なつのはむと(絵)、松井亜弥(文)『雲の森のマーカス』(創藝社、2017)について

 こんばんは、枕のちせです。最近読んだ絵本はガース・ウィリアムズ『しろいうさぎとくろいうさぎ』(福音館書店、1965)です。業界ゼンゼン詳しくないです。

 それでまぁマーカスについて語らないと。確認追いついてないんですが、絵本のPVをオリジナルアニメで作成するのはおそらく前例ありますが、アニメ側にこれだけ寄せてきたのは初めてではないでしょうかね。

作者の松井亜弥はアニポケの脚本家
サンムーンではシリーズ構成。『スーパーフェニックス~光の世界へ~』作詞。完全にアニメ畑のかたなんですね。
物語の舞台が「クラウドフォレスト」
直訳。これは読者である子供たちが、成長して英語を学んだとき、意味合いに気付くというギミックですね。
キャラクター相関がアニメ的なド定番(設定編)
  • 主人公♂
  • 主人公を慕う年下♂
  • ヒロイン♀、おしとやか
  • ライバル♀、自称ライバル、あらくれもの
  • ライバル♀の取り巻き、弟1:自信過剰、弟2:臆病
……目に浮かぶかのようなヒロイン♀とライバル♀の敵対、主人公の取り合い。様式美ともいえる主人公サイドとライバルサイドのコミュニティ。すげぇピンときませんかコレ。
キャラクター相関がアニメ的なド定番(PV編)
  • 主人公と年下の出会いは“仕事の依頼”。主人公がドアを開けたときは視界に入らず、視線を下に落とすことで低身長キャラを見つけるというベタネタが仕込まれていますね。
  • 主人公のはゴーグルだが、年下のはレンズがなく、単なる輪っかをつなげた装身具。幼さと、ゴーグルをつけることができるのは一定年齢・能力から、であることを示す。これ思いついたキャラデザは天才ではなかろうか。
  • 主人公とライバルは昔から知り合いで、ライバルは主人公に勝負を挑む間柄
  • 主人公とヒロインは初対面で、出会いは“激突”(コレ要するに交差点食パンの変奏なんですね)
2分間のアニメの中にこれだけ詰め込んであります。細かいですが最初の自己紹介「これがおれ」ってのも珍しいのでは。最近の若いコは自己紹介で「これ」って言うの?
仕事ネタとして物流の起用は巧い
店舗に足を運ばなくともモノが手に入る今日、子供たちにとって身近な商売といえば運送会社であり、そういう意味での「運び屋」起用は巧いしあざとい。また、タイトルロゴ「マーカス」の「ー」は手紙を象った意匠だが、現実世界での手紙はほとんどが電子に切り替わってしまった感がある。たぶんクラウドフォレストのネタとしても、手紙を送るより小包を送るネタのほうが、子供たちには響くのではなかろうか。

 というワケで「萌え」とか「ケモショタハァハァ」とか言ってる場合ではなくて、コレが商業的に成功すれば後続がどんどん挑戦してきて、アニメっぽい絵本が増えるので大友もハッピー、なので、盛り上がりにはいいのではないかと。タブンCC2あたりが歯噛みしてる。
 CC2、「『リトルテイルブロンクス』20周年記念作品」で「戦争×復讐×ケモノ」で「戦場のフーガ」を打ち出してるけど、どうだろうな戦争モノ。カタルシスでは勝るだろうけど、ライトユーザーが天秤にかけて「マーカスでいいよマーカスで」とかにならないかな。