夏の陽光の下、少女と獣人の青年が歩いていた。
「男の子はいいよね〜そうやって裸でいられるから」
「別になりたくてしたわけじゃねえよ。体感温度オマエよりも高ぇからこうせざる終えないんだよ」
そういう獣人の青年は上半身裸でしかも獣人故に結構自然体でいられるので少女は羨ましくもあり、なんだか憎らしくもある・・・
(う〜ん・・・どうしちゃおうかな〜?)
少々モジモジする少女、この複雑な気持ちを獣人の青年にぶつけるための手段は思いついたのだがどこか恥ずかしい気持ちが芽生えているようである・・・
「ん? どうし・・・」
モジモジして急に足を止めた少女に獣人の青年が後ろにいる少女の様子を見ようと振り返った瞬間・・・
モフッ・・・
(!?)
なんと、少女はこの暑い日差しの中、獣人の青年と腕を組んだのだ。少女の腕に獣の彼のふわふわな優しい感触が伝わってきました。
「な・・・な・・・」
「フフッ、ホ〜ラこれでまた熱くなっちゃうでしょ? アナタだけに涼しい思いさせてたまるもんですか!」
「・・・」
確かに少女の腕組みのせいで涼しさは消えてしまいました・・・だけど・・・
(あ、あれ? 俺、風邪引いたかな? なんでものすごく熱くなるんだよ・・・こいつがくっついて来ただけなのに・・・)
その熱さは果たしてこの日差しが運んでくるものなのか・・・もしくは少女が運んでくる悪戯心か・・・答えは犬の彼が正直になったときしか見れないものでし
た。
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「のわっ!」
まみ姉の手伝いで掃除に来ただめっこだけど、その名称どおり何をやらせてもダメ路線真っ盛り。今の悲鳴の真相は棚から物を落としたことによるだめっこの悲
鳴とあえて優しいナレーターは解説しよう。
「あらあら、大丈夫?」
「あ、あぁ・・・大丈夫だよまみ姉、ちょっと頭打った位だから平気ヘイキ・・・」
とは言っても、語尾が片言になるくらいの衝撃でダメダメだめっこはうずくまっている。弱いですね〜
「もう・・・無理しちゃダメだよ」
「へ?」
心優しいまみ姉はだめっこの頭を優しく包み、羨ましくも・・・モトイ、優しく撫でた。まみ姉、アンタはやっぱ偉いわ〜
「よしよし、これで痛いの飛んでいくよv」
「あ、ありがとう・・・まみ姉・・・」
お〜いだめっこや、お顔真っ赤だぞ〜・・・って聞いちゃいないですね。ま、ナレーター的に言えばだめっこがダメ路線から抜け出せるように頑張れと応援する
しかないこの頃です。
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彼との違いは何?
姿? 種族?
そんなの関係無いって言いたい・・・
でも、周りがそうさせてくれない・・・
嫌よ・・・そんなの・・・
でも、悔しいよ・・・彼とこうやって秘密裏に会わなくちゃいけないなんて・・・
「大丈夫だ。周りの言いたいように言わせておけばいい・・・俺たちは俺達何だ」
そうやって優しい言葉を掛けてくれるアナタが私は愛してる・・・でも、私はいつも言われているの・・・
獣人族の者とは会うな。獣人族の者はその野性的知性で我らを非常食としか見ていない。
なんて悲しいこと言うの・・・私は反論したかったけれど言えなかった。
悔しいの・・・悔しいからアナタとこうやって会ってその反論を正論にしたかった。
その気持ちを察してくれるアナタは私をいつも抱いてくれる・・・
獣人族のアナタの体はとっても暖かい・・・
アナタの胸で泣いても、私の涙はアナタの毛並みに吸い込まれて消えてしまう・・・
アナタの体を涙で汚してゴメンネ・・・そう言うとアナタは・・・
「気にしていない、お前が俺を想ってくれる涙だ。ありがとう」
私もありがとうなんだよ。アナタに言い尽くせないくらいのありがとう・・・
抱かれたときに感じるアナタの体温
抱かれたときに感じるアナタの心臓の音
その音は毛並みのせいで少し曇りがかっているけれど
トクン・・・トクンって聞こえるよ。
ねえ? アナタの耳にも聞こえる? 私の心臓の音・・・
私もアナタも一緒の音を奏でてるんだよ。
何も違うところなんか無い
同じこの血で生きているヒト
私は獣人族を愛したわけでもない
アナタは人間である私を愛したわけでもない
『ヒト』である互いを愛したんだよ・・・
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「キミは大丈夫、私が一緒だから!」
少女が大きな獣人に向かって言ったこの言葉。しかし、それが獣人の抑えていた感情の栓を抜いてしまった。
ガバッ!!!
「え? あ? ちょ、ちょっと!?!?」
大きな獣人から抱き上げられてしまった少女。獣人にとっては大きなぬいぐるみを抱くような感覚に近く、少女も本来はその獣人の毛並みの感触を味わうことが
出来るのだが、いきなりな行動だったのでその感触を味わう余裕など到底生まれてはこなかった。
「オレ、モウ一人じゃない」
獣人の所々の片言な言葉が少女の耳に届く・・・
「モウ、オレ、オマエ放さない。オマエ、イッショって言った」
「た、確かに『一緒』って言ったけど・・・」
一人ぼっちはもう無い・・・ずっと一緒・・・悲しみをもう味わう必要の無いことを保障された獣人に少女の言葉はもう耳に届いていはいなかった。
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というわけでこちらのss楽しんでいただけましたか?
こちらの数々のssはボクが参加させていただいたもふ屋さんのサイト【も
ふもふ】での絵チャでの絵を元にして書かせていただきました。
満足のいく出来になったかどうか怪しいものですが、このような駄作でよろしければどうぞ見納めくださいです><
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