【描く世界】
その女の子は病気でした・・・それこそ、あまりベッドから離れられないくらいに重い病気です・・・だから女の子は外の世界をあまり知りませんでした。
窓から見える風景、それだけが自分の知っている世界の全て・・・
でも、そんな女の子に世界にはいろんなのもがあると教えた犬の男の子がいました。
その犬の男の子は頬や鼻、しまいにはその立派な尻尾でさえ絵の具をくっ付け絵を女の子の部屋で描いてました。
絵は何枚もあり、どれも風景の一部です。そして、それらの絵を繋ぎ合わせると、動いたわけでもないのに本当にその場所に来たようかのように立体的な草原の
絵が出来上がりました・・・その絵の隅には自分と、その絵を一生懸命描いた男の子が描かれています・・・
「治ったら一緒にいこうな。それで、ちゃんと風を感じて、草の海の波の音聞いて、うんと広がってる青空・・・一緒に見ような」
「うん」
そして、二人の小指は結び合わさり、指きりげんまんをしていました。
犬の男の子が描く世界には夢と願いが込められています・・・
その願いを感じてください・・・
その思いを感じてください・・・
その感じた優しさを心に宿していてください・・・
女の子が感じた強い思いのように・・・
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