【喜びの大きさ】

七夕・・・それはお空にいるおりひめ星とひこ星が出会う事を許された年に一度の日です。犬の女の子と男の子はそんな二つの星が出会う瞬間の星空を見ていま した。

「年に一度かぁ・・・」

そのお話を思い出した犬の女の子は何か深く考えているようです。その様子を男の子は不思議そうに見つめていました。

「どうしたの? そんな考え込んで?」

「うん・・・おりひめ星とひこ星って年に一度しか会えないんだよね? なんだかそういうのってツライし悲しいなぁって・・・」

「そうだよね・・・でも、その分会えた時の喜びって凄く大きいものなんじゃないのか?」

「確かにそうだけど・・・」

男の子の言うとおりです。おりひめ星とひこ星は出会える日を本当に楽しみにしているはず、その時が必ず訪れる・・・二人はその時を楽しみに毎日を過ごして いるのです。
犬の女の子もそれはわかっていました・・・でも、もしも自分が同じ立場ならどうしていたでしょう?
女の子は絶対に耐えられませんでした。本当にそばにいたいヒトが今自分とこの星空を眺めている・・・毎日会えるこの喜びはいつまでも感じていたい、それが 犬の女の子の願いです。
その時、男の子が口を開きました。

「でもな・・・」

「・・・?」

「毎日会える喜びと年に一度に会える喜びは一緒なんだと思うんだ・・・」

「喜びは一緒?」

「うん・・・会いたいヒトに会える、その時に感じる喜びってどんなときでも一緒なんだ。だからボクはまずこう思うべきなんだと思うんだ・・・」

「なに?」

「本当に会いたいと思うヒトに出会えたことに、喜びを感じることなんだ・・・って」

「あ・・・」

本当に喜びを感じること・・・それは確かに男の子が言うとおりでした。その喜びを感じるからおりひめ星もひこ星もああやって会うことが出来るんだと犬の女 の子は思いました。

「うん、そうだよね!」

そう女の子は元気いっぱいに返事をしたのでした・・・





そして、ここに一枚の短冊があります。犬の女の子の短冊でした。この短冊にはこう書かれてあります。

『彼とずっと一緒にいられますように・・・それから彼と出会えたこの喜びがいつまでも私の心にありますように』

と・・・

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