第1章 ある犬と共に
プロローグ

5000年前に神族と魔族の戦いがあった。
神族を仕切っている神の名は獣神イリィーズァ、、魔族を仕切っている魔王の名は邪竜王ジャルダ・・・
二つの力は強く、、そして、長い戦いを生んだ。10年、、、100年、、、1000年、、、もう、終わりはないのかと思われたが、獣神が魔王に一気に叩いたのだ。それが戦いの終結だった。
獣神と魔王は共に滅んだ。しかし、戦いが終わったと同時に世界は大きく変化した。
6つある大陸が完全に分断されてしまったのだ。魔王の封印によって・・・
そして、世界に魔物が現れたのは、、、その時からである・・・・

そして、この話はちょうど5000年経った。ある獣人の物語である・・・


深い深い森の中、一人の旅人が体を休めていた。
普通の旅人、と言うより魔導師の格好をしていた。黒いマントに、赤い首飾りに赤いマント止め
それにズボンのほうには赤いどこかの国のマークのような物をつけている、、それだけでは普通の魔導師の格好だ。しかし、その旅人は体全体が毛で覆われており、尻尾があり、顔が犬のような顔をしていた。
そう、この世界にはもう一般的な種族、獣人族・・・、、狼か犬の類に入る種族だ。
毛皮の色からしてたぶん、狼、、、、そして、この旅人がこの物語の主人公・・・
がさり、、、、、、
茂みから音がした。その音を聞き取ったのか狼の旅人の耳がピクリと動く
そして、近くに置いてあるロングソードを持ち立ち上がった
がさがさがさ、、、、
移動したようだ・・・しかし、その音を聞きながら旅人は剣を抜いただけだ。
がさがさがさがさ、、、、
そして、茂みから音が消えた。旅人が音が消えた方を向く、、、、次の瞬間
魔物が旅人とは違う方の茂みから飛び出してきた。だが、旅人は振り向きもせず、、剣を持ち直して、振りかぶって・・・
「人が寝てる時に襲ってくるなーーーーー!!!」
魔物の断末魔が深い森の中で響いた・・・・



「ふむ、、、どうしようか・・・?」
俺は困っていた。たぶん、、、地図を広げて方位磁針で確かめながら
今だに深い森、昨日は魔物が襲ってきたから眠る事が出来なかった・・・
あ、、そうだそうだ。俺の名前は多分知っている人は知っている、クレス=ファンレッド、魔導師と剣士を両立している・・・まぁ、俗に言う魔法剣士みたいなものなんだけど・・・
ちなみに俺は狼の獣人だ。いいか?狼だからな?
っと、ゆーことで、俺が今、困っている理由は、左に行くと毒の沼地、右に行くと魔物の巣・・・
どっちを通っても嫌な道、、、街道はないのか!?と言ったらそれでお終い・・・
はっきり言って、無いです。作りかけなんだけどね・・・
「ま、汚れるよりはましか♪」
俺は少し迷ったが魔物の巣への道を進んだ。それに見つからなければいいだけだ。
少し薄気味悪い道だった。まさに魔物が好む環境・・・
あ、勘違いするかもしれないけど俺は魔物じゃないからな、、、
俺は歩みを進める・・・そして、走った。
後ろから魔物の声が聞こえた。俺は足を止めずに走り去る、そして、呪文を呟く・・・
「ウィング!」
俺の言葉は力になり、そして、体に浮遊した。
むしろ最初からこうしておけば良かったんだな・・・っとちょっと反省しつつ、俺は町へと向かった。
上から見た森は簡単に抜ける事が出来た。最初からこうして森を抜ければよかったじゃんと言うツッコミは無しね?
「お?見えてきた見えてきた♪」
村の入り口に見事着地、、、っと、いきなり飛んでくる旅人も初めて見たんだろう
門番がこちらを吃驚した顔で見ている・・・
まぁ、そんな旅人は探してもそんなにいないだろう・・・いるにはいるけど・・・
俺は村の中に入る、まぁ、普通の村だな、、、宿屋があって酒場があって・・・
人々が交流しているのも良く見かける・・・
「さて、この町でいい情報が見つかればいいけどね♪」
俺は宿屋に向かって歩いた。



「ふむ、、、、」
俺は酒場or食堂で軽い食事をしていた・・・が、、視界の片隅に見えるものがちょっとした邪魔だったり、
しかし、ここで邪魔とか言って蹴り飛ばしたらあっちに分がある・・・、とりあえず、我慢してせかせかと食事している
片隅に見えるものは、人間、獣人の男性、、、などなど、、、まぁ女性はいない
その男性達が何かを囲っている、、、まぁ、首を出すと厄介事に巻き込まれそうだから我慢我慢・・・
まぁ、食事しながら何をしているのかを聞いてるんだけど、、、
「だから、、、教えて、、、」
微妙に子供の声が聞こえる、、、たぶん、囲まれているのはその子供だろう、、
と思いつつ俺は口にステーキを入れる、、、
そして、今度は子供の声がはっきり聞こえた。
「邪竜の居場所教えて!」
俺は口に含まれていたステーキを噴き出してしまった。
邪、、、、、邪竜の居場所だ〜・・・?
俺は席を立って男たちの近くに行く、、、男達はこちらが近づくのに気がついたのか、、
俺に道を開ける、、、その空けられた道の先にいたのは、白い毛皮の小さな犬、、、
白犬族という種族だろう、青い瞳でこちらを見てくる・・・
「邪竜の事なら俺が知ってるから、、、どうだ?話でもしてやろうか?」
白犬族の子供にまっすぐ俺は見て言った。白犬族の子ははっとしたように頷く
そして、男達はその状況を見て散らばっていく・・・

「ふむ、、、白犬族の子が何故こんなところに?あれは5年前に滅びたはずだけど・・・」
俺と白犬族の子がさっき座っていたテーブルで話をしようとしたが、、
とりあえず、疑問に思うことを聞いた。
白犬族は、5年前に謎の滅びを迎えた。何故滅びたか、それは分からないが・・・
白犬族の村は、氷と雪で覆われていた。とゆーより、吹雪が吹いたのかと思う光景だった。
それを聞くと白犬族の子がうつむき、口を開いた・・・
「邪竜に滅ぼされたんです。僕の村は、、、邪竜によって滅ぼされた・・・僕がその生き残りです・・・」
「ふむ、、、なら、滅ぼされた状況とか分かる?」
「・・・・ごめんなさい、、、記憶が、、、」
あ・・・俺は口を閉じた。
軽い記憶喪失・・・?かなこれは・・・
記憶がちらほらして別にたいした症状じゃないと思うけど・・・・、ふむ、、、
俺は再度口を開いた。
「なら、君の名前は?」
「レン、、、レン=フデルです・・・」
「レンか・・・あ、俺はクレス=ファンレッド、見た目通り魔導師なんかやってる・・・」
レンが頷く、よし・・・・
「それでレン?何故、邪竜の居場所を探ろうとしているんだ?まさか、敵討ちとか?」
レンがまた無言で頷く、、、
「ふぅ、、、やめておいた方がいい、はっきり言って、君じゃあ勝ち目は無い」
レンが顔を上げてこちらを睨む
「何でそんなこと言うんですか!!勝てるかもしれないのに!!」
はうぅ、、、
俺は小さく溜息をした。
「なら、君は邪竜を倒す術を持ってるのか?」
「それは・・・・」
「君が記憶の無くしているのは別として、今助かっているってことは親に助けてもらったんじゃないのか?
親が命からがら守った命を簡単に捨てて邪竜を倒すのか?いや、、、倒せるのか?必ず、倒せるのか?」
レンが言葉を失いうつむく、、、
まぁ、当たり前だよな、、多分言いたくても言えないんだろう
その両親のために邪竜を絶たせると、、、と言っても本当にそう帰ってくるのか分からないが・・・・
「と、、俺はある人にこれと同じ事言われたよ、、」
レンが顔を上げて涙目でこちらを見てくる、、、はっとしたような顔だ。
まぁ、涙目だから良く分からないが・・・
「俺も邪竜を探して旅をしている、、、もう4年くらいになる、、探し始めて・・・
君とは1年も後に探し始めたが・・・な・・・」
「貴方も・・・?でも何故・・・?」
「俺は追放された身なんだ。俺の服装を見ればちょっとは分かると思うが、、、
ズボンに着いているマークは聖都市のものだ。そして、、、追放解除方法が、邪竜を倒すこと・・・
普通こんな無理な難題、誰もやるはずがない・・・ほかに追放された奴は多分、他で暮してると思うが・・・
俺の故郷はあの聖都市なんだ。そのために俺は邪竜を倒す・・・」
っと俺は言い終わった。まぁ、荷の重さが違うとはいえ同じ目的のものだ・・・
とりあえず、あっちが明かしてくれたんだからこっちも言わないとな・・・
と思いつつ俺はフライドポテトに手を伸ばして口に入れる。
「・・・・お願いします・・・僕を連れてってください!」
「駄目、俺も倒せるかどうかわからないし、レンをまきぞいにするかもしれないんだ。
そんな重要な選択肢を簡単に決めれないよ」
「でも貴方は倒す術を持ってるんでしょ?」
う、、するどい・・・
「持ってないかもしれないよ?それでもついて行く?」
レンがこくりとうなずく・・・、ふぅ、、
俺は溜息をちょっと出して笑顔で言った。
「よし、、、いきなりだがこれからの旅の仲間だ。よろしくな・・・」
「はい!よろしくお願いします!クレスさん!」
「クレスで良いよ、、それに敬語は使わなくて良い・・・」
なおも笑顔でレンに言う、レンはうれしそうにうなずいた。
「さてと♪おっちゃん!定食ABC全部持ってきて♪」
「え・・・・」
レンは眼を点にして俺を見た。
まぁ、、軽い食事だから、と俺は口に出さず心の中で呟いた。