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こやま基夫「なおざりダンジョン」全8巻(CR COMICS、ジャイブ、2006-2010)感想

 私はノーラコミックス版のおざなり、なりゆきを読了しています。復刊おざなりは未読。

 いまさら気が付いたんですが、1巻の書名に数字の「1」が含まれていません。「おざなり」、「なりゆき」、復刊おざなり、「TACTICS」は入ってますね。

 「月刊コミックNORA」(学習研究社、1986-1998)の

三大看板ウェブサイト「Wikipedia」の「月刊コミックNORA」2013年3月20日 (水) 04:47 UTC 版。当版更新時に「要出典」がつけられた

といえば、

ということも知らず、この雑誌を手に取ったことどころか見たこともない私は、「ダンジョン」という単語をネット検索した際に、獣人が登場する冒険活劇モノとして、アニメ版には作者が声優として登場している作品として知り、ぞわぞわと追っかけていって今に至る次第です。
 シリーズ最新作はコミック「おざなりダンジョンTACTICS」(2010-)にて。発表順に並べると、おざなり→なりゆき→なおざり→おざなりTACTICS。

 「なおざり」は時間軸上「おざなり」の前の話で、モカ・ブルマン・キリマンの出会いから始まり、モカの出身について言及されるところで終わります。キリマンがダンブルウィードであるという逸話を含み、ブルマンは……愛しのブルマンにはとくに追加エピとかないです。言動はおざなり時代よりも達観している気がする。

 「なりゆき」3巻が1998年なんですが、なりゆき連載終了~なおざり連載開始のあいだに起こったデジタル世界のあれやこれやを呑みこみ、パロり、かつこやまテイストにする、という作者の離れ業が駆使されております。3巻はモンスターパートナーモノ・モンスター育成モノを精緻に取り込んでモカとエボのつながりを描き、5巻では女学園を舞台に、個性豊かな女の子たちが登場する物語、つまりハーレム漫画や恋愛シミュレーションの下敷きに3人を送り込む。とくに5巻カラーページの女の子集合イラストには、「こやま基夫だってこういうの描けるんだぞ」というオドロオドロしい覇気すら感じられる。

 6-8巻はネイティブ・ゴンドワナに言及する話で、バーバリアン12という12人の新キャラを投入して引っ掻き回します。ワムハムは筋肉バカ、トーシュカは頭脳派といったわかりやすいキャラ付けに収まらず、戦略担当組でいえば、行動原理にサルバドルへの執着を見せるトーシュカ、サルバドル含めて真実を探求したいリバンズ、黒幕っぽかったのに噛ませになってしまうポー、ときっちり描き分けてるのが恐ろしいというか、プロといいますか。
 ただ、仕方ないんですが、ブルマンとキリマンはモカとサルバドルの関係について何も知らないことになっているので(2巻冒頭でメタネタにもしてますね)、このあたりキリマン・ブルマンの登場頻度が低いんですよね。さみしい。

 なお7巻のモカ子供時代の話はみんなちっちゃくてワムハムもちっちゃくて萌える。あと

トーシュカのやつがこれ着けなきゃやらせねーって言うからだワムハム台詞、こやま基夫『なおざりダンジョン 8』(CR COMICS、ジャイブ、2010)P.62

はなんかゴム製品のハナシみたいで、ねぇ。腹筋萌え(文脈無視)。

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