【護】
日本風の庭園を持った大きな屋敷、その庭園が月夜に照らされ、その綺麗な月が水面に映る様をその屋敷の主の齢が少しいった狼人が縁側に座り酒をたしなみつ
つ見つめていた。
「お館様ぁ〜」
自身を呼ぶ名をする方を振り向くとそこには娘のように慕う人間の侍女が寝巻き姿でそこにいた。
「どうした? このような時間に?」
「うん・・・なんだか眠れなくて来ちゃいました」
「そうか・・・今宵は綺麗な月が出ている。そなたもこの月を見て心落ち着かせて見せてはどうだ? 眠りを誘ってくれるやも知れんぞ?」
「うん、じゃあそうします」
そう言うと、娘は主の隣に座り込み月夜の庭園を眺めた。水面に映る月とそれを見つめる狼人の瞳・・・それらのどのようなものにも変えられないほどの金剛色
の輝きに娘は見とれていた・・・
「どうだ? 少しは眠れるか?」
「え? あ、と・・・すいません・・・」
「そうか・・・まあ、眠れるまでここに居るが良い」
「ありがとうございます」
見とれる先は月・・・否、自分が仕える狼人なれども娘はその心の内を封印し、あえてつきを見やることに集中する。
「お館様は・・・」
「ん?」
「お館様はいつもこのような綺麗な月夜をごらんになられてるのですか?」
「あぁ、そうだ・・・日課みたいなものだからな」
「そっか・・・では、毎日の月夜をお館様は独り占めなされているのですね」
「フム・・・そう言われると、確かにそうだな・・・だが、共にこの月夜を眺めたいと思う意中の者との共有をしたいというのが私の願いだがな」
「ハァ・・・そうですか」
(そっか・・・意中の方と・・・か・・・じゃあ、私はその意中の者ではないのですね・・・)
娘はそう思いながらも自然と生まれ出てくる睡魔に勝てずにその場に寝てしまっていた・・・愛しの主に身を自然にゆだねながら。
「寝てしまったか・・・」
狼の主は娘に気をとられつつも、酒を飲む手を休めなかった・・・
(こやつは気付いてくれたのだろうか・・・もう私の願いは叶っているということに・・・)
今宵の月は心をも映し出す魔境となろう・・・
愛しき人の愛しき願いをかなえるための鏡へと・・・
片の想いと片の想いを繋ぎ合わせ、月の奇跡、この二人に幸あれ・・・
ハヒ! とゆことでこの獣奏歌始めてのリクエストssなぞ作って見ました!!
リク内容が『上下関係・上司男(獣人)×部下女(人間)』というリクエストだったのですが・・・ちゃんと答えられたのかが不安でいっぱいなのです・・・
もしかしなくても歳の差です、ものっそ歳の差カップル路線で行ってみました。(そういえば、なぜか日本風にも初チャレンジかも)
とゆことで、由薙さんに捧げちゃいます!!!
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