【フワフワでモコモコ】

あのね、この子は私のふわふわで、もこもこしている尻尾が大好きだって言ってくれたんだよ。
私は凄く嬉しかった。だって狐の私にとってその言葉は最高の褒め言葉・・・でも、ちょっぴり悲しかった。
だってそれって私の尻尾が好きなだけで、私は好きじゃないってことになると思うから・・・
嬉しいと悲しいがゴチャゴチャしちゃって私わからないよ・・・私はキミが・・・

「相変わらずフワフワモコモコな尻尾してるな!」

「うん・・・ありがと」

ほら、キミはそんなに無邪気に笑いながら言っちゃうんだもん・・・私、この気持ちをキミにぶつけられないよ・・・

「でもな・・・」

「・・・?」

なんだろ? 急に真剣な声になっちゃって・・・

「それ以上に好きなものあるんだ・・・」

「それはなに?」

「んと・・・とりあえず、その好きなものってオマエのそのフワフワモコモコの尻尾以上にフワフワモコモコなものだ」

「私の尻尾以上に?」

私の尻尾以上にフワフワモコモコなものって何だろ? ・・・ってあれ? なんでキミは私の手を握るの?

「えっと・・・オレの好きなフワフワでモコモコなものってのはな・・・こ、この手の先にいるんだ・・・」

そう言うキミはなんだか照れていた・・・それって私のこと? 私のどこがこの尻尾以上のフワフワでモコモコなんだろ? 私にはちょっとわからないな・・・

「どういう意味?」

「ちょっと・・・うん、やっぱいいや」

「・・・?」

ま、いっか・・・私はキミのこの握っている手を感じたいから今は何にも考えないようにするから・・・




フワフワでモコモコの気持ちになる事、それはとっても安心できる事でもあり、それを本当に大好きだって思う気持ちの現われだってことを狐の少女はまだまだ 知りませんでした。

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