【クリスマス】
『夜の広場のツリーの前で待ってる』
彼はそう約束してくれた。でも・・・
「遅い・・・」
何があったんだろう・・・彼がこんなにも遅れてくるなんて。もし、遅れてきたとしても、彼はライオンさんだかた自慢の足で急いで来てくれるだと思うんだ
私・・・
「寒いな〜」
私が本心をそう表に出すと・・・
「寒いならどうぞ」
「え?」
急に後ろから声をかけられ、振り向いたそこには待ちに待ったライオンの彼がコンビニとかで売ってあるホットのペットボトルを私に差し出してくれた。
「遅いよ・・・」
「悪ぃ・・・仕事遅れた・・・」
「まったく、待ちくたびれたんだからね!」
私はそう言って彼の差し出したホット飲料を受け取ってその場で飲んだんだ。中身はミルクティー、そのミルクティーの甘さで少し許してあげようかなって気持
ちになりつつあったけれど、多分それじゃダメなんだって思いがしたんだ。
「私のこの怒りはこんなペットボトル一本じゃおさまらないっつーの!」
「じゃあ・・・」
彼は懐をごそごそと何かを探し出している・・・多分私へのプレゼントを渡そうとしているんだろうけどそれじゃ・・・ダメなんだよ・・・だからね・・・
「え?」
私の頭の上で彼の素っ頓狂な声が聞こえてきた。私は有無も言わずに彼に寄りかかって彼の胸に飛び込んだんだ・・・
「お、おい!?」
「プレゼントとか渡す前に・・・」
「前に?」
「寒いって思う私に気づいてよ・・・」
「・・・」
私はそう強がっていても、実はもう暖かかったんだ。アナタのたてがみに顔を埋めるとね、どんなものにも変わりがないほどの心地よさがあるんだよ・・・お日
様の匂いがして、風でなびくと綺麗なアナタのたてがみ・・・そんなたてがみに私はクリスマスに身を委ねる事が出来るんだよ。こんな幸せ、誰が探したって私
しか見つけることが出来ないんだからね・・・
「メリークリスマス」
お互いにそうハモって奇跡の言葉を言いながら・・・私は幸せを感じたんだ・・・
この季節は奇跡の季節。
白い雪が降るその美しさ
会いたい人に会えるその奇跡
自然とこぼれるその笑顔。
それはヒトがどんなに成長したって・・・
どんなに時が過ぎたって・・・
その奇跡は全てのヒトに起きるものです。
メリークリスマス、アナタのクリスマスに奇跡あれ・・・
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