【流星群の夜】

今日は流星が降る日、ちょっと小高い丘に人間の男の子と犬の女の子が二人で座って流星群を眺めていました・・・が・・・

「ハ、ハックシュン!」

男の子はくしゃみをしてしまいました。そう、夜なのでとても冷え込んでおり、このままじゃ風邪をひいてしまいます。

「大丈夫?」

「うん、平気」

でも男の子はとても寒そうです。犬の女の子はあまり寒くはありませんでしたが、寒そうな男の子を見て犬の女の子も寒くなりそうでした。

「やっぱり家に帰ろうよ。風邪ひいちゃうといけないし・・・」

「うん・・・でも、流星一緒に見ようなって約束したじゃん」

「そうだけど・・・」

犬の女の子は男の子のことが気がかりで流星どころではありません。

(どうしよう・・・そうだ!)

犬の女の子は何かを思い付いたみたいです。そして急に犬の女の子は立ち上がり、男の子に後ろから抱きつきました。

「え? な、なに!?」

「ほら、天然の毛皮だよ。こうしていれば寒くないでしょ?」

「い、いいよ別に抱きつかなくても! ボク、本当に寒くないって!」

「私はちょっと寒かったな・・・でもこうしていれば寒くない・・・だから、こうさせて?」

「う、うん・・・」

それから流星群はたくさん・・・たくさん降りました。男の子も犬の女の子もその綺麗な流星にみとれてました。

でも、男の子は自分を抱いている犬の女の子が気になってしまいます。自分にとってお姉ちゃんみたいでもあり、昔からそばにいてくれた少女・・・そんな少女 の暖かさは男の子にとって・・・世界で一番暖かいものでした。

そんな犬の女の子も実は自分にとって世界で一番暖かいものを抱いていました。弟みたいでもあり、昔からそばにいてくれた少年・・・そんな少年と流星群を見 られるなんて少女は幸せでした・・・


ほら見て、流星がこんなにも綺麗にお空を流れているよ。

世界で一番暖かいものを感じている二人の時の流れも流星のように流れて二人は変わっていくけれど、変わらないもの・・・流れることのないものがある事を、 その日だけの流星群は知っていました。

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