいのだろう?
「ほんとーに!なんでもないってば」
むぅ、まさかと思うけどここ数日で近づいてきたって訳じゃないだろうなぁ・・・
もしくは、先回りか・・・よく先回りなんてできたな・・・
俺は後をつけている気配をずっと察知しっぱなしである。
あきらかにいやないざこざに巻き込まれそうな感じだ。
! 俺は何かを感じて本能のままに横に跳んだ。
俺がいた場所に小さな火球が飛んでいった。
「だれ!」
「お、やっぱり避けたか、まぁ避けなかったらあのまま黒焦げになってたしな」
近くの木、気配を感じると思うところからその声は聞こえる。
あきらかにその声、その質にはいろいろ面影がある。
――パタッ
そいつが降りてきた。賢者の格好をして狼の顔を持ち黒い髪の毛の奥に真紅の瞳が怖さを覚える。
「久しぶりだな、クレス」
「に、に、にぃ!!?」
「2♪」
――くらぁっとめまいがして俺は倒れた。
まぁ、変なギャグにめまいしたって言うのもあるけど
俺の攻撃してきた、そして、声の主は俺の兄、ヒース=ファンレッド本人だった。
ヤヴァイ、この状況下で・・・気絶すると・・・

「へぇ、クレスのお兄さんなんだ〜」
レンが丸太に腰掛けながらそう言った。
ヒースは軽く頷いて倒れてる俺を小突いた。
「このダメな弟の様子を見にきただけだけどな」
ちなみに俺はまだ気を失っている。相当ショックだったのは自分だからわかる。
俺の兄、ヒース=ファンレッドは外見は俺と同じ狼、髪の色が黒く瞳が紅い、けっこう見た目は怖いがやっぱし中身も怖い。
聖都市で賢者をやっている、賢者と言うのはただ単に肩書きだけ、ある程度の試験と実践テストを受けて優秀なものを賢者と言う肩書きがもらえる。
俺の父、姉、兄が賢者をやっている、兄が賢者をやるって言った時には笑った。
だけど、合格したってきいた時には笑えなかった、あの兄が賢者!この世の終わり!って言う心境だった。
実際、知力と実力があれば簡単に賢者と言う肩書きは取れるのだ。
それを知らなかったから、あの時は兄が取れるわけないって思っていたが・・・
レンとグロール、そしてグレンとディコルが俺と兄、交互に見て
『やっぱり似てるなぁ・・・』
そこ!ハモるんじゃない!
こんな兄と一緒にされるほうが迷惑だ!!
だけど、気絶していてそれも言いたくてもいえない状況である。
しかも兄の目の前、何をされるか目に見ている。
「とりあえず、賢者の石を回収させてもらうぞ」
『え!?』
これもグレン以外全員がハモった、兄が姿を現すには何かとわけがあるけど、そういう理由だったのか・・・
「賢者の石自体、聖都市の賢者を総動員させて探していたもの、どこの馬の骨か分からない奴に先に手にされては困るからね、聖都市で厳重に安置しておく」
そう言って、俺の荷物袋から青い石を取り出す。
「クレスに伝えておけ、『光と闇が合わさる時、それがお前の旅の始まり』だとね」
そこにいる全員が首を傾げた、あたり前だろう、もうすでに旅は始まっているのにこいつは何を言いたいんだろう?
だけど、兄の言うことには何かと力がある、よく分からないことが起きなければ良いけど、
あ、そうそう、俺は気を失ってるから別にそんなことは思ってないので要注意(何が)
兄は一礼をしてその場を立ち去った。賢者の石に俺が今まで集めたマジックアイテムの数々を持って