同人PC『家有大貓』(家有大貓制作委員會、2017)情報まとめ

 下に潜るほどネタバレ度が上がるように調整しましたが、気合いが足らず全体的にネタバレしています。あと同人じゃなくて企業でしたらすみません。

 v1.04(steam告知 2018/04/20)日本語対応版。
 自分用まとめ。

導入から先輩エンドまでに手が止まりそうな4点

  • 獣八禁じゃなかったんだっけか
  • センパイの抱き枕の意匠が、公式サイトキャラクターページの立ち絵の意匠と違うんだけど
  • 足パネ9枚のダンスゲームって何だ
  • 恋愛シミュじゃないよノベゲだよ

獣八禁じゃなかったんだっけか

あれーいつまでたってもキスまでしかしないよコレ

steamは実質18禁不可(2018年04月現在)! マジか! 1週間悩んでやっと気が付いた。

PC版ダウンロードしました。パッチ当てたあと、タイトルロゴ右下クリックしLimited Editionに要切替。

ちなみにsteamとPC版のパッチは互換可能のようです。

センパイの抱き枕の意匠が、公式サイトキャラクターページの立ち絵の意匠と違うんだけど

 もう少し有り体に言うと、「誰だお前」ですね。
 なお、公式サイトトップのイラストの下部にいるセンパイの服装は、抱き枕と同じなんだけど、ほぼ首上で見切れてるので気付きにくいんですね。

 ざっくり言うと、キャラクター紹介文の「サークルの先輩に憑いている」が解釈のカギであり、「サークルの先輩」が顔書齊、「憑いている」のが石虎。んで、抱き枕のデザインは石虎準拠、ゲーム終盤でトゥルーエンドに突き進む際の先輩の立ち絵がアレなんですね。
 ちなみに作中、憑いてない顔書齊のイラも確認できますが、まぁ獣人じゃないし、あと別の要素のためなんとなく気が引けるので、あの左肘に巻いている何かをハスハスするのも気が引けるという始末。けっきょく石虎ver.を抱き枕にして販売するのは正しい判断だと思います。在庫切れ(2018年04月現在)だけどな。

足パネ9枚のダンスゲームって何だ

 作中にてセンパイがダンエボ(『DANZ BASE』かも)やるシーンがあって、「ここは『ようかい体操第一』をば……所収してない」とか考えてた最中、

ダンスゲーム機といったら、床に設置された9枚のパネルを踏んで反応させるタイプ 同人PC『家有大貓』(家有大貓制作委員會、2017)

 え。

 台湾だと韓国産の『Pump It Up』がメジャーなんじゃないかと思ってたけど10パネだな……DDRは8パネだし……9……『ステップチャンプ』だったら俺得だけどステチャンがダンスゲームだという認識が家有大貓制作委員會にあったとしたらそれはそれで潔いな……

せっかくなので簡体中国語も。読解できませんがたぶんココ。

九宮格板子 同人PC『家有大貓』(家有大貓制作委員會、2017)

 うーん。仮説なんだけども、コレDDRの4枚パネル、またはPIUの5枚パネルの足場が3×3に区分けされているのを見て、9パネと勘違いしたんではなかろうか。

ちなみに英語では枚数に触れてない。

those arcade dance pads 同人PC『家有大貓』(家有大貓制作委員會、2017)

 こっちの表現では、DDRでもSoloでもPIUでもステッピングでもポプステでも、好きな足パネゲームを想像してくださいと読者に委ねている。

 なお家庭用『妖怪ウォッチダンス JUST DANCE スペシャルバージョン』(Wii、レベルファイブ、2015)でいっしょに遊べば、センパイがラッキィ池田の振付で小踊るのが見れるはず。……ウーニャニャ踊ってほしい。『DANZ BASE』ならば『SPLASH FREE』とかイケる。
 ちなみに本作のサウンドスタッフはキレッキレなので、踊るのならばOP『舉頭三尺天氣晴』のEDMミックスなど作ってくださると私はうれしいです。

恋愛シミュじゃないよノベゲだよ

センパイと
デートに行くと
×される
(枕のちせ、病床にて)

 ……これで「侵」とかだったら普通のエロゲだったんだけど、るまたのかんじしかはいらないよ。何のホラゲだよ。

 恋愛シミュレーションゲームの枠を前提にして攻略を進めると詰むので、謎解きノベルゲームだと見なして臨んだほうがいいです。一番のキモは、トゥルーエンド=ハーレムエンド=先輩グッドエンド、という点。

 当初、各キャラに個別グッドエンドがあり、サービスとしてハーレムエンドがある、と思い込んでプレイしてました。結果、先輩グッドエンドがどうやっても埋まらない。
 結論からすると、センパイとだけイチャイチャするエンドは存在せず、林虎とクラウとセンパイとのハーレムエンドがセンパイのグッドエンドを兼ねていて、さらにそのルートは真相トゥルーエンドなんですね。んで、センパイとふたりっきりになるのは禁じ手という恐ろしい攻略ルートが浮かび上がってきたワケです。あー……センパイの誘い断るのメンタル的に厳しい……あとクラウにカンニングの手伝いさせるのも倫理的にしんどい……


演出に関して

 出来がよいので、今後の獣BLエロゲのデファクトスタンダードがnekojishiだと認識しちゃうと、後続は気後れしちゃうし、有償にするかどうかの線引きも厳しくなるかも。まぁnekojishiはフリゲとしては参加スタッフ数がダンチだと思うので、あんまり気にしないで作るのが精神衛生上よかろうね。

立ち絵を動かすのは局所的でいい
作り付けの動作テンプレが充実し、立ち絵移動のコーディングにそれほど難がない時代になりましたが、毎回の登場のたびに動かすのは労力が要ります。ここはやはり、目立たせたいシーンに限り、けっこうなコストを投入して立ち絵の動き演出を追加すべきでしょう。本作でいうと温泉街散策、センパイの妖怪時の赤青靄々とか。
エロCGを腰の往復方向に動かしていい
マジか! そんなに違和感なかった! 私としては初めて見た演出で、ギャグに見えることを危惧してやろうとも思わなかった。この点に限らず、nekojishiはエロCGの表示時にカメラをがんがん動かしており、最初から最後までずっと止め絵、っていう古典的な方法は用いていない。激カメラの場合、文面だけでなくイラストの動き具合でも性行為のフェーズを定義していることになるので、プレイヤーの絶頂のタイミングに合わせて妄想補遺がしにくいという難点があると想定される(要検証)。
本編とDLC「晴れの日」のスクリプター・日翻訳家は別担当者だと思われる
立ち絵指定、とくに顕著なのは動かし方なんですが、だいぶ違います。本編であれば動かしてもいい状況で動かさなかったり、逆だったり。不統一なのか新傾向なのか不明ですが、おそらく担当者が替わったのでは。
ついでに日本語翻訳担当者も別な気がする、言い回しが異なっているので。これについては翻訳元言語のほうの担当者違いかもしれませんが。

シナリオに関して

本編:

 ざっくり言うと、全年齢版(Standard Edition)のキスシーンが挿入射精シーンに差し替わったものが獣八禁版(Limited Edition)、です。でまぁ本編のキスって100%愛情っていうニュアンスじゃなくて、信頼関係を強めるため、使役関係を築くため、あるいはお仕置き、という側面もあり、ホモソーシャルあるいは宗教儀礼的な動機付けを多分に含みます。

 クラウが主人公の命を狙う理由について、センパイの名前を出すところは素直にびっくり。繰り返すけれど、頭の中に恋愛シミュレーションゲームの枝分かれがあったので、各人のエピソードが絡まったトゥルーエンドがある、という可能性の考慮が抜け落ちていた。

 クラウのエロシーン、「クラウが主人公に攻め受けを訊く」「クラウは盗み読みした同人誌の知識をもとに行為を行う」っていう説明があります。性行為についての知見のメインが同人誌の受け売り、というインドア派なゲイの想像を体現したシーン。「タチネコと攻め受けは別物ではないか」「キーの位置を確認せよ」とかいう異論もありますが。
 なお、お相手3匹の性行為に関するスタンスは見事にバラけていて、「性行為に羞恥は感じず儀式として受け入れている、でも主人公のことは愛してるので特別、タチ」「性行為の知識は同人誌のみ、(シナリオ上タチだがおそらく)リバ」「性については奔放なネコ」と三者三様を描きます。

 妖怪化したセンパイに「遼ちゃん?」と名前を呼ばれたときは「これは勝ちかな」と思ったんだけど、そのあと怒涛のアレですよ。「おいらが遼ちゃんを殺そうとした理由を訊いて、その理由に正当性を感じて、安堵したいんだね。だったらみんなで考えようよその理由を」と煽る宣う。まぁ、この真相シーンのセンパイの心情は不安定かつアンビバレンス、遼への恋慕と殺意(魂を喰いたい)が入り交じっていて、自らが遼に手をかけるくらいなら、クラウあたりに殺されてしまったほうが楽だと暗に言っているのだけれども、悪には理由などないと悪人に言われてしまうと返す言葉がないのである。
 対し主人公の案は「顔書齊(故人)を始め、殺してしまった人々に対し償い続けて生き続けろ」である。こうして文章化すると、よくある啓示ではある。さらに「主人公の考える通りに生きないとクラウに殺される」というオマケ付きである。厳しい処罰ではあるが、改心とかメンタルのことゼンゼン無視、とくに「妖怪だから仕方ない」「妖怪だからわかんない」に関しては完全に黙殺(もっとも黙殺以外に対話の方法はない。先に選択肢を絞ってきたのはセンパイなのだ)、とにかく目には目を歯には歯を、という仕打ちを加える主人公サイド。
 キモになるのは林虎にヤられた後のセンパイが、「なんか償わなきゃいけない気がしてきた」という旨の発言をしてるんですね。神の気を送り込まれて神性が増し妖怪度が減った結果、倫理観が変動したんです。つまりオリジナルのセンパイは悪でしかなくて、自ずから変化する方法なんてなくて、虎神様に侵されでもしなけりゃ改心しないよ、と言い切ってるんですね。
 要するにこのセンパイの挿話って、悪人は改心しないって言ってるんです、コレ台湾の倫理観なのかな。日本はどっちかっていうと懺悔も改心も有効だと思ってる節があります。日本では神も仏も妖も人も、善悪もマージナルで、互換も兼任も可。なので「心を入れ替えて~」とかいうフレーズが勧善懲悪物の最後には付き物なんですけども。台湾では妖怪が廟を得て崇められることで神化することもあると作中説明がありましたが、こちらも環境としての「廟」が先立つワケで、心持ちだけではヒトは変わらないということなのでしょうかね。けっきょくセンパイは妖怪としての生をワルのまま終えて、半神半妖として人道的に正しい道を進むことになりました。

DLC「晴れの日」:獣系同人イベントに参加し、自らの登場する同人誌を買い、自らのコスプレをするという、台湾での『家有大貓』のメガヒット(作中曰く)をそのままパロディ化してしまった。ちなみに林虎とクラウが自らのコスをするシーンは非常に分かりにくいのだが、主人公以外の人には、「普通の人間が、獣人である林虎・クラウの服装をするコスを楽しんでいる」という一幕に見えている、のですな。

 センパイが林虎・クラウをもてなした件について、遼は「ムリして私たちを楽しませなくていいよ! 罪滅ぼししなくていいよ!」と腹を擽る。

 オーラスで泣いているセンパイの都合についてはシナリオ上さっぱり読み取れず消化不良。ちょっと翻訳もマズいのかもしれない。と思って英語版も読んでみたけどえいごはむずかしいね。

  • 顔家の妖怪たちは、石虎を目の敵にしている。「よそものだから」というのがひとつ、「顔書齊(故人)の仇だから」というのがひとつ。
  • 林虎・クラウを受肉させる交換条件として、センパイは顔家の妖怪のボス=老大爺から「遼に名前をつけてもらえ」と言われていた
  • 遼がセンパイから問われて付けた名前は「顔書齊」
  • 老大爺は、もしセンパイの名が「顔書齊」ではなかったらセンパイを殺すつもりだった
  • 先輩ボロ泣きして老大爺に光を貰ってた

 光を貰うというのは、老大爺に許された、ということのメタファーだと思われます。石虎にとっては顔書齊に成り代わることは必ずしも第一希望の生き方ではなくて、周りの妖怪から非難されながら顔家の人間の代替を務めるのはしんどいけども、そうすることで遼といっしょにいられるし、カオスだったかつての自分と決別することになるので、メリデメ的には悪くなく、今回顔家の妖怪のボスに許されたので、ひとまずよかったよかった、という意味の感涙か? ここまで書きまとめておいて翻すけど、センパイそんなので泣くか? ん? やっぱり不明。

テキスト表記に関して

  • v.1.04→v.1.05のタイミングで、日本語版でも繁体中文と同じく真ん中位置にあった句読点が、左下に移動。個人的には、クエスチョンマークの後ろに文が続く場合に1マス空けてないのも気になる。
  • 起動直後の年齢確認注意が中国語・英語のみで、設定を日本語にしていても無関係。これはUI上仕方ない問題で、年齢確認注意より前に言語選択を行うタイミングが存在しないため(言語選択オプションは共通セーブされ再起動後に反映されるが、初回起動については完全に考慮外、そして初回こそがコーションを読んでほしい)。画面に何ヶ国語も書き込むのはスペース上難があるので仕方ないが、コーションとしては望ましくない。

リリース日

 リリース日については、未確認事項が多いのだが、twitterを追う限りだと、

  • 2016/07-09 flyingVにてクラウドファンディング募集期間
  • 2017/11 フルバージョン(v.1.01)が配信開始、steamは遅れます

とあり、2017年と考えていいと思われる。