【プレゼント〜ver.天木魅凪〜】
ポンと渡されたのは何やら箱のようなもの・・・大きさは手のひらサイズだ。
「これ・・・なに?」
受け取った彼女が目の前にいて尚且つ、そのプレゼントを渡した犬獣人は渡した嬉しさで尻尾を大きく振っている・・・よほど受け取ったコトが嬉しかったのだ
ろう。
「おまえ、今日誕生日って聞いたからさ、オレからのプレゼントだ! 有り難く受け取れ!」
嬉しさ・・・の割りには妙に威張り散らしている部分もあるがそれは目をつぶり・・・
「私の誕生日・・・半年も先なんだけど・・・」
彼女はツッコミたいもの第一位を言い放った。
「・・・ワンモア?」
「だ・か・ら・私の誕生日半年後!」
5秒後・・・
犬は当然とも言うべきか、彼女の手から渡したプレゼントを奪おうと必死になって彼女とプチ格闘を繰り広げていた。
「何よ!? アンタがあげるって言うから私が有り難く貰ってもいいじゃない!?」
「うっせバカ! 何もないのにそういうの渡したって気分悪いんだよ!」
「バカって何よ!? もともと自分の勘違いで間違えて渡したんでしょ!? このバカ犬!!!」
「バカ犬言うな! オレの1050円を返せ!!!」
「安っ!! プレゼントならプレゼントらしく、もうちょい高めな金額設定にしなさいよ!!!」
プレゼントの奪い合いは両者引き分けかと思えたが、彼女の必殺、犬撃退用アッパー(鼻先狙い)により所有権は十割がた彼女に回った。
「っ痛〜・・・大体、安値のプレゼント嬉しくないんじゃなかったのかよ・・・」
「さあね、アンタのプレゼント渡したいっていう気持ち上乗せで勘弁してあげる」
彼女が奪い返したプレゼントね箱を開けると、中にはお決まりのように指輪が入っていた。造りとしてはシンプルで男で犬獣人のチョイスで安値でもかなり無難
な方である。一般の視点から言えば・・・
彼女はその指輪を自分の左指の薬指にする・・・
「ふ〜ん・・・結構良い感じね。安値にしては上等かも」
「ケッ・・・お世辞はいらねえよ」
「そうね・・・」
値段じゃない・・・外見じゃない・・・気持ちという大切なものが詰まった指輪・・・彼女はその指輪をした手で犬の彼を優しく撫でていた・・・
「今度くれるものは・・・給料の三ヶ月分の指輪をちょうだいね・・・」
撫でる手に伝わるふわふわ・・・撫でられる手から伝わる優しさ・・・
「あ、あぁ・・・」
犬の彼は彼女の意味深な言葉の意味を理解は出来なかったが、伝わる暖かさだけを感じつつも返事をするしかなかった・・・
君がくれたプレゼントは一番最初にもらったプレゼント
いろんなヒトにもらったプレゼントよりも
大切にする時間を多く持つ・・・
その時間、私は何を思いますか・・・?
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