【暖かいココア】

その日は土砂降りの雨でした。学校帰りの男の子とネコの女の子は互いに傘を持っておらず、雨の中を走っていました。

「なんでよ〜! 天気予報じゃ晴れだって言ってたのに〜!」

「過ぎた事言ってる場合じゃないだろ! ほら、もうすぐ俺んちだ!」

男の子の家は学校から近かったのです。だからネコの女の子は雨宿りで男の子の家に行くことにしたのです。
そして二人は流れ込むようにして男の子の家に入りました。

「ふぃ〜ただいま〜」

「お邪魔しま〜す」

そしてネコの女の子は男の子からタオルを借りて頭や服についた水を払っていましたが・・・

「うわ〜頭もそうだけど全身ぐっしょり・・・なんだか寒いよ〜」

「へっへ〜ん、俺はそうでもないぜ。大変だね〜ネコちゃんは」

「あ、なんかムカつく! そう言った罰でなんか暖かいものよこしなさいよ!」

「ああいいぜ、うんと熱いやつ持ってきてやる」

「え?」

ネコの女の子は無論熱いものは苦手でした。

「ちょ、ちょっと! 私熱いのや〜だ〜!」

「きっこえませ〜ん」

そう言いながら男の子は台所へと向かっていました。ネコの女の子はちょっとだけ不安になりました。
それから台所から戻ってきた男の子はカップを片手に持っていました。中身はココアでした。

「これ、熱い?」

「さあね〜」

「意地悪」

そう言ってる間にネコの女の子は寒さが増しました。なので騙されたと思ってココアを一口飲みました・・・

(あ・・・ちょうどいい温度だ・・・)

そのココアは熱くなくそして冷たくもなくネコの女の子にとっては本当にちょうどいい温度でした。
そう、男の子がネコの女の子に気を使っていたのです。

「・・・」

「どうだ? 熱いと思って覚悟したのにいざ飲んでみたらそうでもなかった温度だったろ?」

「うん・・・」

常日頃は憎たらしいしマイペースだけど・・・自分のことを本当に理解している男の子・・・でもネコの女の子はお礼をこう言いました。

「暖かかったよ・・・何もかもね・・・」

その言葉に男の子の優しさが含まれてることも男の子は知っていました。

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